ブログ

2019.02.25

同門の会に参加

昨日は、同門の方たちとピアノを弾き合う会に参加してきました。

7人のメンバーが集まり、それぞれの曲を弾き合います。昨日はバッハ、モーツァルト、ベートーベン、シューベルト、ショパン、リストと多彩な作曲家の曲が並びました。

響きのある音色をいかに出すか、皆さん、それぞれその部分を考えながら練習してきています。

味わいのある演奏が続き、聴いていると、「また私も頑張ろう」と元気がもらえます。

私は、昨日はバッハのフランス組曲2番を演奏しました。

今回の自分の課題は、「左のペダルを効果的に使うこと」「右のペダルを長く踏み、音を濁らせずに混ぜること」「舞曲によってタッチを変えること」でした。

「舞曲によってタッチを変えること」はある程度の期間、練習していたことなので、自分なりにできました。

「左のペダル」と「音を混ぜること」については、先週のレッスンから始めたことなので、まだ課題がたくさん。

左のペダルを踏むために左足を動かすと、「頭」を使うことになり、今までの流れが何か途切れてしまう感じがします。

「音を混ぜる」つもりが、時々、長く踏みすぎて音がにごります。そこのぎりぎりのところをねらうには、まだもう少し、慣れが必要です。

両方とも自宅で練習している時には、ここまで感じませんでした。やはり、人前で弾く時は、緊張感が違うので、いつもとは感覚が変わってきます。そのための貴重な機会です。

方向性は分かっていることなので、とにかく回数を練習していって慣れていくしかありません。

合間のおしゃべりも楽しく、今弾いている曲の練習上の苦労や、こういうことを意図しながらこうしている…などの情報交換もあります。

「練習は孤独なのよね。」「そうそう。」「結局、一人で向き合っていくしかないものね。」

皆、感じていることは同じです。だからこそ、このように、会って、演奏を聴きあって、話をする時間を持つことがとてもうれしく、楽しい。ほんとうに貴重なひとときでした。

2019.02.24

歌詞と音楽の結びついた「歌」の楽しさ

私が所属する葵の会の定期演奏会が4月に行なわれます。今回、私はフィガロの結婚の中から、序曲と二重唱・独唱の伴奏を弾くことになっています。

ピアノ独奏曲とは違う、歌詞のついている音楽。歌詞を読み、音楽を見ていくと、いろいろな発見があって楽しく、また改めて「モーツァルトはすごい!」と感心することしきり。

同時に、フィガロの結婚の台本を書いたダ・ポンテという人の力にも目が向くようになりました。

詩のアクセントと音楽の流れ

まず、オペラアリアの歌詞は、基本的に定型詩になっていて、アクセントの位置も決まっていますし、韻もふんでいます。例えば、有名な、「もう飛ぶまいぞこの蝶々」のアリアも、きれいに韻をふんでいます。

これを作るというのは、言葉をほんとうにたくさん知っていて、イメージに合った単語を選ぶ力が必要です。

モーツァルトがその詩につけた音楽は、アクセントが小節の最初の拍になるように作られています。ですから、詩の流れがそのまま自然に音楽になっているのです。

詩の音節数と音楽

「もう飛ぶまいぞこの蝶々」の場合、それに加えて詩の内容と音楽が本当に一致していることが理解できてきました。

フィガロの歌うこのアリアは、ケルビーノという登場人物(少年なので、メゾソプラノの歌手が歌います)が軍人になるために出発するのを送る、という場面で歌われます。

曲が大きく3つに分かれているのですが、最初の部分と真ん中の部分とは歌詞の1行の音節数が違っていて、音楽そのものの雰囲気がガラッと変わります。

最後の部分はまた最初の歌詞が繰り返された上で、真ん中の部分の音楽に素早く切り替わり、第1幕の終曲にふさわしい盛り上がりがあって終わります。

単語の意味と音楽

さらに、単語の持つイメージが曲に反映されています。

いくつか例をあげると、楽語にもなっているbrillante(輝く)という言葉が使われているフレーズにはトリルが使われていて、きらきらした感じがします。

銃を肩にかつぎ、サーベルを腰に下げ、兜をかぶった軍人の姿を描写した部分になると、歯切れの良い和音の伴奏が続きます。

行進を表すmarciaという単語が出てくると、行進曲を思わせるリズムになります。

題名にもなっている「もう行けまいぞ、愛の蝶よ」(小瀬村幸子訳)という歌詞の部分は音階の下降形が続き、まるで蝶々が落ちていくようです。

歌詞と音楽の結びついた歌の楽しさ

歌詞を細かく見ていくことで、言葉と音楽の結びついた歌のすばらしさが分かりました。これを知って改めて曲を弾いてみると、さらに楽しく、毎回弾くたびに実によく作られていることに感心しています。

いつもと違う音楽を、いつもと違う側面から学ぶことができ、良い経験になりました。モーツァルトのピアノ曲を演奏する時にも、この経験を生かすことができそうです。

年少さんのレッスン。楽しく、を大切に。

2月からレッスンに来始めた幼稚園年長の生徒さん。「まいぴあの」の音源を、お母様にダウンロードしてもらい、音源に合わせて歌ったり、練習したりしています。

昨日も、「こんにちは~」と元気よくレッスン室に来ました。

出席シールを貼るのですが、3種類あるシールの中で「動物にしようか、お菓子にしようか、お花にしようか」と迷ってから「今日はお花。」と決めました。3回の出席シールは、動物とお菓子とお花とが1つずつ並びました。

宿題のノートにも、たくさん、右手のドと左手のドをを書いてきました。一緒に数えたら、両方合わせて24個!

その後で、右手のドかな、左手のドかな、のクイズ。音符カードを使って、ト音記号、ヘ音記号を見分けてどちらの手のドかをすぐ当てるクイズです。これもすぐにできました。

「幼児のうたと音感」を使って、チューリップの歌をうたい、その後、いろいろな「さいた」を先生の真似をしてうたいました。高くなったり、低くなったり。音の感覚をつかんでいきます。とても上手にできていました。

おうちには、来たばかりのピアノがあります。ですから、ピアノがたくさん弾きたい!

おゆびのうたを歌って、指番号を覚えること、指の曲げ方の練習をします。おゆびのうたもずいぶん歌詞を覚えて、上手に歌えるようになりました。

きのうは、「おやすみ」で4拍伸ばすドを右手と左手で弾きます。3の指を付け根から曲げて、弾いていきます。「起きないように、そっとね。」

まだ、指のコントロールができにくいので、なかなか難しそうです。これは、この後も続けることにします。次の宿題は、2の指で練習すること。

その後、「しろくまさん」、今度は3拍です。一つのことを長時間はせず、変化をつけていきます。

一度ピアノ椅子から下りて、リズムの練習。

前回の4拍の復習。自分で選んだ言葉、「にんじん」を言いながら、「に」の時に、手をたたく。次は、「にんじん」の言葉に合わせて4回足踏みをしながら、「に」の時に手をたたく。上手にできました。

今回は3拍です。「きりん」に合わせて、足踏みをしながら、「き」の時に手をたたきます。これも上手にできました。

ピアノの前で、「しろくまさん」の歌をうたいました。その後、ピアノ。「すーい」のときに、3拍のばして弾く。

しろくまさん、を待たずに、滑り始めてしまうこともあったり、「すい」と短く行ってしまったり、いろいろなことがありましたが、何回か練習しているうちに、だんだんできてきました。次回までの宿題です。

うたったり、身体を動かしてリズムを取ったり、うたって音程をまねしたり、いろいろなことをしながら、音楽に必要なことを少しずつ積んでいく時期です。

「楽しい」と思えることを大切に、レッスンしていきます。

年長さん、アナ雪にチャレンジ

学年末を迎えて、学校での授業参観が話題になることが増えてきました。

小学校の場合、学年末の授業参観は学習発表会をする場合も多くて、「音楽を選びました!大成功でした。」という話題があったり、「インフルエンザで音楽会が延びたので、今度の授業参観が音楽会になります。」という話題があったり。

それぞれ、学校の音楽の時間にも、ピアノを習っていることで、楽譜がすぐに読めたり、鍵盤ハーモニカが上手に弾けたり、成果を生かすことができて、そんな話をしてくれます。

幼稚園の生徒さんも、頑張っています。「幼稚園の行事で、好きなことを発表していい、と先生が言ったので、『おもいでのアルバム』弾きたい」とずっと言っていた生徒さん。

先日のレッスンで、秋頃に弾いた「おもいでのアルバム」の楽譜を持ってきたので、聞かせてもらいました。

強弱もついて、上手に弾けています。これなら大丈夫。

その生徒さん、今度はアナと雪の女王の中から「ありのままで」にチャレンジ中です。

もともと、ディズニーかジブリの曲を弾きたいと言っていたのですが、「どれが良い?」と聞くと、「ありのままで」にする、ときめたのです。

前半の譜読みをした前回レッスンの時には、リズムが難しくて、ちょっと苦労しました。でも、1週間たって聞かせてもらうと、上手に弾けていました。

今回は、リズムにも慣れ、最初からスムーズ。特にサビの「ありのままのすがたみせるのよ」は最初から上手に弾けていました。

たぶん、そこは、耳になじんでいるし、お家でももう弾いていたのでしょう。「次は最後まで弾いてくる」という意気込みを持って帰っていきました。

基本的には、教本を中心にしますが、時には、好きな曲、弾きたい曲も取り入れていきます。せっかく上手になってきているのですから、自分が弾きたい曲を練習するのも楽しいですね。

2019.02.21

練習する力をつける

ピアノの上達には練習が欠かせません。でも、年齢や状況に応じて、その練習の仕方、時間の過ごし方は違ってきます。今日は、そのあたりのことを書いていきます。

幼稚園・保育園のお子さんの場合

小さいお子さんの場合、集中して長い時間、ピアノの前に座っているのは難しいことです。

ピアノを始めたばかりの幼稚園・保育園の年少・年中さんくらいのお子さんは特にです。

ですから、この時期の小さいお子さんの場合には、あせらずに成長を待つ気持ちで「練習の習慣をつける」ということを中心に考えていきましょう。

先日のレッスンでも、始めたばかりの年少の生徒さん、お母様が「なかなか集中できなくて…。」とおっしゃっていましたが、記録を見るとちゃんと5分、10分、練習できています。

そのこと自体、すごいことです。毎日、一つのことに取り組めているのですから。そうお話しすると、「それで大丈夫なんですね。」とおっしゃっていました。

様子を見ていると、個人差も大きいのですが、だいたい年長さんの後半くらいになると、自覚も出てきて、練習に自分で取り組めるようになっていきます。

楽譜が読めるようになると、楽しくなるので、自分一人で1時間くらい弾いていることもある、という話を聞くこともあります。

ピアノや音楽を楽しめる、ということを中心に、習慣にしていければ、その蓄積が先々、大きな進歩につながっていきます。

小学生のお子さんの場合

ある程度、自覚が出てきますので、自分で練習に取り組めるような仕組みづくりが大切になっていきます。

学校から帰ったらすぐ、とか、宿題が終わったらすぐ、というように、今までの生活の中で習慣にしていたことに組み合わせていくことで、新しい習慣をつけやすくなります。

私の教室でも、「学校の宿題が終わったら」とか、「お母さんが夕食を作っている間に」など、毎日の生活の中でこの時間と決めて練習している生徒さんが多いですね。

習い事を複数していることも多いので、1週間単位で考える必要が出てくる場合もあるかもしれません。

でも、できるだけ同じ時間に繰り返していく。これが大切です。

大人の場合

これが難しいですね。仕事をしていると、どうしても不規則になりがちです。私自身もそうでした。

でも、練習する時間を取らないと…ということで、夕食の片付けが終わってから入浴までの時間をあてていました。

長くても20分。短いと10分も弾けないことがありましたが、とにかくピアノには触ろうと、決めていました。それでも、弾ける日は、半分くらいでした。その分、土日に少し多めに時間をとるようにしていましたが、それもせいぜい1時間程度。

ただ、ピアノの時間を確保する、と決めることで、自分自身の時間の使い方についての意識が変わってきたのは確かです。気持ちの面でもずいぶん違ってきました。

大人の場合は、違う方法を取る工夫がしやすいということは言えます。

私の場合も、レッスンの録音を車での通勤時間に聞くとか、家事をしながら、練習中の曲のCDを聴くなど、耳も活用していました。 電車での移動時間に楽譜を見たりもしていました。

一つのことに継続して取り組む力

いずれにしても、ピアノの練習、という一つのことに、継続して取り組む力をつけていく、ということにほかなりません。

そして、これが意外に多くの面に影響を及ぼしていきます。時間を自分で管理する意識、自分の生活のあり方を見直すきっかけにもなります。

春、またここで進級、進学を控え、多くの生徒さんが生活リズムが変化していきます。新しい生活の中で、ピアノの練習をどう考え、工夫していくか。

改めて意識していく良い機会になればと思います。

2019.02.19

さまざまな音色や響きを曲に生かす

昨日は自分のレッスンに行ってきました。

今、みていただいているのは、バッハのフランス組曲3番。前回、新しいタッチを教えていただいて、この10日程は、アルマンドとクーラントで、そのタッチを中心に練習していました。

前回のレッスンの時には、音型によって、響きが変わってしまうこと、特に左手で白鍵と黒鍵が混ざっている部分の黒鍵の響きが課題でした。

かなり気をつけて、虫様筋を使って引っ張り上げる感覚と、指を使って押す感覚とのバランスのとり方を考えながら練習していました。

実際に聴いていただくと、良いところをねらえています、との言葉をいただき、とりあえずホッとしました。

その後、話題は音色を変える上での、ウナコルダの使い方についてになりました。

私自身、「ソフトペダル」「弱音ペダル」という言い方もあって、弱い音にしたい時に、踏むもの、と長年思い込んでいたので、以前にもお話を伺っていたのになかなか使いこなせないでいるのです。

「弱い音の時に踏む、というイメージがありますが、そうではないんですよ。音色自体が変わりますから。」

かつて、ヴィルサラーゼがショパンのノクターンを演奏したとき、最初から最後までウナコルダを踏んでいた例を挙げ、その音色を使いたいと思えば、極端な話、それもありうることを教えていただきました。

これは大きな課題です。

同時に右ペダルについて、もう少し長く踏んで、響きを混ぜてみるという方法もありうる、ということを言っていただきました。

これはネイガウス流派特有のペダルの使い方で、ぎりぎりのところまで響きを混ぜていくことになります。

今回、葵の会で弾く作品発表の曲の演奏では、その手法を使おうと考えていたのですが、バッハでそれをするというのは、発想がなかったので、ちょっと驚きました。

思い切ってペダルを長く踏み続けて、響きを混ぜてみました。いつものバッハとは全く違います。

これも、音と音がぶつからない、響きのある音色だからこそできること。

響きで楽しみつつ、いろいろな研究をする余地がたくさんあるということを教えていただきました。また、勉強していきましょう。

2019.02.18

「『響き』に革命を起こす ロシアピアニズム」

先生のご著書。Amazonではすぐに品切れになってしまいました。私の生徒さんからも頼まれていたので、何冊かまとめて手元に置くことにしました。

ようやく重刷分が届いたので、また少し内容の紹介をしていきます。

身体の使い方について

先日、ロシアピアニズムを中心にレッスンしている大人の生徒さんとこの本についてお話しました。

その方は「ロシアピアニズム全体像がつかめて良かったです。ただ、音の出し方は、言葉ではなかなかつかめないものですね。大野先生のブログはずっと読んでいましたが、実際に身体の使い方のレッスンを受けてみると、読んだだけの時とは全然違います。」と言っていました。

例えば、肘について。

肘は少し内側に回転させた状態が基本だ。不必要に大きく回したり動かしたりすることはない。

中村紘子氏のレッスンで、肘を動かした生徒が戒められていたのを見た記憶がある。

「『響き』に革命を起こす ロシアピアニズム」p.88

実は、肘については、私の大学時代の恩師の先生であるレイ・レフ先生も「肘をこんなふうに動かしたって、音が変わるわけではありません。」とおっしゃっていたとのこと。

では、どうするのか。

そこで、肘の後ろ側を「ゆるめる」、または手首で前に動かしながら肘の後ろ側から身体の前方へ腕全体を「押し出す」イメージを持つ。

指先ではなく指の第2関節から手首、前腕の下、上腕の内側からわきの下まで一本の筋があるようなイメージで打鍵するといいだろう。


「『響き』に革命を起こす ロシアピアニズム」p.89

身体の使い方を学んでいくことは、意外に難しいことです。今まで、ずっとなじんでいた使い方に、つい、なってしまいます。

肘を取り上げてみましたが、肘だけではなく、肩甲骨も、肩も、手首も、指も、一つずつ意識しながら音を出してみる。地道にそういう練習を続けていくことで響きが変わってきます。

響きを捉えることについて

生徒さんの保護者の方で、ピアノ経験の長い方も読んでいて、「こんなふうに、音の出し方を考えたこともありませんでした。倍音、知りませんでした。」と言っていました。

第3章にもこれについて触れている部分があります。

なぜ、ピアノを弾く時の発想の中に、音色の観点がないか?

第1章でも触れたが、その理由のひとつに日本の住宅環境と気候が関係していると思われる。(中略)極端な例を挙げると、じゅうたんを敷いた和室にグランドピアノを置き、ピアノ本体の蓋は開けずに楽譜台をピアノの上にのせて指の強化練習をする方がいらっしゃるほどだ。これでは、たとえ響きを聴こうにも音の立ち上がりしか聴こえてこない。

もうひとつの理由は、日本人の几帳面な性格が関係しているようだ。日本人の多くは、「きちんと鍵盤の底まで弾く」「しっかり鳴らす」ことが正しい奏法だと思いがちだ。

「『響き』に革命を起こす ロシアピアニズム」p.92

基音の大きい小さいはわかりやすく、響きの多い少ないはわかりにくい。

弾いた時も、「しっかりした弾きごたえ」は実感しやすく、逆にできるだけすばやく打鍵し離鍵することは、実感しにくい。

音色、響きというのは目に見えません。この本にも書かれているように、響きを捉える耳を作るまでに時間がかかります。

でも、その響きを聴き取ろうとして、聴き取れるようになる。響きのある音色を出そうとして、響きのある音色が出せるようになると、そこにはまた違う演奏の世界が広がっていきます。

保育士さんを目指してピアノの特訓

保育士になるための短大に4月から入学するという学生さん(今の段階では高校3年生ということになります)が入会しました。

ピアノは未経験とのこと、4月までに学校から指示された曲をある程度弾けるようにしていく必要があるそうです。同時に、学校でもピアノの特別講座が開かれているので、受講中とのことです。

学校の指定というバイエルをお持ちになりました。私にとっては久々のバイエルです。

とりあえず、第1目標の30番まで、できるだけ速いペースで進めましょう、ということで、レッスンを始めました。

片手ずつ弾く部分は、学校の特別講座で○をもらったとのことですし、このあたりはそれほど難しくはありません。

やはり、「両手で別の動きを同時にする」という部分が、最初の難関になります。

最近の子ども用の入門書と違って、すぐに両手。すぐに別の動き。改めて見返してみると、なかなかステップの一段が高い。

逆に今回のように、保育士さんや学校の教職を目指すという、目標のはっきりしている大人が、短期間である程度弾けるようになるための教材としては、良いのかもしれません。

まず、左右別々に練習をします。特に左手をたくさん練習していきます。とはいえ、やみくもに回数だけ重ねても、時間がかかるだけです。

10番台の左手の伴奏は、ドソレソミソのように、パターンがある程度決まっているので、まず、そのパターンを見つけ出すこと。パターンからはずれている部分の練習をたくさんすること。

両手の練習の場合には、同時に弾く部分がどこなのかを意識すること。弾きにくい部分は、弾ける速さまでテンポを落として、その部分を取り出して練習すること。

脳の仕組みの話もしました。しばらく慣れるまでは、練習回数をある程度多くすることが大切であること。

まだ、動きはぎこちないのですが、それでも、弾いているうちに少しずつ、慣れていく様子が見えます。

最初は大変ですが、そこを乗り越えれば、ずいぶん楽になってきます。目的もはっきりしていますから、意欲も伝わってきました。

帰り際、「もう1時間たったのですね。びっくりしました。」と言っていました。それだけ集中して練習したということです。

ぜひ、頑張って、保育園の子どもさんたちと、楽しく歌がうたえる先生になってほしい。そのためのお手伝いができることを、とてもうれしく思います。

自分で楽譜が読めるようになることの大切さ

去年、3月~7月頃に、入会した幼稚園、小学生の生徒さんたち。そろそろレッスン開始から1年を迎えようとしています。

それぞれ、進歩していますが、一番大切なこととして、楽譜が自分で読めるようになってきた、ということが挙げられます。

楽譜が自分で読めるようになると、新しい曲を自分ひとりで弾くことができるようになります。これは、とても大きなことなのです。

昨日レッスンをした小学生の生徒さんたち。今までずっと勉強してきたト音記号の楽譜はスラスラ読めます。

ここで新しく出てきた、へ音記号の低いドレミファソにも、最初は戸惑ったものの今はだいぶ慣れて、どんどん階名が言えるようになってきました。

レッスン中に音符カードを見てすぐに言えるようにすること。「うたあそび」で出てきた音符をその場で読む練習をすること。実際にピアノの前に座った時、次の曲の階名を自分で言うこと。

音楽ドリルや、教本のワークブックに書き込んで覚えること。こちらは宿題になることがほとんどです。

合わせて、リズム打ちもたくさんやっています。「うたあそび」にも、よく出てきますし、教本のワークブックでもたくさん練習します。

ですから、ピアノを弾く場合も、拍子を数えながら弾く習慣がついてきます。

こういうことを1年、繰り返してきたので、楽譜が読めるようになってくるのです。

自力で楽譜が読めるようになることは、音楽の本来から言うと第一歩です。でも、その第一歩が踏み出せないと、なかなか他の要素までいきにくいのも確かです。そういう意味では、基礎の基礎ということになります。

昨日も、背が伸びたな、と思いながら、小学生たちを見ていました。少しお姉さんになって、そして、ピアノも去年より上手になって、もうすぐ進級の時期を迎えます。

生徒さんの成長を実感

昨日、ちょうど前の生徒さんが帰った直後、誰もいないレッスン室に入ってきた小学校1年生の生徒さん。第一声が「もうすぐ誕生日なんだ!」

「そう、お誕生日、いつなの?」「18日。」「じゃあ、もうすぐ7歳なんだね。」

うれしそうです。子どもたちにとっては、お誕生日で、1つ歳が増えることはほんとうにうれしい。成長を自分でも実感できるからでしょう。

この1年で、できるようになったことがたくさんあります。クリスマス会では、頑張ってお姉さんと連弾をしました。練習をたくさんして、本番に向かう経験を積みました。

音符もずいぶん早く読めるようになって、昨日も、音符カードを見ながら、「ド」「ソ」と次々に読むことができました。

リズム打ちは、早い段階で上手にできるようになっていましたが、昨日の「うたあそび」の課題のリズム打ちも、スムーズです。

何よりも、集中力が1年前とは全然違っています。30分、集中してレッスンに取り組めるようになりました。

ピアノに向かった時、そういう一つ一つの力が発揮されます。「ビッグベンのかね」が次の課題ですが、音符を読み、3拍子のリズムを感じながら弾く。

それがすぐできるようになりました。付点四分音符の3拍も、自分で「1・2・3」と数えながら、伸ばせます。

力は、一朝一夕につくものではありません。毎日はほんの少しずつの積み重ね。でも、それを積み重ねたかどうか、というのは、とても大きいことです。ふとある日気がつくと、あれもこれも一度にスッとできるようになっている。

特にお子さんの場合は、そういうことが多いように感じます。最初はよく分からないまま重ねていた経験が、ある一定の量、蓄積すると、その意味が分かり、次にやるべきことが見えてくるようになるのでしょう。

大人の場合は、先に意味が分かり、やるべきことが見えています。そこに練習をしていく。

方向が逆ですね。だからこそ、どんな経験をするか、日々どれくらい積み重ねができるか、ということが大切になってきます。

もともと、歌が大好きで、「うたあそび」が楽しみな生徒さんです。レッスンの最初に「うたあそび」をするのが基本なのですが、この生徒さんの場合、本人が「最後にやりたい。」と言います。

ですから、ピアノの後に「うたあそび」。昨日も、歌をうたい、太鼓をたたき、ニコニコしながらレッスンを終え、帰っていきました。

見送りながら、お子さんの成長の速さに改めて感心し、うれしい気持ちになりました。