「2019年 4月」の記事一覧

2019.04.04

ムーティの「リゴレット」リハーサルを聴講してきました

昨日は、上野の東京芸大で今行われている、リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミーin東京」のリハーサルを聴講してきました。

午後からレッスンがあったのですが、知った時期が遅く、この日しか空いていませんでした。午後からレッスンなので、1日聴講券なのに、午前中のみで帰ってきたのは残念でしたが、それでも、「行ってよかった!」と心から思いました。

慌てて帰ってきたので、写真がないのですが、上野は桜もきれいでした。

作りたい音楽のイメージが明確

もちろん、出来上がった音楽を聴いてもそれはよく分かることであり、当然のことでもあります。

確かに、オーケストラのたくさんの楽器とそれを演奏する人すべてを一つにまとめ上げていくわけですから、自分の頭の中にはっきりとしたイメージが描けていないとそれができるはずもありません。

でも、実際にリハーサルを聴いていると、いかに細かい部分まで、音楽のイメージが明確に意識できているかが、伝わってきて、まずそのことに「すごい!」としか言いようのない思い出した。

例を挙げると、歌手の発音の一つ一つ、すべての楽器の音色、音の出るタイミング、音の長さ、同じ1拍をどう感じていくのか。書ききれないほど、まだまだたくさんありました。

そういう細かい部分が集まって、フレーズとなり、そのフレーズが集まって曲になり音楽になっていく。

細かいところまではっきりとイメージができているからこそ、美しい音楽の流れができているのだということ、何かをおろそかにしてはいけないのだということ、それがよく分かりました。

その背景に、ムーティのオペラに対する考え方・ヴェルディに対する考え方があるのは言うまでもありません。ものすごい量の楽譜を読み込み、文献にあたり、その結果として今、そこにある1フレーズの表現が明確になっている、その厚みが直に伝わってくる感じでした。

伝える力の素晴らしさ

そのイメージを伝える力の素晴らしさも感動するほどでした。さまざまな比喩表現の巧みさ。歌を歌い、リズムを取り、具体的に「こうではなくてこう」と示していきます。

私でもわかるくらい、その対比がはっきりしていましたし、「蛇のように」と言われると、その音形の持つイメージがよりはっきり分かりました。

時にユーモアをまじえ、時に厳しい言葉が出ることもあります。18世紀の歌手の話が例にあがってきたこともありました。

そういう指摘を受け、オーケストラの演奏も、歌手の演奏も変わっていきます。楽譜に書き込む時間もない中で、それを自分のものにしていかなくてはならないオーケストラの人たち。これもまたすごい、と思いました。

それにしても音楽はすばらしい

改めて、「音楽はすばらしい」と思います。歌手の方たちはいろいろな国から来ています。オーケストラは今回、特別に編成された日本人によるもの。イタリア人の指揮者のもと、一つの音楽を作り上げていきます。

聴いている私達にとって、イタリア語はなじみのない言語。それでも、歌を通して、音楽を通して「何か」が心に直接伝わってきます。

もともとオペラが大好きで、だからこそ今回「絶対に行きたい」と思って行ってきました。結果として、ほんとうに素晴らしい時間となり、とても多くの学びを得ることができました。

今度は、それを自分の音楽に、演奏に生かしていく番です。昨日の感動を胸に、また練習していきましょう。

2019.04.02

意識することと響き

昨日は先生のところにレッスンに行ってきました。セミナーも終わり、ようやく日常を取り戻すことができたとほっとしていらっしゃいました。本の出版以降、雑誌の取材やセミナーの準備などでとても慌ただしい日々だったのだそうです。

昨日のレッスンでも、いろいろ気づいたことがあり、とても学ぶところの多い時間になりました。

タッチを変えることを意識しつつもとらわれすぎない

昨日もフランス組曲です。タッチを変えながら弾くことを意識し始めるときりがありません。

家での練習の時も、いろいろなタッチを使って試行錯誤しながら、ここはこうしようか、ここはこっちのタッチのほうが良いかもしれない、など考えながら弾いていました。

昨日のレッスンでも、最初は一つずつのタッチのことを意識できる、ゆっくりしたテンポでアルマンドを弾きました。

その後、「少しテンポを上げてみましょう。」ということで、本来のテンポで弾いてみました。

2回、テンポを変えて弾いてみたことで、私自身が一つ一つのタッチを変えることにとらわれすぎていたことが分かりました。

ある程度の設計図を考え、音のイメージを作り、タッチを意識した練習をした上で、次の段階は音のイメージだけを頭の中に持って、一つ一つのタッチにとらわれずに流れを意識して弾いていく。

考えてみれば当たり前のことです。そうしなければ、いつまでたっても曲の持つ本来のテンポでは弾けません。

逆に、速いテンポの中でも瞬時にタッチを変えていけるくらい、手の内側の筋肉の力を強くしていくこと、 聴く力を磨いていくこと。結局、一番基本的なその部分に行き着くのです。

手の支えの意識を変えると響きが変わる

アルマンドに続くクーラントは速いテンポの曲です。こちらを速くしようとすると、何か平坦な気がしていました。

聴いていただくと、「平坦ではありませんよ。基本のタッチができているので、立体的に聴こえます。」と言っていただけて、ちょっとほっとしました。

ただ、何か自分の中でもの足りない感じがします。すると、先生が、 「少し引き上げてみたほうが良いかもしれない。」と言いながら 弾いてくださいました。

響き方が違います。「ここの左手がもう少し出ても良いかもしれませんね。」と言いながら、何小節か聴いたあと、もう一度弾いてみました。

先生の音の響きをイメージしながら、手の内側の筋肉を使って引き上げる感覚を意識して弾いてみると、やはり、さっきとはずいぶん響き方が変わりました。

引き上げながら下げる感覚

「指を鍵盤に下げて弾かなければ音は出ません。下げつつ引き上げるという相反する2つを同時にするのですから、これは実際にやってみないと分かりませんよね。」と先生も言っていましたが、本当にそのとおりです。

そのとおりです。「引き上げる」が実感できるようになるためには、手の内側の筋肉にある程度の力がついてくることが必要です。

手が空いてさえいればできる指の筋トレを地道にしていくこと。耳で聴く力を伸ばしていくこと。

当たり前のことであり、一朝一夕にはできないことですが、それを積み上げていった先に美しい響きがある、ということを改めて実感したレッスンでした。

趣味としてのピアノを楽しむ

3月最終週で、中学生以下の生徒さんの面談が終わりました。

それぞれのこの1年(途中から始めた生徒さんもたくさんいますが)の進歩・成長を、保護者の方と一緒に確認し、また次の一年、頑張ろうというお話をする良い機会になりました。

両手で弾けるようになった!

小さいお子さんが多いのですが、中学生になってからピアノを始めた生徒さんもいます。

大人の「趣味のピアノ」に近いですね。その生徒さんの場合、学校が忙しいので、レッスンも毎週ではなく、月に2回くらいのペースです。

でも、お家での練習もしっかりしてくるので、半年でピアノランド1と2の2冊が終わりました。中学校2生にもなると、知的な理解力が高いので、楽譜の読み方などはすぐに理解して覚えていったので、その柔軟性に感心していました。

生徒さん自身の1年のふり返りの中の「うれしかったこと」では、楽譜・楽語を覚えたこととともに、両手で弾けるようになったことが挙げられ、特に「頑張った」実感があったようです。

弾きたい曲を弾く段階が見えてきた

両手で弾けるようになってきたし、もう少しすると、自分の弾きたい曲が弾けるようになってくるかな、と思って、面談でちょっとそんな話をしました。

生徒さんが何曲かあげた中に、「千本桜」がありました。ちょうど去年のクリスマス会で、ボーカロイド曲を弾きたいという希望の生徒さんがいたので、初心者向けの連弾の楽譜をもっていて、その中に入っています。

「楽譜がありますよ。」ということで、見せてみると「この曲の難易度はどれくらいなんですか?」との質問。

「ピアノランドの3が半分くらいまで弾けるようになれば、これも弾けるようになります。」と言うと、うれしそうでした。

編曲を選んで初心者でも弾きたい曲を楽しむ

今は、一つの楽曲でも、さまざまな編曲で楽譜にして、それを販売しています。ですから、初心者向けに編曲してあるものを選べば、かなり弾ける曲の幅が広がります。

趣味でピアノを弾きたいと思っている方にとっては、恵まれた時代になったと言えるかもしれません。

最初の半年~1年位、両手でメロディーと伴奏が弾けるようになる段階までは、教本を中心に練習したほうが、結果的に上達が早いでしょう。

それ以降は、教本に加えて自分の弾きたい曲を積極的に楽しんでいく。そうすればピアノを弾くことの楽しさを、生活の中で味わっていくことができるようになります。