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2018.01.21

「ピアノを信じる」ー調律師さんの思い

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こんにちは。

写真は、記事とは関係ないのですが、熊谷の「花扇」さんという和菓子屋さんのお菓子です。創作和菓子がとてもすばらしいお店で、飾ってある中に「ピアノ」があったので、写真に撮らせていただきました。

 

お若い調律師さんのお話にとても感心したので、ご紹介しますね。

先日もちょっと書きました、個人所有の小さいコンサートスペースのピアノ。

昨日、調律師さんがいらっしゃって本格的に調律をしていただきました。

もう35年前に買ったヤマハのC5。ただ、持ち主が声楽の方なので、ピアノは音取りに使うだけでほとんど放置された状態でした。

ここ3年ほどの間に、コンサートなどをする都合で何人かの調律師さんにお願いしていました。

ある調律師さんいわく「故障レベルです。」

私も、弾いてみるのですが、とにかく鍵盤が重くて重くて、「音が出ない」という印象でした。

 

今回、私のピアノの調律をしてくださった方が、快く調律を引き受けて下さり、まず12月に約3時間かけて調整してくれました。その段階でかなり音が出るようになってきました。

でも、まだくもった音です。本来、もっともっとクリアな音が出ていいはず。響きも、まだ上まではあがりません。

そして、昨日、5時間近くかけての本格的な調律です。

「とにかく、ブレーキのかかる部分を可能な限り減らしていきます。そうすればもっと音がクリアになるはずです。」とのこと。

時々のぞきに行ったのですが、途中の過程では、鍵盤を全部ばらばらにして、つなぎ目を磨いていらっしゃいました。

88鍵ありますから、何か1つの作業を始めると同じことを88回やらなくては終わらないわけです。地道な作業です。

終わって弾いてみたら、「このピアノからこの音が出るなんて!」というほど、クリアな音になっていました。鍵盤の動きもとても軽くなって、トリルもきれいに入ります。故障レベルと言われたのがうそのようです。

 

とても勉強熱心な方で、コンサートもたくさんいらっしゃっています。先日も、私の先生のところに行って、私たちの奏法で使うタッチを勉強していらっしゃいました。

最近行かれたコンサートで連弾を聞いた話もされ、ピアニストがどこで音を出そうとしているかが分かって、面白かったそうです。

「以前は、『いろいろやって』いたんですね。でも、今は、できるだけシンプルに、小手先で何かやるのではなく、できるだけ素の状態にするのが良いと思うようになりました。」

「このピアノも、汚れをとって、動きをよくして、本来の姿に戻そうと。楽器を信じるという感じでしょうか。」

「そうすれば、後はピアニストさんが音を作っていくことができますよね。」

「まだまだこのピアノはよくなりますよ。」

 

信じてくれた調律師さんの思いに、楽器も応えてくれた感じがします。このピアノで、今日は小コンサートがあります。どんな音を聞かせてくれるか、とても楽しみです。