「2018年」の記事一覧

2018.06.07

指遣いをよく考える

こんにちは。

ここのところフォーレのノクターン2番の譜読みをしています。

その中で、ピアノの譜読みの上で、大切だと改めて思ったのが指遣いです。

 

もちろん、今までも考えていました。

でも、今まではまだ甘さがあった、ということに気がつきました。

きっかけは4月。

モーツァルトを弾いた時、最終段階までとても弾きにいと感じる部分がいくつか残ってしまいました。

そこをゆっくり練習していたのですが、その原因として指遣いが悪い、と思ったのです。

本番直前なので、弾きにくさを承知で指遣いはそのままにすることにしました。

 

それ以降、最初の段階の指遣いを今までよりももっと慎重に決めることにしました。

次のヘンデルのシャコンヌから実行。

バロックですが、特別な指遣いが必要な部分は多くはありません。

でも、試しに全部の音符に指遣いを書き込んでみました。

 

その結果、今までよりも一つ一つの音に気を配れるようになりました。

この奏法の場合には、手の使い方、特に重心の位置が指遣いによって大きく変わってきます。

また、私の場合、手が小さいので楽譜に書き込まれた指遣いでは間に合わないこともたくさんあります。

どうすれば弾きやすく、無駄なく手を使えるか?

最初の段階で、まとめてそこを考える時間をとったので、次の段階がとてもスムーズになりました。

 

フォーレはヘンデルよりも音がずっと複雑です。

やはり今、指遣いを全部の音に書き込んでいます。

時間があるときに、楽譜だけ見て書き込み、その後ピアノに向かって実際に弾きながら修正しています。

片手ずつ弾いているときと、両手で弾くときとでは、弾きやすい指遣いが違うこともあり、いろいろ試しながら決めていきます。

 

指遣い、単純な音型だったり、決まった形だったりすると、ついつい「何となく」弾きがちですが、一つ一つそこを確認することで、また今までとは違う感覚で曲に取り組めるようになりました。

2018.06.05

弾き方でピアノのピッチ(音の高さ)が変わる

こんにちは。

昨日は、御茶ノ水にレッスンに行ってきました。

発表会ではヘンデルのシャコンヌを弾くつもりですが、選曲の時に候補に挙げていただいたフォーレのノクターン2番も練習中。

昨日はそれをみていただきました。

 

時代的にもヘンデルとは全く違い、音も複雑。

しかも、私としてはあまり経験のないフランス音楽。

どう弾こうか?どんな音を出そうか?

いろいろ考え中です。

 

レッスンで一度弾いた後、ショパンのタッチの復習。

ここのところ、モーツァルト・ヘンデルと古典以前の作品のレッスンが続いていました。

鍵盤に対して縦方向に入れるタッチを中心にレッスンしていただいていたので、ショパンのタッチは、私の頭の中の引き出しでも奥のほうにしまいこまれていました。

「しまった!」という感じ。

イメージとともに、そのタッチを復活させ、もう一度弾いている途中のことです。

 

「こう、爪の方向にもっと力を逃がしてみて。そうするとこういう音が出るから。もっと立ち上がりの良い音。」

先生が弾いてくださいました。

確かに、立ち上がりの良い、フランス音楽らしい音色。

弾いていただいて、そのイメージで自分で弾いてみると…。

驚いたことに明らかにピッチ(音の高さ)が上がりました!

もちろん、弾き方でピッチが変わることは知っていました。

今までもレッスン中に「そこはソ♭ではなくてファ♯の音。」と言われて高めにしようと意識して弾くこともありましたが、今回は意識せず、しかもかなり上がったので、びっくり。

その分、よけいに明るい、フランス音楽に合う音色に感じられました。

 

このショパンのタッチベースに、縦方向に弾いていくタッチや今までに学んだ他のタッチをまじえ、どんな音色をどこに使って、どう弾いていくか。

この奏法ならではの音色・響きの変化を曲の中に生かしていく魅力。

研究のしがいがあって、また楽しくなりました。

 

2018.06.04

完成形をイメージする

こんにちは。

ピアノは、お家で練習してくることを前提にレッスンをしています。

ある程度それが習慣になっていけば、必ず上達していきます。

 

練習についての一つのポイントは、いつやるか?

これは、1日の生活時間の中で「ここはピアノの時間」と決めていくことが大切です。

まず、「ピアノの練習は毎日する」と決めます。

そのためにどうしていくか、という考え方をしていきます。

「時間があったら…」と考えると、時間は意外になくなってしまうものなのですよね。

 

学校から帰って遊びに行く前に、練習する。

おやつを食べた後練習する。

お夕飯の前に練習する。

習慣を確実に作っていくためには、今既にある習慣(例えば遊びに行く、おやつ、お夕飯)の前後に入れると良いです。

 

もう一つのポイントはどうやるか?

これはさらにいろいろな要素があります。

その中に、完成形のイメージを持つ、ということがあります。

レッスンのときには、練習が自分でできるように、右手と左手の譜読みは生徒さんと一緒にしています。

うれしいことに、階名を読んで片手ずつ鍵盤を弾くことは、多くの生徒さんが出来るようになっています。

ただ、いきなり両手を合わせるのは、その段階では難しい場合が多いです。

 

そこで完成形のイメージをつかんでもらうために生徒さんが右手・私が左手を弾いて合わせてみます。

交替して生徒さんが左手・私が右手。

私が弾いてみせて、イメージをつかんでもらうこともあります。

レッスン中にその完成形がつかめると、それに近づけるように練習することができます。

 

毎日少しずつでも練習をしていく。

ぜひその時間を作って、上達する・進歩することのうれしさを味わってもらいたいと思っています。

「音を出す」から「美しい音楽を意識する」へ

こんにちは。

幼稚園・保育園のお子さんのレッスン。

お母さまの付き添いをお願いしていますが、実際には難しい場合も多い。

特に下のお子さんがいらっしゃると、上のお子さんが気が散ってしまったり、静かに待つために下のお子さんへの注意が多くなったり、と難しいように思います。

その場合には、送り迎えで対応していただき、レッスンノートや時に動画をお送りして様子を分かっていただくようにしています。

 

幼稚園年長の生徒さん。

「ピアノひけるよ!ジュニア2」も順調に進み、最後の2曲になりました。

「ジングルベル」はスムーズだったのですが、「聖者の行進」のリズムは難しい。

前回のレッスンの時、リズムを「うんたんたんたん…」と口でして、その後に片手ずつ練習をして、といつもよりも丁寧に確認しました。

 

今回のレッスン。

毎日の練習時間がとても長くなって30分の日も何日もあり、とても頑張っていた様子がよくわかりました。

ノートには「だいぶ弾けるようになってきました」とお母さまが書いてくださっていて、実際の演奏もとても上手にできていました。

いつも3曲ずつ練習してくるのですが、今回はちょうど本が終わるところでもあり、「聖者の行進」が難しいこともあり、課題は2曲にしました。

でも、新しい「ピアノひけるよ!ジュニア3」の本を渡しておいたら、次の「こいぬのマーチ」もれんしゅうしてきた、と言うので、そちらも聞かせてもらったところ、とても上手に弾けていました。

 

お迎えにきたお母さまに

「『聖者の行進』、とても上手に弾けていましたね。」とお話しすると

「最初の2日くらいは、思うように弾けなかったので荒れていました。」とおっしゃっていました。

お母さまのしっかりとしたサポートもあり、毎回順調に曲を仕上げてきています。

手の形にもずいぶん気を配れるようになりました。

 

今回は、フレーズの終わりをきれいに弾く、ということ、右手のうた(メロディー)と左手の伴奏の音量について意識する、という課題を話しました。

「音にする」段階から「美しい音楽を意識する」段階へ。

どんどん成長しています。

できるだけ小さく分解する

こんにちは。

練習していく上で、難しい部分はできるだけ分解して考えていく、ということは大切です。

 

例えば、音符を読む時。

「ド」はわかりやすい。

形も音符のなかに線が入っていて、特別です。

「ド」と「レ」だけだと大丈夫。

でも、「ミ」「ファ」「ソ」が出てくると…。

「ミ」と「ソ」の区別はむずかしい。

「レ」と「ファ」の区別もむずかしい。

そんな状態になりやすいですね。

 

小学校1年生の生徒さん。

昨日は、ミとソの音符を読む練習をたくさんしました。

下から線を数えて、一番下の線の上にあるのが「ミ」。

2番目の線の上にあるのが「ソ」。

何回もやって、だいぶ分かるようになってきました。

 

小学校6年生の生徒さん。

タイのあるリズムパターンにだいぶ慣れてきました。

これからのことも考えて、昨日はリズム打ちの練習をしてみました。

ボンゴがありますから、右と左で違うリズムパターンをボンゴを使って打ってみました。

小節をまたいだタイがあるリズム打ちを中心に、何パターンか数えながらやってみました。

 

最初は、ときどき「あれ?」となりましたが、何回かやっているうちにスムーズになってきました。

拍子の確認をしっかりできるようになってきたからです。

頭の中で、「これは4分の3拍子。イチニサン」と考えられるようになるだけでも、ずいぶん違ってきます。

難しい部分は、左右別々にやっていきます。

 

いろいろな要素がありますから、その要素をできるだけ小さく分解して練習していく。

分からなくなったら、そこに戻っていくことを大切にしていきます。

2018.06.01

小学校3年生のお子さんの体験レッスン

こんにちは。

昨日は、小学校3年生のお子さんの体験レッスン。

その場で入会を決めていただきました。

東松山に引っ越ししていらっしゃったので、ピアノは前のところで習っていたとのこと。

ピアノ・歌・リズム・音符の学習など、しっかり勉強してありました。

 

ミッキーマウスマーチの途中で引っ越してきたので、前半の練習してある部分を聞かせてもらいました。

とてもよく練習してあったので、指遣いが違っているために弾きにくくなってしまった部分のアドバイスとその部分の練習をしただけで、後半部分へ。

譜読みを一緒にやりました。

右手の階名を確認して、弾いてみます。

つまづくところ、難しいところの確認。

次に、私が左手の部分を弾いてイメージをつかんでもらいます。

今度は左手。階名を確認して弾いてから、私が右手部分を弾いて合わせてみます。

そのあと、ゆっくり両手で練習。

ミッキーマウスマーチは、マーチなので当然2拍取りですが、実際は八分の六拍子です。

ですから、最初は、123456と6拍数えながら練習しました。

リズム感がよく、また読譜力もあるので、スムーズに譜読みが出来ました。

 

「エリーゼのために」を弾けるようになるのが目標、とのこと。

しっかりしたお子さんです。

お母さまからは「このピアノの音が本当に良いですね。先生が弾いた時、音が心に入ってくる感じがしました。」とおっしゃっていただきました。

そういう音色の部分にも目を向けていけると音楽がさらに美しくなっていきます。

これからのレッスンが楽しみです。

 

2018.05.31

練習後に睡眠をとるとピアノが上達する

こんにちは。

今日は、少し視点を変えたお話を書きますね。

皆さんは睡眠、十分にとれていらっしゃいますか?

 

私自身、勤めていた頃、常に睡眠不足でした。

さらに、緊張が強かったのでしょう、身体はくたくたなので、すぐ眠ってしまうのですが、朝早く目が覚めてしまい、思うように眠れない、ということもありました。

先日、レッスンの時、大人の生徒さんも同じようなお話をしていました。

中学生達も睡眠不足の傾向は強かったですね。

「せめて日付が変わる前に寝るようにしよう。」という話をよくしていました。

 

そんなこともあって、睡眠に関する本も読むのですが、最近読んだ「睡眠こそ最強の解決策である」という本は、さまざまな角度から睡眠についての最新の研究結果が書かれており、大変興味深いものでした。

この中に、ピアニストとの会話がきっかけで行われた、睡眠と動きの習得との関連も書かれていました。

あるピアニストが、「ピアノの練習をしていて、マスターできない箇所があったとき、マスターできないまま眠っても翌朝になるとなぜか弾けるようになっていることが頻繁にある」という話を著者にしてくれたのだそうです。

 

この会話をきっかけに、著者は研究を始め、実験を行いました。

右利きの人を集めて、左手を使ってキーボードを打ち込む練習をしてもらう。

12分間の練習後、12時間後にテストを行います。

半分の人は午前中練習、夜にテスト。

半分の人は夜に練習8時間の睡眠後朝にテスト。

結果は同じ12時間後でも、睡眠をはさんだ人のほうがスピードで20%、正確性は35%上昇したとのこと。

 

脳は、睡眠の間に記憶を移動させるのだそうですが、このような運動記憶の場合は、意識の下で活動している脳の回路に記憶を移動させ、その結果、意識しなくても動かせるようになるのだそうです。

一般の記憶だけでなく、運動記憶にも睡眠は深い関わりがあるのですね。

ですから、ピアノもレッスン直前に「ちょっと練習」ではなく、ぜひぜひ間に睡眠を挟むよう、毎日の練習が上達への早道になります。

それから、特にお子さんは、眠ることで脳の発達が促されますから、十分な睡眠時間を取ってくださいね。

 

音の質を聞き分けていく

こんにちは。

音の響きを聞く。

自分が今出している音の質を聞き分ける。

簡単なようで意外に難しい。

 

私自身、大学時代に、「響きを聞いて。」とさんざん言われましたが、はっきりと理解できてはいませんでした。

ただ、「こんな感じなのかな?」というイメージが多少は持てたので、それが改めてロシアピアニズムを学ぼうと決めたときに、確かに生きてきました。

 

レッスンをしていて、お子さんは、理屈ではなくて感覚で弾く部分が大きいので、すっと入っていくような気がしています。

先日のレッスンでも、幼稚園の年長の生徒さん。

最初は鍵盤の下まで押さえて押さえて、頑張って弾いていました。

小さいお子さんにとって、ピアノの鍵盤はとても大変なものなのですよね。

ですから、「音を出すぞ」という気負いがあって、とても頑張る傾向があります。

 

もっと力を抜こうね。

手をぶらぶらさせて。

手をこう置いて。

と話していくうちに、音が変わってきました。

 

さらに、私が一緒に弾くと、その音の響きの違いを感じるのでしょう、さらに音が変わってきました。

だんだん「抜けた音」になってきました。

30分のレッスンの間に、ずいぶん音の質が変化したのです。

 

ついつい、「音符が読めること」「楽譜に書いてあることがわかって、音が出せること」に意識が向きがちですが、その出している音の質、音そのものが歌う、そして音楽を作っていける。

生徒さん達が、その部分にもしっかり意識を向けられるように、そんな思いで指導しています。

2018.05.28

多彩なピアノの音色に感動する

こんにちは。

昨日は、すみだトリフォニーホールに行ってきました。

このコンサートでブラームスのピアノ協奏曲第2番を演奏するピアニスト、川村文雄さんは、私の師事する大野先生の一番弟子。

今までソロの演奏は伺ったことがあるのですが、オーケストラとの競演を伺える機会はなかなかないので、思い切って出かけてきました。

 

行く前にあらためていくつかの演奏を聴いてみたのですが、この曲、ピアノ協奏曲でありながら、いわゆるピアノ協奏曲とは違う。

交響曲の感じに近い。

大野先生も「あの曲、本当に難しいんですよ。」とおっしゃっていましたが、いろいろな意味で確かにものすごく難しいのだろうと思いました。

 

実際の演奏では、まずなんという音の美しさ!濁りのない響きの美しさ!

まっすぐこちらの心にまで響きが届いてきます。

ああ、この奏法を極めていくと、こういう響きになるのだな、という思いがしました。

そしてその響きが音楽とともに多彩に変化していきます。

 

きらっと光る音。

柔らかい音。

オーケストラと融け合う音。

オーケストラの音から抜けて届いてくる音。

 

こんなにいろいろな音が出せるなんて。

弾く人によってこれほど違うのだな、と改めて思いました。

同時に、ピアノという楽器の魅力も再認識しました。

やっぱりピアノは素晴らしい。

 

2階席だったのですが、ちょうど手がよく見える位置にいたので、手や身体の使い方もとても勉強になりました。

無駄な動きがない。

ほんの一瞬のせて、でもその後いかに上手く力を移動させているか。

身体の軸はどうなっているか。

 

ブラームスの音楽に浸り、また次への勉強のエネルギーをたくさんいただけた素晴らしい時間でした。

2018.05.27

楽譜を読めるようになるために

こんにちは。

小さいお子さんの場合、最初の段階では「音符が読めること」が一つの大きな課題になります。

音符と鍵盤と音の高さ。

この3つがつながると、自分で新しい曲の譜読みが自分でできるようになり、そうするとますます楽しくなります。

いかに早くつなげられるか。

 

一つの鍵はやはり「回数」です。

音符を見て、これは「ド」これは「レ」…。

そして鍵盤はここを弾く。

こんな音が出る。

 

レッスンでも、もちろん毎回扱います。

音符カードを使って、「この音は何の音?」。

鍵盤で弾いてもらったり、言葉で答えてもらったりします。

実際に練習する曲の楽譜でも、必ず音符の階名を確認します。

 

音楽ドリルは、毎回宿題にしています。

今週は「ド」

ドに色塗りをしたり、○をつけたり、ドの音の音符のなぞり書きしたり。

次の週は「レ」というように。

皆さん、毎回頑張ってよくやってきています。

まだ、ひらがながおぼつかない生徒さんでも、本当によくやっていて、ほほえましく、そしていつも頑張っている様子にうれしくなります。

ですから、音楽ドリルの○つけのときに、「この音は何?」と聞くと、だいたい正解できます。

 

それを楽譜を見ながらピアノの練習するとき、どれくらい意識できるか?ということが大切だと感じています。

ドリルの学びと、ピアノの練習の時の楽譜を読むこと。

これをどううまくつなげていけるか。

そして、先ほど「回数」と書きましたが、どうお話ししたら、お家での練習の時に意識できるようになるか。

このあたりは、一人一人のお子さんによってまったく違ってきます。

そのお子さんに合わせて、「こう言えば伝わるかな?」「こうすればできるかな?」と毎回考えながら指導しています。