「2018年 11月」の記事一覧

3ヶ月で「とけいのうた」が弾けるようになりました

こんにちは。

7月下旬に入会された幼稚園年長の生徒さん。

クリスマス会に参加するのですが、まだ始めて間もないので、前回の10月最後のレッスンでようやく曲を決めました。

 

いつもしっかり練習してくる生徒さんで、お手玉を使ったギューッパッの筋トレも毎日やっているそうです。

始めてからの日数の割には、指がしっかりしていること、楽譜も読めるようになっていることから、「とけいのうた」と「でんでんむし」を弾くことにしました。

8分音符がたくさんある「とけいのうた」から、前回、レッスンを始めました。

歌を知っているので、理解しやすかったのでしたが、それでも、今までにはない付点4分音符+8分音符の部分のリズムには戸惑っていた様子でした。

 

お母様の書いたレッスンノートにも「2段めが難しいようです。」と書いてあったので、どうかな?と思っいながら聞かせてもらいました。

とても上手に、スムーズに弾けるようになっていました。

少し力が入って、下まで頑張って鍵盤を押し下げている感じがしたので、できるだけ力を抜くこと、特に「こどものはりと」の部分は、次の「おとなのはりと」との対照で少し弱く弾くので、よけい力を抜くこと、を練習しました。

意識すると、ずいぶん力も抜けて、良い響きがします。

 

後半は、もう一曲の「でんでんむし」の譜読み・練習をしました。

こちらは逆にたくさん付点4分音符+8分音符のリズムが出てきます。

ピアノでも練習しましたが、タンバリンを使ってのリズム練習もしました。

私がカスタネットで拍子を刻み、生徒さんがタンバリンで実際に弾くリズム通りにたたきます。

ピアノの前に座っている段階で、リズムがかなり分かっていた感じがしたので、きっとお家での練習も大丈夫だろうと思います。

 

教本でも、これからは知っている曲がいろいろ弾けるようになってくるので、楽しいと思います。

にこにこしながら、帰っていきました。

2018.11.06

一音ずつ響きを確認していく

こんにちは。

昨日は、御茶ノ水にレッスンに行ってきました。

 

今、バッハのフランス組曲を弾いているのですが、虫様筋の使い方、鍵盤への指の下ろし方で、響きが大きく変わることを改めて実感しました。

一音ずつ、指の使い方、音の響き方を確認しながら弾いていると、結局1時間かかって、最初のALLEMANDEの、しかも半分で終わりました。

先週、レッスンを受けたピアニストの方も、バッハのインベンション1番で、同じことをおやりになっていたそうです。

ひたすら「この音かな?この響きかな?」と確認しつつ、その時の自分の指の状態、身体の状態を認識していく。

一音ずつの確認ができたら、16分音符なら1拍分、4つをまとめて弾いた時、それができているか、できていなかったのなら、どの指に原因があるのか、なぜなのかを探りながら、もう一度弾く。

それの繰り返しです。

 

どうしても、薬指、小指の筋肉は、力が弱く、音量が小さくなりがちです。

その音だけ「音量が小さい」ともう少し音量を上げようとすると、虫様筋が支えきれずに、指が鍵盤に落ちてしまいます。

そうすると、今度はその音だけ、いきなり音量が大きくなります。

筋肉が以前よりはついてきたとはいえ、やはり指により、コントロールのしやすさは大きく違います。

薬指、小指は特に、まだまだ指の筋トレが必要だと改めて感じました。

 

先生のレッスン室のスタインウェイ。

本当に微妙なタッチの差まで、実にはっきりと再現してくれる楽器です。

あるポイントがあって、そこに適切に触れると、実に良い響きが出ます。

でも、少しでも深かったり、浅かったりすると、全く違う響きになります。

深すぎると雑音のような濁りが感じられます。

浅いと「浮いた音」になり、しっかり響きが上がりません。

 

先生も「まさに薄氷の上にいるようだよね。ほんの少しのちがいで響きがまったく違ってくる」と言っていましたが、特に薬指と小指では、何度も薄氷が割れて、水中に落下した気持ちでした。

また次回のレッスンまで、一つずつ一つずつ、丁寧に確認しつつ練習していきましょう。

2018.11.05

フィガロの結婚六重唱で「ソナタ形式」について学ぶ

こんにちは。

今日は、面白い本を見つけたので、そのご紹介です。

田村和紀夫著「カラー版徹底図解 クラシック音楽の世界」(新星出版社)

 

音楽史、確かに勉強しました。

大学時代に講義を取り、さらにその講義で指定された「バロック以前の音楽」「弦楽四重奏」「現代音楽」の3つのコンサートに行ってレポートを書き、試験を受ける。

当時学んだ内容が断片的には頭の中にあるのですが、今ひとつ体系性に欠けている部分があるのも確かで、もう一度、振り返ってみようと思い、この本を手に取ったのです。

さらに、この本を読もうと思った理由に「『フィガロの結婚』の六重唱でソナタ形式を説明する」という説明文を読んだことも大きいですね。

ピアノを弾いていると、どうしても、頭の中の音楽史もピアノ曲にかたよりがちです。

ソナタ形式というと、すぐにモーツアルトやベートーベンのピアノ・ソナタが浮かんできます。

それが「フィガロの結婚」とは。

六重唱も知っていますが、あれもソナタ形式なの?という感じでした。

 

この本ではソナタ形式の基本として、次のように書かれています。

1 全体は「提示部」「展開部」「再現部」の3つの部分からなる(最後に「コーダ」がつくことがある)。

「提示部」には「第1主題」「第2主題」が置かれ、反復記号で閉じられる。

「展開部」は絶え間なく転調を繰り返す部分で、最後に再現を準備する部分となる。

「再現部」は提示部が再現される部分だが、第2主題は主調に戻される。

そして、フィガロの結婚の六重唱を例に取っているのですが、提示部の第2主題の部分を「劇の萌芽」とし、展開部を対立から和解への「ドラマの形式」としています。

これを読んで、モーツァルトのピアノ・ソナタの展開部がどんどん転調している感覚が、少しつかめた気がしました。

ちょうどモーツァルトのピアノ・ソナタを弾いている生徒さんがいて、レッスンで毎週聞いているわけですが、自分が弾くのとも、CDなどで聞くのとの中間の感覚で聞いている感じです。

そうすると、この展開部の転調の多さがとても印象に残るのです。

「ドラマ」ととらえると、登場人物が何人かいて、それぞれにはそれぞれの気持ち・感情があり、それを描いている。

そんなイメージが浮かんできました。

 

今までより、転調の一つ一つの色合いを、よりはっきりと感じることができそうです。

ベートーベンのピアノ・ソナタだと、また少しイメージが違うような気もするのですが、少なくともモーツァルトのピアノ・ソナタを演奏する上では、とても大きなヒントをもらった気がしました。

知的理解が進歩を助けるー小学校高学年・中学生のピアノレッスン

こんにちは。

たうらピアノ教室には、小学校の高学年・中学生になってからピアノを始めた生徒さんが何人もいます。

ピアノを始めるのは、一般的に早いほうが良いと言われます。

でも、趣味で楽しもうという場合は、始めるのに年齢は関係ありません。

 

昨日は、中学校2年生の生徒さんの3回目のレッスンでした。

今回、無理なく段階を追うことができること、ポップス風の和音が多く使われていることから、「ピアノランド」のシリーズを使うことにしました。

小さいお子さんだと、「知っている曲が弾ける」ということがモチベーションに大きく関わりますが、中学生だとそのあたりも変わってきます。

 

小学校高学年や中学生、大人の生徒さんの場合は、知的理解が加わるので、読譜についてはすぐ理解できるのですね。

中学生・高校生くらいまでだと、あとは回数ですぐ直感的に分かるようになります。

かつて中学校の吹奏楽部の生徒を見ていて、どうしてこんなに短期間で楽譜が読めて吹けるようになるのだろう?と思うほどでした。

ただ、吹奏楽に限らず、中学生の伸びしろもとにかく大きく、どんどん色々なことができるようになりますので、それをたくさんの生徒を見ることで実感しているというのは、私の強みでしょう。

 

この生徒さんの場合も、五線譜の仕組み、音の高さをどのように書き表しているかについては、すぐ理解できました。

大人用の音楽ドリルを使っているので、学習効率が高い一方、加線も含め、どんどん進みます。

本人は「ヘ音記号になると、考えるのに時間がかかってしまって……」と言っていましたが、何ページ分もやってきました。

このあたりが、「知的理解」がしっかりできることのメリットです。

 

ピアノについても、最初は使う指の数がだんだんと増やしていく段階。

前回私が話したことを理解して、何曲も練習してきました。

リズムの感じ方などの細かい点を修正して、次に進むことにしました。

拍子も4分の4拍子から8分の6拍子が加わり、その感じ方、両手で合わせる部分も入ってきます。

 

「何か質問がある?」と聞くと

「両手で合わせる時の、練習のコツはなんですか?」

質問ができるというのは、課題意識を持って聞いているということですから、素晴らしいことです。

「別々に練習した後、左右の動くタイミングに注意をしながら、とてもゆっくりの状態から練習しましょう。」とお話ししました。

しっかりしていて、頼もしさも出てきた中学2年生でした。

小学校2年生の体験レッスン

こんにちは。

昨日は小学校2年生の女のお子さんが体験レッスンを受け、入会してくれました。

 

3人兄弟の長女、ということで、しっかりした印象のお子さんです。

将来、幼稚園の先生になりたいので、ピアノはぜひ習いたいと思っていたとのこと。

ご挨拶をして、少しお話。

お家でも、電子ピアノがあるので、少し自分なりに弾いたりしてもいるそうです。

 

その後体験レッスン開始です。

手をなぞって指番号。

指番号の書いてあるカードを使って、確認していきます。

さすが2年生。すぐできました。

 

ト音記号とヘ音記号。

ト音記号のカードが出たら右手で、ヘ音記号のカードが出たら左手でボンゴをたたきます。

これも、すぐできました。

真ん中のドの音を音符で書くとどうなるのか、の確認。

 

いよいよピアノです。

この頃、体験レッスンでは、ピアノの仕組みを見ていただくようにしています。

音の出る仕組みを見てもらうことで、自分の打鍵がどのように音につながっていくのかをイメージすることができやすいと考えたからです。

ピアノの蓋を開けて、弦が全部見えたらわーっという感じで、一緒にいらしていた弟さんもびっくり。

確かにグランドピアノの中はなかなか見る機会がありませんから。

 

鍵盤を弾いてもらい、ハンマーが上がる様子を見てもらいました。

スイッチがなくても、鍵盤を弾くとハンマーが上がり、弦を叩いて音を出す。

その後、ペダルを踏んだらどうなるのかも見てもらいます。

私が右のペダルを踏んでから弾いてもらうと、音が響くことにもびっくり。

左のペダルを踏むと、鍵盤が動くことにもびっくり。

お母様も、子供の頃10年位習っていたとのことで、グランドピアノを見ながら、「電子ピアノだと、弾いた感じが全然違うんですよね。」とおっしゃっていました。

 

蓋をしめて、黒鍵を手がかりにドの音を探していきました。

すぐ見つけられました。

そして、一番上のドの音も、一緒に確認しました。

次に、ピアノの真ん中探しです。

高いほうから生徒さんに、低いほうから私が一つずつ鍵盤を弾いて、隣り合ったところまで進みます。

ピアノの真ん中を確認し、真ん中のドも確認しました。

 

実際に曲を弾いてみます。

「ピアノランド」の「どどどどどーなつ」を弾きました。

何回か練習して、一緒に連弾。

1曲、その場で完成させることができました。

 

次からの日程を確認し、教本類をお渡ししました。

お母様に「これから習うんだよ。」と言われて、ニコッとした顔、ほんとうにうれしそうでした。

帰り際にも手をふって帰っていきました。

新しいご縁に感謝しつつ、楽しいレッスンをしていこうと思います。

音符の名前と仕組みを理解する

こんにちは。

音符の名前が分かると、長さが分かります。

割り算と、漢字が理解できるようなる小学校高学年以上の生徒さんに説明すると、とてもよく分かるようになります。

 

2分音符、4分音符、8分音符。

どうしてこういう名前がついているのでしょうか?

実は、全音符から考えていくのです。

全音符は4拍です。

それを「2」つに「分」けるから、2分音符。

全音符4拍を2つに分けると、4÷2=1で2拍です。

 

4分音符も同じです。

全音符を4つに分けるから、4÷4で=1で1拍になります。

8分音符も全音符を8つに分けて4÷8=0.5

 

ピアノは、多くの場合、漢字も、算数の割り算もわからない小さいうちに始めます。

ですから、最初の段階では、4分音符が1拍、2分音符は2拍、と一つずつ覚えていくことになります。

8分音符は4分音符の半分。16分音符は8分音符の半分。

 

小さいうちはやむを得ないのですが、ある程度の学年になって、割り算が分かり、漢字も分かるようになると、全音符からの全体像が理解できるようになります。

全体像が理解できると、これとこれが組み合わさって1拍ということが、すぐ分かるようになり、リズムが取りやすくなるのです。

 

保育士の生徒さんに、図を書いて、全体像のお話をしました。

「中学校の音楽の時間に、どうしてこうなるんだろう?とずっと思っていたんですよ。テストを受けなくてはいけないでしょう。なんだかよく分からなかったので、『勘』で書いていました。なるほど、こういうことなのですね。よく分かりました。」と納得していました。

小学校6年生の生徒さんも、小さい頃からピアノを習っているので、4分音符は1拍、2分音符は2拍ということは、とてもよく分かっています。

でも、音符の足し算をやった時に、「あれ?どうなるんだろう?これとこれを足すと……」とだいぶ迷っていたので、この全体像を説明すると、「これとこれを足すと1拍、そういうことなんだ!」ととてもスムーズにできるようになりました。

 

音符に限らず、物事を学ぶ時、部分と全体の行き来をすることは、理解する上でとても大切なことだと考えています。

他にも、同じようなことがあるかもしれません。

私自身も意識していこうと思っています。

2018.11.01

「芸術の秋」を楽しんだ一日

こんにちは。

昨日は、以前から行きたいと思っていた「京都醍醐寺真言密教の宇宙展」と、葵の会会員でもある小菅泰雄さんが所属する「現代作曲家グループ『蒼』による新作書き下ろし演奏会」と2つ、行ってきました。

 

まずは、サントリー美術館へ。

私は、初めて行ったのですが、「東京ミッドタウン」というだけあって、とてもおしゃれな場所にありました。

とにかく行って良かった!の一言です。

もともと一番の目的は、チラシやチケットにも写真があった如意輪観音像。

如意輪観音像というのは、数がとても少なく、写真集などを見ても「如意輪観音といえば醍醐寺のこの仏さま」という感じでした。

ですから、ぜひ一度拝観したいと思っていたのです。

とにかく美しい。

6本手があるのですが、全体のバランスが良く、お顔も少し微笑んでいるようでもあり、角度によってまた表情が違って見えることもあり、とても魅力的な仏様でした。

 

他にも、たくさんすばらしい仏像がありました。

快慶作の不動明王坐像。

不動明王なので、忿怒相なのですが、どこか穏やかで、品があります。

醍醐寺に現存する仏像の中で最も古い、国宝の九世紀の虚空蔵菩薩立像。

彫りの切れ味の良さ、表情の凛とした感じが印象的。

 

国宝の五大尊像も魅力的です。

特に立っている金剛夜叉、降三世明王、軍荼利明王の動きのある姿が印象的です。十世紀の作なのだそう。

降三世明王が、人間を踏みつけていたのにも驚きました。

政治と密接につながっていた多くの記録、日記類が展示されていたことにも興味をひかれました。

室町時代の将軍をくじ引きで決めることを提案したことなどが日記に書かれているそうです。

 

早めの夕食にと、お麩と湯葉のあんかけ丼を美術館内のカフェでいただきました。

とても美しく、おいしく、「食欲の秋」も堪能。

 

その後、すみだトリフォニーホールへ。

小菅泰雄さんは、葵の会でもここのところ「現代能歌劇」ということで、お能の演目から台本もご自分でお書きになって発表しています。

昨日も世阿弥の長男である観世十郎元雅の「隅田川」から台本を作り、それをオペラにしていました。

日本語の語感と、日本的な音階が調和して美しく響きます。

昨日は、葵の会のときとは異なり、ピアノに加え、バイオリンとチェロも入っていたので、よりハーモニーに厚みが加わりました。

息子、梅若を人買いにさらわれ、それを追って旅をしている母、隅田川の船頭と旅人と登場人物は3人です。

船頭の話の中にあった、去年ここで亡くなった子供が探していた我が子と知って嘆く母の姿がとても悲しく、言葉と音楽でその悲しみを表現していました。

梅若の声をバイオリンで奏でていたのも印象的。

やはり弦楽器の音色は、人の声に近いですね。

 

お天気にも恵まれ、芸術の秋を楽しんだ一日でした。