学び

2017.10.16

「ピアノの歴史」を読み直しました

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

2年ほど前に読んで、その時も、とても面白いと思ったのですが、あらためて読み直してみました。

今回、読み直したきっかけはチェルニーの練習曲です。

いったい当時はどんなピアノだったのだろう?

前回は、「ピアノの発達と奏法の関係は深いんだな。」(当然すぎますが)くらいで、さらっと読み飛ばしていたのですが、もう少し今回は丁寧に読んでみました。

こんにちのピアノにつながる楽器が作られたのは1709年のイタリア。

その後、ヨーロッパ各地で影響しあいながら改良が進みます。18世紀、モーツァルトのいた時炊きのウィーンでは、ウィーン式アクションのピアノが製作され、これは明るく澄んだ響きが特徴だったそうです。

ベートーヴェンはウィーンアクション式のピアノ・イギリス式アクションのピアノ、両方を使ったとか。イギリス式のほうが音量は大きかったそうです。

ピアノも発展途上だったため、音域が広がっていた時代。この本の中には、ベートーヴェンの曲の最高音・最低音からどの楽器を使っていたかを分析しる記述があって、これも興味深く思いました。

19世紀になって、職業ピアニストが演奏会で弾く機会が増えてきました。当然、大きな音量が望まれます。音域をひろげたい、という要望もあり、そのためには、フレームの強度をあげることが必要で、ウィーン式のアクションはそれに対応できず、衰退していったとのこと。

そして次第に、アメリカ・ドイツのピアノが職業ピアニストに弾かれることがふえていったのだそうです。

やはり、チェルニーの時代のピアノは、音を出す仕組みそのものが現代のものとは大きく違っていたことがわかりました。

鍵盤は今よりも軽く、音量もずっと小さい。チェンバロに近い音。

当時のピアノはそのような楽器だったようです。

 

 

2017.09.24

同門の方と練習会でした

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

今日は、私の師匠である大野先生のレッスン室をお借りして、練習会でした。(オフ会と言っています)私を含め、7人の参加でした。

私は、しばらく弾いているモーツァルトのピアノソナタ第1番ハ長調第1楽章を弾きました。やはり人前で弾くというのは緊張感が違います。

今日の目的は、今までの置いていくタッチを、高いところから落とす動きを多用するタッチに変えているので、新しいタッチで音を上に上げること。置いていくタッチだと、私は音量がでないので、アンサンブルのことも考えて、落とすタッチをマスターしたいのです。少し手応えがあったとは思います。もう少し、細かい音符のところも、まるい響きが出るようにしたいので、また練習していきましょう。

もう一つは、モーツァルトを感じながら弾くこと。こちらは、自分なりに、感じられたと思います。若いモーツアルトの生き生きした、冗談がちりばめられていて遊び心いっぱいの音楽。

時間があって、2度目は、デュポールのメヌエットによる変奏曲のテーマ~第2変奏曲まで。こちらは、まだまだ余裕がありません。たくさんミスタッチがあって、ちょっと反省。これは来年の葵の会で演奏する予定なので、半年かけて練っていきます。

他の方達の演奏も、それぞれ個性があって、聴いていて楽しいです。音色も、音楽の作り方も、本当にいろいろです。シューマンの幻想曲、バッハのフランス組曲・平均律、モーツァルトのソナタ、リストの忘れられたワルツ、スクリャービンの詩曲、グリーグの叙情小曲集など、曲目もバラエティ豊かで、聴いていてとても楽しくなりました。

ピアノは個人で練習するのですが、こうやって仲間と聴き合う機会が持てるのも、幸せだと思いました。

帰りに、池袋のユザワヤで端布を買ってきました。鍵盤と猫、大好きなものが二つ組み合わさっていて、迷わず色違いで買ってきてしまいました。また、やまやでポップコーンを買ってきて、お手玉をもう4つ、これで作りたいと思います。

 

 

2017.09.20

自分のレッスンに行ってきました

こんにちは、たうらピアノ教室の田浦雅子です。

月曜日に、自分のレッスンに行ってきました。

先生のレッスン室のスタインウェイ。先生が弾くと何とも言えない、つやのある、丸みのある音がします。

今回もモーツアルトのピアノソナタ1番・第1楽章から聴いていただきました。

かれこれ始めてから半年近く弾いています。この曲、本当に楽しいのです。若いモーツァルトが、「こんなこともできるよ!」「ここはちょっと大げさに悲しそうにしてみたい」「でもやっぱりそれは冗談」「この音型おもしろいでしょ」と遊んでいる感じがします。

オペラのイメージも浮かんできて、ここは「フィガロの結婚」のあの場面、「コシ・ファン・トゥッテ」のあの場面のイメージ、と思って弾くと、楽しいのです。こういう楽しさは、実際に演奏するという形でモーツァルトに触れるからこそ味わえるものであり、ピアノを弾けるからこそのものです。少しでも作曲家に近づいた気持ちがします。

とはいえ、音色はまだまだ課題がたくさん。特に展開部で、あれ?と思うところがあり、先生も「最後は持ち直したけど……。」とおっしゃっていました。和音があると手のポジションがどうしても本来あるべき形と違ってしまうように思いました。まだもうしばらく練習です。

次に、「デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲」

これも本当に美しい曲です。前回、第2変奏曲の左手の音色が薄いというか固い感じがしていたので練習したのですが、先生のピアノで弾くと、思ったほど音が変わっていません。先生が最近ソコロフのタッチを研究していらっしゃるので、そのタッチを意識して、手の内側と指のつけねの筋肉を意識して弾いてみると、前より音が集まった感じがしました。

最後にブルグミュラーのアヴェ・マリア。やはり左手の動きのある部分で響きが薄くなります。一音ずつ指の付け根を意識して弾いてみると、少し良くなってきたと思いました。これは聖母マリアへの祈りの歌。もっと歌らしく、たっぷりと弾きたいと思いました。

今回も自分の課題をたくさん見つけられました。先生の美しい響きを聴いて、少しでも近づきたいと思いつつ、帰ってきたのでした。

2017.09.16

ピアノの弾き方によって手の負担は変わります

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

9月13日に放送された「ガッテン」、腱鞘炎が取り上げられていました。

その中で、スマホやパソコンの影響で腱鞘炎の患者さんが増えている、ということが放送されていました。
かつてはピアニストだったり、美容師だったりといった職業として指を使う方が中心だったのが、特にそういう方でなくても、腱鞘炎になるケースが増えているそうです。

確かに、若い方達は親指を使って、すごいスピードでスマホを操作していますものね。

ピアノを弾く人に、腱鞘炎が多いのは確かです。
私も学生時代、手首周辺に痛みがあることも多く、特に試験前などで一生懸命弾くとひどくなりました。
同級生の中には、常にサポーターをしている人もいました。

今は大丈夫です。今の奏法は手首を上げて、親指を自然に下げるからです。イメージとしては、幽霊が「うらめしや~」と出て来る時の手に、似ているかもしれません。力を入れないわけではありませんが、手の内側で支え、指は脱力するので、痛みがくることはありません。

ガッテンの最後にキーボードの手前にタオルを置いて、パソコンの操作をする画面が出て来ました。その時に出演していらっしゃった先生が「親指が下を向くだけで違います」とおっしゃっていました。

タオルを使うわけではありませんが、手首の下の筋肉で支えて、指は下げるので、親指にかかる負担は全く違うのです。

せっかく弾くのですから、身体に優しく、楽しく弾きたいですよね。

 

 

 

2017.09.15

ベートーベンのピアノソナタを聴いて

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

私は今現在、ピアノ教室の仕事だけではなく、パートで違う仕事もしています。

その仕事先、コーヒー豆販売兼喫茶店では、毎日、店長が音楽をかけるのですが、今日はフリードリヒ・グルダ(Friedrich Gulda, 1930年5月16日~2000年1月27日・オーストリアのピアニスト・作曲家)の演奏するベートーベン・ソナタ全集でした。

朝から「今日はピアノだ。ベートーベンだ。」とそこまではすぐ分かったのですが、「このピアノは今の楽器なのかな?まさかフォルテピアノではないし。」と思うくらい、音色が均一でした。曲の構造、構成というものは非常によく分かる、素晴らしい、さすが、という演奏だと思います。

ただ、今私が学んでいるロシアの奏法、響きで音楽を作っていく奏法とは、音楽そのもののとらえ方が大分違う、ということは、改めて感じました。

今の私の奏法だと、より、その場その場での変化が大きいと思います。どんな音色のイメージを頭に描いて一音を弾くか。ペダルはどうするか。それを、その演奏のまさに「その」時に自分で選んでいきます。

私が仕事先にいる間は、初期と中期までの曲だったので、今までに弾いたことのある曲が何曲もありました。

何だか大学時代の恩師の声が聞こえてくるようで、いろいろ思い出されました。
「そう言えば、大学1年生の時に最初の8小節だけで、レッスンが終わってしまったことがあった。」とか、
「このテンポの設定、速すぎて一蹴されてしまったっけ。若くて、間が持たなかったのかなあ」などなど、懐かしく思いました。

昨日も少し、ピアノと脳の関係について触れましたが、「ピアニストの脳を科学する」という本によると、

ピアニストがピアノの音を聴いているときには、音を聴くための神経細胞だけでなく、なんと指を動かすために働く脳部位の神経細胞も同時に活動していることがわかりました。(中略)ピアニストの場合、指を一切動かしていないにもかかわらず、ただピアノの音を聴くだけで、指を動かすための神経細胞が活動したのです。

とあります。

この本は、以前読んでいたのですが、今日、グルダの演奏を聴きながら、「ここは、こう手を動かすイメージで弾きたい!」とか、「ここを弾くときには指をこう使ってみたら良いかな。」とか、ピアニストの方たちの練習量にはほど遠い私でも、手の動きが頭の中にイメージされて、「あ、なるほど。」と実感しました。

ベートーベンのソナタの作品の持つ力にも触れられましたし、何だか、幸せな1日でした。

2017.09.15

ピアノを習うことと脳の発達

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

最近の脳科学の進歩はすばらしく、NHKスペシャルのアーカイブで脳をテーマにした番組を見ていると、こんなことまでわかるのか、と驚くばかりです。

そんな脳科学を研究している脳科学者が、お子さんの習い事として薦めるのがピアノ。

3年ほど前に、テレビ番組で放送された

「脳科学者11人に聞いた(複数回答あり)脳の発達に効く!
12歳までに通わせるべき習い事ランキング」では

1位 ピアノ 同時処理能力UP

ということで、11人の脳科学者全員が、脳の発達にピアノが有効、と言っていたそうです。

確かにピアノは、右手と左手を同時に使います。しかも、別々の動きをします。
さらに意外に足もたくさん使っています。
右足でも左足でもペダルを踏みますが、これもまた、左右が違う動きをします。

例えば、左足はペダルを下まで踏んで、右足は半分くらい浮かせてそこから徐々に右足だけペダルを上げていくこともあります。逆に、左足を次第に上げていくこともあります。こう考えると確かにすべてが全く違う動きをしています。

この、両手両足がそれぞれ違う動きをすることで、人間の脳の「前頭前野」という部分を発達させるのだそうです。

脳科学辞典によると

前頭前野はヒトをヒトたらしめ,思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。

とのことで、人間らしい思考や創造性を司る部分がピアノによって、より発達するというのは、ピアノを愛する者としてはとてもうれしいことです。

もちろん、脳の発達に「役立つ」から、というだけではなく、美しいものにたくさん触れる体験は子供さんの心にとって、どれほど大切なことでしょう。

特に小さいお子さんの成長は、本当に速いので、小さい頃から音楽に触れていくことで、自然に芸術に親しんでいく基礎が築かれていくと思います。

脳とは関係ありませんが、ペダルを踏むのに足を使うということに関連して思い出したことがあります。以前足裏マッサージを受けたときに、「足の裏の厚みが普通の方とずいぶん違うのですが、どうしてでしょうね。」と言われたことがあります。

ピアノのペダルを踏むことで、足の裏の筋肉の付き方も変わってくるのかもしれませんね。

 

2017.09.11

50年以上演奏し続けるということ

昨日は、私の所属する葵の会の例会でした。

葵の会は、埼玉大学教育学部で音楽を学んだ同窓生の演奏団体です。
来年で54回目の定期演奏会を迎える、県内でも最も古い団体の1つだそうです。

現在も創立時のメンバーを含め、歌・ピアノ・作品発表でプログラムを組み、毎年4月に定期演奏会を行っています。

何より私がすごいと思うのは、54年間のすべての定期演奏会で演奏している先輩を始め、50回以上出演の方が何人もいらっしゃるということです。教員として仕事をしていた方が多く、その期間も含めて半世紀以上にわたって、ずっと自分の音楽を作り続けてきたことに尊敬の念を持っています。

「定期演奏会で歌うと、自分の演奏の不十分さがわかるの。だから来年は今年より少しでも上手になりたいなあ、と思って続けているうちに50年たってしまったのよね。」とある方はおっしゃっていました。

「とうとう後期高齢者になってしまった!」と言いながら、今年も4人8手連弾にチャレンジする方がいらっしゃいます。

この先輩方と会って、お話を伺うことで、私はとてもたくさんのパワーをいただきます。皆さん本当に前向きで、向上心にあふれています。私自身、その方々とともに演奏できるということ、自分で音楽を作っていけるということの幸せを感じます。

昨日は次回、来年4月に向けての曲目をエントリーしてきました。私はモーツァルトを弾きます。これから4月まで、モーツァルトとしっかり向き合って、今より少しでもいい音で弾けるよう、少しでもモーツァルトの音楽の本質に近づけるように弾いていきます。