奏法・響き

2019.03.18

ゆっくりと音色を考えながら練習する

先日のレッスンで、15種類のタッチを学んできました。先生のブログを読むと、すでに25種類まで増えています。

それだけのタッチを、どう使いこなしていくか。今の私の課題はそこにあります。

タッチを一つ一つ習得していく

まずは一つ一つのタッチについて、どんな響きの音なのかを確認しながら確実に自分のものにいく練習をしています。

直接レッスンで学んできた15種類だけでも、一つ一つ確認していくと、それだけであっという間に1時間が過ぎてしまいます。ただ、ていねいにその一つ一つを確認していくことで、耳も鍛えられている感覚があります。

さらに、左手の4,5の比較的弱い指がしっかりしてきた実感もあります。どうしても、右手のメロディーラインに意識がいき、左手がおろそかになりがちだったので、そういう意味でも、練習の良いきっかけになりました。

オクターブとトレモロのタッチも入ってきているので、特に良いのかもしれません。「手が小さい」とつい言い訳していましたが、以前に比べるとはるかにしっかりとオクターブがつかめるようになっています。

とにかくゆっくり音色を確認しながら練習する

それと同時に、そのタッチを、実際の曲の中で使えるようにしていく必要があります。私の場合には、まだ「自然に」使えるようにするには、時間がかかります。

まずは、とにかくゆっくり、一つ一つの音について、流れの中でどんな性格の音色にしていきたいかを考えながら練習する段階を作っています。

例えば、流れの中で強調したい音には、輪郭のくっきりするような音を選びます。前後の関係で使いにくいタッチもありますが、その場合は、そのタッチが使えるようになるまで さらにテンポを落として弾いてみます。

手になじむまで練習すれば、ある程度、テンポを上げた時にも出したい音に近いものがでるような感覚があります。

滑らかに下降する場合には、フェザータッチを中心に、その中でも重みのかけ方を変えていくように、考えながら、練習していきます。

演奏を変えるために

地道な練習ではありますが、一つ一つの過程をていねいにしていくことで、自分の音楽に対する感覚そのものが変わっていくことを実感します。

今は、バッハを中心に練習しているのですが、その練習過程の中で、ここにこんな音がある、という驚きや発見がたくさんあります。

先日のレッスンで、大野先生と甲賀先生が弾いてくれたフレーズを聴いた時にも、「ここにこんな音があって、それをこんなふうに取り出していくんだ」という驚きがありましたが、それはこういう過程の練習を数多く行っていく中で「自然に」できるようになったものでしょう。

それを頭に置きつつ、またていねいに一つずつ練習をしていきます。

2019.03.14

新しいタッチを学ぶ

昨日は、自分のレッスンに行ってきました。レッスンに行くたびに、新しい学びがたくさんあります。昨日も、また新しいタッチを学び、いろいろ考えつつ帰ってきました。

タッチの種類を増やす

ここのところ、先生がご自分のタッチの見直しをしています。無意識に弾き分けていたものを意識化して、「こんなタッチを使っている」ということを整理し、体系化しているところなのです。

ですから、行くたびに「新しいタッチ」が増えていきます。ブログで8種類と紹介があったのですが、前回のレッスンのときに伺ったら11種類ありました。

今回も、ブログで、15種類とのご紹介があったので、あと4種類。それをレッスンで伺ってきました。

手の小さい私にとって最大の課題の一つである、オクターブや、手を開いた状態でのトレモロの弾き方などがありました。

奏法に慣れているので、手の使い方を頭で理解することはスムーズにできました。ただ、実際に音を出してみると、右手はすぐにできたのですが、筋力がまだ弱めの左手は、思い通りの音色が出るまでに少し時間がかかりました。自由にそのタッチを使えるようになるためには、練習を積み重ねていく必要があります。

タッチの種類が増えると音色のレパートリーが増える

タッチが変わると、音色が変わっていきます。芯の太い音、細い音、軽めの音、重めの音、上に上がる音、広がりのある音。

タッチの種類が増えるということは、音色のレパートリーが増えるということです。ですから、タッチの練習の時には、必ず、音色の違いを繊細に聞き分けようという意識を持つことが重要になってきます。

先生がよく「楽器から教わることがたくさんある」というのは、そのことです。楽器がその繊細なタッチの違いを反映できる状態であれば、練習の時にも、自分のタッチが意図しているものかどうかを、音色の変化によって楽器が教えてくれるのです。

音色のレパートリーを増やして彩りある演奏を目指す

音色のレパートリーを増やすことは、演奏の質を高めていくためのものです。「発声は良いのだけれど、全部同じ音が続いている。」と言われ、先生、アシスタントの先生が、同じフレーズを「こういう弾き方もある」「こういう弾き方もある」と例を挙げて見本を見せてくれました。

同じフレーズでも、音色の使い方が変わると、全く違うものになります。次は、その部分を自分なりに研究していく段階です。

まず、最初は頭でよく考え、聴き分けながら。そして、だんだんと「考えなくても」「自然に」できるようになっていくことを目標にしていきます。

音色を増やすことは、より良い演奏をしていくための手段です。目的と手段をしっかり見極め、彩りある、より良い演奏を目指していくことがとても大切であると、昨日もまた改めて思いました。

2019.03.09

ロシアピアニズムの奏法ならではの弾きやすさ

今、「フィガロの結婚」の序曲を練習していますが、ロシアピアニズムの奏法ならではの弾きやすさを実感しています。

この序曲の大きな魅力は、何とも言えないワクワクする感じにあります。これを表現するには、ある程度テンポを上げていく必要があります。

これから何かが始まる!何だろう?と聴いている方が、その後のオペラへの期待をふくらませることができるように軽やかに弾きたい。

「下までしっかり」弾いていたのでは、テンポを上げることがとても難しい。少なくとも、以前の私のレベルでは無理だったでしょう。

出だしのレドレドレから始まる音形。まず、これがとても魅力的です。人の心をうきうきさせるそんな音形。

力をしっかり指にかけて、下まで弾くと同時に、手の使い方を指に覚えさせる練習をします。以前は、こういう地道な練習の量が少なめでした。

今の先生のところに伺って、リサイタルをする何人ものピアニストの方とお話しする機会を持つようになりました。話の中から、その方々がこの地道な練習をほんとうにたくさん重ねていることを知りました。

この地道な練習こそが、本番を支えるのだと知ったので、とにかくたくさんします。その上で、次の段階では、虫様筋を使って引き上げる感覚で、できるだけ鍵盤の上部を使って弾いていきます。

そうすることでオーケストラの演奏の速さに近づけることができるようになってきて、遅めのテンポの指揮者の演奏と同じくらいにはなってきました。

同音の連打もそうです。虫様筋でしっかり支えて、できるだけ素早く力を抜いて鍵盤を弾くことで、離鍵を速くすることができます。

そのテンポでは、鍵盤の底に触れている時間が長いと、間に合いません。鍵盤の浮力を生かし、音が鳴るぎりぎりのところをねらっていきます。

当日も、スタインウェイですから、応えてくれるでしょう。

先日の、同門の方たちとの会の時に、ショパンのワルツの1番を弾いた方がいました。やはり、同音の連打の多い曲です。

その時にも「この奏法だから、弾きやすいよね。」という話がでました。

音色の変化をつけることで、表現が豊かになることはもちろんですが、「弾きやすい」ということも確かなのです。

そのためにも、また、せっせと指の筋トレをしていきましょう。

2019.03.05

もたれる力と引き上げる力

昨日は、自分のレッスンに行ってきました。この一週間は、11種類のタッチを練習しつつ、どんなふうに使うことが可能なのかを探っていました。

一方で、来月に迫っている葵の会定期演奏会の練習にも時間を取っていく必要があります。

あわせて、依頼に応じて、歌う人のレッスンに同行したりもします。いろいろあって、フランス組曲がなかなか先に進まない状況だったのは残念でした。

先に進むことが目的ではないと自分に言い聞かせつつ、アルマンド、クーラント、サラバンドの3曲を持っていきました。

アルマンドでは、「あやしいところが何ヵ所かあったけど、ぎりぎり踏みとどまった感じ。」とのことでした。

確かに、引き上げが足りない、重めの音が時々ありました。特に親指が落ちがちです。

一つ一つの音を、ペダルを踏まずにゆっくり練習することで、指と鍵盤との関係、手の使い方を意識していくことが必要です。

次のクーラント、前回、支えが甘くて落ちていたところがあったので、これは気をつけて練習していたつもりでしたが、やはり、「音程が下がっている部分があります。」と言われ、支え不足を実感しました。

支え、虫様筋を意識することで、音程は変わります。もう一度弾き直したところ、今度は大丈夫。

サラバンドは、引き上げよう引き上げようと思っていたら、「もたれ方が足りませんね。」

引き上げようと思っていたら、今度は、もたれる力が弱くなってしまいました。

「結局、バランスが大切なんですね。もたれる力と引き上げる力と。」

確かにそうです。一番大きいのは、耳の使い方が甘かったこと、途中で修正できなかったことです。

確かに、サラバンドの時に、響きに重みや、厚みが感じられなかったのは、自分でも分かっていました。

そういう時に、もたれる力と引き上げる力の両方のバランスを自分で柔軟に修正していけるようにするのが、課題だということがよく分かりました。

もう一度、手と耳の両方を使って練習していきましょう。

2019.02.19

さまざまな音色や響きを曲に生かす

昨日は自分のレッスンに行ってきました。

今、みていただいているのは、バッハのフランス組曲3番。前回、新しいタッチを教えていただいて、この10日程は、アルマンドとクーラントで、そのタッチを中心に練習していました。

前回のレッスンの時には、音型によって、響きが変わってしまうこと、特に左手で白鍵と黒鍵が混ざっている部分の黒鍵の響きが課題でした。

かなり気をつけて、虫様筋を使って引っ張り上げる感覚と、指を使って押す感覚とのバランスのとり方を考えながら練習していました。

実際に聴いていただくと、良いところをねらえています、との言葉をいただき、とりあえずホッとしました。

その後、話題は音色を変える上での、ウナコルダの使い方についてになりました。

私自身、「ソフトペダル」「弱音ペダル」という言い方もあって、弱い音にしたい時に、踏むもの、と長年思い込んでいたので、以前にもお話を伺っていたのになかなか使いこなせないでいるのです。

「弱い音の時に踏む、というイメージがありますが、そうではないんですよ。音色自体が変わりますから。」

かつて、ヴィルサラーゼがショパンのノクターンを演奏したとき、最初から最後までウナコルダを踏んでいた例を挙げ、その音色を使いたいと思えば、極端な話、それもありうることを教えていただきました。

これは大きな課題です。

同時に右ペダルについて、もう少し長く踏んで、響きを混ぜてみるという方法もありうる、ということを言っていただきました。

これはネイガウス流派特有のペダルの使い方で、ぎりぎりのところまで響きを混ぜていくことになります。

今回、葵の会で弾く作品発表の曲の演奏では、その手法を使おうと考えていたのですが、バッハでそれをするというのは、発想がなかったので、ちょっと驚きました。

思い切ってペダルを長く踏み続けて、響きを混ぜてみました。いつものバッハとは全く違います。

これも、音と音がぶつからない、響きのある音色だからこそできること。

響きで楽しみつつ、いろいろな研究をする余地がたくさんあるということを教えていただきました。また、勉強していきましょう。

2019.02.18

「『響き』に革命を起こす ロシアピアニズム」

先生のご著書。Amazonではすぐに品切れになってしまいました。私の生徒さんからも頼まれていたので、何冊かまとめて手元に置くことにしました。

ようやく重刷分が届いたので、また少し内容の紹介をしていきます。

身体の使い方について

先日、ロシアピアニズムを中心にレッスンしている大人の生徒さんとこの本についてお話しました。

その方は「ロシアピアニズム全体像がつかめて良かったです。ただ、音の出し方は、言葉ではなかなかつかめないものですね。大野先生のブログはずっと読んでいましたが、実際に身体の使い方のレッスンを受けてみると、読んだだけの時とは全然違います。」と言っていました。

例えば、肘について。

肘は少し内側に回転させた状態が基本だ。不必要に大きく回したり動かしたりすることはない。

中村紘子氏のレッスンで、肘を動かした生徒が戒められていたのを見た記憶がある。

「『響き』に革命を起こす ロシアピアニズム」p.88

実は、肘については、私の大学時代の恩師の先生であるレイ・レフ先生も「肘をこんなふうに動かしたって、音が変わるわけではありません。」とおっしゃっていたとのこと。

では、どうするのか。

そこで、肘の後ろ側を「ゆるめる」、または手首で前に動かしながら肘の後ろ側から身体の前方へ腕全体を「押し出す」イメージを持つ。

指先ではなく指の第2関節から手首、前腕の下、上腕の内側からわきの下まで一本の筋があるようなイメージで打鍵するといいだろう。


「『響き』に革命を起こす ロシアピアニズム」p.89

身体の使い方を学んでいくことは、意外に難しいことです。今まで、ずっとなじんでいた使い方に、つい、なってしまいます。

肘を取り上げてみましたが、肘だけではなく、肩甲骨も、肩も、手首も、指も、一つずつ意識しながら音を出してみる。地道にそういう練習を続けていくことで響きが変わってきます。

響きを捉えることについて

生徒さんの保護者の方で、ピアノ経験の長い方も読んでいて、「こんなふうに、音の出し方を考えたこともありませんでした。倍音、知りませんでした。」と言っていました。

第3章にもこれについて触れている部分があります。

なぜ、ピアノを弾く時の発想の中に、音色の観点がないか?

第1章でも触れたが、その理由のひとつに日本の住宅環境と気候が関係していると思われる。(中略)極端な例を挙げると、じゅうたんを敷いた和室にグランドピアノを置き、ピアノ本体の蓋は開けずに楽譜台をピアノの上にのせて指の強化練習をする方がいらっしゃるほどだ。これでは、たとえ響きを聴こうにも音の立ち上がりしか聴こえてこない。

もうひとつの理由は、日本人の几帳面な性格が関係しているようだ。日本人の多くは、「きちんと鍵盤の底まで弾く」「しっかり鳴らす」ことが正しい奏法だと思いがちだ。

「『響き』に革命を起こす ロシアピアニズム」p.92

基音の大きい小さいはわかりやすく、響きの多い少ないはわかりにくい。

弾いた時も、「しっかりした弾きごたえ」は実感しやすく、逆にできるだけすばやく打鍵し離鍵することは、実感しにくい。

音色、響きというのは目に見えません。この本にも書かれているように、響きを捉える耳を作るまでに時間がかかります。

でも、その響きを聴き取ろうとして、聴き取れるようになる。響きのある音色を出そうとして、響きのある音色が出せるようになると、そこにはまた違う演奏の世界が広がっていきます。

2019.02.05

響きを楽しむ

新しいピアノが来て2ヶ月めに入りました。最近、ようやくピアノも落ち着いてきたのか、気持ちの良い響きが上がってくることが増えてきました。

前回の自分のレッスンで「弾きすぎていた」

前回、自分自身のレッスンに行った時に、先生のピアノを弾いた時、やはり、響きが低いところによどんだ感じがしていました。

先生から「どうですか?」と逆に聞かれ、「うーん。何だか違う気がする。」と思いつつ、姿勢、腕、手首、指…とまた自分の中で確認した上で、弾き直しました。

2回めのほうがだいぶ良くなっていましたが、まだもう一つ、響きが上がらない感じがします。

「今度のほうが良いですね。まだ大きい音を出そうとして、弾きすぎています。」と言っていただき、さらに、浅いところをねらうこと、虫様筋で支えて引き上げる力を意識したところ、ようやく響きが上がってきました。

家のピアノで弾く時に、思うように響かない感じがしていて、ついつい弾きすぎていたようです。

改めて家のピアノで弾いてみる

ここのところ、伴奏や作品発表の練習をすることが多く、譜面台を立てて弾いています。譜面台にさえぎられて、自分の響きが聞きにくい環境で弾く時間がながかったため、ついつい大きな音を出す意識になっていたのかもしれません。

家に帰ってから、譜面台を寝かせ、バッハを弾いてみました。身体の重心、姿勢、肩、腕、手首、指。浅いところをねらう。虫様筋。

音の大きさではなくて、響きを聴く。弾くことではなく、聴くことに意識の重点を持っていく。

夜だったので、昼間の間にちょうど良い気温が続いていたこともあって、気持ち良く響いてくれました。

やはり「弾きすぎていた」ようです。響きが上がってくると、本当に楽しい。いろいろな響き、いろいろなニュアンスの音を使えるようになります。

響きを楽しむ

日曜日の声楽のレッスンの時、「和声が変わるので、その変化をもっと出して。」とご指導いただいた部分がありました。

そういう時にも、響きによってすぐ変えることができます。指を入れる方向を意識することでも響きは変わってきます。

そういう引き出しをたくさん持っていることが、音楽を作る上では本当に大切です。同時に、楽しさが増えることでもあります。

響きを楽しむ、響きで音楽を作る。とても楽しいことです。

2019.01.28

「響き」に革命をを起こす ロシアピニズム

昨日、ようやく先生のご著書が届きました。さっそく読んでみました。

「第1章 響きの正体」から始まって「第6章 芸術をつくるということ」まで、幅広いテーマで、ロシアピニズムに関するさまざまな内容が書かれています。

今回は、特に第1章・第2章に書かれている内容を中心に、私が再認識したこと、私自身が体験したことをもとにご紹介できたらと思います。

何を目指すのか

 私自身がピアノを演奏することで、何を表現していきたいのだろう?ということを深く考えるようになったのは、ロシアピアニズムを学ぶようになってからのことです。

それ以前も、もちろん考えなかったわけではないのですが、感覚が違ってきたように思うのです。

まだ大野先生のレッスンに行き始めて間もない頃。「その1音に、人生が表れている?」と聞かれ「え?そんな大げさな…。1音で?そんな無理なことを…。」と思ったことを覚えています。

 音楽はただ弾いただけでは聴こえてこない「何か(Something)」を聴衆に聴こえるように演奏する芸術だ。そのために倍音の果たす役割は大きい。 

 その「何か」がなくては、演奏家と聴衆の真のコミュニケーション、作曲家と演奏家の真のコミュニケーションは成立しない。(中略)

 演奏家の使命は、作曲家の書き残したものを手掛かりに、書かれてある以上の「何か」を再現し、聴衆に伝えることなのだから。

「響き」に革命を起こす ロシアピアニズム p.26

当時の、私の演奏には「何か」が感じられなかったのでしょうね。意識もしていなかった。今、この本を読むことで、改めて当時を思い出しました。

今は、少なくとも「何か」を「意識」はしています。それは、倍音で音楽を作っていく重要性を認識できたからこそのことです。

演奏時の感覚について

この本には次のようなことが書いてあります。

 以前は「何かしよう。」という意識が働いていたが、今はまったくそのような意識は持たない。無我の境地に非常に近い。それは、奏法を変えたことにより、どう演奏するかを響きが自然に教えてくれるようになったからだ。それにより頭で考える必要はなくなり、心の赴くままに演奏ができるようになった。

 響きがイマジネーションを豊かにしてくれるのだ。


「響き」に革命を起こす ロシアピアニズム p. 64

 先生のように、無我の境地とはなかなかいかないのですが、「考える」より「感じる」要素が大きくなっていくのも確かです。

ここは、どんな響きで弾いていくと、より美しいだろう?ここは、こういう響きを使ってみたい。

演奏しているときに、そんな感覚になることが増えてきました。そうすると、いつも同じ響きではなくて、その時々によっても変わっていきます。

今日はこんな感じ。今はこんな感じ。日によって、時によって自由度が高まっていきます。「ねばならない」が少なくなる分、自由に自分の心に忠実になる感じがします。

原点を思い出す

今回、このご著書を読むことで、自分の音楽への原点を、また思い出した感覚があります。

今回は、ほんの一部のご紹介ですので、またこの後、取り上げていきたいと思っています。

2019.01.18

常に基本に戻る

一昨日、自分のレッスンに行ってきました。

今、練習しているのは、バッハのフランス組曲2番なのですが、我ながらちょっと残念でした。

アルマンドはある程度、意識していたのですが、速いテンポのクーラント以降に問題がありました。

私が学んでいる奏法の場合、手の旋回というのが非常に重要です。左右への旋回とピアノの奥に向かって入っていく動き。その両方を使うことで、まとまりごとにニュアンスが加わり、音楽が立体的になっていきます。

同時に、旋回の途中途中で「しっかりもたれる指」があることで、手そのものも安定して弾けるようになっていきます。

先日の私の場合、テンポが速くなると、旋回の動きが不十分になっていたのです。結果的に音は1つずつになっている印象、同時に手そのものも不安定で、外す音が多くなってしまう、という状況が起こっていました。

クーラントでテンポが速くなって、旋回が少なくなり、そのままサラバンドなど、その後のゆっくりした曲でも同じ手の動かし方のままになってしまいました。

旋回への意識は持っていましたが、実際に手を動かす時に「速く弾きたい」という気持ちが強くなって、単純な横方向への移動につながっていました。

実際に弾きにくかったのですから、そこで立ち止まって基本に戻れば気づいたはずのこと。

常に基本に戻る。特に速い楽曲の時や弾きにくさを感じた時は要注意。改めて、それを肝に銘じることが必要だと反省しつつ、また練習していきます。

2019.01.08

親指の支えを改めて意識する

いつもの神田明神は、こんな感じです

昨日は、自分のレッスンに行ってきました。先生の楽器は、ほんの少しのタッチの違いを反映してくれます。場合によっては、反映「してしまい」ます。

指を使い過ぎない

昨日は、最初に弾いた時、微妙に響きに伸びがないように思いました。

何だろう?と思いながら弾いていました。弾き終わった時、先生から、「指を使いすぎています。」と言っていただきました。

指に力が入ってしまっていたようです。このあたり、ほんの少しの加減で響きが変わってきてしまいます。

指先から虫様筋に感覚を移動させるような意識で弾いてみると、だいぶ違いました。

ただ、後半になってfで弾こうとすると、やはり響きが思うように上がってきません。

「こう、押し付けている感じですね。fの時は一瞬だけ、力をかける感じで。」と言っていただき、何回か繰り返しているうちに、ようやく少しずつ改善していきました。

ただ、この部分は、前回のレッスン時も同じような流れだったので、家での練習にももうひと工夫いるかもしれません。

家のピアノがまだあまり「鳴らない」感覚なので、ついつい弾きすぎているということを自覚しました。

親指の支え

同時に「親指が微妙に下がっているので、そこで響きが変わってしまいますね。」とのこと。

親指‼奏法を変えた当初は、親指の使い方がまったく出来ておらず、ずいぶん苦労しました。

だいぶ、できるようになったものの、まだ音形によって、支えが甘くなり、位置が変わってしまう場合があるのです。

親指の付け根から指を使うということを意識して、支えをももっと意識しつつ練習する必要があります。

ほんの少しの加減で、響きは大きく変わってしまいます。そのことを改めて自覚したレッスンでした。

神田明神の人混み

神田明神は、4日の混雑が、報道されていましたが、昨日も初詣の人で、すごい混雑していました。

先生のお宅に向かう時に、いつもの歩道にビジネスマンらしき人がたくさん歩いていて、どうしてだろう?と思っていたのですが、途中でたくさんの人が、神田明神の方向に曲がったので、理由がわかりました。

帰りに見ると、人はもっと増え、鳥居から曲がって歩道まで、参拝の人の列がならんでいます。新年のにぎわいを横目に見つつ、私は私で、また収穫を得た気持ちで帰途につきました。