こんにちは。

「羊と鋼の森」

映画が良かったので、小説も買って読んでみました。

 

私自身は、映画も良かったのですが、小説のほうが好きだと感じました。

映画だと、特にピアノがからむシーンで

「そんなにピアノの鍵盤を強くたたかなくても…。」

などと不必要なことを感じたり考えたりしてしまうからかもしれません。

 

宮下奈都さんの作品は、今回初めて読んだのですが、情景描写がとても魅力的です。

そもそも題名の「羊と鋼の森」からしてすばらしい。

羊は、ピアノのハンマーに使われているフェルト。

鋼はピアノの弦。

それと主人公の中にある森のイメージ。

そのつながりが的確に表れていて、しかもとても詩的。

 

冒頭部分。主人公外村が、グランドピアノの鍵盤を調律師がたたく音を聞いた場面。

「森の匂いがした。夜になりかけの、森の入り口。」

から始まる一連の描写。

彼が調律に魅せられていく過程が自然に語られ、一気に小説の世界に引き込まれていきます。

この小説そのものは、主人公外村の成長の物語です。

 

外村自身。それから調律を引き受けているピアノを弾く双子の姉妹。

その若者たちに対して、調律師の先輩達を中心とする周囲の大人たちが、きちんと向き合っている姿が丁寧に描かれています。

 

小説を読んでいて、最初は主人公外村に関心を向けていましたが、ふとふり返ると、私自身は年齢的にその周囲の大人の立場に立っていることに気づきました。

小説の中の大人たちが、若者にきちんと向き合えるのは、真摯に仕事にとりくんできたことの蓄積があるからこそです。

今、私は生徒さんに対して、「教える」という立場にあります。生徒さんに対してきちんと向き合うために、私自身のピアノへの姿勢もまた常に真摯でありたい、そんなことも改めて考えさせられました。