こんにちは。

ロシアの奏法では、ピアノを弾く時、手の回転を使います。

 

モスクワに留学していたことのある、大野ピアノメソッドの高橋美幸先生が留学中のことを振り返り、「旋回地獄だった!」とおっしゃっていたことがありましたが、回転を使うことをとても重要視しています。

回転も、単純に回せばよいわけではなくて、フレーズの音のつながりかたによって、微妙に力の逃す方向も変わってきます。

このあたりが、実際にレッスンを受けるのと、文字で読むのとの違いになってきます。

実際にレッスンを受けながらだと、この曲の、このフレーズの場合には、こういう方向に手を使い、こういう方向に力を逃していく、ということを具体的に知ることができます。

実際には、求める音の響きによっても、その方向を変えていきますし、単純なものではないのですね。

 

「脱力」と一言で言っても、単純な脱力ではありません。

それでは、コツンという音になり、まるい美しい響きにはなりません。

しっかり虫様筋で支えた上での「脱力」。

これも回転と関係しています。

ただ、最初の段階では、この回転と脱力と、支えと3つを一度に体感することが難しい場合が多いように思います。

 

私自身を振り返ると、最初期に頃は、脱力と支えが中心でした。

というのも、「しっかり」弾くくせがしみついていましたので、それを優先させて教えていただいたのだと思います。

支えの感覚もなかなかつかめませんでした。

今でもはっきりと覚えているのですが、スクリャービンのエチュードを弾いている時、「指の力を抜きながら、引っ張り上げるような感じで鍵盤を弾く」と言っていただき「引っ張り『上げる』のに、鍵盤を弾くために指を『下げる』とはどういうことだろう?」とかなり悩みました。

それをつかむことができるようになったのが、指の筋トレです。

 

これをやって、少しずつ虫様筋などの手の筋肉がついてきて、ようやく「引っ張り上げながら弾く」脱力することと支えることのイメージがつかめるようになり、回転も分かってきました。

特に最初の頃は、わかりにくい場合もあるかもしれません。

地道にやっていくうちに、あるとき、ふっと全体像がつかめるようになってくるのです。