「2018年」の記事一覧

出来た事実をフィードバックする

こんにちは。

連休後半に入り、今日も良いお天気になりそうで良かったです。

写真は昨日の続き、妻沼のバラです。

 

よく「ほめて育てる」という言い方をしますが、意外にこれが難しいですね。

今日はちょっとそんなお話を書きます。

大学の学習心理学で「内発的動機付け」「外発的動機付け」ということを学びました。

「内発的動機付け」は本人が「好きだから、楽しいからやる」という気持ちで取り組むこと。

例えば、「絵が好きだから絵を描く」などです。

 

「外発的動機付け」は「ごほうびがほしいからやる」という気持ちで取り組むこと。

中学生などだと多かったのは「今度の定期テストで○番以上の順位がとれたら、携帯を買ってあげる」というパターンです。

逆もありました。「定期テストの順位が○番以下だったら携帯は解約」

 

「内発的動機付け」のほうが自分自身が決めたことなので継続もできるし、何より積極的になれます。

一方、外発的動機付けの場合は、短期的な効果はあるのですが、ごほうびがなくなると行動そのものをしなくなる、という部分があります。

この外発的動機付け、「もの」の場合は分かりやすいのですが、「言葉」もごほうびになるのですね。

もちろん、人は誰でもほめてもらうのはうれしい。

また、それで頑張ろうという気持ちにもなれますから、基本的には大切なことだと考えています。

ただ、行きすぎると「ほめてもらうからやる」「ほめてもらえないことはやらない」につながっていきます。

そうすると本人の何かをしようとする意思がどこか見えなくなってしまうのです。

 

ではどうしたらいいのか?

できるだけ、「できた事実をフィードバックする」ようにします。

「楽譜が読めたね。」

「リズムが正確にとれたね。」

「毎日練習できたんだね。」

という形です。

あと、これに加えてできるだけ、「私の感想」を加えるようにしています。

「毎日練習できたね。すばらしいことだと思うよ。」というように。

 

できるだけ、生徒さん本人がピアノが楽しいと思ってもらえるように、そして自分の気持ちで練習に向かえるように。

そんな思いで指導しています。

2018.05.03

生徒さん達の個性を伸ばす

 

こんにちは。

昨日、妻沼の道の駅に行ってバラを見てきました。

もうかなりたくさん咲いていて、美しい花を楽しむことができました。

 

さて、お子さんのレッスンの様子をご紹介していますが、お子さんによって得意なことはさまざまです。

これは本当に個人「差」、個性であって、どれが優れているとかというものではありません。

リズム感の良いお子さん、音程のとても良いお子さん、譜読みの得意なお子さん。

また、好きなこともそうですね。

歌が大好きで大きな声で歌うお子さん。

ちょっと恥ずかしそうに歌うお子さん。

おんがくドリルを「たくさん宿題やってくる!」と言うお子さん。

 

性格もそうです。

積極的に何にでもチャレンジしていくお子さん。

慎重に考えてから行動するお子さん。

なかなか口には出さないけれど、しっかり物事を考えているお子さん。

 

みんなそれぞれ違っていますし、その違いに応じてどう指導していけばそのお子さんが伸びていけるのか、ということを工夫して指導していけるのが、個人レッスンならではの良さです。

保育園や幼稚園、学校では、個人への目配りは当然あるものの、「学級集団」としての行動も重視せざるをえません。

授業もある程度は一斉授業の形を取っていくことになります。

その点、個人個人をみることができるピアノのレッスンは、個性を引き出し伸ばすことができる場だと思います。

 

私なりに、色々な工夫をしつつ、またお子さんに応じた言葉がけを考えつつ、そしてそれぞれの進歩を楽しみにしながら、指導しています。

2018.05.01

考えてから弾く

こんにちは。

連休の谷間で、今日明日はは小中学生も登校ですね。

ヘンデルのシャコンヌ、色々な方の演奏を聞き比べています。

今は、YouTubeで何でも聞くことができるので、本当にありがたいと思います。

(息子には「今は……」という言い方はやめたほうが良い、と言われているのですが、つい出てしまいますね)

「昭和」に学生だった私からすると、図書館でレコードを借りていた高校時代、資料室のレコードを聴いていた大学時代とは文字通り隔世の感があります。

 

変奏曲が21もあるので、テンポの設定はとても大切だということは、漠然と感じていました。

大きく3つの部分に分けられるので、その中でどうしていくか。

そしてその3つをどう組み立てていくのか。

考えることがたくさんあります。

 

同時に、変化をつけるためのアーティキュレーションも課題ですね。

レガートで弾くのかノンレガートで弾くのか。

ペダリングはどうするのか。

 

今まで、つい「弾きながら考える」という感じが多かったのですが、今回は、楽譜を見ながら検討する時間を多めに取ろうと決めました。

「響き」のことを考えると、弾きながら考えることは、もちろんたくさんあります。

ただ、今の私にとっては、今までよりも「考える」部分を増やしていくことがプラスに働くのではないか、と思っています。

特にバロックのものですから、様式感というのも大切です。

どうやったらそれが表現できるのか。

 

いろいろ聞きながら、楽譜を見ながら、試行錯誤しつつ学んでいます。

2018.04.30

響きを楽しむ

こんにちは。

「響き」でつなぐ。

「響き」でレガートを作る。

私たちロシアピアニズムを学ぶ者は、「響き」という言葉をたくさん使いますし、毎日の練習の中でもどのように「響かせていくか」を考えています。

 

この「響き」、目に見えないだけに、それが分かった、という感覚を持つまでに少し時間がかかるのですね。

ただ、分かればとても面白いものです。

私の今ついている先生の音の響きは、暖かく、厚みがあり、その部屋の空間全体に響きでいっぱいになる、という感じです。

浅いところで鳴らすとふわふわした感じ。

ピアノの上の方で響きを混ぜると、本当に微妙な色合いが出てきます。

鍵盤の下まで「しっかりと」弾いた音を混ぜようとすると濁るのですが、響きを混ぜると濁りません。

 

以前ブラームスのインテルメッツォ(Op.118-2)を弾いているときに、中間部で「響きを混ぜても面白いかもしれない。」と言って、先生が弾いてくれたことがありました。

先生が弾くと響きが混ざり、確かに「面白い」のですが、今から4年ほど前のその当時、残念なことに私が弾くと混ざらないで濁ってしまいました。

ドビュッシーなども、この響きを混ぜながら弾くととても面白いものに仕上がっていきます。

 

先日みえた調律師さんが、「以前は響きを高く上げよう、という気持ちで技術を使って…という意識がありましたが、最近はピアノ本来の持つ力を最大限発揮できるように整えていこう、という意識になりました。」とおっしゃって調整してくれました。

その方の調律も日々進化を遂げていて、レッスン室のピアノもとても浅いところから深いところまで、いろいろな響きが出るように調整してくださったので、この連休中は、そのさまざまな響きと遊んでみたいと思っています。

まず「始めよう」と決める

こんにちは。

昨日は、大人の方が体験レッスンにおみえになり、その場でご入会を決めていただきました。

小学校の先生をなさっている方で、ピアノを弾けるようになって授業に生かしていきたいとのことでした。

ご自身が小学生の時に受けた音楽の授業がとても魅力的だったので、子ども達にあのような楽しい音楽の授業をしてあげたい、というお気持ちからピアノを習うことを決めたそうです。

この生徒さんの場合、ご自分の未来の姿をしっかり頭に描いていらっしゃいます。

そして、その道筋の一つとして「ピアノを習うと決める」ということをされました。

 

大人の方の場合、やはり一歩を踏み出すまでいろいろ考えます。

仕事はあるし、家事はあるし、育児も、介護もあるかもしれません。

その中で、やはり大切なことは「始めると決意する、決める」ということだと思います。

これは、ピアノに限ったことではありません。

 

人はどうしても、自分に自分で制限をかけてしまいます。

でも、自分の人生は一度きり。

しかも時間は有限です。

その中で本当に自分がやりたいことは何なのか、それを考え、感じていくことが大切ではないでしょうか。

そして優先順位を決めてやろうと思ったことがあれば、一歩を踏み出していく。

その一歩は小さく見えても、時間が経つに連れて大きな違いになっていきます。

 

私自身のことをふり返っても、やはりそうですね。

母が亡くなって、「人生は有限だ」ということを本当に実感しました。

今ふり返ると、母が私に残してくれた最大のメッセージだと思っています。

その中で「自分は何をやりたい?」と自分自身に問いかけた時、「もう一度ピアノと向き合いたい」という思いが出てきました。

考えるという感じではなく、わいてきた、あるいは降ってきた感じがします。

そして、再開したあと、ピアノでの自分の方向性を決めるとき。

「やはり音色を追求していきたい」

そんな思いから今の先生に出会うこともできました。

 

春、いろいろな変化の時。

何か始めたいと迷っている方、ぜひ「始めると決め」て一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

さらに素敵な演奏を目指して

こんにちは。

毎日の練習の蓄積が未来の演奏を決めていきます。

自分自身のことももちろんですが、昨日のレッスンでも、改めてそう感じました。

 

小学校1年生、4月から入会した女のお子さん。

前回のレッスンで話したことを一つずつ意識しながら練習をしてきました。

音楽ドリルも、ドとレはきっちり覚えてきて分かっていたので、昨日はミとファのドリルの説明をして宿題を出しました。

ドレミが終わったところに、確認の迷路クイズなどがあったのですが、それもさっとできました。

「来週がお休みだから、宿題たくさんやろうね。」

というと、元気に「ハイ」

 

手の形や指先のポイントを話すと、次の時にはとても気をつけて直そうとしています。

「手の指はぶらぶらの状態で」と話すと、一回ごとにぶらぶらの状態を確認してから弾いています。

この姿勢が大切ですね。

「気をつけよう」

「先生の言っているようにやってみよう」

この蓄積が未来の演奏を変えていきます。

 

「どんな曲が弾きたいか、何かある?」と聞くと、

「たくさん弾けるようになりたい」

とにっこりしながら答えてくれました。

 

高坂小学校は、5月19日(土)が運動会だそうで、新学期から急ピッチで準備を進めているようですね。

運動会の準備や委員会活動で大活躍の小学校6年生の生徒さん。

やはりレッスンで話したことをとても意識して練習してきます。

ドレミファソと音が並んでいても、すべてを同じに弾くのではなく、変化をつけていこうね、という話をしてから、とても音楽的に弾けるようになりました。

昨日もプレインベンション、細かいニュアンスをよく考えて美しく表現していました。

 

一回一回のレッスンは点です。

その点と点をつないで線にしていくのがお家での練習です。

その先にある、素敵な演奏を目指して、またお家での練習を蓄積してほしいと思いました。

2018.04.27

シャコンヌいろいろ

こんにちは。

水曜日、雨上がりの午後、思い立って「東松山ぼたん園」に行ってきました。

予想通り、今年は花の咲くのが早くて、今咲いているクリーム色の花が一番最後に咲く品種とのこと。

ボリュームのある華やかな花を堪能してきました。

 

さて、昨日からのシャコンヌつながり。

起源は分からないものの、最初の記録はペルーの出来事を記述した詩の中に舞曲として取り上げられているそうです。

最初はスペイン、そしてイタリアで流行します。

この頃は、歌を伴う快活な舞曲。

モンテヴェルディの歌曲にもあります。

「西風が戻り」という声楽作品を聞いてみました。

 

これがフランスに渡り、17世紀中頃から独自のフランス風シャコンヌの形式が成立したとのこと。

器楽独奏用のものが多く作曲されたり、バレ(バレエ)の音楽としても用いられました。

 

ドイツでは、イタリアのチャッコーナをまねた初期のものから、次第のオルガン音楽の分野で独自の発展を遂げたそうです。

器楽アンサンブルのためのシャコンヌでは、フランス風の形式のものとオルガン作品でドイツ独自に発達したものとが融合し、バッハの「シャコンヌ」はその終曲点にある作品、とのことでした。

 

バッハの「シャコンヌ」があまりにも有名なので、ついついそれを中心に考えていましたが、さかのぼってみるといろいろな色合いがありました。

ドイツ出身のヘンデルのシャコンヌ。

やはり同時代のバッハのシャコンヌとどこか似た雰囲気も感じられます。

それを現代のピアノでどう弾いていくのか?

これはこれでまたとても楽しみです。

2018.04.26

ヘンデルのシャコンヌ

こんにちは。

昨日の雨から一転、良いお天気になりましたが、風が強いですね。

今朝は久々に富士山が見えました。

やはり、春になると富士山は見えにくくなりますので、何だか「お久しぶり!」という感じでした。

 

今日は、私自身の曲について。

ずーっとずーっとモーツァルトでしたが、そろそろ他の作曲家の曲も…という気持ちでした。

次の曲、先生も考えていろいろおっしゃってくださいました。

ヘンデル、バッハ、ドビュッシー、フォーレ、ベルク。

1曲に決めて、レッスン帰りに楽譜を買って帰ろうと思っていたのですが、先生の「これ、全部楽譜を持っていて良い曲ばかりだから、全部用意するといいですよ。」の言葉に、帰りがけ、ヤマハに寄って全部買いました!

ベルクなんて、音楽史で勉強して、その後、いったいこの音程でオペラってどうなっているんだろう?とヴォツェックのCDを買って1回聞いただけ。

まさか、自分が弾くかもしれないという意識で、楽譜を買う日が来ようとは考えてもいませんでした。

先生曰く「ミュシャ等の19世紀末の絵を彷彿とさせる曲。ポリフォニックな感じが素晴らしいですよ。」とおっしゃった通り、魅力的な曲でした。

うーん、これも弾きたい!

 

楽譜を見ながらあれこれ聞いて、(今はYouTubeで何でも聞けてしまいますから、本当にありがたいですね。)次はヘンデルのシャコンヌに決めました。

バッハの無伴奏バイオリンパルティータのシャコンヌは、超有名曲で、ブゾーニやブラームスのピアノ編曲版もすばらしく、いつかは弾きたい曲なのですが、ヘンデルにもあるんですね。

これも、とても美しい、魅力的な曲です。

まずは、曲の構成をよく見ていこうと思います。

21の変奏曲がありますから、テンポの設定も含めて全体をどうしていこうかという設計図をしっかり考えていくところから始めていきます。

モーツァルトの「デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲」で学んだことを、生かしていきます。

個性に応じたレッスン

こんにちは。

昨日は、小さいお子さんのレッスンが続きました。

幼稚園の年長さんの女のお子さんと小学校1年生の男のお子さんです。

 

幼稚園の年長さんは、お母さまのお話によると、

「練習時間以外でも、ちょこちょこ弾いています」

とのことで、弾くのがとても楽しくなっている様子です。

実際に、宿題で2曲出しても、その次の曲も弾いてくることがよくあります。

今回も「おしょうがつ」「まめまき」の次の「こいのぼり」まで上手に弾いてきていました。

そして、次の「たなばたさま」。

こちらもすぐ階名で歌うことができました。

 

ここまではメロディーを両手で分担して弾く形でしたが、ここから両手が別々の動きをすることになります。

本人はそれがとても楽しみだったそうで、

「両手のところも見てきた」

と言っていました。

実際に左手と右手を別々に確認して一度ここで練習してみました。

いろいろな曲に次々チャレンジして、弾けるようになることが本当に楽しそうです。

 

小学校1年生の男の子、3回目のレッスンです。

だんだん慣れてきました。

音符の色塗りをしたり、なぞったり、お手玉で遊んだりしました。

お手玉で両手の間を行き来させたり、私との間を行き来させたり、上手にできましたし、楽しんでやりました。

チューリップのお歌もとても上手です。

 

ピアノの前に座っての練習は、まだ「ドとレを弾く」というような課題が中心なので、

動きを多くするために、タンバリンを使ってリズム打ちもしました。

リズム打ち、タンバリンでとても上手にできました。

 

小さいお子さんの場合には、個人差がとても大きいので、それぞれのお子さんの興味関心に合わせて何に重点を置くかを考えていきます。

山に登るのにもいろいろなルートがあるように、それぞれのお子さんによって「ピアノが弾けるようになる」ための道筋はさまざまです。

それができるのが、個人レッスンならではの良さですね。

また、次回が楽しみです。

 

2018.04.24

親指の使い方

こんにちは。

昨日は御茶ノ水にレッスンに行ってきました。

帰りに寄った神田明神、本殿わきの木々の緑もすっかり濃くなっていました。

 

デユポールを含め、2年半以上モーツァルトに絞ってレッスンを受けてきました。

一区切りついたので、少し違うものにもチャレンジしてみたいと思い始めていたところです。

ですから、今回はモーツァルトのソナタも区切りになるように、かなり練習していきました。

 

ところが、先生のピアノで弾くと、何か安定しない。

今回はかなり練習して大丈夫なはずだったのに、なぜか音が抜けるところが出てきてしまいます。

あれ、どうしてだろう?

 

「親指が寝ているからです。」

先生の指摘は明快でした。

自分では立てているつもりだった、そして寝かせる癖はほぼ出なくなったと思っていた、親指の使い方。

残念ながらまた出てしまいました。

 

一般的な奏法と大きく違う手の使い方、その特徴の一つが親指の使い方にあります。

親指は物をつかむために、他の4本の指とは違う向きに動くようになっています。

今の奏法はその動きを生かすような、合理的な使い方をしています。

でも、その使い方がイメージできるようになるまで、私はとても時間がかかりました。

その後、頭では理解できたと思い、最近はだいぶよくなっていたのですが、やはり音型によって以前の習慣が出てしまうということが分かりました。

先生の弾いてくださる手の動きをよくよく観察してきました。

 

 

モーツァルトはとりあえず一区切りですが、また新しい曲で、手の動きや響きの混ぜ方など、さらに学びを深め、レッスンに生かしていきますね。