「2018年 6月」の記事一覧

高学年・中学生の生徒さんたちの成長

こんにちは。

先日は、1年生の生徒さん達のことを書きました。

同じ小学生でも、6年生はかなり大人の感覚に近くなっています。

 

ここで、学校の伴奏者オーディションに合格した生徒さん。

オーディション前の準備にも、とても力が入っていました。

今までも、オーディションを受けたことがあったのですが、そのたびに、譜読みが早くなったり、ペダルの使い方が上手になったりとぐっと進歩していました。

今回は念願の伴奏者。

毎日たくさん練習して、伴奏曲は、もう暗譜で弾けるようになっています。

 

伴奏の曲だけではありません。

それが他の曲の練習にも、生かされています。

プレインベンションの弾きにくいカノンも、1週間で、とても音楽的に仕上げていました。

同じフレーズでも歌い方が以前と全く違っています。

ぐんと成長しました。

 

中学校1年生の生徒さん、やはり中学校に入って、ぐっと成長しました。

最初は「運動部に入る」と言っていました。

でも、実際に仮入部をしてみて、楽しかったのでしょう、吹奏楽部に入部しました。

お母さまも「やっぱりこの子は音楽が好きなんですね。」とおっしゃっていました。

先日は「大会だったから、運動部は出かけていて、吹奏楽部だけ部活動だった。長かった!」と言いつつも、とても楽しそうでした。

楽器の話も、楽譜に書かれている音と、実音が違うこと。

クラリネットの中の種類、サックスの中の種類の話。

チューバの話。

マウスピースを落としてはいけないこと等々。

 

自分の楽器だけでなく、他の楽器のこともあれこれ話してくれます。

ピアノでは、もともと譜読みが得意だったのですが、さらに正確に、速く読めるようになっています。

音楽を心から楽しんでいる様子が伝わってきて、とてもうれしくなります。

 

一人一人の成長に寄り添い、見守りつつ、ピアノを通してさらにその成長を助けていく。

ピアノ教室ならではの関わりを、地道に続けていきたいと思っています。

2018.06.19

重めの音色を作っていく

こんにちは。

昨日は大阪で大きな地震がありました。

震度6弱とのこと。

皆さまのご無事を心からお祈り申し上げます。

 

昨日は、レッスンの日。

ヘンデルのシャコンヌと、フォーレのノクターンの両方を聞いていただきました。

 

シャコンヌは、ここ数日、自分でも音色について考えたり、いろいろな演奏を聞き比べたりしていました。

ヘンデルの作曲した当時は、もちろんまだピアノはありません。

チェンバロで演奏したものがいくつも見つかったので、それも聞き比べていました。

チェンバロだと、上鍵盤と下鍵盤を使ったり、ストップ等楽器そのものの仕組みを使ったりして、音色を変えることができます。

カール・リヒターの演奏など、それを駆使しているのがわかります。

 

今回のレッスンまでに、音色を中心に考えてようと決めていたので、ここはこういう音を出したい等自分なりに弾き方を考えて持っていきました。

最初の長調の部分が終わり、中間の短調の部分にさしかかったとき。

ここは、重めの音がほしい。

そして、短調最初の変奏は弱音から始めたい。

上から下におろして、力の抜き方をこうして…と練習した部分です。

 

「方向は良いと思います。ただ、僕ならこうしてもっと重い音を出します。」

と先生が手の使い方を見せてくれました。

動きが複雑です。

上から下に鍵盤に指を載せるのですが、そこから先の力の入れ方、抜き方が今弾いている弾き方とは違っています。

 

まねてみました。

音質はいいかもしれませんが、音量が大きすぎます。

うーん。

ああでもない、こうでもない、とかなりの試行錯誤の末、ようやく弱音でかつ前よりも重めの音が出せるようになりました。

でもちょっと気を抜くと音量が大きくなってしまいます。

音量に気を取られると音が軽くなってしまいます。

 

指の使い方は、指先だけの問題ではありません。

指の付け根、手のひらの内側、手首、ひじ、肩、背中を意識していきます。

同時に自分の求めている音の質、大きさ。

それらに気を配っていきます。

でも、だからこそ、響きを変化させることができます。

音のイメージを自分で作り、それを表現していくことができます。

その楽しさを味わうことのできたレッスンでした。

課題をのりこえて成長

 

こんにちは。

小学校1年生の生徒さんが何人かいらっしゃるのですが、この2ヶ月で、みんなぐんと成長した感じがします。

お子さんの進歩・成長は毎回感じるのですが、どのお子さんも何か一つのきっかけで「あ、すごい!」と思うほど、ぐんと伸びる時があります。

やはり、小学校に入学する、というのは大きなきっかけになるのだな、と感じているところです。

 

前回、譜読みにちょっと苦戦した生徒さん。

今回は、レッスンに来て、にこにこしながら「簡単だった!」と言っていました。

ドレミを書いてあるところに、上から紙の付箋を貼って見えないようにしておいたのです。

ノートを見ると、今まででたぶん一番練習時間が長かった。

頑張ったね。

 

ピアノの前に座ると、「毎日、ドレミファソーソー、って歌っていたから、今日は大丈夫。」と言って弾き始め、上手に最後まで弾けました。

次の曲は「ふしぎなポケット」

これも、「この音符は何の音?」と確認。

その後、いっしょに「ドドドミソソソソ…」と何回も歌いました。

帰る時、「次も簡単!」と言って元気に帰っていきました。

 

「たんたたたんうん」のリズム打ちが上手にできるようになった別の生徒さん。

「うたあそび」の新しいページにあるリズム打ちの課題をやりました。

その中に、前回、難しかった「たんたたたんうん」のリズム譜をすぐに見つけました。

「あ、これ、たんたたたんうん」と言ってたたいてみせました。

他の2分音符や4分音符のまざった課題もやりましたが、どれもとてもスムーズでした。

 

身について、自信が持てると、次の課題に自分から取り組めるようになっていきます。

そのきっかけは、ちょっと大変だった課題をのりこえられた、というところにあるのかもしれません。

そんなことを考えたレッスンでした。

2018.06.17

年齢の小さい生徒さんとの会話

こんにちは。

小さいお子さんの言葉、ふるまい。

ほほえましく思えることがたくさんあります。

 

実はここのところ生徒さんが来ると「付箋」がよく話題になります。

その週の課題になる、楽譜や音楽ドリルのページに、目印として貼るために使っているものです。

実は、今まで使っていた付箋がほぼなくなったので、新しい付箋を買いました。

前の付箋は、ピンクと青と黄色の3色でした。

今度の付箋は、青、紫、水色、緑、黄色、オレンジ、ピンクと7色もあって、カラフルです。

みんなすぐ気がつきます。

 

「付箋が新しくなった。いろんな色がある。」

だいたい、そんな感じで会話が始まります。

「好きな色を選んで良いよ。」と言うと、うれしそうにそれぞれ選びます。

 

「紫が好き。」

「そう。じゃ、紫にしよう。」

「ピンクも好きだから、始まりは紫で、最後はピンク。」

 

「緑がいい。」

「じゃ、緑を貼っていいよ。」

「どうして黄色がたくさんあるの?」

実によく見ています。

「前の付箋の黄色だけ少し残っていたから、上に貼っておいたの。」

そして実際に貼ってみて、

「色が薄くなった。」

確かに、重ねてあれば色は濃くなりますし、1枚になればそれよりも薄くなります。

音楽ドリルのカラーページにある緑と比べて、

「同じ緑でも色が違う。」

確かにそうですね。

 

「オレンジが良い。」

「じゃ、貼っていいよ。」

「どうして前の付箋がなくなったの?」

どうして?使ったからだけど…。

そういえば、私が自分の演奏を録音してチェックするときに、たくさん貼ったから一気に減った。

「先生が、たくさん使ったからね。」

「ふ~ん。」

 

大人にしてみれば、「ちょっとしたこと」なのですが、小さいお子さんにとってはそうではない。

だからこそ、小さいお子さんの柔らかい心に響くレッスンをしていこう、と付箋をきっかけに改めて考えさせられました。

 

拍子を数えながら弾こう

こんにちは。

サウンドオブミュージックの中の「わたしのお気に入り」を練習中の生徒さん。

 

4分の3拍子。

4分音符が中心で曲が進む中で、時々2分音符や付点4分音符が入っていきます。

1回目に聞いたとき、その2分音符や付点4分音符が短い、と感じました。

特に2分音符が1拍分より少し長いけれど、1拍半はない、という微妙な長さ。

 

「弾きにくいと思うところはどこ?」と聞くと、

「この長さをどれだけ伸ばしたらいいか、迷います。」と付点2分音符と小節をまたいだ2分音符のタイのところを指しました。

「他のところも、長さが違っているところがあったよ。」と話し、

「4分の3拍子だから、123と自分で声に出しながら、弾いてみようね。」

ということで、ゆっくり123と自分で声に出して拍子を数えながら、弾くことにしました。

 

まず最初の8小節。

数えながら弾くと、自分の2分音符が短いことがすぐわかりました。

2回目に少し速度を上げながらやはり数えながら弾くと、今度はスムーズに、そして2分音符を正確に弾くことができました。

 

続きも全部123と数えながら弾いていきます。

さっき「どれくらい伸ばしたらよいか迷う」と言っていた部分も正確に弾けました。

すぐに対応できるのがすばらしい。

音は読めていましたし、これでリズムも分かったので、最後に連弾をしました。

今度は大丈夫。

しっかり合わせて弾くことができました。

 

頭では「2分音符は2拍」「付点2分音符は3拍」と分かっていても、曲の中でどうなっているのかは、つかみにくい場合があるのかもしれません。

「私も最初に弾く時、数えながら練習するよ。」という話とともに、

「特に初めのうちは、数えて弾くようにしましょう。」という確認をしました。

1曲仕上がり、また次の曲。

今度はどんなふうに仕上がるのか、楽しみです。

2018.06.15

小説「羊と鋼の森」を読みました

こんにちは。

「羊と鋼の森」

映画が良かったので、小説も買って読んでみました。

 

私自身は、映画も良かったのですが、小説のほうが好きだと感じました。

映画だと、特にピアノがからむシーンで

「そんなにピアノの鍵盤を強くたたかなくても…。」

などと不必要なことを感じたり考えたりしてしまうからかもしれません。

 

宮下奈都さんの作品は、今回初めて読んだのですが、情景描写がとても魅力的です。

そもそも題名の「羊と鋼の森」からしてすばらしい。

羊は、ピアノのハンマーに使われているフェルト。

鋼はピアノの弦。

それと主人公の中にある森のイメージ。

そのつながりが的確に表れていて、しかもとても詩的。

 

冒頭部分。主人公外村が、グランドピアノの鍵盤を調律師がたたく音を聞いた場面。

「森の匂いがした。夜になりかけの、森の入り口。」

から始まる一連の描写。

彼が調律に魅せられていく過程が自然に語られ、一気に小説の世界に引き込まれていきます。

この小説そのものは、主人公外村の成長の物語です。

 

外村自身。それから調律を引き受けているピアノを弾く双子の姉妹。

その若者たちに対して、調律師の先輩達を中心とする周囲の大人たちが、きちんと向き合っている姿が丁寧に描かれています。

 

小説を読んでいて、最初は主人公外村に関心を向けていましたが、ふとふり返ると、私自身は年齢的にその周囲の大人の立場に立っていることに気づきました。

小説の中の大人たちが、若者にきちんと向き合えるのは、真摯に仕事にとりくんできたことの蓄積があるからこそです。

今、私は生徒さんに対して、「教える」という立場にあります。生徒さんに対してきちんと向き合うために、私自身のピアノへの姿勢もまた常に真摯でありたい、そんなことも改めて考えさせられました。

 

2018.06.14

「羊と鋼の森」の映画を見てきました

こんにちは。

昨日、「羊と鋼の森」の映画を見てきました。

前回のレッスンの帰りに寄ったヤマハ池袋店にポスターが貼ってあり、気になっていました。

 

映像がとても美しい。

季節の変化も、音のイメージも。

悩みながらも、ひたすら音と向き合う若い調律師さん。

彼の周囲にいる先輩の調律師さんたち。

そしてピアノを大切に思っている人達。

 

先日、レッスン室の調律の一部始終を見せていただいていたので、その緻密な作業の様子や音のイメージについての会話など、実際の調律の場面と重ね合わせて、とても興味深く見ました。

一番主要なエピソードは、高校生の姉妹との関わりですが、私にはもう一つ、とても印象に残った部分がありました。

それは、主人公外村さんが始めて一人で調律に行った、アップライトピアノの部分です。

 

以前の調律は14年前。

ピアノの上にも、ふたの上にも、椅子の上にも楽譜が置いてあり、使われていない様子を表しています。

そのピアノの内部にあるピンを外村さんは1本ずつ磨いていきます。

実は、レッスン室のピアノでも同じ作業をやってくださっていて、その磨く作業一つとっても88回同じことをくり返していくわけです。

しかも、磨いたり調整したりする箇所はたくさんあります。

そこにかける時間とエネルギー。(映画ではあっという間なのですが、実際は大変です!)

それがピアノの持ち主の止まった時間を動かしていきます。

 

ピアノはいろいろな音を出すことができます。

調律師さんは、ピアノを弾く私たちを助け、出したいイメージの音を共有して調整してくれます。

私のレッスン室のピアノを調律してくれている調律師さんも、とても真摯にピアノと向き合っていらっしゃいます。

ピアノを弾く方は、ご覧になるとそれぞれの体験と重ね合わせ、また違う角度でピアノを見ることができるのではないかと思います。

2018.06.13

練習の「仕方」を考える

こんにちは。

一昨日は久しぶりに何も予定のない1日だったので、ピアノがたくさん弾けました。

やっぱりピアノを弾くのは楽しいですね。

とはいえ、今、フォーレのノクターン2番の譜読み中。

私の師匠が言う「手になじむ」状態になるには、まだまだ先が長そうです。

 

手の使い方を考えつつ、指遣いの確認。

ようやく最後のページまでそれを終え、さて実際に弾き始めると…。

修正すべき点が見えてきました。

ここは左手で取るより、右手を使った方がいい。

ここは左手の動きを考えると、右手の指遣いを変えたほうがいい。

黒鍵は4が良いと原則しか考えていなかったけれど、実際弾いてみると内声があるので届かなかった。

いろいろなことを想定して、次はもっと慎重に指遣いを考えたほうが良いと気付きました。

これもやってみたからこそ分かったこと。

 

前回のレッスンでみていただいてある前半も、まだ「手になじんで」はいないので練習。

音の数はそう多くはないのに、どうしてこうたくさんミスタッチをするのだろう?

以前、とても上手に弾く方から伺った「片手が難しいところこそ、逆の手の練習をしっかりする」ということを思い出しました。

細かく動く右手ばかりに意識がいっていたので、左手の練習を改めてすることにしました。

その後、両手を合わせるとかなり弾きやすくなりました。

 

練習をするときに、練習の「仕方を工夫していく」「自分の状態を自覚していく」こと。

ついつい、「この部分を弾きたい」だけになってしまいますが、次につなげるためには大切なことです。

そこに改めて気付かされた時間となりました。

2018.06.12

弾けるようになるには?

こんにちは。

レッスンのとき、特にまだ始めて日の浅いお子さんには、できるだけ○をあげられるようにしたい。

やはり、小さいお子さんの場合、○をもらえた!ということも「楽しい」という気持ちになるための大きな要素だからです。

 

そのための練習。

先日のレッスンで、○にならなかったお子さん。

やはり「今日、○もらえなかった。」と寂しそうでした。

う~ん。

どうしたらいいかな?

 

2つ理由が考えられました。

一つは、音符がきちんと読めていないこと。

もう一つは、完成形のイメージがつかめていないこと。

 

そこで、次のレッスンからは、音符カードを使ったクイズで、音符の確認を多く入れていくことにしました。

もう一つ、新しい曲の階名を確認するとき、書き込みました。

でも、それだけでは、音符を読まずに書き込んである文字を読んでしまいます。

その書き込みの上から、紙の付箋を貼って、書いた文字が見えないようにしました。

「どうしても分からないときは、その時だけちょっと見ていいよ。でも、はがさないでね。」

「どうして貼っちゃうの?」

「音符を覚えて弾いてほしいからね。」

ということで、納得してもらいました。

 

完成形のイメージづくりは、弾きながら歌う時間をできるだけ多く取ることにしました。

今後は、私が弾いた動画を活用することも考えています。

今回の目標がどこなのか。

漠然としていては、努力の方向性もわかりません。

 

実際の生徒さんを前にして、良い方法を試行錯誤しながらレッスンしています。

その工夫を考えていくのも、また楽しいことです。

歌を使って楽譜とピアノをつなぐ

こんにちは。

楽譜という「紙に書かれたもの」から、ピアノを使って「音を出す」「音楽にしていく」

このプロセスは、初めてピアノに触れるお子さんには、難しいものかもしれません。

私が「ピアノひけるよ!ジュニア」を使う最大の理由がそこにあります。

一つ一つの音符だけでは、「曲」にしていくプロセスが見えにくい。

そこに「歌をうたう」という活動を入れていくことで、「こう弾けばいいのかな?」ということがわかっていきます。

 

先日レッスンした小学校1年生。

「バケツのあな」を練習しています。

前回のレッスンで、音符を一つ一つミドソラドソ…と確認していきました。

今回のレッスンで聞かせてもらうと、一つ一つの音符を弾いている感じ。

 

この歌は知らないということだったのですが、前回は、簡単に1回歌っただけでした。

そこで、一緒に歌うことにしました。

3回一緒に歌って、その後、リズム打ちをしながらまた歌いました。

「カスタネットとタンバリンとどっちが良い?」と聞くと「カスタネットが良い!」

ということで、カスタネットを使ってのリズム打ち。

「じゃあ、先生がタンバリンでやるね。」と一緒に歌いながら、リズム打ちをしました。

 

だんだん楽しくなってきて、「タンバリンでもやりたい。」

と次に、私が持っていたタンバリンと交換。

タンバリンでもリズム打ちをしながら歌いました。

その後、ピアノで弾いてみると、今度は3拍子のリズムにのって「曲」になっていました。

 

こういう経験を積み重ねていくことで、知らない曲でも「曲」として捉えていく力が養われていきます。

そして、弾ける楽しさ、音楽を作る楽しさをたくさん味わってほしいと思っています。