2019.07.09
スタンフォードの自分を変える教室
「スタンフォードの自分を変える教室」という本を改めて読みました。以前にも一読していたのですが、その時には知っている内容も多かったので、特に印象に残ったということはありませんでした。
今回、本の整理をしていて見つけ、もう一度読んでみると、興味深いこと、大切なことがたくさん書かれています。
目先の報酬と将来の報酬
ピアノとの関連ということで考えると、「将来を売りとばす―手軽な快楽の経済学」という章は特に示唆に富んでいます。
人間の脳は、目先の報酬と将来の報酬を天秤にかけるとき、ふたつの選択肢に対する脳の反応はまったく異なるのだそうです。目先の報酬は脳の原始的な報酬システムに働きかけ、ドーパミンという脳内物質によって欲求が生まれます。
将来の報酬の価値は進化をとげた前頭前皮質。人類の脳だけが他の動物に比べて大きな割合を占めている部分です。
もともと人間の報酬系も、食べ物を手に入れるために働いていた期間が長いわけです。だからこそ、より本能的な目先の報酬にひかれてしまいがち。
ピアノで言えば、「練習すること」の報酬は、曲が弾けるようになること。さらに、それをずっと続けていけばピアノが上達することです。
ピアノの練習よりも「今、テレビがみたくなる」「今、ゲームがしたくなる」というのは当然のことなのです。
ではどうするか?
本には解決策が4つ書かれていますが、ピアノの練習に役立ちそうなものは1つめと4つめです。
ほんの少し待つことで、「目先の報酬」だったものが「将来の報酬」になる。だから「10分待ってから○○しよう」と考える。
あるいは、取り組むのが大変だけれど大切なことは「10分間だけやろう」とする。実際にはそうするともっとたくさんできるようになるのだそうです。
ピアノで言えば、練習をまず10分だけしてみる、ということですね。
もう一つは「将来の自分に会う」こと。将来のことを思い描いたり、将来の自分に手紙を書いたりする。
上手にピアノが弾けるようになっている姿。人前で堂々と演奏する姿。あるいは、好きな曲を弾けるようになっている姿をできるだけはっきりと想像することで、行動を変えて、今日の練習につなげていくことができるのです。
科学的な根拠に基づく説得力
この本には、さまざまな実験の結果が書かれています。また、スタンフォード大学での人気公開講座を元に書かれているので、実際に講座に参加した人たちによる実践やフィードバックも本の中に反映されています。
だからこそ、説得力のある記述が続きます。
この他の章にも、数多くの事例をもとにした「意志力」を鍛える方法が書かれています。
私自身も、まだまだ身につけたいけれども、なかなか身についていない習慣があります。せっかく本棚から「再発見」された本ですから、この本を参考にしながら、「意志力」をさらに鍛えていこうと思っています。