奏法・響き

2017.12.01

ピアノの調整をしていただきました

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

10月の調律の時に弦が切れてしまって、張り替えていただきました。

新しい弦はどんどん伸びるので、音もどんどん下がっていきます。

直していただく予定が父の葬儀などで変更になり、ようやく一昨日直していただきました。

 

合わせて高音の音程で気になっていた部分も調整していただきました。

気温が急に下がり、暖房をつけるようになったこともあり、音が変わってしまったようです。

単に音程を直すだけではなく、木の部分にも手を入れてとても丁寧に調整してくれました。

おかげで、響きがまた変わり、音が上に上がる感じがより強くなりました。

しばらく自分の練習時間が短かくなりがちだったのですが、音が気持ちよく上に上がるのが楽しくて、昨日今日はかなり弾く元気がでてきました。

 

調律師さんは、まだお若い方ですが、とても勉強熱心で、コンサートにも頻繁に行かれ、たくさんのピアニストの演奏を聞いていらっしゃいます。

私の先生のところのピアノ(スタインウェイ)もご存じで、それを基準に調整してくださっています。また、私たちが学んでいるタッチについても先生から聞いて、調律の際、音を出す時にこういう感じで弾けば…など研究しています。

お話をしていると、とても謙虚で、柔軟性があり、いろいろなことに興味関心をお持ちになって、吸収しようという意欲を感じます。

ご自分でも「10月の時から、また分かったことがあった。」「また次回の時は、もっと違ってくると思います。」とおっしゃっていて、日々進化している感じがしました。

進化するためには、自分自身の現状を把握する力、それから理想とする像を持つことはとても大切なのではないかと思います。

調律師さんの学ぶ姿勢を見ながら、せっかく良い状態にしていただいた楽器を、さらに良い音で弾けるように、私自身も進化していこう、と気持ちを新たすることができました。

 

2017.10.11

ピアノと調律

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

3週間ほど前から、ペダルを踏むと音がして、困っていました。

今までも、時々は音がすることがあったのですが、調律師さんのアドバイスによる応急処置でなんとかなったり、湿度や気温が変わってなんとかなったり、あるいは調律に来ていただくタイミングだったので、直していただいたりという感じでした。

今回は、生徒さんも弾くピアノになったことですし、早め早めの調整をと思い、調律をお願いしました。

いらっしゃって、まずペダルの雑音の解消。さすがプロです。たちどころに直してくれました。

同時に私のできる範囲の対処法を教えていただけたので、今後雑音がした場合は、その方法を試してみようと思います。

(直らなければ、来ていただくということで)

ていねいに調律をしていただき、弾いてみました。今までも、響きが上がるような調律はしていただいていたのですが、音程が合ったことで、気持ちよく響きが上がる感じがしました。調律師さんは、部屋の中を動いて響きを聴いてくれました。

次に、私がイメージとして描いている音を感じて、キャスターの向きを変えることを提案してくれました。

何年か前にも、試しに変えてみたことはあったのですが、その時は響きすぎる感じがして、すぐ元に戻しました。その後レッスン室を作るにあたり壁を作ったので、響き方はその時とまた変わっています。

先日の電子ピアノも、インシュレーターでだいぶ響きが変わりましたが、グランドピアノの場合も、インシュレーターの材質・キャスターの向きによって変わってくるそうです。

3つある脚のうち、高音部分にあるインシュレーターを動かし、脚の先にあるキャスターの向きを変えました。

弾いてみると、響きの流れていく方向が変わっていくのがはっきり分かり、部屋の空間全体に広がる感じがしました。

もう少し動かしてみると、今度は音が回り込んで私の右横で鳴っている感じがします。

これは違和感があったので、元に戻しました。左側は壁についているので、元に戻し、最初の状態のままにしました。全体として、響きが空間で混ざる感じが以前よりも強くするようになりました。

タッチは、基本的に今までと変えず、ただトリルの時の鍵盤の戻りがもう少しよくなってほしいと思っていたので、それをお伝えして、その部分も丁寧に調整していただきました。

調律師さんのお話によると、弾く人が持っている音のイメージによって、どこをどう変えていくかは違うそうです。

今日は、空間で響きが混ざるようにしていきたい、という私の希望をくみ取って、それに合わせた調律・タッチの調整をしていただきました。

また、気持ちよく自分の練習・レッスンができます。本当にありがたく思いました。

 

2017.10.02

Ray Lev先生監修の楽譜

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

早くも10月。もう今年も残り3ヶ月です。私にとっては、ピアノ教室立ち上げという大事業(私としては)があったので、いつもにも増して時の流れの速さを感じた今年です。

少し前のことになりますが、このピアノ教室を始める前の8月下旬に、私は埼玉大学時代の恩師の松原正子先生のもとに伺いました。

そもそも、私がロシアピアニズムを学ぼうと思ったのは、松原先生のレッスンを大学時代に受けたことに始まります。でも、松原先生ご自身がこの奏法を、どうやって学んだのか伺ったことはなく、「私の先生はロシア人で……。」というお話をたった一度、聞いたことがあっただけでした。

2年ぶりにお会いした松原先生は、80歳を超えたとのことですが、全く年齢を感じさせない動きで、本当にお元気でいらっしゃいました。事前に、私がピアノ教室を始めることをお話しておいたので、Ray Lev先生監修の楽譜を用意して、「これ、あなたの生徒さんで弾ける人がいたら、使うといいわ。」とおっしゃって貸してくださいました。

松原先生が芸大の専攻科に在籍していた時、アメリカからRay Lev先生がいらっしゃったのだそうです。 Lev先生監修の楽譜の冒頭に書いてあるプロフィールによると、1912年に生まれて、すぐアメリカに渡った方だそうです。お父様はロシア時代は職業音楽家として活躍していた方で、お家で教育を受けたとのこと。ですから、ロシアの奏法を身につけていたのでしょう。

松原先生は、 Lev先生の奏法に対して「こんな合理的な奏法はない。」と思ったのだそうです。 Lev先生がアメリカに帰られるまでの2年4ヶ月という短期間で、しっかり学ばれたのでしょう。手の形は、ホロヴィッツと同じように、指を伸ばし手の内側で支えて弾きます。学生時代に私も「響きを内側に当てて。」「指の付け根で支えて。」とずっと言われていました。

「ショパンの舟歌のこの部分を弾いたときに、先生が”You got it!”とおっしゃったのよ。」と実際に弾きながら話してくれました。キラキラした水のしぶきが見えてくるような音。松原先生にとって、どれほど印象深い、思い出深いフレーズだったかが音からも伝わってきました。

お借りしてきた Lev先生監修の楽譜を家に帰ってからよく見てみました。まず、特長的だったのは、バイオリンのボウイングと同じように、手首の上げ下げを記号で表してあることです。インターネット検索で見つかった数少ない Lev先生にまつわる日本語の記事の中に、高橋アキさんが手首の「up 」「down」をたくさんやって……というエピソードを語っていましたが、手首の動きをとても重視していたことが楽譜からもわかります。

選曲はなかなかおもしろくて、1960年代の出版なのですが、バロック・古典派・ロマン派・近現代(出版当時のではありますが)の音楽がバランスよく含まれています。

特にバロックのものは、日本では知られていない作曲家の作品が含まれているので、ぜひ弾く機会を持ちたいと思いました。

2017.09.04

手の使い方を少し変えると響きが変わります

こんにちは。たうらピアノ教室講師の田浦雅子です。

今日は、先生のレッスンを受けてきました。私自身も、少しでも美しい響きで演奏できるよう学ぶ一員です。

モーツァルトの「ピアノソナタ第1番」の第1楽章と、「デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲」の最初の部分を見ていただきました。

前回のレッスンで、手首の位置がそれまでより、もう少し持ち上げたほうが響きがまるくなるということを教えていただき、この2週間はそれを意識して練習していたつもりでした。

まず、ピアノソナタから。
先生のピアノで弾くとあれ?何か違う、イメージしたほど音が上にあがらない。

原因の一つは鍵盤の底に触れる時間を短く、と意識しすぎてしまったこと。そのために、鍵盤の底にきちんと触れず、浮いた音になってしまっていました。
もう一つは、手首の下側で支える意識が足りなかったこと。

その二点に気をつけたら、少し良くなってきました。

デュポールは今日初めて持っていきました。とても美しい曲で、弾いていて楽しくなります。

テーマの右手の最初の二分音符。やはり鍵盤の底の触れ方が足りないため、音が伸びません。そのあとの二分音符も同じです。底まで触れることを意識しすぎると、今度はいきなり大きい音が出てしまいます。この部分の手の使い方を教えていただき、次回までの課題です。

変奏の部分では、左手の16分音符の響きに課題がありました。手のひらの内側で支えながらゆっくり弾く練習が必要と教えていただきました。

最後にお願いして、ブルグミュラー25の練習曲から「アヴェ・マリア」を聞いていただきました。

これもとても美しい曲で、大好きです。手の置き方の角度と、力の向きを変えてみるようご指導いただくと、最初とは響き方が違ってきました。

手首の高さ、鍵盤の底に触れる時間、手の置き方の角度、力のかけ方の向き等、ほんの少しの違いでピアノの音の響きが変わってきます。うまくポイントをつかむと音が上にあがる感覚になります。

響きが変わっていくのを楽しみに、また明日から練習していきます。

ちなみに、写真の私の楽譜ですが、裏に書いてある値段をみたら、何と130円でした!確か昭和44年か45年頃に買ったものだった気がします。

 

 

 

 

2017.09.04

響きのあるピアノの音色とは?

こんにちは。たうらピアノ教室講師の田浦雅子です。

「響きのあるピアノの音色を大切に」と昨日も書きましたが、では、その響きとは何なのでしょうか。

私自身も、響きを聞きなさい、と言われ続けていた学生時代には、正直、つかみきれていませんでした。

実は、響きの正体は「倍音」です。

ピアノでは分かりにくいので、おもちゃの鉄琴を使って実験してみます。

まず、マレットを軽く握って、鉄琴をたたいてみます。こんな音がします。

 

次に、マレットをぎゅっと握りしめて、鉄琴をたたいてみます。こんな音になります。

最初の音のほうが響いていることがお分かりになるでしょうか。録音なので、実際に聞くと、響く音のほうがずっと長く聞こえます。

このときの音の周波数の分布を解析ソフトを使って表示してみました。鉄琴で1つの音だけたたいても、その中には、いろいろな周波数の音が含まれています。

響く音は次のようになります。赤で囲んだ部分にご注目ください。

響かない音は次のようになります。上の音と周波数の分布が違います。特に高い周波数はあまり含まれていないことがわかります。

この違いが、響きの違いになります。

ピアノでも同じことが起こります。鉄琴をたたいた時、マレットを握りしめると響かなくなったように、指に力が入っているとピアノの音の響きがなくなってしまいます。

ピアノで響く音を出すためには、鍵盤の底にふれる時間を短くすることが必要です。そのためには、手首の下や手の内側で支えた上で、指は脱力することがとても大切なのです。

鉄琴の場合、多くの方が響く音のほうを美しいと感じるでしょう。

ピアノでも、響きのある音でピアノを弾いたほうが、弾く喜びをより味わえると、私は実感しています。ですから、少しでも、自分の理想の響きに近づけるようにしていきたいと思っています。