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2019.06.22

チャレンジする気持ち

発表会に向けて、みんな頑張って練習しています。

昨日も、1年生の生徒さんと7月のレッスン日について「○日と○日と…がレッスンで、この日はリハーサル。」と確認していました。

「リハーサルって何?」

「発表会と同じ会場で、同じピアノで練習するの。」

「ドキドキする。」

こんな会話がありました。

たくさん練習するね

その生徒さん、今回はペダルのある曲にチャレンジしています。

ちょうど発表会の曲を決めるタイミングでペダルの練習に入り、「ペダルのある曲が弾きたい」という希望で曲を決めたのです。

身体が小さいので、ペダルを踏むタイミングになると、身体を前に傾けて踏んでいますが、最初に比べるとずいぶん慣れてきました。

靴下で踏んでいると足が痛くなるとのことで、お家でも靴をはいて練習です。レッスンのときも、本番で履く予定の黒いエナメルの靴を持ってきて練習しています。

その甲斐あって、「ペダルは『耳で踏む』」という言い方をしますが、踏むタイミングもとても上手になってきました。

「ちゃんと弾けるかなあ?」とちょっと不安そうです。

「○○ちゃん、ちゃんと練習しているから大丈夫。」と言うと「もっとたくさん練習するね。」という頼もしい返事が返ってきました。

チャレンジしてみたい

大人の初心者の生徒さん。4月下旬に始めたばかり。発表会への参加を決めたのは、まだ始めて本当にすぐだったので、様子を見て、先週1曲めの「スカボロー・フェア」を決めました。

一週間で「一応、最後まで弾けるようになりました!」ととても頑張って練習していらっしゃいました。

ではもう一曲はどうしようか、ということで、いくつか候補を挙げてみました。

その中で、「ちょっとむずかしいかもしれないけれど。」と言いつつ「戦場のメリー・クリスマス」を挙げてみたところ、「チャレンジしてみたいです。」とのこと。

「では、チャレンジしてみましょう。」と頑張ってみることに。

もうお一人の大人の生徒さんも、「せっかくやるのだからチャレンジしたいです。」ということで、両手の曲にチャレンジ中です。

チャレンジする気持ち

ピアノに限りませんが、何かを学ぶというときには、「新しいことにチャレンジする気持ち」というのがそこにあります。

発表会に向けて、曲を決め、練習する過程の中で、常にその「チャレンジする気持ち」を持ち続けることが大切になってきます。

「たくさん練習するね」という言葉の中に、チャレンジを裏付ける努力をしていく、という気持ちが表れています。

生徒さん自身の「チャレンジする気持ち」をくみ取り、大切にしながら、本番に向けて準備を進めていきます。

ピアノレッスンに来るメリット―お仕事でピアノを弾く方の場合―

お仕事でピアノを弾く方。例えば、保育士さん、幼稚園の先生の中に、もうすこし上手にピアノが弾けたらいいのに…とお思いの方もいらっしゃいます。

そういう方がピアノのレッスンに来るメリットは、どんなところにあるでしょうか。レッスンに通っていらっしゃるからこそのメリットを挙げてみます。

基本となる事柄を知ることができる

私の教室にも、幼稚園の先生、保育士資格を取るために大学に行っている学生さんが通っていらっしゃいます。

その方たちのレッスンをする上で、心がけているのは、「自分ひとりで楽譜を読んで弾けるようになることを目標とする」ことです。

例えば、指遣いを決めることの意味や、指遣いを決める上で考えていく要素。

指遣いを決めることで、部分練習がしやすくなります。自分がつまづくところを取り出して練習しやすくなりますし、どういう指遣いの時に間違いやすいのかということをてがかりに、自分のピアノの弾き方を客観的に見ることもできるようになります。

その上で、実際に指遣いを決めていく上では、基本的に多くの場合、このような指遣いで使う、というものを確認していきます。

例えば、伴奏でよく使われるドミソの和音を左手で弾く場合、指番号で531を使います。シレソも531、ドファラは521。

ある程度、この基本を知っていれば、次に出てきた時に、それを基準に自分で考えることができます。

練習の仕方を学ぶことができる

実際に練習していく上で、通して何回も弾く、という練習方法は効率が良くありません。

間違える部分はいつも間違えたまま、ということになりがちです。

レッスンに来ることによって、それを取り出して、どのように練習したらよいかを知ることができます。

「ここからここまで、移動が大きい場合は、この部分だけ取り出して、こういう練習をします。それができるようになったら、次はこういう練習…」というように、練習の仕方をお教えし、その場で実際に練習をしてみます。

「メトロノームの60から始めて、2ずつテンポをあげていってみましょう。」のように、テンポのとり方をお話しすることもあります。

ここでのレッスン中に、7~8回練習し、ずいぶんテンポを速くすることができるようになった生徒さんもいます。

少しずつ積み重ねていく

3月からレッスンにいらっしゃっている幼稚園の先生。来年の年明けに、オペレッタをするので、その曲のレッスンが目的です。

全部で7曲。実際に発表するときには、途中に他の歌が入っていたり、セリフのBGMが入っていたり、フィナーレで歌を歌っていたり、と10曲近くをノンストップで弾き続けることになります。

初めていらっしゃってから4ヶ月。御本人としても、何とかしてオペレッタを成功させたい、という思いも強く、毎日練習をしていらっしゃいます。

毎日少しずつの積み重ねですが、着実に上達しています。5曲はほぼ完成して、先の見通しも立ってきました。

少しずつの積み重ねが大きな結果になっていく、それは大人の場合も同じです。その労力が大きいだけに、レッスンを通して、その労力を効果的に使っていければ、実りもさらに大きくなっていきます。

1年でこんなにできるようになった

小学校1年生の生徒さん。年長さんだった去年の7月からレッスンを始めてちょうど1年になります。

きのうは、発表会の曲のレッスンをしたあと、「うたあそび」でリズム打ちをしました。

両手ですらすら弾ける

発表会の曲は2曲とも譜読みが終わって、両手で弾ける状態になっています。グルリットの「こもりうた」は前回のレッスンの時に、曲想について、一緒にイメージを作りながら練習したので、ずいぶん表情がついてきました。

ピアニッシモの表現が特に上手できれいに弾けています。

もう1曲、同じくグルリットの「かり」は、楽譜通りに弾くには手が小さいので、本来左手で弾くところで右手を使ったりして、少し指遣いが変則的になってしまいました。

ですから、弾きにくいはずなのですが、こちらもお家での練習をしっかりしてきて、上手に弾けるようになってきました。

両方ともすらすらと弾けるようになっています。最初の頃は「難しいと言っているんです。」とお母様がおっしゃっていましたが、これなら大丈夫。

リズム打ちが1人でできた

うたあそびも2冊めに入り、「かわいいかくれんぼ」です。1回めはリズム打ちだけ練習しました。

その時の様子を見ていると、自分で「1234…」と拍子を感じながら、太鼓をたたいています。そして、まったく間違うことなく、正確にリズム打ちができました。

歌を知っているとのことだったので、その後、一緒に「ひよこがね…」と歌いながらリズム打ちをしました。歌いながらのリズム打ちもバッチリできました。

次に、その下に書かれているリズムを打つ練習です。4分音符、4分休符、8分音符、2分音符、全音符。全音符だけはそれ1つが書かれていますが、あとは、2種類の音符や休符が混ざっています。

さっきとてもスムーズにリズムが打てたので「1人でやってみようね。」ということで様子を見ました。

6種類の課題。まったく迷うことなく、全部さっとできました。

1年でこんなにいろいろできるようになった

そばで聴いていたお母様に「始めてからほぼ1年ですが、ずいぶんいろいろできるようになりましたね。」と話すと

「ほんとうにそうですね。すごいですね。」とおっしゃっていました。

この生徒さんの場合、地道に練習を続け、自分が納得するまで弾いてきます。その積み重ねがこの結果につながったのです。

お子さんの力はすばらしいです。たくさんの可能性があります。

そして毎日の積み重ねを続けることによって、その可能性を自分自身で引き出し、伸ばしていくことができます。

生徒さんのそんな成長ぶりを見ることができて、私もとてもうれしく思いました。

2019.06.18

ポジションを安定させる

昨日は、レッスンを受けに都内まで行ってきました。フランス組曲第1番、全曲を聴いていただきました。

練習方法を変える

前回のレッスンで楽譜をはさんで弾く方法を教えていただきました。これをすることで、腕の付け根から手首まで、小指側のラインが意識できるようになります。

楽譜を落とさないようにすることで、ポジション全体が上がった状態を保てるようになります。

私の場合には、速いテンポの曲になると、どうしてもポジションが下がりがちで、同時に響きも上がりにくくなっていました。

先週のレッスンでも、クーラントになると、楽譜が厚くて重かったこともありますが、はさんでいるはずがどんどん下がってずれてしまい、とても弾きにくく感じていました。

1週間自宅で練習し、自宅のピアノでは、ずいぶん響きが上がった状態を安定して保てるようになったと感じていました。

先生のレッスン室のフルコンを使って、そのポジション、その弾き方が身についたかどうか、先生の耳で客観的に聴いていただきました。

「今日は、全然押し付けていないですね。」と言っていただきました。先生のピアノでも響きが上がっている感じがしていたので、大丈夫とは思っていま。たが、 ホッとしました。

曲の魅力を信じる

もう一点、ずっと練習していて、クーラントの後半の表現がしっくりこないということをお話ししました。

あれこれ考えてみても、いろいろ自分なりにやってみても、何だか平坦な気がしてしまうのです。

「そういう時はあります。そういう時は、『何もしない』というのも1つの選択肢なんですよ。」と教えていただきました。

「曲の魅力を信じるんですね。自分があれこれ何かするのではなくて。」「時間が経つことで、感じ方もかわってきますから。」

驚きましたが、納得もしました。確かに、時間が経つことで感じ方は変わってきます。バッハの音楽は常に魅力的です。

「自分が」を考えることは重要ですが、時にはそれを手放すことも大切なのかもしれません。これもとても考えさせられました。

ピアノを弾けることの幸せ

ピアノを弾けることの幸せの1つは、作曲者とつながる感覚を持てることだと奏法を変えてから、特に感じるようになりました。

バッハとも、モーツァルトとも、何百年も隔たっているのに、直接つながる感覚になれる。

「曲の魅力を信じる」ということは、作曲者とのつながりを信じる、ということなのかもしれません。また次もバッハ。つながりを感じながら練習していきます。

2019.06.17

できたことに目を向ける

人間、どうしても、できたことは「当たり前」に感じてしまい、できていないことをに目を向けがちです。

でも、振り返って、自分が「できたこと」「できるようになったこと」に自分自身が目を向け、味わっていくことはとても大切です。

両手で弾けるようになる

保育士や幼稚園の先生になるための大学に行っている生徒さんがいます。初心者として2月からピアノを始めたのですが、今は両手で弾けるようになっています。

今回のレッスンで、右手は付点4分音符と8分音符、左手は4分音符のリズムで弾いていきます。

両手で弾き始めて間もない生徒さんにとって、このリズムはとても弾きにくいものです。2拍目で最初に左手だけ動かし、その後に右手だけ動かす、というのが難しいのですね。

この大学生の生徒さん、自分で練習してきたそうですが、それほど苦もなくすっと弾けていました。

他の曲もあって、「まだこれとこれもするんですよ。弾けるのかな。」と、課題のことを考えてちょっと大変そう。

「でも、2月から始めて、これだけ両手で弾けるようになった、と考えたら、すごい進歩じゃない?」と言うと「めっちゃポジティブですね。」と逆にびっくりしていました。

自分で弾けるようになる

小学生の生徒さん。今までは、家での練習で片手ずつ弾いてきて、レッスンの時にいっしょに確認しながら両手で合わせる、という形でした。

この間のレッスンの時に、「自分で両手で合わせてみた」と言います。聞かせてもらうと、リズムも、それぞれの手の音も正しく、両手で弾けていました。

自力で両手を合わせることができるようになったのです。「ちゃんと弾けているね。頑張ったね。」と言うと、生徒さん本人も、やはりうれしそうでした。

あるところまで、やっていると、1段階、ふっと上がれる時がありますが、ちょうどその時に来たのでしょう。

お迎えにきたお母様にも「自分で両手を合わせて弾いてきました。とても頑張っていますね。」とお話しし、お母様もうれしそうでした。

できたことに目を向ける

レッスンをしている私の役割としては、「できていること、できていないことをフィードバックする」というのがあります。

頑張る人ほど、まだ出来ていない部分に目を向けがちです。でも事実としてできるようになっている、ということを感じると、また次に頑張る意欲もわいてきます。

私が「できるようになったこと」に目を向けてもらえるようにしっかりフィードバックしていくことで、ピアノがますます楽しくなってほしい、と考えつつ、レッスンをしています。

曲のイメージをつかむ

題名のついている曲の場合、題名からイメージをつかんでいくのも、曲を作り上げていく上で大切になっていきます。

絵を描く

1人の生徒さんはギロックの「おばけのあしあと」という曲を練習中です。ちょっと不気味な感じのする曲です。

英語での原題は”Spooky Footsteps”となっています。辞書では、spooky=不気味なとありましたが、「化け物」「おばけ」のような不気味さを表現する言葉です。

どんなイメージで弾いたら良いかな?と質問しようと思っていました。「日本のおばけには足がないよね。このおばけには足があるんだね。」と話してみると、「絵を描きたい」とのこと。

紙と鉛筆を出して、描いてもらうと、ハロウィーンのおばけを描きはじめました。ハロウィーンが身近になっているので、こういうイメージがすぐ浮かぶのですね。

不気味なおばけ、暗さ、家と火の玉などが描かれていたので、イメージはしっかり把握できているようです。

写真を見る

別の生徒さんも同じギロック作曲の「フランス人形」という曲を練習中です。

原題は”French Doll”となっています。調べてみたのですが、アメリカでの「フランス人形」立ちは違うものの、日本のフランス人形のイメージに近いように思います。

「『フランス人形』って知っている?」と聞いたところ、「知らない」というので、写真をいくつか見せました。

「かわいい~!」という反応。確かに、フワフワのドレス、巻いた髪の毛…とてもかわいいですね。

このお人形さんの感じで弾いていこうね、ということで、練習。今は両手の練習なので、このあと、ペダルがついていけば、イメージに近づけるでしょう。

自分なりのイメージを作っていく

曲を表現していく上で、自分なりのイメージを作っていくことは、とても大切です。

写真を見る、絵を描く、言葉で話す、さまざまな要素を使って自分の中で曲のイメージを作っていきます。

それがはっきりすることで、自分の中にある、「こう弾きたい」がより具体的になっていきます。

「先生がこう弾きなさい」と言ったから…ではなくて、自分で感じた「こう弾きたい」を表現していく。それを目指して、曲作りをしていきます。

「うたあそび」は楽しい

幼稚園~小学生の生徒さんには「うたあそび」を使っています。これがとても楽しくて、生徒さんも楽しみにしています。

生徒さんがよく知っている「歌」で楽しむ

おもしろいと思うのは、みんな、一曲終わると、「次は何かな?」と自分で楽譜のページをめくって「次は森のくまさんだ」「つぎはこぶたぬきつねこだ」と確認して、付箋をはっていくのです。

「うたあそび」は「たのしいソルフェージュ」とついているように、読譜やリズムのテキストです。

見開き2ページで1組になっていて、左側のページには、歌が、右側のページには歌に合わせて踊ったり、手遊びをしたり、リズム打ちをしたり、という課題が載っています。

知っている曲に合わせて、いっしょに歌ったり踊ったり、手遊びをしたり、と私もいっしょに楽しんでいます。

先日も、「げんこつやまのたぬきさん」の最後、「またあした」のところでじゃんけんをしたのですが、なかなか勝負がつかずに、大笑いしました。

読譜とリズムうち

そうやって、リラックスした雰囲気の中で、「この音符を読んでみよう」とか、「リズム打ちをしてみよう」と右ページの課題をすると、楽しく取り組むことができます。

リズム打ちも、歌に合わせてリズムをたたいたり(だいたい太鼓を使いますが、時にはタンバリンやカスタネットも使います)、音符のカードがあったりと、パターンもいろいろ。

読譜も「おおきなこえでよんでみよう」と読むこともありますし、時に「うたってみよう」となっていたり、「ピアノでひいてみよう」となっていたり、いろいろなバリエーションがあります。

時々「時間がないから…。」と、踊りだけ踊って課題を省略しようとすると、「先生、これは?」と催促されて、音符を読んだり、ピアノで弾いたりすることもあります。

慣れていくことが大切

「うたあそび」のおかげで、音符を読んだり、リズムが取ったり、ということがスムーズにできるようになっていくと実感しています。

以前、知人と話した時に、その人も、ご主人も、息子さんもピアノを習ったことがあるのですが、「楽譜を見ながら弾くのは私だけ。『見ながら弾く』のは特殊能力だと言われたの。」と言っていました。

でも、私の教室の生徒さんたちは、楽譜を見ながら弾けています。「特殊能力」ではなくて、そこの情報を得ながら弾くことが当たり前になっているからです。

やはり、ピアノの基本の1つとして、「楽譜を読むこと」に慣れることは上達に欠かせません。そして、そのためには、ソルフェージュの力を高めていくことはとても大切です。

歌ったり踊ったりして、いっしょに楽しみながら、ソルフェージュのちからを高めていきます。

空間の音を聞く

先日の調律の時に、「いつも、ピアノのふたはどんな状態で弾いていますか?」と聞かれ、「半開です。」と答えました。

「全開だと、響きすぎるような気がして…。」と言ったのですが、調律時に全開にして、その後、そのまま弾いてみたら、このほうが響きがよく分かって、しかも音が大きすぎるというわけでもありません。

そこで、練習やレッスンの時にも全開にすることにしました。

左右のバランスを聴き分ける

昨日のレッスンで、小学生の生徒さんの演奏を聴いていて、「低音が大きいな。」と感じました。

自分の手の感覚と、直接出てくる音を聴いているとそうなりがちです。

ちょうどピアノのふたは全開です。その先に私が立って、「このあたりの音を聴く気持ちで弾いていみて。」と言いました。

小学校1年生ですが、その感じをつかめたのでしょう。音が変わってきました。左右のバランスが良くなってきたのです。

手の感覚だけでは、左右のバランスを本当にとらえることは難しいです。ちょっとした違いを修正することも難しいのですね。それが、空間に広がる音に注意を向けることで変わってきます。

姿勢が変わった

その後に来た中学生。やはり、右手の音よりも左手の音のほうが大きく聴こえます。

同じように、「ここの音を意識して聴いてみて。」と全開になっているふたの先に立ちました。

今度も明らかに音が変わってきました。左右のバランスが取れて、メロディーが心地よく聴こえます。

弾いた後、生徒さん本人が「そこの音を聴こうと思ったら、背中が伸びました。」と言いました。

以前にも、その生徒さんのお母様から、「姿勢が悪くて、時々言っているのですが、なかなか直らなくて。」というお話を伺ったことがありました。

「姿勢を直す」のではなくて、「自分の弾く音の先を聴き取ろうとする」「空間に自分の音がどう広がっているのか聴こうとする」ということで、姿勢が自然に変わっていったのです。

空間の広がりを意識する

音を聴く時に、漠然とではなく、空間のこの部分の音を聴こうと思う、と意識を変えることで、いろいろな身体の部分が調整されていくということがわかりました。手元のタッチから、姿勢まで、さまざまな要素があります。

実際に、ホール等で演奏する時には、さらに大きな空間、さらに広がりにある空間を意識していくことになります。

レッスン室の中であっても、あるいは練習の段階であっても、その空間の広がりについて意識を持てるかどうか、ということはとても大切です。

ふたを全開にすることで、生徒さん自身の中でも意識が変わっていき、演奏が変わっていく。

調律師さんのアドバイスでふたを全開にしたことで、生徒さんたちにも思わぬ良い影響があり、うれしくなりました。

2019.06.11

大きな流れと細部と

昨日は、自分のレッスンに行ってきました。行くたびに、いろいろな気付きがあります。

昨日も、身体の使い方について、曲の作り方について改めて考える機会になりました。

手のポジションと腕の下側

腕の下側を意識しているのですが、つい、音型によってゆるむということがわかりました。

特に、速いテンポで弾こうとするとその傾向が強まります。同時に、そうするとポジションが下がりがちです。

ここは大きな課題です。昨日も行く前の練習の段階で、クーラントを弾きながら、「下がっている…」と気付き、修正。

でも、先生の前で弾きながら「やっぱりこれはポジションが低い気がする」と思っていました。

案の定、「基本的に、この位置にいるんですよ。」と弾いて見せてくださいました。かなり高い位置です。どうしても、下がってしまうのですが、私のイメージよりもずっと上です。その感覚そのものを修正していく必要があります。

腕の下側を意識することで、ポジションそのものが上がっていくことを実感しました。

家でも、昨日教えていただいた「工夫」をしながら、身体が覚えるように、腕の下側を意識しつつポジションを上げていく練習をしていきます。

音色と舞曲のイメージ

フランス組曲のいろいろな舞曲。その性格を考え、どう弾き分けていくか?どの舞曲にどんな音色を使っていくか?

その中でもさらに、このフレーズは、この音は…と考えていくのですが、楽しくもあり、きりのないことでもあります。

2曲めのクーラントを弾いた後、3曲めのサラバンド。途中で、「何だか全体の印象がクーラントと似てしまっている」と思いました。重めの音を使い、何だか一本調子の感じもします。

「もっとささやくような感じでも良いかもしれません。」と聴かせていただきました。

なるほど。そうすると活発なクーラントとの対比がはっきりしてきます。一つ一つの舞曲をついつい取り出して練習しているのですが、前後のつながりをもう少し見ていく必要を感じました。

大きな流れと細部と

身体の使い方もそうですし、楽曲の作り方もそうですが、常に大きな流れと細部との両方を考える、感じていくことは大切だと改めて思います。

ピアノを弾くにあたり、体幹や腕は大きな流れになるでしょうし、手や指は細部にあたるでしょう。でも、それらは常に連動しています。

同じように、「フランス組曲第1番」は大きなくくりです。その中のクーラント、サラバンドなどのそれぞれの楽曲は腕にあたり、そして、その楽曲の中の1フレーズ、1音は手や指にあたるでしょう。

こちらもそれぞれ連動しています。小さい部分を練習する時は、大きな流れをイメージする。同時に大きな流れを中心に考える時は、細部にまで気を配る。

そんなことを考えながら、また練習していきます。

2019.06.10

調律をしていただきました

空気が変わると、ピアノの状態も変わってきます。5月に入ったところで、空気全体が暖かくなったあたりから、少しピアノの音が微妙にくもった感じがしていたので、調律をお願いしました。

同門のメソッドでピアノを習っていらっしゃる調律師さんに、名古屋から来ていただくので、日程の調整をし、ようやく金曜日に調律をしていただくことができました。

音がクリアになった

調律していただくと、音のくもりもとれ、クリアな感じが戻ってきました。

とてもうれしくて「音がクリアな感じに戻りましたね。」と言うと、「3本の弦が微妙にずれてくるので、それを合わせることで、クリアな感じに戻ります。」とのこと。

なるほど、そういうことなのですね。ピアノの場合1つの鍵盤に対して、3本の弦が張ってあります。その微妙なずれで音の感じも変わってくるのですね。納得しました。

「順調に育っている感じがします。」と言っていただいて、ますますうれしくなりました。

調律師さんに理解していただくのが難しい

わざわざ名古屋から来ていただくのは、響きを活かした奏法に合わせた調律をしていただける方が少ないからです。

「正確に」音を合わせることに注力すると、響きは上がりません。音は合わせつつも響きが上がるように、というその感覚を言葉にするのがまず難しい。

今回も、「どういうふうに言えば、それが伝わるのでしょうか。」と伺ったところ、「難しいですね。調律師同士であれば、いろいろな言い方をしてニュアンスが伝わる部分もあるかもしれませんが。」とのことでした。

順調に育っています

「順調に育っていますよ。」と言っていただきました。ピアノも新品からだんだん育っていき、より良い音になっていきます。

私の先生も「以前持っていた新品のスタインウェイが本当に力を発揮して鳴るまでには、5年位かかった。」とおっしゃっていました。

ちょうど梅雨の直前。まだ湿気はそれほどなかったのですが、途中から雨が降り出したタイミングです。

「除湿機、加湿器もありますし、大丈夫ですね。」と言っていただきました。いよいよ梅雨入りし、レッスン室の除湿機がフル稼働です。ピアノにとっては湿気と高音で大変な時期になっていきますが、大切に育てていきます。