「2019年 3月」の記事一覧

練習して弾けるようになるとピアノは楽しい

ピアノが楽しくなるには、練習が欠かせません。「楽しい」と思える生徒さんは、練習する→弾けるようになる→上達が実感できる→楽しい→だからもっと練習するという流れにうまく乗っています。

スイミングのように、その時間内に練習が組み込まれているわけではないからです。今日はそのあたりのお話を書いていきます。

上達するには練習が欠かせない

先日のレッスンでのこと。ある小学生の生徒さん。なかなか集中できません。ワークブックの○つけをしていると、手がちょっと荒れているところをいつまでもこすっていて「先生、血が出た!」

ばんそうこうをはって、「もう今日は、レッスンの間、はがさないでね。」とレッスンを始めました。

ピアノに座っても、なんだかもじもじしています。実際に弾いてみて、理由が分かりました。練習してこなかったのです。もちろん、○にはなりません。お迎えにきたお母さんにも、そのことを話しました。

同じ生徒さんが、その次のレッスンでは見違えるようでした。来るなり、にこにこしています。前回と全然違う様子に、「今日は練習してきたんでしょう。」と聞くと、「うん。」と自信を持って答えました。

音符を書く練習にも集中して取り組み、さっと終わりになりました。ピアノの前に座ると、「もう、弾けるもん。」ということで、3拍子のリズムにのって「バケツのあな」を弾きました。

次の「5のゆびをひこう」の練習も、さらにその次の「ふしぎなポケット」の譜読みも集中してできました。

表情そのものが前回とはまったく違い、にこにこしながら、ピアノを弾いて帰りました。

できた!という実感がもてるから楽しくなる

今、面談をしていますが、練習の様子を保護者の方から聞いていると、やはり「練習量」と楽しさには関係があります。

特に、段階が大きく変わる時、例えば、両手を交互に使っていたところから、一緒に使う時などに、それがはっきり表れてきます。

誰にとっても、その段階は最初少し難しく感じます。そういう時に、毎日練習ができると、その難しさを感じる期間が短くてすみます。

逆に、家で練習することができていないと、なかなかそのステップを上がることができず、楽しくなくなってしまうのです。

習慣化の段階は簡単なことから

最初からたくさん練習することは難しいかもしれません。これは、お子さんの性格と、ピアノへの気持ちにもよります。

ですから、最初は「ピアノの前に座って弾く」という習慣をつける段階では、簡単なことから始めていきましょう。

ピアノの前に座る。1回でも良いから弾く。

また、今ある習慣とセットにしていく、ということも習慣化するには有効です。「おやつを食べたら練習する」「学校から帰って宿題をしたら練習する」のように。

せっかく始めたピアノです。ぜひ楽しく、長く続けるためにも、「練習」をうまく日常生活の中に組み込んでいきましょう。

2019.03.14

新しいタッチを学ぶ

昨日は、自分のレッスンに行ってきました。レッスンに行くたびに、新しい学びがたくさんあります。昨日も、また新しいタッチを学び、いろいろ考えつつ帰ってきました。

タッチの種類を増やす

ここのところ、先生がご自分のタッチの見直しをしています。無意識に弾き分けていたものを意識化して、「こんなタッチを使っている」ということを整理し、体系化しているところなのです。

ですから、行くたびに「新しいタッチ」が増えていきます。ブログで8種類と紹介があったのですが、前回のレッスンのときに伺ったら11種類ありました。

今回も、ブログで、15種類とのご紹介があったので、あと4種類。それをレッスンで伺ってきました。

手の小さい私にとって最大の課題の一つである、オクターブや、手を開いた状態でのトレモロの弾き方などがありました。

奏法に慣れているので、手の使い方を頭で理解することはスムーズにできました。ただ、実際に音を出してみると、右手はすぐにできたのですが、筋力がまだ弱めの左手は、思い通りの音色が出るまでに少し時間がかかりました。自由にそのタッチを使えるようになるためには、練習を積み重ねていく必要があります。

タッチの種類が増えると音色のレパートリーが増える

タッチが変わると、音色が変わっていきます。芯の太い音、細い音、軽めの音、重めの音、上に上がる音、広がりのある音。

タッチの種類が増えるということは、音色のレパートリーが増えるということです。ですから、タッチの練習の時には、必ず、音色の違いを繊細に聞き分けようという意識を持つことが重要になってきます。

先生がよく「楽器から教わることがたくさんある」というのは、そのことです。楽器がその繊細なタッチの違いを反映できる状態であれば、練習の時にも、自分のタッチが意図しているものかどうかを、音色の変化によって楽器が教えてくれるのです。

音色のレパートリーを増やして彩りある演奏を目指す

音色のレパートリーを増やすことは、演奏の質を高めていくためのものです。「発声は良いのだけれど、全部同じ音が続いている。」と言われ、先生、アシスタントの先生が、同じフレーズを「こういう弾き方もある」「こういう弾き方もある」と例を挙げて見本を見せてくれました。

同じフレーズでも、音色の使い方が変わると、全く違うものになります。次は、その部分を自分なりに研究していく段階です。

まず、最初は頭でよく考え、聴き分けながら。そして、だんだんと「考えなくても」「自然に」できるようになっていくことを目標にしていきます。

音色を増やすことは、より良い演奏をしていくための手段です。目的と手段をしっかり見極め、彩りある、より良い演奏を目指していくことがとても大切であると、昨日もまた改めて思いました。

2019.03.12

ピアノを習うことの良さ

春。年度の始まりであり、進級、進学の時期でもあります。お子さんのおけいこごとをお考えのお父さん、お母さんも多いことでしょう。今日は、ピアノを習うことの良さについて、書いていきます。

「子どものおけいこごとランキング」も、いろいろなところで調査がされていますが、スイミング、学習塾・英語と並び、ピアノ(エレクトーンを含めている調査も)はベスト3に入ります。

実際、たうらピアノ教室でも、ピアノの他のお稽古ごとの話を聞くと、スイミングの話題、英語の話題は多いですね。

自分で楽譜が読めて弾けると楽しい

まず、自分で楽譜が読めるようになって、音が出せるようになってくると、楽しくなります。

知っている曲が弾けるとなおさらです。そういう意味もあって、教本に「ピアノひけるよ!ジュニア」を選んでいます。

子どもの生徒さんは「この曲、知っている!」となると、気持ちの入り方が違ってきます。

「ピアノひけるよ!シニア」になってくると、名曲を編曲したものも入ってきて、時々、「この曲、ママが好きだって。」という話を聞くこともあります。

このお母さんがご存知だったり、好きだったりする曲の時も、張り切って練習しますね。ご家族の方が今、練習している曲に興味を持ってくださることにも、うれしさを感じるのでしょう。

一つのことを継続する習慣をつけられる

これも、習い事ランキングのピアノの解説でよく言われていることです。実際に毎日の練習があってこその上達、ということは確かです。

毎日少しずつでも練習する。ただ、それを続けていくことで、1週間たつと、弾けなかった曲が弾けるようになる。できなかったことができるようになる。

その積み重ねを実感する経験は、なかなか他では得難いものかもしれません。

小さいうちから習慣化の効果を実感する経験を積み重ねることで、家庭学習その他の習慣形成ににも良い影響があります。

人の行動の7割以上は、習慣によるものだそうです。(調べる人によっては9割と言う人さえいます)それを考えると、習慣化が人生そのものに及ぼす影響は、とても大きいものです。

子ども時代だからこそ、自然に身についていく

他にもまだまだありますが、今日はこの2つをあげてみました。また、折を見て、続きを書いていきます。

だいたい、4歳~5歳くらいで始めることの多い、ピアノのレッスン。小さいうちだからこそ、「自然に身につく」感覚になります。

大人になってからだと、両手を別々に動かすことに慣れる、という一つをとっても、子ども時代に始めた場合に比べると、はるかに大きな労力が必要になってきます。

この「自然に身につく」感覚が持てること、これがお子さんのおけいこごとととして、ピアノを習う場合大きな意味を持ってくるのです。

2019.03.10

子どもさんのピアノの練習―目標を細かく区切って見えるようにする―

同じことをずっと続けていると、何となくマンネリになっているかもしれない、と思う場合があります。

生徒さんを見ていても、ピアノがある程度続いていて、もしかしたら、今そうなっているかもしれない、と感じられる場合があります。

自分の中で、ゴールが見えにくくなっている状況と言えるかもしれません。そういう場合は、細かく区切ってゴールが見えるようにしてみましょう。

目標を細かく区切る

例えば、練習。一応、習慣になっているので、ピアノの前には座る。でも、1回弾くと終わりにしてしまう。

小さいお子さんだとありがちですね。イベント等があれば、それに向けて練習をがんばりますが、いつもそういうことがあるわけではありません。

そんな時は、目標をもっと小さく、細かく区切っていきます。

「毎日、練習しているね。頑張っているね。だんだん難しくなっているから、練習も1回よりも、すこし多くしていこうね。何回ならできるかな?」

「3回なら…」という生徒さんが多いですね。

見えるようにする

「じゃあ1回弾いたら、これに色を塗ろうね。」ということで、教本の余白に、クローバーのような絵を書きます。それを次回のレッスン日まで、日付も入れて7つ。

生徒さんは、それを書くと、だいたい3回ずつ練習してくるようになります。場合によると、ふつうの3つ葉のクローバーを書いたのに、自分で書き足して4つ葉になっていたり、「たくさん弾いたの。」と5つ葉になっていたり。

それくらい練習すれば、次のレッスンの時にはずいぶん上手に弾けるようになり、自分でも上達したことが実感できるので、うれしくなっていきます。

ピアノ以外でも

細かく区切る。1日3回。色を塗ることで見えるようにする。これで、「やった」感じがつかめるようになります。結果的に上達にもつながります。

もう少し大きくなると、時間で区切ることもあるでしょう。自分で自分の状態が把握できるようになってくると、「難しい部分の取り出し練習」も必要になってきますから、単純な回数ではなくなってきますから。

ピアノ以外でも同じですね。細かく区切る。見えるようにする。そのことで、取りかかりへの心理的なハードルが下がってくるのです。

お子さんの学習などにも、ぜひ、応用してみてください。

2019.03.09

ロシアピアニズムの奏法ならではの弾きやすさ

今、「フィガロの結婚」の序曲を練習していますが、ロシアピアニズムの奏法ならではの弾きやすさを実感しています。

この序曲の大きな魅力は、何とも言えないワクワクする感じにあります。これを表現するには、ある程度テンポを上げていく必要があります。

これから何かが始まる!何だろう?と聴いている方が、その後のオペラへの期待をふくらませることができるように軽やかに弾きたい。

「下までしっかり」弾いていたのでは、テンポを上げることがとても難しい。少なくとも、以前の私のレベルでは無理だったでしょう。

出だしのレドレドレから始まる音形。まず、これがとても魅力的です。人の心をうきうきさせるそんな音形。

力をしっかり指にかけて、下まで弾くと同時に、手の使い方を指に覚えさせる練習をします。以前は、こういう地道な練習の量が少なめでした。

今の先生のところに伺って、リサイタルをする何人ものピアニストの方とお話しする機会を持つようになりました。話の中から、その方々がこの地道な練習をほんとうにたくさん重ねていることを知りました。

この地道な練習こそが、本番を支えるのだと知ったので、とにかくたくさんします。その上で、次の段階では、虫様筋を使って引き上げる感覚で、できるだけ鍵盤の上部を使って弾いていきます。

そうすることでオーケストラの演奏の速さに近づけることができるようになってきて、遅めのテンポの指揮者の演奏と同じくらいにはなってきました。

同音の連打もそうです。虫様筋でしっかり支えて、できるだけ素早く力を抜いて鍵盤を弾くことで、離鍵を速くすることができます。

そのテンポでは、鍵盤の底に触れている時間が長いと、間に合いません。鍵盤の浮力を生かし、音が鳴るぎりぎりのところをねらっていきます。

当日も、スタインウェイですから、応えてくれるでしょう。

先日の、同門の方たちとの会の時に、ショパンのワルツの1番を弾いた方がいました。やはり、同音の連打の多い曲です。

その時にも「この奏法だから、弾きやすいよね。」という話がでました。

音色の変化をつけることで、表現が豊かになることはもちろんですが、「弾きやすい」ということも確かなのです。

そのためにも、また、せっせと指の筋トレをしていきましょう。

一つ階段を上る6年生の成長を実感

幼稚園・保育園や小学生の生徒さんたちは、3月、しめくくりの時期になります。1つ学年が上がるという自覚が、言動を変えていきます。

私自身も、そんな生徒さんの言葉の端々から、成長を実感しています。

小学校6年生。これから中学校に上がる生徒さん。今まで、新しい曲の譜読みは、レッスン中に片手ずつ音符の確認をしていました。

ただ、もう楽譜は確実に読めるし、実際に学校からもらってきた伴奏譜は全部自力で譜読みをして弾ける状態にしていました。

レッスンで、クレメンティのソナチネの1楽章を持ってきました。この前のレッスンの時は、あいみょんのマリーゴールドを弾いていたので、それが終わったら、この曲にしようね、と言っていたものです。

私は、前回のレッスンの様子を見て、まだもう1回はマリーゴールドが終わらないと思っていたので、ちょっと驚きました。マリーゴールドも上手に弾けるようになって、その次を自分で譜読みしてきたのです。

16分音符の連続も、ずいぶん練習してあって、なめらかに弾けるようになっていて、部分的な手の使い方の修正をすることにレッスンの重点を置くことができました。

今回は、3楽章通して弾く、ということをしてみようと考え、次の2楽章の譜読みを始めようとしたところ、「全部自分でやってみたい。」と言い始めました。

これにもびっくり。ずいぶん、成長したな、と思いました。伴奏の譜読みを通して、楽譜を読むのがとても早く、正確になったことは実感していましたが、気持ちの面でも自立しつつあるのですね。

小学校も、そろそろ卒業式の練習が始まったそうです。

歌の練習が2時間連続だったこと、呼びかけの練習もていねいにしていること、卒業生入場の歩き方、証書の受け取り方なども練習していること。

卒業式前後にプライベートで計画している、お友達との様々な楽しいイベントの予定。

いろいろ話してくれる顔が、一段としっかりしたものに見えました。

1年の振り返りする

年度末となる3月、たうらピアノ教室では、中学生以下の生徒さんと、保護者の方との面談を行います。

この1年でできるようになったことの成果を振り返り、次の1年の目標を設定していくためです。

「振り返り」と「反省」

学校でも、だんだん「振り返り」という言葉が使われるようになってきました。特に、授業の中では増えてきました。

でも、少し前まで、「反省」という言葉をたくさん使っていたように思います。広辞苑で「反省」を調べてみると「自分の行いについてかえりみること。自分の行為について考察し、批判的な評価を加えること。」

本来、何か行動すれば、良いこと(思うようになったこと)も悪いこと(思うようにならなかったこと)も両方ありうるものです。

でも、学校の中では、どうしても「できなかったこと、うまくゆかなかったこと」に焦点を当てて「反省」することを行ってきました。

ただ、どうしてもそればかりに焦点を当てると、「ちゃんとできなかったこと」ばかりがクローズアップされてきて、残念な自分、できない自分ばかりに目が行きがちです。

そうすると、次の行動がなかなか起こしにくくなってしまうのです。また失敗するかもしれない、またうまくいかないかもしれない、となってしまうからです。

それよりも「うまくいったこと、良いこと」に焦点を当てて「振り返り」、よくできたんだ、頑張ったんだ、と認めていくことがとても大切なのです。

その上で、もう少しこうしていけば「もっと良くなる」ということを考えると、次の一歩が踏み出しやすくなっていきます。

この時期だからこそ

一年は、長いようでいて短く、でも無自覚でいるとあっという間に過ぎてしまいます。だからこそ、できるようになったことを、振り返り、味わうことが大切なのです。

できたことを振り返ると、それぞれの生徒さんが成長し、進歩している様子がとてもよく分かります。

こんなにできるようになっていたんだ、ということは、意外に自分では自覚できないことが多いのです。

だからこそ、本人だけでなく、保護者、先生の目から見ても、こういう進歩があった、こんなふうに頑張っていた、ということをフィードバックする機会が大切です。

それぞれの成長、進歩を見る

保護者の方も、同じ年頃の他のお子さんのことが気になる場合があるかもしれません。

でも、大切なことは、かけがえのない、そのお子さんがどう成長したか、進歩したか、ということです。

改めてふり返る機会を持つことで、お子さんが「また、次に頑張ろう」と思えるような面談にしていきたいと考えています。

2019.03.05

もたれる力と引き上げる力

昨日は、自分のレッスンに行ってきました。この一週間は、11種類のタッチを練習しつつ、どんなふうに使うことが可能なのかを探っていました。

一方で、来月に迫っている葵の会定期演奏会の練習にも時間を取っていく必要があります。

あわせて、依頼に応じて、歌う人のレッスンに同行したりもします。いろいろあって、フランス組曲がなかなか先に進まない状況だったのは残念でした。

先に進むことが目的ではないと自分に言い聞かせつつ、アルマンド、クーラント、サラバンドの3曲を持っていきました。

アルマンドでは、「あやしいところが何ヵ所かあったけど、ぎりぎり踏みとどまった感じ。」とのことでした。

確かに、引き上げが足りない、重めの音が時々ありました。特に親指が落ちがちです。

一つ一つの音を、ペダルを踏まずにゆっくり練習することで、指と鍵盤との関係、手の使い方を意識していくことが必要です。

次のクーラント、前回、支えが甘くて落ちていたところがあったので、これは気をつけて練習していたつもりでしたが、やはり、「音程が下がっている部分があります。」と言われ、支え不足を実感しました。

支え、虫様筋を意識することで、音程は変わります。もう一度弾き直したところ、今度は大丈夫。

サラバンドは、引き上げよう引き上げようと思っていたら、「もたれ方が足りませんね。」

引き上げようと思っていたら、今度は、もたれる力が弱くなってしまいました。

「結局、バランスが大切なんですね。もたれる力と引き上げる力と。」

確かにそうです。一番大きいのは、耳の使い方が甘かったこと、途中で修正できなかったことです。

確かに、サラバンドの時に、響きに重みや、厚みが感じられなかったのは、自分でも分かっていました。

そういう時に、もたれる力と引き上げる力の両方のバランスを自分で柔軟に修正していけるようにするのが、課題だということがよく分かりました。

もう一度、手と耳の両方を使って練習していきましょう。

シンコペーションは慣れが必要

ここのところ、生徒さんの希望で、ポピュラー曲のレッスンが続いています。

時には、好きな曲を弾いて楽しむことも、ピアノを弾いていく上では良いことだと考えているのですが、皆さん、リズムがわかりにくくて、そこに苦労している様子。

ディズニーの「パート・オブ・ユア・ワールド」を練習中の生徒さん。最初の8小節のリズムだけ取り出すと次のようになります。

左手は、あまり動きがないのですが、右手が難しく感じている様子。やはり、小節をまたいだタイがあったり、タタンタという8分音符+4分音符+8分音符というところで、「あれ?どう弾くんだっけ?」となっています。

音楽を知っているのと、右手の音がレミファファー、ミファソソーのように続いていること、左手が全音符で動きが少ないので、前半は大丈夫。

後半4小節は、左手も2拍ずつで動くので、より難しく感じていました。ですから、まず、リズム打ちをしてみました。

次に1ト2ト…数えながら、ゆっくり右手の練習をして、それからだんだん速くしていきました。

ある程度、回数を重ねて練習しているうちに、感覚がつかめてきたようです。

中学校で教えていた時、吹奏楽部の演奏を聴いていて、「なんてシンコペーションが多いんだろう!」と思っていました。

生徒たちや、顧問の先生の話を聞いてみると、やはり、数をこなすことで、譜読みが早くなることは確かなようです。

よく、メトロノームをかけて、上級生が数えながらパート練習をしている姿を見かけました。

ピアノでも同じですね。最初はゆっくり数えながら、何度もくりかえすこと。感覚がつかめれば、できるようになります。

難しいけれどおもしろい、楽しい

平日は、市内のお子さんたちが多いのですが、土曜日には遠くからいらっしゃる社会人の生徒さんのレッスンが続きます。

そのうちのお一人、ロシアピアニズムのレッスンを受けに来る方のレッスンがありました。

身体の使い方、腕の使い方、手や指の使い方。そしてとてもとても大切な耳を使って聴くこと。

バッハのシンフォニア7番を練習してくることになっていたので、2.5のタッチを昨日はお教えしました。

最初に単音で、1本ずつの指の使い方を確認していきます。その時の音の響きに注意をはらいながら、ていねいに。

私の師である大野先生のブログを読んでいた方であり、吹奏楽やオーケストラで管楽器を吹いていた方でもあるので、耳を使う、という感覚はもともとしっかりお持ちになっていました。

昨日も、「これかな?」「今度は?」というように、弾いた感覚と、出てきた音とのすり合わせをして、「指がスッといくときと、思うように力が抜けないときとで、音が違いますね。」とだんだんと響く音のイメージがつかめてきた様子。

管楽器のロングトーンの練習に近いですね、とおっしゃっていました。なるほど、そうですね。

実際に、バッハのシンフォニア7番の最初の部分で、2.5のタッチを確認しながら片手ずつ弾いていきました。

シミファソ――ファラのラで5の指を使った時、それまでと響きが変わったのがご自分でもわかったようです。「あ!」と言って弾き直しました。

今度は、大きく変化することはなく、響く音が続きました。

「家で弾いてきたのは、歌で言えば、地声で無理に出していた感じの音でした。これは、違いますね。」「うーん、難しい。でも、おもしろい。楽しいですね。」

両手でやってみます。8分音符の部分はずいぶん響きが出て美しくなっていました。 一つステップを上がった感じで、ご自分で実感がはっきり持てたようです。

響きで弾くことの楽しさが、かなりはっきりと分かってきた様子。音が変わる、響く音で弾くと、音楽そのものも変わってきます。

生徒さんが言っていた通り、「難しい。でもおもしろい、楽しい。」に尽きるのです。