子育て

2018.02.05

とりあえず始めてみる

こんにちは。

昨日の午前中、この辺りでは少し寒さが緩んだ感じがしました。

受験シーズンでもあり、インフルエンザの流行がおさまってくるかな、とちょっと期待しました。

今日は、ピアノの練習にも、学習にも関係する「とりあえず始めてみる」ということについて書いていきます。

 

中学校で教員をしていた頃、いかに学習習慣をつけていくか、ということは常に課題でした。

やはり、中学生の学力向上のためには、毎日学習する習慣は欠かせません。

私は国語科担当だったので、学年の仕事分担に中で「学習担当」をすることが多くありました。

各教科のテスト範囲をまとめたり、学習習慣をつけるための取り組みを提案したり、長期休み中の学力向上のための教室を計画したり、という仕事です。

ですから、いかに生徒に学習する習慣をつけていくか、ということについては、いろいろ調べていました。

 

学習習慣のない生徒の多くが言う言葉は「やる気が出ません。」です。

ただ、最近の脳科学研究の成果によると、「やる気が出なくても、とりあえず始めることで脳を刺激する」のだそうです。

それを知ってからは、「やる気がなくてもとりあえず何かしましょう。」ということを言うようにしました。

その時に、「やりやすいものから始める」ということも付け加えました。

とりあえず「何か」やっているうちに、脳が刺激され、「アセチルコリン」という集中力を高める物質が出てきます。

「英単語を書いてみる」「漢字練習をしてみる」「教科書の音読をする」など、やりやすいものをやっているうちに、小さな達成感が生まれ、欲求が満たされたときに出る「ドーパミン」が出てきます。

 

ピアノの練習も同じですね。

最初の内は、やりたくて始めたはずのピアノ。でも、始めてしばらくすると、毎日の練習がついおっくうになってしまう時もあるかもしれません。

そんな時は、「ピアノの前に座る」「とりあえず何か始める」ということが大切です。

私が子どもの頃、だいたい最初に練習することになっていたのは、「ハノン」でした。これももしかしたら、「とりあえず指を動かすうちにやる気が出てくる」という「とりあえず」の何かという意味合いもあったのかな、と今になって思います。

2018.01.31

できたことに目をむける

こんにちは。

幼稚園でも、小学校でも、インフルエンザが大流行の様子。

お教室の生徒さんにも影響が出始めています。

手洗い、うがい、十分な睡眠で予防をするとともに、かかってしまった方は、どうぞお大事になさってくださいね。

 

1月が今日で終わります。私は、1ヶ月の終わりには、今月のふり返りをするようにしています。

「反省」ではなく、「ふり返り」というところが大切で、「自分ができたこと」「進歩したこと」を中心に考えるようにしています。

反省だと、「ここができなかった」「ここがまだ不十分」というように、悪いことばかりが先行してしまいがち。でも、それでは、次に進むエネルギーがなかなか湧いてきません。

「できたこと」を中心に考えると、その中で「もう少しこうしてみよう」と行動するエネルギーにつながっていきます。

もちろん、先送りしてしまったこと、不十分だったこともいろいろありますので、それは、来月の「課題」としてできるだけ具体的にスケジュールに入れていくよう、考えていきます。

 

子育て中はついつい「まだやれないこと」に目を向けがちですよね。

私自身も、そうなってしまったことがたくさんありましたし、教員としてもそういう部分がありました。

親として、あるいは担任や教科担当として、もっと向上してほしいと思うからこそ、そうなりがちです。

でも、子どもは日々成長していきますし、どんどんできることが増えていきます。

できるだけ、できたことに目を向け、「ほめる」という形で評価するのではなく、保護者自身が「感心する」という形で気持ちを伝えていく。

それが、子ども自身の中でエネルギーとなって、次へのチャレンジにつながっていきます。

(もちろん、やって良いこと、悪いことをきちんと教えていくことは言うまでもありません。)

 

なかなか難しいことではありますが、意識するだけでも変わってきます。

自分自身に対しても、お子さんに対しても、「できたこと」「進歩したこと」に目を向けるようにしていく。

ちょっと心がけてみませんか。

2018.01.26

ピアノにも学習にも大切な「習慣」をつけるために

 

 

こんにちは。

今、ブログを書き始めようとして気がついたのですが、昨日までで投稿が99記事。ということは、これが100記事めということになりますね。

ホームページを開設して、ブログを書き始めた時には、「まず100記事」と思っていたのですが、ようやく達成できたことになります。

これも読んで下さる方がいるからこそ。本当にありがとうございます。

 

さて、ピアノの練習にも、学力向上にも大切な「習慣」をつける力。ブログ100記事とも関係しているので、今日はこのことについて書こうと思います。

中学校教員の時代には、常に「生徒が家庭学習の習慣をつけるためにどうしたら良いか」ということを考えてきました。

やはり、毎日机に向かう習慣をつけることは学力向上に欠かせません。

まず、生徒には日課表を書いてもらいます。その中で学習時間を必ず入れるように言います。

三者面談などで保護者の方とお会いする機会があれば(中3だと特に何回かお会いできますから可能です)、いっしょにその日課表が実現可能かどうかを検討しました。

今までお風呂から出てから勉強しようと「思って」いたのだけど、眠くなってしまうので、お風呂に入る前にやる、という生徒も多くいました。

帰ったら、すぐ「何か」やることにする、という生徒もいました。

 

 

ピアノの場合も同じです。

生活の中で、どこかを「ピアノの時間」と、まず決める。実現可能かどうか、ご家族で検討する。お子さんにお渡しするレッスンノートには、日課表を入れています。

無理なくできる時間帯を決められると、それだけで習慣にしやすくなりますね。

もう1つのポイントは「ハードルは低く」するということです。

今まで0だったものを、いきなり1時間練習する、というのは大変です。

習い始めは3分でも5分でも良いので、「できた」という経験を積み重ねていくことが大切です。

 

 

さて、このブログですが、やはり日常生活の中で、定位置を決めるまでに試行錯誤しました。11月は葬儀その他でだいぶ日常生活が変わってしまいましたし。

結局「朝」を活用することにして、そのために、家事の時間を組み替え、ようやく習慣として定着しました。

大人でも同じですね。何かご参考になることがあれば幸いです。

2018.01.25

親子で楽しむ読み聞かせ

こんにちは。

今日は、少しピアノとは違う「読み聞かせ」のお話をしますね。

私は教育学部出身で、大学では音楽と国語の教員免許状をとりました。

ふとしたきっかけで、音楽ではなく国語の教員として30年間中学校に勤めて、指導法も研究しましたので、こちらは「もう一つの専門」ということができます。

その中で、ずっとテーマにしていたのが、「読書」でした。

自分で読書を楽しむお子さんに育てるために「読み聞かせ」はとても効果があります。

でも、それ以上に同じ本を親子一緒に読むという時間、そのものがとても幸せなものですよね。

 

では、どうやって読んだらいいのでしょう?

実は、どう読んでも良いのです。一緒に楽しむ、という姿勢が一番大切なのです。

以前、俳優さんが家庭でお子さん達に声色をつかって演劇のように読み聞かせをする、というお話をなさっているのを聞きました。

きっと臨場感あふれる読み聞かせになっているなあ、と思います。俳優さんならではのすばらし読み聞かせです。

一方、私が大学時代から卒業してしばらくの間、師事した国語科教育の先生は、「淡々と読む」ことを勧めていました。

子どもたちが頭の中で自分のイメージを作れるように、とのことでした。

 

実は「淡々と」読んでいるつもりでも、読み手のイメージが読み方には表れてきます。

私も、教えていた中学生に「先生、どうしてそんなふうに感じを込めて読めるんですか?」と聞かれたことがありました。自分では師の教え通り「淡々と」読んでつもりだったのですが。

でも、同時にその生徒は「会話の様子がとてもよくわかります。」と言ってくれたので、たぶん、その生徒のイメージを描く力が優れていたのでしょう。

 

子育て中の私は、寝る前の読み聞かせは日課でした。それは、今思い返しても、とても幸せな時間です。時々(けっこう頻繁に)読んでいる途中で私が眠ってしまい、本がいきなり上から降ってきて、痛い思いもしましたが。

でも、おかげで、読書が大好きな子に育ちました。小さいお子さんをお持ちのお父さん、お母さん、読み聞かせ、本当におすすめです。

2018.01.15

ピアノ(音楽)を学ぶとコミュニケーションにも役立つ

こんにちは。今日も寒いですね。

朝、ヒーターをつける前に温度計を見たら、室内で4.5度でした。二重窓にしていますから、これは相当な冷え込みです。

 

さて、「音楽を勉強すること」と、「話し手の言葉に込められた感情を理解しながら聞くこと」には関連性がある、ということをご存じですか?

ピアノを学ぶこと、音楽を楽しむことは、人生を豊かにすると昨日も書きました。

それだけでなく、コミュニケーションに大切な「話し手の言葉に込められた感情を理解しながら聞く」能力も高められるとしたら、人生をさらに豊かにする別の要素もはぐくまれることになりますね。

 

私は、中学校で教えていた頃、毎週末都内の大学に通って、カウンセリングを集中して勉強していた期間がありました。

そこで学んで以来、音楽を聴くときの感覚と、カウンセリングで相手の話を深い背景まで聞こうとするときの感覚がとても似ていると感じていました。

「ピアニストの脳を科学する」という本の中で、そのことについて述べられている部分を見つけたとき、「あ、やっぱりそうなんだ。」と納得しました。

これは国内外の脳科学の研究論文をもとに、ピアニスト(時にはもう少し広く「音楽家」)の脳がどのように働いているかを解説している本です。

シカゴのノースウェスタン大学のクラウス教授の研究結果をもとに説明していますので、ちょっと紹介しますね。

クラウス教授は、音楽家とそうでない人に、2種類の赤ちゃんの泣き声を聞かせ、そのときの脳幹の活動を調べました。1つは普通の声で、もう一つは赤ちゃんが何かを表現しようとしているときの声です。(中略)この2種類の声を聞かせた結果、赤ちゃんが何かを表現している声のときのみ、音楽家の脳幹は(音楽家でない人に比べて)より強く活動することがわかりました。つまり、感情を伝達しようという声に対しては、音楽家の脳は敏感に反応するということです。

余談ですが、この一連の研究をおこなったクラウス教授は、音楽教育は、言語能力や、他人の感情を理解する能力を発達させることに密接に関係していると確信し、アメリカで現在起こっている、初・中等教育から音楽の教育を減らそうとする動きに対して、反対の意見を表明しています。

残念ながら、日本でも、学校での音楽や美術の授業時間は以前に比べて減っています。

そして、本来芸術は「こういう役に立つから」ということで学ぶものではありません。

でも、目に見えない「大切な何か」がその中にあるからこそ、今まで様々な芸術が受け継がれてきました。

脳科学の発達で、今までは目には見えなかった「大切な何か」がだんだんと分かってきた。

この「音楽の勉強」と、「話し手の言葉に込められた感情を理解しながら聞くこと」の関連性は、その一例ではないかと思います。

2018.01.08

二十歳になった教え子たちとの再会

こんにちは。

ピアノと全く関係のないお話ですが、とてもうれしかった出来事です。

今日は成人の日ですが、昨日、私がかつて中学校で教えていた時、担任した生徒たちの成人式と同窓会がありました。

20歳になったかつての教え子と再会。とても楽しいひとときでした。

最初のうちはよそゆきの顔をしているし、男の子は顔の輪郭がシャープになって、髪の毛も伸ばしているので(中学校時代はスポーツ刈りが多かった)、女の子は髪型もメークも華やかになっているので、誰なのかはなかなかわかりません。

でも、しばらくたつと中学校時代の表情が出て来るとあんなこともあった、こんなこともあったとかつての思い出もいろいろ出てくるし、今頑張っている話もたくさん聞けました。

手紙を取りに行く係なのに、帰りの会に間に合わなくて閉め出された話。それは、あまりにも毎日、帰りの会に遅れたからでしょう。

漢字のプリントの宿題が間に合わなくて、友達に書いてもらった。丁寧に書くとばれるから雑に書いて、と頼んだ話。どおりでいつも字が汚いわけです。確かに丁寧に書くとばれますね、誰の文字なのかは分かっていましたから。

「看護学校の寮に入って、病院の仕事もしながら勉強しています。」「経済学を学んで、今はマクロ経済を勉強しています。」「土木を学んでいて、世界に仕事場があると言われています。」「地域経済学を学んでいます。これからの社会のあり方は先生によってもビジョンが全然違います。」「パティシエの学校に行って、就職が決まりました。」「自衛官になりました。」「工場で車の部品を作っています。」「結婚しました。今は実家にいるけど、これからお金を貯めて独立します。」「大学の部活で絶対レギュラーになる。」等々。

家から出て暮らしている子たちは、みんな口をそろえて「親のありがたさがよくわかった。」と言っていました。当たり前のように、食事を作ってくれて洗濯してくれて。そういうことのありがたさ、大切さを実感して感謝しているそうです。

帰り際に「みんな、柔らかくなった感じがします。」と言った子がいましたが、それはその通り。逆に中学校時代は一番とがっている時代ですから。だからこそ、思いっきりぶつかるし、その中で大きく成長する時代でもあります。

人を育てる仕事に関わっているからこそ、味わえた一時でした。

2018.01.07

保護者のピアノ経験をお子さんに生かすために

こんにちは。

ここのところ、寒さが一段と厳しくなってきましたね。

 

お子さんにピアノを習わせるご家庭の保護者の中には、ご自分もピアノをお弾きになった経験のある方がたくさんいらっしゃいます。

私がうかがった限りでも、「中学校の時、合唱の伴奏を弾きました」という方もいらっしゃいましたし、逆に「私は小学校の間ずっと習っていたのですが、好きではなくて上達しませんでした。」という方もいらっしゃいました。

お子さんにとって保護者の方が経験者であるということは、とてもありがたいことです。

まず、多くの場合、身近に音楽に親しむ環境が既にあるということです。例えば、ピアノ演奏のCDがあったり、お父さまやお母さまがかつて弾いた楽譜があったり。これはどんな曲なのかな?と興味関心を持つきっかけになります。

2つ目にはお子さんのピアノのサポートができるということです。特に、お子さんが小さいうちは、先生のところで習ってきたはずなのに、家に帰るとよくわからなくなっている、ということもよくあります。

そういうときに、ご家庭の中で教えてあげることができます。

また、レッスンの様子を見ていて、このリズム打ちがよくできないな、ということに気づくことができて、お家で練習の回数を増やすこともできます。

 

一方、「親」の立場でお子さんにアドバイスをする時には、親子ならではの難しさがあります。

1つは、先生の意図とお父さまお母さまのかつて学んだ経験との間にずれがある時。音符の読み方やリズムなどは、そう違うわけではありませんが、手の使い方、姿勢、教本の進め方などは、教える側にも、教わる側にも個人差が出てくるところです。

私の場合は、レッスンを見ていて、何か疑問に思った時には、ぜひ意図を聞いていただきたいと思います。特に、ロシアの奏法は、日本での一般的な奏法と異なる部分があるので、遠慮なく質問していただきたいと思います。

もう1つは、成長してきたら(個人差もありますが、小学校の4・5年生くらいからでしょうか)、お子さんがアドバイスをいやがるようになってくる場合が多い、ということです。その時には、「聞かれたら答える」というスタンスに徹するということが大切です。

私の場合は、ピアノではないのですが、やはり経験があります。中学校に入ったとたん、息子が作文を全く見せなくなりました。

夏休みの宿題は、封筒があって夏休み中でも提出できるシステムだったらしいのですが、ある日「宿題の作文は?」と聞くと「もう提出した。そろそろお母さんに聞かれると思ったから。見せると何か言われるし。」と言われました。

高校2年生くらいから、書いたものに対してまた意見を聞かれるようになりましたから、自分がそれなりに自立した実感が持てるまでは、距離を置きたいものなのだな、ということの良い経験になりました。

親としては、「こうすればもっと上達するのに」という思いで言いたくなるのですが、そこはお子さんの成長の過程ということでぜひ見守っていきましょう。

逆に経験者のお父さまお母さまであれば、お子さんのレッスンをきっかけにご自身がまたピアノを弾かれると、お子さんにとっても良い影響が出てくると思います。

2017.12.30

古典の暗唱をしてみませんか

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

生徒さんではありませんが、知り合いの中学生が「外郎売り」を暗唱して聞かせてくれました。

アナウンサーや役者さんがそれを練習するという話は、聞いたことはあるけれども、実際にそれを暗唱できる人は知らなかったので、「ちょっとやってみて。」というと、「全部は言えない」と言いながらも最初のくだりを言ってくれました。

以前バレエを習っていて、そのバレエ教室で教わり、小学校3年生の頃覚え、その後また6年生でさらったそうです。

また以前に、ニュージーランドで高校生活を送った人と話をしたところ、あちらでは、「とにかくシェークスピア」とのこと。戯曲の一部をかなり暗唱させられたそうです。

日本の学校教育ではどうでしょうか。私も中学校で古典を教えていたときには、1年生で竹取物語を、2年生では、枕草子、平家物語、徒然草、3年生では奥の細道、とそれぞれの冒頭部分を課題として暗唱させましたが、本当は冒頭だけでなくて、もっと内容も覚えるようにしていけば良かったのかもしれません。

学校によっては、百人一首を暗唱させた時もありました。

暗唱することによって、リズム感が身体で分かります。ある程度は内容も理解しないと、どこで区切るかもわかりません。ですから、暗唱というのは、それを自分の中にしっかりと入れていくために有効な手立てだと思っています。

特に、小さいうちは無理をしなくても、遊び感覚でどんどん覚えられますから、いろいろな古典の一節などを暗唱すると、日本語の引き出しが増えて良いのではないでしょうか。

私自身は、小学校2年生からお正月に、家族で百人一首をしたので、それでだいぶ覚えました。おかげで、高校に入ってからの課題であった百人一首の暗記も、教員になってからの百人一首大会の読み手も、苦にならず、助かりました。

これからお正月。遊んでいるうちに古典に親しめる百人一首、家族で楽しんではいかがでしょうか。

記憶力アップにつながり、ピアノにも良い影響があると思います。