こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

先日、「ピアノ名曲 聴きどころ 弾きどころ」(イリーナ・メジューエワ 講談社現代新書)という本を見つけて買いました。

以前から、この本のことは知っていたのですが、たまたま立ち寄った本屋さんにあったので、買ったのです。

著者イリーナ・メジューエワさんは、ロシア生まれのピアニスト。1997年からは日本を拠点に演奏活動をしていて、東松山にも、確か5年ほど前に来ています。

本の内容はバッハからラヴェルまで10人の作曲家と、それぞれいくつかの曲を取り上げて語る、というものです。

その中のモーツァルトの部分、ここ2年ほど、私自身がモーツァルトを中心に学んでいるため、「なるほど!その通り!」と心から思った部分があるので、少し長くなりますが、ご紹介します。

モーツァルトのピアノ作品はオペラに近い性格を持っていると思います。

複数のキャラクターが出てくる。一つの主題の中にもキャラクターがたくさんあります。

ぱっと見たらそこまでとは見えないかもしれませんが、登場人物がつねに入れ替わりながら動いている感じがします。

たとえば、舞台上のジェスチャーとか目の動き、あるいは休符ですね。しゃべっていなくても、シチュエーションによってキャラクターが笑ったり泣いたり、いろいろ動く。

演奏者にとっては、それをどうやって微妙なカラー(色)で描き分けるかが重要です。

一見単純な譜面の中に多くの人物というか、キャラクターが隠れている。それを見つけて表現する。

弾き手のイマジネーションが必要とされる音楽です。

あるいはドラマ全体の動きを見せる。おおげさにいえば、一つ一つの音でそれを見せる。

細かいディテールを描かずに全体だけを見せようとしても無理。変化するハーモニーの細かいニュアンスを見せられるかどうか。

それによって登場人物が生きた人間になるか、それとも単に肖像画の中の人物になるか、です。

モーツァルトのピアノ作品がオペラに近い性格を持っていること、微妙なカラーで描き分けていくこと、変化する細かいニュアンスを見せていくこと。

私自身は、この微妙なカラー・細かいニュアンスが、今学んでいるロシアの奏法によって、それ以前より、とても描きやすくなりました。同時に、変化を感じる力そのものも大きく変わってきました。

「モーツァルトは難しい」と学生時代、そう思っていましたが、今はとても楽しく弾けるようになりました。響きで音楽を作っていくことができるようになってきたからこそ、だと思います。