小・中学生のレッスン

かえるは5匹!

昨日の「曲のイメージを考える」の続きになりますが、お話を考えたり、どんな景色を曲にしたりしたのかを、いっしょに考えていいます。

いろいろな風景が眼の前に描き出されてきて、話を聞いているととても楽しくなりました。

大きいかえると、小さいかえる

「かえるの行進」という曲を弾いている生徒さん。小学校2年生です。

「どんなかえるなの?行進、ていうけど何匹くらいいるの?」と聞くと、元気よく、「かえるは緑だよ。大きいかえると中くらいのかえると、小さいかえるがいるんだよ。」とはっきりした返事が返ってきました。

「そうなんだ。」
「強く弾くところは、大きいかえるがぴょん、って跳ぶところ。弱く弾くところは、小さいかえるが跳ぶところ。」

「じゃあここは?」とメゾフォルテの部分を指して聞くと、
「そこは、中くらいのかえる。」

「じゃあ、○○ちゃんの頭の中には、何匹かえるがいるの?」
と聞くと、楽譜を見ながら数え始めました。

「ここに中くらいのかえるがいて、ここにもう1匹いて、ここで大きいかえるで、ここは小さいかえるで、ここに中くらいのかえるがもう1匹。全部で5匹いる。」

「行進」という題名ですから、5匹くらいはいそうですね。話を聞いていて私の頭の中にも、かえるが行進している様子が浮かんできて、とても楽しくなりました。

イメージがはっきりしていているので、それが聴いてくれる人に、より伝わるように、さらに表現の仕方を工夫していきます。強さ、弱さの度合いも考えていきます。

ひなたぼっこをしているのは

「ひなたぼっこ」という曲を選んだ生徒さん。「だれがひなたぼっこしているところなのかな?」と聞くと、「犬!」という返事。

ちょっとびっくりして、「犬?どんな?」と聞くと
「茶色と白の犬。」
とこちらも頭の中に、景色が浮かんでいるようです。

「どんな場所で?」
「中くらいの広さのお庭。犬用のすべり台があるお庭。」

犬用のすべり台は、どこかのドッグランで見たそうです。頭の中に、その時の風景が浮かんでいるのかもしれません。

「じゃあ、そこにいる犬が、どんなふうにひなたぼっこしているのか、お話を考えてみようね。曲がここでこういうふうに変わっているから、犬は動いたのかな?誰か来たのかな?」

昨日は、そこでちょっとつまってしまいました。犬がひなたぼっこしているところが頭に浮かんだのかもしれませんが、途中で曲調が変わっている部分もあります。そこのお話までは、ちょっとすぐには浮かばなかったのでしょう。

次回までに考えてくることになっています。どんなお話が聞けるのか、楽しみです。

想像力をはたらかせて

いろいろな場面を想像していく。想像力をはたらかせて、考えていく (もちろん曲に即して) 。そうすることで曲の変化の様子を、より具体的に表現できるようになります。

昨日書いたピアニストのレッスンでも、歌詞のないピアノ曲の中に、情景を描き、それを表現することを教えてくれていました。

バロックの舞曲では「そこは、王様と女王様がこうやって踊っているところ。」ラフマニノフのピアノ協奏曲の一節について「そこは、亡くなってしまったかつての恋人を思って、叫んでいるところ」というように。

小さいうちから「自分の音楽を表現する」ことを大切に積み上げ、想像力、創造力を培っていきたいと考えています。

初見で弾く力

ピアノを弾く上で、「自分で楽譜を読む力」はとても大切だと考えています。自分で音を確認できて、リズムも取れる、それができると楽譜にある音楽を、実際の音にしていくことができます。

「うたあそび」の中にも、時々その課題がありますし、レッスンの中でも、音符をドレミで言ってみたり、リズム打ちをしてみたり、初めて見た楽譜を音にしていく活動を入れています。

「あかいかわのたにま」を弾く

先日、3月から来始めて4ヶ月が過ぎた小学生のお子さんのレッスンがありました。発表会にも参加する予定ですし、とても一生懸命練習してきます。

前回、「てをたたきましょう」の後半を自分で弾いてきました。今回は「ピアノひけるよ!ジュニア1」の最終曲、「あかいかわのたにま」です。

この曲は3拍目から始まるのでリズムが難しいと感じる生徒さんも多いです。ですから、先にボンゴでリズム打ちの練習をしました。

右手で弾く部分は右手で、左手で弾く部分は左手でたたきます。何回か練習して、上手にたたけるようになってから、ピアノに移動しました。

音符の階名を確認して、実際に弾いていきます。初めて弾くのに、とてもスムーズに弾けていて、私も驚きました。

生徒さん本人もうれしそうです。その後、「うたあそび」のリズム打ちもしましたが、こちらもとてもスムーズでした。

初見奏の課題を弾く

「うたあそび」にも、初見でピアノを弾く課題が、時々入っています。2年生になった生徒さん、「うたあそび」が大好きで、毎回とても楽しみにしています。

時間によって、課題が2つあっても、1つしかできないこともあるのですが、昨日は少し余裕がありました。

「季節はずれ~」と笑いながら、「ゆき」を歌って踊って楽しみました。その後、「初見の課題をどうしようかな?」とこちらが考えている間もなく、生徒さんが「先生、これ、やってみる。」とのこと。

「じゃあ、弾いてみようか。」ということで、ピアノに移動して、課題を弾いてみました。「ゆき」の中で付点をなくして、4分音符のリズムの音だけを拾い出した楽譜です。

「ソソソミ ミミミド ミードレミードレ ミソレミレ…」

時々つまづくことはありながらも、最後まで弾ききりました。「2回目は歌いながら弾いてみようか。」ということで、いっしょに歌いながら弾きました。

「できた~!」と生徒さん本人も大喜びです。

少しずつでも着実に進歩

1回ずつはほんの少しの違いかもしれませんが、読譜力が着実についていることを感じました。

読譜力があるのとないのとでは、ほんとうに大きな違いになってきます。新しい曲に取り組むときの抵抗感がまったく違います。楽譜が読めれば、新しい曲にいろいろ自分でチャレンジすることもできます。

さらに、小学校の伴奏者オーディション。生徒さんがチャレンジしてきて、よく分かりましたが、楽譜をもらってから、オーディション当日までの期間は意外に短いことが多かったですね。

読譜に自信があれば、こういうものにも積極的にチャレンジすることができます。

少しずつでも着実に進歩できるよう、いろいろな工夫をしていきます。

したい表現ができるようになるためのレッスン

音楽を作っていく上で、「どう感じるか」ということはとても大切です。どんな曲にしていきたいかというイメージを作っていく。

同時に、技術的な側面として、「どうしたらその表現ができるようになるか」ということもとても大切です。

和音の中の一つの音を聴かせたい時

先日、湯山昭「お菓子の世界」の中の「ボンボン」をレッスンしました。この曲は、とてもおしゃれですてきなワルツです。

メロディーは子指で弾く。内声があって、そこを親指と中指で弾く。そんな部分があります。

どうしても、親指と中指のほうが力があるので、子指で弾いているメロディーが聴こえなくなっていました。

「子指の音を意識して聞こえるようにしましょう」では、なかなか聴こえてくるようにはなりません。もちろん、メロディーを意識することは重要な第一段階です。

でも、私自身が受けてきたレッスンを振り返っても、そこで終わっている場合が多かったように思います。

手をどのように使えば、メロディーが浮かび上がるように弾けるのか、ということを示していく必要があります。これがレッスンの重要なポイントです。

手首の位置、手の傾け方、手を鍵盤に入れる時の方向、小指の支えの作り方。こういうことを確認していきます。

歯切れの良い音色にしたい時

同じ「お菓子の世界」の中のチョコバー。こちらでは、フォルテの響かせ方です。メゾピアノから始まり、フォルテまでだんだん強くなっていく。

せっかくですから、同じ音色が並ぶのではなくて、音の色合い、響きも変わっていくと、より魅力的です。

こちらも、手の使い方を話しました。指を伸ばして、支えを意識して斜め奥に入れていく。この手の使い方をすると歯切れの良い響きのフォルテが出ます。

もちろん、肩、肘の使い方も大切です。力がしっかり鍵盤にのるようにします。

自分の引き出しを増やす

私自身の引き出しがどれくらいあるか、ということはレッスンの質に関わってきます。

先日のガブリーロフに一緒に行った、大学時代の先輩でもあり今は同門でもあるピアノの先生も「自分が勉強することで、レッスンが変わったのよ。」と言っていましたが同感です。

どうしたら、自分の持つイメージが表現できるようになるのか?どうしたら、ほしい音が出せるようになるのか?どう手を使ったら弾きやすくなるのか?

それをできるだけ「具体的」に教えることができるようになること、これが大切だと考えて、また私もしっかり勉強していきます。

忙しいけどピアノも頑張る

一般的に、中学生は、小学生よりも忙しいかもしれません。まず部活動。基本的に完全下校時刻が今の時期だと夕方6時ですから、そこまでは学校にいます。

行事も生徒が企画して放課後の時間を使っ準備していきますから、学校にいる時間がとても長い生活になります。

ピアノは良い気分転換

レッスンに来ている中学生も、とても忙しそうです。

吹奏楽部に入ったので、「この前の日曜日は1日部活だった」とか、「先輩たちが演奏するから、楽器運びでホールに行ってきた」とか、部活動の話題も多いです。

5月には体育祭もありました。近隣の学校は5月に行うことが増えてきましたが、1年生は入学してまだ間もないので、体力的に大変かもしれません。

塾に通うと、塾の宿題もあります。英検対策があり、英検も受けます。中間テストに期末テストの日程…。

話を聞いていても、充実感が伝わってくる反面「忙しそう」という思いもありました。

そんな中で、小さい頃から続けてきたピアノもきちんと練習しています。発表会に向けて譜読みをし、曲の最後まで弾けるようになってきました。

「ピアノは良い気分転換になっているようです。」とお母様もおっしゃっていました。

確かに、勉強での頭の使い方と、ピアノでの頭や身体の使い方は全く違います。好きなことでもあるので、良い気分転換になります。

ありたい自分の姿をイメージする

自分自身の時間の使い方、過ごし方を考える上で、ありたい自分の姿をイメージすることはとても重要です。

このありたい自分の姿のイメージは変わっても良いのです。中学生なら、多くの場合、変わっていくでしょう。

ただ、その時点での「夢」「希望」を持っているということ、そしてその夢や希望にに向けて今の自分の行動を考えていくこと、そのものが大切です。

先程の生徒さんの場合、自分の5年後のイメージをはっきり持っています。こういう仕事に就きたいから、大学でこういう勉強をしていきたい、というイメージです。

だから、今、忙しくてもそれを「充実感」ととらえ、楽しみながらせいかつすることができる。ピアノも好きだし、こういう曲を弾いてみたい、という目標もあるから練習できる。

それが今の段階でできているというのは、とてもすばらしいことだと考えています。

10年後をイメージしてレッスンする

去年今年にピアノを始めた、幼稚園生、小学生にとって、こういう中学生の存在は、自分の未来の姿を考える1つのモデルになります。

ピアノのレッスンで幼稚園生や小学校低学年の生徒さんに関わらせていただくということは、短くても6~7年、長ければ10年以上のお付き合いになります。

私自身も、中学生のこの頑張る姿、そして、中学校教員時代に見てきたたくさんの生き生きとした中学生の姿を思い描き、10年という単位で、5~7歳の生徒さんに接しています。

音楽を通して 豊かな「感性」と表現力を身につけること。練習の習慣をつけることを通して「勤勉さ・誠実さ」を身につけること。

さらに、「やればできる」という自己肯定感を、体感すること。

生きていく上で大切なこれらのことを身につけていく。そんな姿を思い描きつつ、日々レッスンをしています。

1年でこんなにできるようになった

小学校1年生の生徒さん。年長さんだった去年の7月からレッスンを始めてちょうど1年になります。

きのうは、発表会の曲のレッスンをしたあと、「うたあそび」でリズム打ちをしました。

両手ですらすら弾ける

発表会の曲は2曲とも譜読みが終わって、両手で弾ける状態になっています。グルリットの「こもりうた」は前回のレッスンの時に、曲想について、一緒にイメージを作りながら練習したので、ずいぶん表情がついてきました。

ピアニッシモの表現が特に上手できれいに弾けています。

もう1曲、同じくグルリットの「かり」は、楽譜通りに弾くには手が小さいので、本来左手で弾くところで右手を使ったりして、少し指遣いが変則的になってしまいました。

ですから、弾きにくいはずなのですが、こちらもお家での練習をしっかりしてきて、上手に弾けるようになってきました。

両方ともすらすらと弾けるようになっています。最初の頃は「難しいと言っているんです。」とお母様がおっしゃっていましたが、これなら大丈夫。

リズム打ちが1人でできた

うたあそびも2冊めに入り、「かわいいかくれんぼ」です。1回めはリズム打ちだけ練習しました。

その時の様子を見ていると、自分で「1234…」と拍子を感じながら、太鼓をたたいています。そして、まったく間違うことなく、正確にリズム打ちができました。

歌を知っているとのことだったので、その後、一緒に「ひよこがね…」と歌いながらリズム打ちをしました。歌いながらのリズム打ちもバッチリできました。

次に、その下に書かれているリズムを打つ練習です。4分音符、4分休符、8分音符、2分音符、全音符。全音符だけはそれ1つが書かれていますが、あとは、2種類の音符や休符が混ざっています。

さっきとてもスムーズにリズムが打てたので「1人でやってみようね。」ということで様子を見ました。

6種類の課題。まったく迷うことなく、全部さっとできました。

1年でこんなにいろいろできるようになった

そばで聴いていたお母様に「始めてからほぼ1年ですが、ずいぶんいろいろできるようになりましたね。」と話すと

「ほんとうにそうですね。すごいですね。」とおっしゃっていました。

この生徒さんの場合、地道に練習を続け、自分が納得するまで弾いてきます。その積み重ねがこの結果につながったのです。

お子さんの力はすばらしいです。たくさんの可能性があります。

そして毎日の積み重ねを続けることによって、その可能性を自分自身で引き出し、伸ばしていくことができます。

生徒さんのそんな成長ぶりを見ることができて、私もとてもうれしく思いました。

曲のイメージをつかむ

題名のついている曲の場合、題名からイメージをつかんでいくのも、曲を作り上げていく上で大切になっていきます。

絵を描く

1人の生徒さんはギロックの「おばけのあしあと」という曲を練習中です。ちょっと不気味な感じのする曲です。

英語での原題は”Spooky Footsteps”となっています。辞書では、spooky=不気味なとありましたが、「化け物」「おばけ」のような不気味さを表現する言葉です。

どんなイメージで弾いたら良いかな?と質問しようと思っていました。「日本のおばけには足がないよね。このおばけには足があるんだね。」と話してみると、「絵を描きたい」とのこと。

紙と鉛筆を出して、描いてもらうと、ハロウィーンのおばけを描きはじめました。ハロウィーンが身近になっているので、こういうイメージがすぐ浮かぶのですね。

不気味なおばけ、暗さ、家と火の玉などが描かれていたので、イメージはしっかり把握できているようです。

写真を見る

別の生徒さんも同じギロック作曲の「フランス人形」という曲を練習中です。

原題は”French Doll”となっています。調べてみたのですが、アメリカでの「フランス人形」立ちは違うものの、日本のフランス人形のイメージに近いように思います。

「『フランス人形』って知っている?」と聞いたところ、「知らない」というので、写真をいくつか見せました。

「かわいい~!」という反応。確かに、フワフワのドレス、巻いた髪の毛…とてもかわいいですね。

このお人形さんの感じで弾いていこうね、ということで、練習。今は両手の練習なので、このあと、ペダルがついていけば、イメージに近づけるでしょう。

自分なりのイメージを作っていく

曲を表現していく上で、自分なりのイメージを作っていくことは、とても大切です。

写真を見る、絵を描く、言葉で話す、さまざまな要素を使って自分の中で曲のイメージを作っていきます。

それがはっきりすることで、自分の中にある、「こう弾きたい」がより具体的になっていきます。

「先生がこう弾きなさい」と言ったから…ではなくて、自分で感じた「こう弾きたい」を表現していく。それを目指して、曲作りをしていきます。

「うたあそび」は楽しい

幼稚園~小学生の生徒さんには「うたあそび」を使っています。これがとても楽しくて、生徒さんも楽しみにしています。

生徒さんがよく知っている「歌」で楽しむ

おもしろいと思うのは、みんな、一曲終わると、「次は何かな?」と自分で楽譜のページをめくって「次は森のくまさんだ」「つぎはこぶたぬきつねこだ」と確認して、付箋をはっていくのです。

「うたあそび」は「たのしいソルフェージュ」とついているように、読譜やリズムのテキストです。

見開き2ページで1組になっていて、左側のページには、歌が、右側のページには歌に合わせて踊ったり、手遊びをしたり、リズム打ちをしたり、という課題が載っています。

知っている曲に合わせて、いっしょに歌ったり踊ったり、手遊びをしたり、と私もいっしょに楽しんでいます。

先日も、「げんこつやまのたぬきさん」の最後、「またあした」のところでじゃんけんをしたのですが、なかなか勝負がつかずに、大笑いしました。

読譜とリズムうち

そうやって、リラックスした雰囲気の中で、「この音符を読んでみよう」とか、「リズム打ちをしてみよう」と右ページの課題をすると、楽しく取り組むことができます。

リズム打ちも、歌に合わせてリズムをたたいたり(だいたい太鼓を使いますが、時にはタンバリンやカスタネットも使います)、音符のカードがあったりと、パターンもいろいろ。

読譜も「おおきなこえでよんでみよう」と読むこともありますし、時に「うたってみよう」となっていたり、「ピアノでひいてみよう」となっていたり、いろいろなバリエーションがあります。

時々「時間がないから…。」と、踊りだけ踊って課題を省略しようとすると、「先生、これは?」と催促されて、音符を読んだり、ピアノで弾いたりすることもあります。

慣れていくことが大切

「うたあそび」のおかげで、音符を読んだり、リズムが取ったり、ということがスムーズにできるようになっていくと実感しています。

以前、知人と話した時に、その人も、ご主人も、息子さんもピアノを習ったことがあるのですが、「楽譜を見ながら弾くのは私だけ。『見ながら弾く』のは特殊能力だと言われたの。」と言っていました。

でも、私の教室の生徒さんたちは、楽譜を見ながら弾けています。「特殊能力」ではなくて、そこの情報を得ながら弾くことが当たり前になっているからです。

やはり、ピアノの基本の1つとして、「楽譜を読むこと」に慣れることは上達に欠かせません。そして、そのためには、ソルフェージュの力を高めていくことはとても大切です。

歌ったり踊ったりして、いっしょに楽しみながら、ソルフェージュのちからを高めていきます。

空間の音を聞く

先日の調律の時に、「いつも、ピアノのふたはどんな状態で弾いていますか?」と聞かれ、「半開です。」と答えました。

「全開だと、響きすぎるような気がして…。」と言ったのですが、調律時に全開にして、その後、そのまま弾いてみたら、このほうが響きがよく分かって、しかも音が大きすぎるというわけでもありません。

そこで、練習やレッスンの時にも全開にすることにしました。

左右のバランスを聴き分ける

昨日のレッスンで、小学生の生徒さんの演奏を聴いていて、「低音が大きいな。」と感じました。

自分の手の感覚と、直接出てくる音を聴いているとそうなりがちです。

ちょうどピアノのふたは全開です。その先に私が立って、「このあたりの音を聴く気持ちで弾いていみて。」と言いました。

小学校1年生ですが、その感じをつかめたのでしょう。音が変わってきました。左右のバランスが良くなってきたのです。

手の感覚だけでは、左右のバランスを本当にとらえることは難しいです。ちょっとした違いを修正することも難しいのですね。それが、空間に広がる音に注意を向けることで変わってきます。

姿勢が変わった

その後に来た中学生。やはり、右手の音よりも左手の音のほうが大きく聴こえます。

同じように、「ここの音を意識して聴いてみて。」と全開になっているふたの先に立ちました。

今度も明らかに音が変わってきました。左右のバランスが取れて、メロディーが心地よく聴こえます。

弾いた後、生徒さん本人が「そこの音を聴こうと思ったら、背中が伸びました。」と言いました。

以前にも、その生徒さんのお母様から、「姿勢が悪くて、時々言っているのですが、なかなか直らなくて。」というお話を伺ったことがありました。

「姿勢を直す」のではなくて、「自分の弾く音の先を聴き取ろうとする」「空間に自分の音がどう広がっているのか聴こうとする」ということで、姿勢が自然に変わっていったのです。

空間の広がりを意識する

音を聴く時に、漠然とではなく、空間のこの部分の音を聴こうと思う、と意識を変えることで、いろいろな身体の部分が調整されていくということがわかりました。手元のタッチから、姿勢まで、さまざまな要素があります。

実際に、ホール等で演奏する時には、さらに大きな空間、さらに広がりにある空間を意識していくことになります。

レッスン室の中であっても、あるいは練習の段階であっても、その空間の広がりについて意識を持てるかどうか、ということはとても大切です。

ふたを全開にすることで、生徒さん自身の中でも意識が変わっていき、演奏が変わっていく。

調律師さんのアドバイスでふたを全開にしたことで、生徒さんたちにも思わぬ良い影響があり、うれしくなりました。

これ、簡単だよ!

発表会の曲を決める時には、3ヶ月先には到達していてほしいというところを考えながら候補を選びました。

ですから、5月の曲を決めた時には、少し背伸びの状態でもあるわけです。ちょうど、片手ずつ交互に弾く段階が終わり、両手で弾く段階に入ったばかりの生徒さんが多かったため、特にそれを感じていました。

片手ずつにするか両手にするか

5月にちょうど片手ずつ交互に弾く段階が終わった、という小学校2年生の生徒さんがいました。

「連弾にする?少し頑張って両手で1人で弾く?」と生徒さん本人に聞いたところ、ちょっと迷って決めかねている様子。

お母様が、「頑張って両手で弾こうよ。」と背中を押してくれて、両手で弾くことに決めました。

1曲は「こいぬのマーチ」。これは去年、学校の音楽の時間に鍵盤ハーモニカで練習していて、右手はすぐに弾けます。これなら、左手と両手で合わせる練習に時間をかけることができます。

実際に、右手はすぐに弾けました。左手も、すぐに弾けるようになりました。両手で合わせる段階です。

1週間、お家で練習してきて、両手で弾けるようになっていました。お母様が「1小節ずつやりました。1小節できたら、次とつなげる、という感じで。」とサポートをしっかりしてくださったそうです。

弾けるようになったらスムーズに

2曲めは「ちょうちょう」。前回のレッスンで、右手の練習をしてくることになっていました。

今回のレッスン。張り切って教室に入り、右手で「ちょうちょう」を弾きました。上手に弾けています。

では、ということで、左手の練習。こちらも、「こいぬのマーチ」のパターンと似ているので、すぐできました。

両手で合わせていきます。最初の2小節くらいは何回かくり返しましたが、そこから先はスムーズに進みました。

「これ、簡単だよ。」とのこと。練習をして、できるようになり、さらにできることが広がっていきます。

お家での練習も頑張っている

お母様が「なんか、張り切っていて、昨日も何回も弾いていたんですよね。」とおっしゃっていました。

両手で弾き始める最初の段階は、やはりステップとして大きいのですが、そのステップを乗り越えられました。

張り切って練習しているので、レッスンでも積極的です。その場でのくり返しの練習も集中してできています。

発表会をきっかけに、練習そのものも、とても良い流れになり、ぐんと成長することができました。この後、どう仕上げていけるか、とても楽しみです。

離れた音に跳ぶとき

レッスンで「どこが弾きにくい?」「難しいところがある?」と聞くように心がけています。

昨日のレッスンでは、2人の生徒さんから「離れた音に跳ぶのが難しい」という話がありました。

ゆっくり確実になるまで練習する

最初の生徒さんの場合は、3拍子の伴奏の部分です。左手が低いソ→ファソシ→ファソシとなっています。その最初のソからファソシに跳ぶ部分が難しく感じるのだそうです。

確かに最初のソと次のファソシでは1オクターブ以上跳びます。特に手の小さなお子さんにとっては、大変に感じるでしょう。

まず、とてもゆっくり練習してみます。ソ→ファソシだけ取り出します。何回か練習しているうちにこの部分の移動は確実になってきました。

次にソの前のラドの和音も入れて、ラド→低いソ→ファソシという動きの練習をしました。

それも何回か練習して上手に出来たら、2小節分、レ→ラド→ラド→低いソ→ファソシ→ファソシの練習です。

「お家でもここだけ練習しようね。」と言うと「10回くらいかなあ?」と言うので、「最初は10回くらい練習したほうが良いかもしれないね。」と返事をしました。

「スイミングのある日は、5回でも良い?」と言うので、「できるようになったら5回でも大丈夫。スイミングのある日までには、できるようになるから大丈夫。」

きっと次回までには上手に弾けるようになっているでしょう。

指遣いをしっかり決める

次の生徒さんは左手の低い加線のド~低いドまで跳ぶ音程です。リピート記号直前の最後の音が低い加線のドで、戻った最初の音が1オクターブ上の低いドになります。

この場合、最初の小節に戻ると、ド→ソ→低い加線のソ→ソというように、左手の伴奏が続くので、その部分まで考えていく必要があります。

最初の小節に戻った時の指遣いを考えることにしました。楽譜には3→1→5→1となっていて、レッスンでもその指遣いで譜読みをしたのですが、練習しているうちに5 →1→5→1 と変わっていたのです。

「どうする? 3→1→5→1 なら跳ぶ距離は短いよね。 5 →1→5→1は練習して慣れている。 弾きやすいほうで良いと思うけど、決めたら、それでしっかり練習していくんだよ。」と言うと「楽譜通り 3→1→5→1 にする。」という返事。

では、ということで、やはり取り出して「低い加線のド→低いド」のゆっくりの練習をして、できるようになったら、2小節分をまた練習しました。

どうしたいか?を自分で考える

「弾きにくい部分を自分で意識する」ということは、主体的にレッスンを受けることにもつながります。

自分がどうしていきたいのか、という自分自身の演奏の将来像を考えることにもつながります。

昨日の生徒さんたちは、その部分をしっかり意識することができていました。ゆっくりの練習にも頑張って取り組みました。

二人とも次回はさらに上手になっていることでしょう。楽しみです。