「2018年 10月」の記事一覧

リズム打ちをすると、楽に弾けるようになります

こんにちは。

リズム打ちをして、最初に左右の手の動くタイミングをつかんでおくと、両手で合わせて弾くときに楽に弾けるようになります。

 

小学校3年生の生徒さん。

とても感性の豊かなお子さんです。

細かい表情をつけるのが上手。

2年生からピアノを始めたので、今、教本は「ピアノひけるよ!ジュニア3」をやっています。

昨日のレッスンでは「アマリリス」を聞かせてもらいました。

 

右手がスラーからスタッカートになる部分、ちょうど「道化師たち」と同じなので、とても上手に弾けました。

一度、弾いてから、メロディーをしっかり聴きながらもう一度、ということで2回めはもっと美しく弾くことができました。

右手と左手のリズムが違っている部分があります。

最初のうちは、これが意外に難しいのですね。

右手と左手がつい、いっしょに動きたくなってしまいます。

私の教室では、ワークブックもいっしょに使っているので、さっきもリズムちをしましたが、とても上手にできていました。

その時は、「リズム打ち」と思ってやっているのですが、実際にピアノに向かうと、それが生きてきます。

スムーズに手を動かすことができるのです。

 

左右、違うリズムのリズム打ちをする時には、ボンゴを使います。

生徒さん、みんな好きですね。

前の生徒さんが使って、ボンゴが出ていると、まだ左右別々の動きのリズム打ちをしない生徒さんから、「あれ、たたいてみたいな。」とリクエストされることもあります。

そういう時は、最初に右手だけ、とか左手だけとか、でリズム打ちの練習をしてから、「ちょっとだけ、好きにたたいていいよ。」と言うと、喜んでたたいています。

 

ピアノ歴の長い、小学校6年生の生徒さんも、時々ボンゴで両手別々のリズム打ちをやります。

こちらは、16分音符あり、付点8分音符あり…とずっと複雑ですが、それでも、回数を重ねるに従って、たたけるようになるまでの時間がどんどん短くなっています。

結局それも、実際にピアノに向かった時、とても役にたっていくのです。

 

楽譜が読めるようになる

こんにちは。

たうらピアノ教室の生徒さんたちは、全体に楽譜を読むのは早いです。

日常的に、音楽ドリルで勉強していますし、「うたあそび」でも歌ったり、リズム打ちをしたりしているからです。

 

幼稚園年長の生徒さん。ピアノを始めて1年です。

「ピアノひけるよ!シニア」を勉強中です。

クリスマス会の曲も、だいぶ仕上がってきたので、そちらと並行して、教本の曲も練習しています。

前回のレッスンで、短調の音階について、基本的な知識を勉強し、指遣いも練習して帰りました。

今回のレッスンで聞かせてもらうと、練習してきてとてもスムーズに弾けています。

「スラブ行進曲」も練習してきたそうで、聞かせてもらいました。

 

臨時記号の♯が何箇所もできてくるのですが、すべて○印がついていて、自分なりに注意していた様子が分かります。

また、左手の音型がどんどん変わる部分にも○がついていました。

ですから、とても上手。

お母様に、「上手になりましたね。譜読み本当にしっかりできるようになって…」と言うと、

「スラブ行進曲、難しいと思っていたのですけど、本人が全然苦でなく、さらっと弾けるようになったので、びっくりしました。」

とおっしゃっていました。

 

もう1人、幼稚園年長の生徒さん。

こちらの生徒さんは、7月下旬から始めましたから、まだ3ヶ月たっていません。

もともとお歌がとても上手で、音程が正確でした。

音符がすらすら読めるので、やはり譜読みが早いのです。

「うたあそび」に出てくる「うたってみましょう」もどんどんできます。

最初は慎重だったのですが、今は毎週3曲ずつ課題の曲を練習してきて、知っている曲も弾けるようになってきたので、ますます楽しくなっています。

 

楽譜を読むには、「慣れ」が大切なのですね。

ですから、回数をやればやるほど、できるようになります。

特に小さいお子さんの場合、直感的にパッとつかめるようになると、どんどんできるようになります。

生徒さんたちの進歩、とてもうれしく思いました。

2018.10.16

止まらずに弾く

こんにちは。

「音楽は、時間とともに流れていく芸術。だから両手で弾けなくて『片手』になってしまったとしても、止まったり、弾き直したりしてはいけないと思うんだよね。」

発表会などの本番を前にしたとき、私が先生から何回も言われたことのある言葉です。

 

今、クリスマス会に向けて、準備を進めているところです。

まだ、ピアノを始めて1年たたない生徒さんたちがほとんどですから、当然、ソロでも連弾でも人前で弾くのは始めて。

ですから、今「止まらずに弾こうね。」ということを繰り返し言っています。

 

特に、連弾。

合わせる練習を始めているのですが、間違えると、止まってしまう。

そこを、なんとか「止まらずにつなぐ」あるいは、一旦分からなくて止まっても、次の入れるところを見つけて入る。

これも練習のうちです。

とはいえ、日頃の練習の中では、間違ってしまう部分、弾きにくい部分を取り出して練習することは、とても大切なことです。

ですから、「間違っちゃったら、そこだけ練習しようね。でも、一番最後の練習の時は、必ず『止まらずに弾く』ようにしようね。」と話しています。

 

先日の生徒さんのレッスン。

似たフレーズが繰り返されている上に、リピート記号で最初に戻る曲を弾いています。

連弾で弾いているうちに、どこをやっているのか分からなくなってしまいました。

これは、よくありがちなことです。

 

しっかり楽譜を目で追うこと。

メロディーを歌として覚えること。

1回目はmf、2回目はmpなどの強弱記号がついているので、それを手がかりにしていくこと。

もう一つのパートナーの弾く部分も含めて一つの音楽、という気持ちをもっていくこと。

ここを意識していくことで、迷わなくなっていきます。

 

特に、合わせる機会が少ないうちは、最後の、パートナーの弾く部分も含めて一つの音楽、という意識がなかなか持てません。

本番までには日があるので、少しずつ練習して、慣れていけば大丈夫。

一人では出ない厚みのある音。

相手があってこその音楽。

連弾の楽しさを味わってほしいと思っています。

2018.10.15

オペラの伴奏から学ぶ

こんにちは。

昨日は、所属する「葵の会」の練習に行ってきました。

来年4月の定期演奏会に向けての準備が開始したからです。

 

次の定期演奏会は、第55回でもあり、また平成最後でもある、ということで声楽のメンバーが今までにも取り組んできたモーツァルトの「フィガロの結婚」と「魔笛」の中からアリアや二重唱を歌うことになっています。

私は、今回、「フィガロの結婚」の中のアリア・合唱の伴奏を弾くことになりました。

伴奏をホールの本番で弾くのは、ほんとうに久しぶりなので、少し緊張し、同時に楽しみでもあります。

もともとオペラは、出会いが素晴らしかった(プッチーニのボエームを、フレーニの歌で聴けた)ので、大好きです。

そこから、大学時代に、魔笛の1幕を練習して上演したこともあります。

 

ですから、今回の伴奏のお話は、ありがたくお受けすることにしました。

前回の打ち合わせでは、「フィガロの結婚」の中からは、全部で7曲。

途中で電話がかかってきて曲目の変更があって、あわてて楽譜のコピーに走ったり…ということもありましたが、とりあえず、何とか間に合わせて、昨日は出かけました。

 

ロシアピアニズムを学ぶことで、音の聴き方が変わり、空間に響く音をとらえることができるようになりました。

これは、伴奏にもとても役立つことを実感しました。

以前は、どうしても「自分の弾いているという指の実感」に意識が行きがちだったのですが、「空間に響く音」を意識すると、歌っている人の音楽も一緒にとらえることができやすくなります。

そうすると歌とピアノとで1つの音楽、という感覚を持てるようになります。

特に歌う人の人数が増えてくると、その違いがよく分かりました。

 

同時に、今回、歌詞の音韻・アクセントを勉強したことで、モーツァルトの音楽の流れがつかみやすくなりました。

歌詞のアクセントの位置が、小節の最初にくるように作曲されているのです。

これは、本当に見事としか言いようがありません。

モーツァルトは、イタリア語のリズムを完全に自分のものとして消化して音楽にしているのです。

これを学ぶことで、ピアノソナタの流れも意識がしやすくなりました。

1つ何かを学ぶと、それに付随して、いろいろなことが見えるようになってきます。

 

まだこれから、学ぶべきことはたくさんありますが、いろいろな蓄積をして自分の音楽の幅を広げ、さらに豊かに音楽を、ピアノを楽しんでいきたいと思っています。

姿勢を変えると音の響きが変わります

こんにちは。

姿勢を変えると、音の響きが変わってきます。

 

小学校6年生の生徒さん。

この1年、響きを聴き取る練習もしてきて、音色の変化が分かるようになってきました。

同時に、曲想を感じる力もついてきました。

細かい音の変化をどうつけていくか、ということをしっかり自分で考えられるようになってきたのです。

これは、年齢的なものも大きいように思います。

もともと感性の豊かなお子さんですが、それを「言葉で」どう表現したらよいか、そういうことが分析できるようになる年齢になってきたのですね。

 

さて、今の課題として伴奏を弾くので、もう少し音量がほしいということが出て来ま

単純に「大きな音」をだそうとして、力を入れても、そういう音は響かないのです。

ホールに行くと、逆に音が届きにくくなってしまいます。

生徒さん本人もそれがよく分かっています。

 

ただ、今までの姿勢だと、腕の重みがまだ鍵盤に伝わりきっていません。

そこを改善していくことにしました。

いすをぎりぎりまで後ろに下げ、浅く腰をかけます。

少し身体を前に倒して、その分、椅子から落ちないように、身体が傾きすぎないように、お腹でささえます。

その状態で、弾いてみました。

音の上がり方が変わってきました。

腕の重みを使えると、やはり大きく変わります。

 

実際に曲を弾きながらレッスンしながらということで、くるみ割り人形を弾いてもらいました。

残念ながら、弾いているうちに姿勢が元に戻ってしまいました。

「どのタイミングで言おうかな。」と思いながら見ていたちょうどその時、自分で気がついて、姿勢を変えたのです。

すると、響きが大きくそこで違ってきました。

 

生徒さんに「姿勢、自分で気がついて直せたね。」と言いました。

「そうなんです。途中で、『あ、姿勢!』と思って変えたんです。」

「そこで、音が変わったのが分かった?」

「自分でも、はっきり分かりました。」

 

姿勢を変えていくと、響きも大きく変わります。

良い響き、良い音色で自分の音楽を表現していく。

また1つステップを上がった生徒さんでした。

慣れてくると上手に力が抜けるようになります

こんにちは。

慣れてくると力が抜けて、楽に動けるようになりますが、ピアノも同じです。

今思えば、私なども、車の運転をし始めた初期の頃は、力が入って、肩が凝るほどでしたが、今はうまく力を抜けるようになっています。

 

小学校1年生の生徒さん。

ここのところ、毎日ピアノの練習をする習慣がついて、どんどん上手になっています。

最初は、かなり力を入れて弾いていたのですが、今クリスマス会の曲をずっと練習していて、同じ曲にじっくり取り組むことができるようになり、生徒さん本人が「弾き方」に意識が向けられるようになってきました。

この音とこの音をつながるように弾けるといいね、と前回のレッスンでお話ししていたところが、今回は上手につなげられるようになっていました。

 

お母さまに、「とても上手になりましたね。」とお話しすると

「毎日頑張って練習しています。毎日練習することがこれほど大切で、これほど違ってくるのだということがよくわかりました。」とおっしゃっていました。

力の入れ方、弾き方に意識を向けると音が変わってきます。

この生徒さんの音も、ずいぶんきれいになってきました。

 

もう1人の小学校1年生の生徒さん。

こちらの生徒さんも、このところ、練習量が増えていて、どんどん上達しています。

最初のうちは、どうしても力を入れて弾きたくなってしまうのですね。

特に、手の小さいお子さんの場合「音を出さなくては。」と思って「頑張って」弾きがちです。

こちらの生徒さんも、手首を使って下に向かって押し下げるように「頑張って」弾きがちでした。

でも、ここのところ、1つの曲をじっくり練習しているうちに、ずいぶん手の使い方が柔らかくなってきました。

ちょうど、教本の変わり目でクリスマス会の曲の練習に入ったので、「早くこっち(教本)もやりたいな。」と意欲的でした。

 

それぞれの生徒さんの成長ぶり、頑張っている様子に、また元気をもらいつつ、レッスンをしています。

音楽の細かい変化を感じる力

こんにちは。

音楽を表現するとき、その流れの細かい変化を「感じる力」が養われていきます。

 

小学校6年生の生徒さん。

合唱のオーディション、見事「合格」の連絡がきました!

楽譜をもらってから、実際のオーディションまでとても期間が短かったのですが、本当によく頑張りました!

最後のレッスンでは、音楽の「細かい変化」と音量のコントロールについて話していきました。

 

いただいた合唱曲は、8小節がひとまとまりになっていて、基本的にその8小節ごとに強弱記号がついています。

でも、音楽というのは、実際にはその流れの中でもっともっと細かく表情が変化していくのです。

8小節で表現していくのではあまりにも大味になってしまいます。

合唱の場合には、歌のメロディーを意識して、音が上がるところ、下がるところを意識していきます。

 

同時に、伴奏が弾く部分の和音の変化をしっかり感じていきます。

特に臨時記号が付いている部分。

ここにシャープが、あるいはフラットがつくことで、和音の印象がどう変わるだろうか?

臨時記号がつくことで、緊張感が生まれたり、意外な感じがしたりと、音楽が大きく変化します。

それを感じて、演奏に生かすことができるようにしていくのです。

ピアノを通して細かい音楽の変化を「感じる力」を養うことができます。

これが「感性」を豊かにすることなのですね。

少しの変化を感じ取って、表現出来る。

この生徒さんは、今までの蓄積があったからこそ、今回の伴奏曲でその細かい変化をしっかり感じ取ることができ、さらに表現する力がついていました。

 

同時に音量のコントロールも大切です。

mpと書いてある。mfと書いてある。ここにはfと書いてある。

でも、それをそのまま表現しようとすると、fの印象がなくなってしまうことも多いのです。

頭の中で最終のfの音量をしっかりイメージして、そこから逆算してmfやmpの音量を決めていきます。

これには、自分の弾いている手元に意識を置かず、出ている音を聴く意識が必要になってきます。

この意識も、日頃からの練習の中で身につけることができます。

 

音楽の細かい変化を感じる力をつけていくこと。

それを通して感性を養うこと。

これは、音楽を楽しむことに通じるとても大切な、そして素晴らしいことなのです。

2018.10.11

子どもの頃の経験は深いところに蓄積されています

こんにちは。

子どもの頃の経験は、深いところに蓄積されていて、ふとしたきっかけで戻ってくることがあります。

ピアノも同じです。子どもの頃に弾いた曲は、やはり指が覚えていてまた弾くことになるとすぐ戻ってくるのですね。

だからこそ、子ども時代の経験はとても大切だし、豊かであってほしい、こんなことを改めて思いました。

 

きっかけは「赤毛のアン」についてのテレビ番組を見たことです。

NHKに「100分de名著」という番組があって、今「赤毛のアン」が取り上げられています。(アーカイブで見ています)

私も子ども時代に読んだのですが、これが細部までかなりはっきりと記憶に残っているのです。

取り上げられているエピソードの一つ一つに対して、「あ、知っている知っている」「そうそう」と思いながら見ていました。

頭の中に言葉でも、アンの「想像力」ではありませんが、映像でもはっきりと見えるのです。

 

何だか懐かしくなって、また読み返してみることにしました。

改めて読んでみると、さまざまなエピソードの感じ方、見方がまた変わってきて興味深く思いました。

子ども時代の読み方は、アンを中心にとらえることになります。

でも自分が子育てをした後の今、読み返すと、マリラ、マシュウの気持ちがとてもよくわかるのです。

人物がきちんと描写されていると、その時その時の読み手の状況によっていろいろなことが読み取れます。

 

最初にも書きましたが、音楽も同じだと思います。

ここのところ勉強していたモーツァルトのソナタは、子ども時代に弾いていたもの。

でも、年月を経て、奏法を変えた今だから分かることがたくさんあります。

それだけでなく、それに加えて年齢、経験によって分かること、感じることもまたたくさんあります。

これを比較できることそのものにも大きな意味があるように感じました。

 

だからこそ、子ども時代に、さまざまな美しいもの、すばらしいものに触れる場面が大切なのだとあらためて思いました。

ピアノで「勝負」ーゲーム感覚で練習回数を増やす

こんにちは。

男の子は、勝負が大好き。

中学生でもそうでしたね。何かにつけて生徒同士でも「勝負」していました。

 

先日のレッスンの時、だんだん飽きてきたようすがちょっと見えたので、「先生と勝負しよう!」というと「え?」という感じ。

「うずまきめだまに なっちゃった」を弾いていたのですが、左手を弾いているときには、右手が、右手を弾いているときには左手が、鍵盤から離れてしまうので、右左の連続がうまくいかないのです。

テンポにのって弾くことができません。

その練習をしたいと思って、何回かくり返したかったのですが、単調にくり返していても面白くありません。

そこで、「勝負」。

 

最初にお手本を弾きます。

一緒に階名で歌います。

もうそれは今までもやっているので、とても上手。

「今みたいに右手と左手がつながって弾けたら、○○くんの勝ちね。つながらなかったら、先生の勝ち。」

ということで始めました。

 

最初は、今までの習慣で手が鍵盤から離れてしまいます。

そうすると、リズム通りに弾くことができません。

負けが続きます。

「もう一回」「もう一回」とやっているうちに、だんだんと両方の手を鍵盤の上に置くように意識が変わってきました

 

5回めくらいでしょうか。

「○○くんの勝ち!」

とってもうれしそうです。

「もう一回やる。」

残念ながら次は負け。

「もう一回…。」ということで、あっと言う間に10回くらい、集中して練習することができました。

だんだん勝ちが増えてきて、最後の「勝負」は勝ちでしめくくれたので、楽しそうでした。

「また次もやる?」と聞かれたので、「うん、やろうね。」と答えると、にこにこしていました。

 

同じことをするのでも、ちょっとゲーム感覚にすると、楽しくできます。

そういえば、息子が小さい頃、雨の日に洗濯物をたたむのをゲームにしたことがありました。

私が2階まで階段を上って1つたたんで下りてくる。

バトンタッチして、今度は息子。

何と言うこともありませんが、洗濯物もたためたし、身体も少しは動かせたし、楽しくなりました。

ふと、そんなことも思い出しながら、「勝負」を楽しんだレッスンでした。

ブランクが長い方のピアノレッスン

こんにちは。

かつてピアノを習っていても、ブランクがあると思うようにはなかなか弾けません。

いくつかポイントを押さえることで、少しは弾きやすくなっていきます。

 

「久しぶりにピアノを弾くことになったんだけど、思うように指が動かなくて、困っている。見てもらえない?」と知り合いに頼まれました。

子どもの頃には、ピアノを習っていて、学校の伴奏なども弾いていたので、その当時はかなり弾けていたのですが、ブランクが長い。

来てから、まず、一度弾いてもらいました。

昔のピアノ教育ですから、当然「しっかり」弾いています。

今も、家では電子ピアノで練習しているとのこと。

これも「しっかり」弾くことにつながります。

力が入ると、指はよけいに動きにくくなります。

 

「ここのピアノ、すごく音が大きい。」とびっくりしていましたが、それも「しっかり」弾いていたからよけいそうなのです。

まず、「できるだけ力をぬきましょう。」ということで、手首を上げ、力を抜く練習をしました。

「省エネで、今までの1/3の力で弾くつもりで。そうすると指も動かしやすくなります。」

これで少し指の運びがスムーズになりました。

 

「目と、指がつながらない。」とも言っていました。

楽譜を読み、ピアノを演奏する時に、目でみている音をその瞬間に指で弾くことはできません。

必ず少し先の音符を見て、手の動きのほうが後からついていくことになります。

ブランクがあると、この感覚が変わっていくのですね。

少しでも戻すためには、ある程度の回数を弾くことが必要です。

長い部分をくり返していたので、4小節をひとまとまりとしてとらえること、練習も4小節を単位としてすると良いことをお話ししました。

 

同時に、「目と手がつながる速さから練習すること」

これも大切なことです。

聴いていると、止まるところはだいたい決まっています。

そこで止まって弾き直すと、「止まって弾き直す」ことも一緒に脳内にインプットされてしまいます。

ですから、「ゆっくりでも止まらずに通して弾ける」ということから徐々にテンポを上げていく方が結果的に上達は速くなります。

 

「昔、100メートルを16秒で走れたから、と言っても、40年後に走れるわけないものね。でも、自分の中のイメージは16秒なのよね。」

わかります、それ。本当にその通りです。

楽譜→目→指の流れをスムーズになるためには、脳内のワーキングメモリが関係することが分かっています。

すぐには元に戻らないかもしれませんが、練習しているうちにだんだんと変わっていきます。

「分かった。できるだけ、回数を増やして練習してみる。」と言って帰っていきました。

ぜひぜひ楽しみながら、練習してもらえれば、と思います。