「2019年 6月」の記事一覧

2019.06.03

レッスンを通してより上達する

ピアノのレッスンを充実したものにし、上達につなげるためには、いくつかの要素があります。

  1. 自分の演奏を客観的に聴ける(これはレッスンに限りませんが)
  2. 先生のアドバイスに耳を傾ける
  3. 先生の言っている内容(あるいは、弾いてみせてくれていること)と、自分の演奏との違いを理解する
  4. 実際にその場で修正する
  5. 修正した状態を覚えて帰り、練習に生かす

このそれぞれの要素についても、生徒さんによって得意な部分はそれぞれ違います。

「間違っちゃった」と自分で聴いて気づく

先日、レッスンした幼稚園年中の生徒さんの場合、自分の演奏をきちんと聴くことが出来ていました。

夢中になって弾いているうちに、タイを忘れて、弾き直してしまう。違う音を弾いてしまう。「あ!間違っちゃった。ここ、つなげるんだった。」「音が違う。」とすぐ気が付きます。

お母様も「意外によく聴いているのでびっくりしました。」とおっしゃっていましたが、よく分かります。

そして、次は「今度は間違わないようにする。」と言って、その部分を意識しながら弾いています。

小さいお子さんの場合は特に、自分で意識できると、その場でどんどん直して弾けるようになっていきます。

リズムの違いをすぐ修正する

別の生徒さん、片手ずつ別々に練習して、弾けるようになったので、レッスンで両手の練習です。

3拍子の曲。右手は付点2分音符でメロディーを弾き、左手で2拍目と3拍目に和音が入ります。

片手ずつは上手に弾けていたのですが、両手で合わせると、右手を3拍分おさえていることができずに、指が上がってしまいます。

最初、言葉で言ったのですが、分かりにくかったようなので、「楽譜にはこう書いてあるけれど、〇〇ちゃんのは、こうなっているの。」と実際に弾いてみせました。

今度は分かったようです。何回か練習しているうちに、できるようになりました。次の段で同じ音型が出てきた時は、最初から正しいリズムで弾けていました。

より良くしようという意識が大切

理解できても、なかなか修正できないこともあります。大人は特にそうですし、私なども時々、「頭では分かっているんだけれど、なかなかできない!」ということもあります。

ただ、「間違ったから直していこう」「こうアドバイスしてもらったからそれを生かしてより良くしよう」という気持ちで、少しずつでも改善しようという意識で練習するか、それとも、まだ小さいから、大人だから、難しいから、「仕方ない」と思うかによって、長い目で見るととても大きな違いになってきます。

せっかくのレッスンの場。有意義に活用して、自分の演奏をより高めていただけたら、と日々思っています。

2019.06.02

姿勢でピアノの響きが変わる

昨日、生徒さんのレッスンをしていて、肩が上がって、明らかに力が入っていることに気がつきました。

それをお話しして、肩の力を抜く意識、腕の重みがすべて鍵盤にのる意識で弾いてみると、ピアノの響きも変わってきました。

姿勢は自分では気づきにくい

実は、私自身も、学生時代から、「ひじで支えているから鍵盤にうまく力が伝わっていない」と何回も言われていたのですが、自分ではなかなか分からないものです。

というのも、身体の使い方は、その使い方で慣れているため、逆に正しい使い方にすると違和感が出て、元に戻したくなってしまうからです。

今の先生のところに行き始めてからも、「肩に力が入って、腕の重みが鍵盤にかかっていない」ということはしばらくの間、大きな課題になっていました。

「目からうろこ」という感じがしたのは、ポゴレリチの動画を見たときです。なんと自然に、そして効率よく身体を使っているのでしょう。

この動画を見てからは、そのイメージをできるだけ頭に置いて、練習するようにしました。同時に、「腕の重みが鍵盤に全部のっているか」ということにも、それ以前よりはるかに注意をはらうようになりました。

同時に、レッスンで先生が弾いてくださるのを見る時も、手の周辺だけでなく、できるだけ一歩弾いて、身体全体を見るようになりました。

姿勢で、響きは確実に変わります。

肩甲骨~腕の下側~手の内側を意識する

座る時には、背筋を伸ばしていすに浅く腰掛けます。おへその下、よく呼吸法などで「丹田」と言われるところを意識して身体を前に傾けます。

この時に、腕を両側におろして力を抜いたままにしておくと、身体が曲がっても、腕は真下にだらんと下がった状態になります。

そのまま、ひじを曲げて鍵盤の上に置けば、肩とひじの力が抜けた状態で、手を鍵盤の上に置くことができます。

実際にピアノを弾く時には、当然、力を入れなくては弾けないのですが、肩甲骨から腕の下側を通って、手の内側までに意識を置いていきます。

身体の使い方を変えると楽に弾ける

昨日の生徒さんの場合には、御本人が「ピアノの練習をした後、何だか肩が痛いな、と思っていたのですよ。力が入っていたんですね。」とおっしゃっていました。

同時に、管楽器を長くやっているご自分の経験から、「直すには、少し時間がかかるかもしれませんね。」とも言っていました。

確かに、そう思います。特に「弾くこと」に意識を向けていくと、なおのことそうなりがちです。

でも、意識し続けていくことで、身体の使い方を変えることはできます。響きそのものも大きく変化し、とても楽に弾けるようになるのです。

ペダルの練習

ピアノは、両手で弾くだけではありません。足を使ってペダルも踏みます。慣れるまでは、難しく感じるかもしれません。

でも、ペダルを踏んだ時のピアノの響きはとても魅力的です。美しく混ざりあった響きを感じる上でも、ペダルはとても大切です。

早い段階からペダルの練習をする

私が子供の頃は、ペダルを使うのはずっと後になってからでした。幼稚園の年長からピアノを始めましたが、確か、小学校3年生くらい、ソナチネを弾くようになってからです。

私は小柄だったので、3年生でも、足がペダルに届かなくて、補助ペダルを買ってもらい、それを使った記憶があります。

今は、比較的早い段階からペダルの練習をします。これは、ロマン派や近現代の曲を小さいうちから弾くようになったことと関係しているでしょう。

今、ペダルの練習に入ったところの生徒さんがいます。小学校1年生になったところです。

お母様が、今の「ピアノひけるよ!シニア2」に入った時、「もう、ペダルの練習が出てくるのですね。」と言って、早めに補助ペダルを探して用意してくれました。

ですから、ペダルの練習を楽しみに待っていたのです。ちょうど発表会の曲に入る直前に、ペダルのところまできたので、「発表会ではペダルのある曲が弾きたい。」とのことでした。

小さい子どもさんにとっては力が必要

ペダルを踏むと1.5センチくらい下がります。大人なら、大したことがなくても、小さい足ではかかとをつけて1.5センチ押し下げるのは大変です。

初めてレッスンでやってみた時には、力を入れて一生懸命、踏んでいても、一番下まで下げることが難しいくらいでした。

何週間か練習しているうちに、これくらいの力で踏めば大丈夫、というのは分かってきたようです。

それでも、ペダルを踏む時には、前かがみになって力いっぱい踏んでいる様子がよく分かります。

お家で練習している時、足の裏が痛くなったそうで、「靴をはいて踏んでいる」とのことでしたので、次回からは、ここでも靴を持ってきてもらうことにしました。

まずは2つずつから

両手に足もつける、ということは、3つのことを同時にすることになります。ですから、2つずつの練習しようね、という話をしました。

片手ずつの練習をした後、2つずつの組み合わせで練習をしていきます。①右手と左手②右手+右足のペダル③左手+右足のペダルとなります。

それが出来て最後に右手+左手+右足のペダルです。

本人も「なるほど」という感じで聞いていましたし、実際にそのように練習したようです。今回のレッスンでは、ずいぶんスムーズに踏めるようになっていました。

慣れてくると、自然に踏めるようになっていきますが、やはり最初はちょっと大変。でも、響きの美しさと、「ペダルが踏めてカッコいい」という気持ちもあって、頑張って練習している様子をほほえましく思いました。