いい緊張は能力を2倍にする

発表会が近づいてきたので、緊張についてのコントロール法を生徒さんにお伝えしています。

「いい緊張は能力を2倍にする」という、精神科の医師でもあり、Youtubeやメルマガ等で積極的な情報発信をしている樺沢紫苑氏の書いた本がとても参考になったので、ここでもご紹介します。

この本の内容から選んで生徒さんに紹介した理由は、科学的な根拠に基づいた緊張対処法が書かれていること。それをもとに、準備することでより良い演奏ができるように、と考えたからです。

緊張とはどういう状態か

まず、緊張とはどういう状態であるか、という説明がしっかり書かれています。

「緊張は味方である」と言い切り、「緊張はパフォーマンスを高める」ということを知っているだけで、数学の試験の結果が有意に得点が高かった、というハーバード大学の実験の結果を紹介しています。このように根拠がしっかりしているので、説得力があります。

そして、パフォーマンスを下げる「過緊張」(頭が真っ白になる等)という状態を「よい緊張」にするための対処法が具体的に書いてあるのです。

緊張は「交感神経が優位」「セロトニンが低い」「ノルアドレナリンが高い」状態である、と説明。私自身、この記述を読んで、緊張の原因はたった3つであることに、正直、驚きました。

また、このように具体的な脳の状態を知ることができるからこそ、具体的に過緊張への対処法も考えることができるのです。

「交感神経が優位」なときは、交感神経にブレーキをかける「副交感神経を優位」にすればいい。「セロトニンが低い」のであれば、セロトニンを高めればいい。「ノルアドレナリンが高い」ときは、ノルアドレナリンを下げればいい。

樺沢紫苑 いい緊張は能力を2倍にする 文響社 p.42

事前の準備が大切

もう一つ、この本で印象的だったのは、事前準備の大切さを言っていることです。事前準備がしっかりできているからこそ、本番での緊張のコントロールもしっかりできる。

練習がしっかりできているときの本番は、確かに安心して演奏ができます。これは、あくまでも体験的なものでしたが、この本を読んで、裏付けがよく理解できました。

具体的な方法は33、紹介されています。

深呼吸一つとっても、1分間で3回の深呼吸をする方法について、1 5秒で鼻から息を吸う→2 10秒かけて口から息を吐く→3 さらに5秒かけて、肺にある空気を全て吐ききる というように、時間と方法を示し、誰でもできるように分かりやすい記述になっています。

今までの「緊張本」や「あがり症本」は、本番での対策がメインに書かれていたようにおもいますが、「それは対症療法」としては正しいものの、「根治療法」にはならないのです。本書でお伝えした内容は、あなたの「緊張しやすい性格」や「あがり症」を根本的に直す方法です。そのための事前トレーニングです。(中略)緊張するかどうかは「前日までに9割決まる」のです。

樺沢紫苑 いい緊張は能力を2倍にする 文響社  p.244~245

緊張感を上手に活用していく

ピアノの練習をするとともに、緊張のコントロール法についての知識と対処法を知って準備を進めていくことで、より自分らしい演奏につなげることができます。

最後に、発表会そのものについての直接の記述があったので、そこをご紹介します。「目的にフォーカスする」という部分での記述です。

演奏会、発表会の目的は、間違えないで完璧に演奏することではなくて、お客さんが楽しんでくれたり、お客さんが感動してくださるということではないですか?(中略)言い換えると「間違えないで演奏する」は「あなたの目的」であり、「演奏を楽しみたい」が「お客さんの目的」です。(中略)あなたが最終的な達成すべき目的は何か?その目的にのみフォーカスして、余計なことは考えない。

樺沢紫苑 いい緊張は能力を2倍にする 文響社  p.233~234

まず、ピアノそのものの練習をしっかりしていく。そのうえで、緊張への対処法も事前に練習しておく。さらに、目的にフォーカスしていく。

準備段階の大切さを改めて考えつつ、生徒さんの本番に備えていきます。

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