今、「フィガロの結婚」の序曲を練習していますが、ロシアピアニズムの奏法ならではの弾きやすさを実感しています。

この序曲の大きな魅力は、何とも言えないワクワクする感じにあります。これを表現するには、ある程度テンポを上げていく必要があります。

これから何かが始まる!何だろう?と聴いている方が、その後のオペラへの期待をふくらませることができるように軽やかに弾きたい。

「下までしっかり」弾いていたのでは、テンポを上げることがとても難しい。少なくとも、以前の私のレベルでは無理だったでしょう。

出だしのレドレドレから始まる音形。まず、これがとても魅力的です。人の心をうきうきさせるそんな音形。

力をしっかり指にかけて、下まで弾くと同時に、手の使い方を指に覚えさせる練習をします。以前は、こういう地道な練習の量が少なめでした。

今の先生のところに伺って、リサイタルをする何人ものピアニストの方とお話しする機会を持つようになりました。話の中から、その方々がこの地道な練習をほんとうにたくさん重ねていることを知りました。

この地道な練習こそが、本番を支えるのだと知ったので、とにかくたくさんします。その上で、次の段階では、虫様筋を使って引き上げる感覚で、できるだけ鍵盤の上部を使って弾いていきます。

そうすることでオーケストラの演奏の速さに近づけることができるようになってきて、遅めのテンポの指揮者の演奏と同じくらいにはなってきました。

同音の連打もそうです。虫様筋でしっかり支えて、できるだけ素早く力を抜いて鍵盤を弾くことで、離鍵を速くすることができます。

そのテンポでは、鍵盤の底に触れている時間が長いと、間に合いません。鍵盤の浮力を生かし、音が鳴るぎりぎりのところをねらっていきます。

当日も、スタインウェイですから、応えてくれるでしょう。

先日の、同門の方たちとの会の時に、ショパンのワルツの1番を弾いた方がいました。やはり、同音の連打の多い曲です。

その時にも「この奏法だから、弾きやすいよね。」という話がでました。

音色の変化をつけることで、表現が豊かになることはもちろんですが、「弾きやすい」ということも確かなのです。

そのためにも、また、せっせと指の筋トレをしていきましょう。