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2017.10.13

学ぶとき、一つ上の視点から考える

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

勉強にせよ、ピアノにせよ、お子さんもある程度成長してくると、ふとした時に、とても大人びた発想・表現をすることがありますね。

だいたい10歳を過ぎた頃から、物事のとらえ方が一段階大人になってきます。

 

それくらいの年齢からは、物事を学ぶときに、一つ上の視点から見ていくことを知って、それを意識していくと、応用して考えていけるようになります。

昨日も、小学校高学年の生徒さんに話したのですが、私は中学校で国語を教えていたので、それを例にしました。

小学校4年生の国語で「ごんぎつね」を学習します。そのときに、ごんのひとりごとから、ごんの気持ちを考える、ということは授業で取り上げます。

それを一つ上の視点から考えると、「物語を読むときに、ひとりごとからその登場人物の気持ちを読み取ることができる」ということになります。

「ごんぎつね」だけにとどまらずに、他の物語を読むときにも応用できるようになるのです。

その生徒さんは、とてもよく分かってくれました。

実際に、ピアノのレッスンの中で、和音の変化に気をつけて弾いてみようね、と始めました。

大きく変化している部分を、最初は一緒に見つけました。でも、次は一人で見つけることができ、演奏に生かして変化をつけることができました。

 

ピアノにも、学校の学習にも使えますので、ぜひ、小学校高学年以上のお子さんに意識してほしいと思っています。

 

2017.10.11

ピアノと調律

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

3週間ほど前から、ペダルを踏むと音がして、困っていました。

今までも、時々は音がすることがあったのですが、調律師さんのアドバイスによる応急処置でなんとかなったり、湿度や気温が変わってなんとかなったり、あるいは調律に来ていただくタイミングだったので、直していただいたりという感じでした。

今回は、生徒さんも弾くピアノになったことですし、早め早めの調整をと思い、調律をお願いしました。

いらっしゃって、まずペダルの雑音の解消。さすがプロです。たちどころに直してくれました。

同時に私のできる範囲の対処法を教えていただけたので、今後雑音がした場合は、その方法を試してみようと思います。

(直らなければ、来ていただくということで)

ていねいに調律をしていただき、弾いてみました。今までも、響きが上がるような調律はしていただいていたのですが、音程が合ったことで、気持ちよく響きが上がる感じがしました。調律師さんは、部屋の中を動いて響きを聴いてくれました。

次に、私がイメージとして描いている音を感じて、キャスターの向きを変えることを提案してくれました。

何年か前にも、試しに変えてみたことはあったのですが、その時は響きすぎる感じがして、すぐ元に戻しました。その後レッスン室を作るにあたり壁を作ったので、響き方はその時とまた変わっています。

先日の電子ピアノも、インシュレーターでだいぶ響きが変わりましたが、グランドピアノの場合も、インシュレーターの材質・キャスターの向きによって変わってくるそうです。

3つある脚のうち、高音部分にあるインシュレーターを動かし、脚の先にあるキャスターの向きを変えました。

弾いてみると、響きの流れていく方向が変わっていくのがはっきり分かり、部屋の空間全体に広がる感じがしました。

もう少し動かしてみると、今度は音が回り込んで私の右横で鳴っている感じがします。

これは違和感があったので、元に戻しました。左側は壁についているので、元に戻し、最初の状態のままにしました。全体として、響きが空間で混ざる感じが以前よりも強くするようになりました。

タッチは、基本的に今までと変えず、ただトリルの時の鍵盤の戻りがもう少しよくなってほしいと思っていたので、それをお伝えして、その部分も丁寧に調整していただきました。

調律師さんのお話によると、弾く人が持っている音のイメージによって、どこをどう変えていくかは違うそうです。

今日は、空間で響きが混ざるようにしていきたい、という私の希望をくみ取って、それに合わせた調律・タッチの調整をしていただきました。

また、気持ちよく自分の練習・レッスンができます。本当にありがたく思いました。

 

2017.10.09

レッスンに行ってきました

今日は、御茶ノ水までレッスンに行ってきました。

私は、自分自身が学べるということを、とても幸せだと思っています。

客観的に演奏を聴いてくれ、的確に指導してくれる方がいるというのは、心強いことです。

また、私自身、そうやって新しく学んでいくことそのものの中に、楽しさや充実感を見いだしてもいます。

今回は来年4月の葵の会で弾く予定の「デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲」

私はこの曲がとても好きで、とても楽しいと思いながら毎日練習しています。これもとても幸せなことです。

6つめの変奏曲までみていただきました。

いつもは、1週間おきにレッスンに伺っているのですが、今回は、都合でなか2週あいているので、響きの質が変わっていないかが一番気になっていました。

先生のレッスン室のスタインウェイで、左手の部分をゆっくり弾きながら、自分の感覚と実際の響きの状態を聴いてみました。

あまり深いタッチにはなっていなかったと思います。

ここのところ、パソコンで動画を扱えるようにしようと、努力中なものですから、テスト動画として撮影した自分がピアノを弾いている姿を録画して見ています。

それを見てみると、薬指や小指で弾いている部分の響きが安定していません。手の向きが変化すると、響きが少なくなってしまいます。これがここしばらくの課題だと思っています。

通して弾いてからご指導いただきました。

大野先生からは、2回同じ音型が続く部分の弾き方が単調になっている部分など、細かい部分の修正をしていただきました。

また、次の第7変奏曲で、手の使い方が思うようでなく、つまづいていたので、その部分も教えていただきました

手を開いた状態で、親指と小指をつかう音型の連続なので、私はどうしても力が入っていました。指の使い方、手首の位置や動かし方、力の逃がし方など、細かく見せていただき、脱力するためのポイントが分かってきた気がします。

本番は来年4月ですが、12月に一度葵の会のメンバーだけのミニコンサートで弾くので、そのときには、今より少しでもいい音で弾けるように、また明日から練習していきましょう。

 

2017.10.08

電子ピアノを弾いてきました

 

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

今日は、電子ピアノを弾いてきました。私自身は、25年以上前にクラビノーバを持っていたのですが、最近の事情は全く知らなかったので、市内の杉田楽器店さんにお願いして、弾かせていただいたのです。

初めてお電話して、買うのではないけれども、いくつかのメーカーさんのものを弾き比べたいということをお伝えしたところ、快く「どうぞ。」とおっしゃっていただきました。

実際に、何種類も弾かせていただけましたし、説明も大変詳しくしてくださったので、とても勉強になりました。

実際に弾かせてもらったのは、KAWAI・CA67、YAMAHAの最上位機種(うっかりして型番を見てきませんでした)です。下位モデルのクラビノーバと、ローランドの2台は、音を出さずに鍵盤を触らせてもらい、タッチを確認してきました。

私の感覚では、木製鍵盤を採用しているというKAWAI・CA67が一番ピアノに近いタッチでした。

最初に弾かせてもらったのが、KAWAI・CA67です。底に触れた瞬間の感覚がピアノとは確かに違っていて、最初はとまどいました。特に、弱い音はなかなか反応しない感じがします。お店の方のお話ですと、電子ピアノで練習する場合、どうしても、強くたたく傾向になるとのことでした。

次にYAMAHAを弾かせてもらいましたが、KAWAI以上にニュアンスを出しにくいと感じ、正直これは困った、と思いました。

確かに、両方とも25年前のクラビノーバよりはずっとピアノに近い音はするのですが、やはり実際のピアノとの間にはずいぶん隔たりがあります。

すると、後ろにあったKAWAIのアップライトピアノを弾いてみて下さい、と言われました。これが、意外に響く音のピアノで感心したのですが、杉田楽器さんが作っているインシュレーターの上にのっていて、それによって響きが変わっているとのことでした。インシュレーターの中にバネが入っているそうです。

電子ピアノ用もあると言って見せてくれました。確かに中にバネが入っています。これを電子ピアノの下に入れると、楽器が浮くことになります。そうすると振動が床に逃げないので、響きが変わってくるのだそうです。

お願いして、KAWAI・CA67の下に入れてもらいました。もう一度弾かせてもらいましたが、さっきとはかなり違います。だいぶアップライトピアノに近い感じになり、弱い音の幅が広がってきました。

もちろん、ピアノとは違います。でも、この状態なら、タッチを考えながら弾く練習も、ある程度可能なレベルだと思いました。

また、鍵盤のすぐ上の左右に、弾いている人に向いているスピーカーがあり、そこからの音が不自然だと感じたのですが、中の配線をはずすことでそのスピーカーからの音を切ることも可能だそうです。

今回、実際に弾かせてもらい、触らせてもらったことで、電子ピアノの現時点での状況が自分なりにつかめました。工夫によってはある程度のことが可能だということがわかり、ちょっとほっとしました。

長時間にわたり、丁寧に説明、対応していただいた杉田楽器店さんに感謝です。ありがとうございました。

 

2017.10.06

ピアノレッスンの様子をお伝えする方法

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

先週、保育園に通っている5歳の女の子が体験レッスンに来てくれました。

とてもしっかりしたお嬢さんで、体験レッスンの時にも、いろいろなものに興味・関心を示していました。今日、お母様からご入会のご連絡をいただきました。

小さいお子さんのご入会が続いています。

規約にも「小さいお子さんの場合には、出来るだけ付き添いをお願いします」と書きましたが、下のお子さんがいらっしゃるとなかなか難しい場合があるということが、実際の体験レッスンでの状況からよく分かりました。

一方で、保護者の方にも、実際のレッスンの様子をお伝えしたい、見ていただきたいという思いがあります。

見ていただくことで、レッスンを受けているお子さんとの体験を共有することが出来るからです。

下のお子さんが小さいと、時に、お兄ちゃんやお姉ちゃんが、下の弟や妹のことを考えて我慢している場合もあります。

そういう意味からも上のお子さんの様子を見ていただきたいと思ったのです。

そこで、動画を保護者の方にお送りする形で、見ていただけたら良いのではないかと思いました。

保護者の方も、レッスン中、下のお子さんが騒ぐなどの気兼ねせずに、ご都合の良い時間に見ていただくことができます。

上のお子さんと、「今日、こんなことをしてきたんだね。」と話していただくこともできます。

広告も入らず、パスワードで保護して、パスワードを知っている方だけが動画を見られるというシステムが使えるサイトを見つけました。

今、ファイルサイズのこと、動画や音の質などいろいろ実験しつつ、調整中です。

レッスン後すぐにとか、毎回とかは難しいかもしれませんが、何とか実現できるようにして、レッスンノートでの連絡と併用していきたいと思います。

いろいろ便利なものがありますので、できるだけ活用しつつ、レッスンを受けるお子さん・保護者の方、そしてご兄弟など多くの方が音楽を楽しむ機会が増えるように、教室を運営していきたいと考えています。

2017.10.05

ピアノ練習の習慣をつける

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

 

ピアノを始めるにあたり、やっぱり気になる「練習」

上達するためには練習はどうしても必要です。(一応、イメージトレーニングによっても、指を動かす脳の部位は発達するとのことですが、当然、実際に弾くほうがより発達します)ぜひ、練習は「習慣」にしていきましょう。

私自身も、小学生の頃、母とかなりぶつかったのはピアノの練習時間のことでした。先に遊びに行って、5時に帰ってから練習する約束でした。

でも、遊びに夢中になって、5時になっても帰らなくて、怒られて……ということの繰り返し。

これは大いにありうるパターンだと思います。そして、今の教える立場から考えると、これは「習慣化」によって、予防したほうが良いのです。

 

ですから、お子さん用のレッスンノートには、一週間の日課表をつけました。

学校から帰るのが、だいたい何時頃か。ピアノ以外に習い事があるとしたら、いつ・どれくらいの時間がかかるのか。夕食の時間はだいたい何時頃なのか。何時頃までなら、ピアノを弾くことができるのか。

暗くなるのは、季節によっても違ってきますから、外遊びの時間帯も変わってきますよね。

そういうことを考えて、ピアノの練習時間が、どこでどれだけ取れそうなのかを「あらかじめ」考えて、それを「習慣」にするようにします。

 

最初はハードルを低く、「できた」という成功体験をたくさん積むことが大切です。ピアノの前に座って手を置いて3回弾く、というように抵抗なくできることから始めて、習慣づけていきます。

新しい習慣がつくのにだいたい3週間くらいかかりますので、お子さんの場合はその期間お家の方のサポートが必要です。

 

人間の行動の7割(8割という人もいます)は習慣だそうです。

心が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。

これは、ウィリアム・ジェームズという人の言葉です。他にもガンジー、マザー・テレサ、マーガレット・サッチャーなどもほぼ同じ内容の言葉を残しています。

ちょっと大げさな気もしますが、習慣がいかに大切かということは伝わってきますね。ぜひ、ピアノのレッスンとともに、練習の習慣をつけ、上達という成功体験を味わえるようになってほしいと思います。

 

2017.10.04

無理のない一歩から

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

今日は、中秋の名月ですね。さっき見上げた時は雲が広がっていて、光はあったのですが、お月様の姿は見えませんでした。

体験レッスンを受けに来て下さった方とお話する中で、もう少しお伝えできたら良いな、と思う部分も出てきたので、ホームページに加えて、今考えていることをお伝えしていきます。

一番言いたいのは、「楽しいから一緒にやりませんか」ということです。もちろん、この楽しさは、単なるおもしろおかしいこととは違いますが、でも自分の手・身体を使って、音楽を奏でることは基本的にとても楽しいことなのです。

そのためにも、あまり最初からハードルを上げたくない気持ちがあります。例えば、「絶対ピアノを買って下さい」と言われたら、私自身もピアノを習い始めることは出来ませんでした。私も最初はオルガン(当時ですから、電子ピアノもありませんでした)でしたから。それを思うと、最初は電子ピアノもやむをえない、という気持ちはあります。

一方、今、私がお伝えしたいロシアピアニズムは、ピアノならではの「響き」で音楽を作っていきます。でも電子ピアノでは、響きで音楽を作っていくことはできません。レッスンで手の使い方を学んで、音色については家でイメージトレーニングをする、ということになります。気持ちがあれば、イメージトレーニングの力で、ある程度は電子ピアノの弱点もカバーできるかもしれません。あるいは状況に応じてピアノを手に入れる(必ずしも新品を購入するだけでなく、お知り合いから譲ってもらうなど、いろいろな方法が考えられます)こともできるかもしれません。

レッスン室への付き添いや、下のお子さんを連れていらっしゃることについても同じです。規約には「できるだけ小学校低学年までは付き添いを」と書きましたが、やはりケースバイケースです。下のお子さんが「レッスンを妨げないように」と言っても、小さいお子さんは本当に予期せぬ言動をします。そこを完璧にすることは、難しいと思うのです。

一番大切なのは、レッスンを受ける人、(それがお子さんの場合は)保護者、ご家族、皆さんが「ピアノって楽しい」「音楽は楽しい」という思いを少しでもたくさん味わい、共有できるようにすることにあります。だんだん上達すれば、ご家族でいっしょに音楽を楽しめるようになります。歌を一緒に歌う、親子連弾、ギターとのアンサンブル、学校で習うリコーダーとのアンサンブル等々、どんどん広がっていきます。

いろいろ考えつつも、「まず無理のないところから始めましょう」と言いたいのです。どんな小さな一歩でも、踏み出すことが大切だと思うからです。

 

 

2017.10.03

幼稚園の年中さんのピアノ体験レッスン

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

今日は、体験レッスンからご入会いただきました。

幼稚園の年中さんの女のお子さんです。とてもしっかりと、きちんと目を見てごあいさつしてくれました。

1 右左ゲーム(3パターン)
2 ボンゴを使ったリズム打ち(動物の名前の数だけたたく)(音符を見ながらたたく)
3 数字を見ながら指番号の練習
4 鍵盤カードを並べる→カードのドをさがす
5 ピアノ鍵盤のドをさがして全部のドの音を弾く
6 手の形に気をつけて3の指(中指)でピアノを弾く練習
7 先生と連弾
8 お歌をうたう

という流れで30分間でした。

年中さんですが、右・左の区別や数字はよく理解できていて、とてもスムーズでした。手の形に気をつけてピアノを弾く、というのも、何回かやっているうちにコツがつかめてきました。本当にかわいいかわいい手で、とても一生懸命弾いていました。

次回から使う楽譜3冊をお渡しし、大きなお手玉は、好きな柄のものを選んでもらって、プレゼント。次回までに毎日お手玉で遊んできてね、とお約束しました。

小さいお子さんの場合、歌をうたったり、楽譜を読んだり、という音楽の基礎を作るための活動をたくさんやっていきます。色をぬったり、書いたりもします。その期間に、お手玉などを使って指を鍛えていきます。またピアノを弾く時も、最初は一番強い中指で弾くことから始め、手に無理がかからないようにしていきます。

最初はゆっくりに見えても、手の内側の支えがしっかりしてくれば、読譜力がついているお子さんは、どんどん曲が弾けるようになっていきます。

2017.10.02

Ray Lev先生監修の楽譜

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

早くも10月。もう今年も残り3ヶ月です。私にとっては、ピアノ教室立ち上げという大事業(私としては)があったので、いつもにも増して時の流れの速さを感じた今年です。

少し前のことになりますが、このピアノ教室を始める前の8月下旬に、私は埼玉大学時代の恩師の松原正子先生のもとに伺いました。

そもそも、私がロシアピアニズムを学ぼうと思ったのは、松原先生のレッスンを大学時代に受けたことに始まります。でも、松原先生ご自身がこの奏法を、どうやって学んだのか伺ったことはなく、「私の先生はロシア人で……。」というお話をたった一度、聞いたことがあっただけでした。

2年ぶりにお会いした松原先生は、80歳を超えたとのことですが、全く年齢を感じさせない動きで、本当にお元気でいらっしゃいました。事前に、私がピアノ教室を始めることをお話しておいたので、Ray Lev先生監修の楽譜を用意して、「これ、あなたの生徒さんで弾ける人がいたら、使うといいわ。」とおっしゃって貸してくださいました。

松原先生が芸大の専攻科に在籍していた時、アメリカからRay Lev先生がいらっしゃったのだそうです。 Lev先生監修の楽譜の冒頭に書いてあるプロフィールによると、1912年に生まれて、すぐアメリカに渡った方だそうです。お父様はロシア時代は職業音楽家として活躍していた方で、お家で教育を受けたとのこと。ですから、ロシアの奏法を身につけていたのでしょう。

松原先生は、 Lev先生の奏法に対して「こんな合理的な奏法はない。」と思ったのだそうです。 Lev先生がアメリカに帰られるまでの2年4ヶ月という短期間で、しっかり学ばれたのでしょう。手の形は、ホロヴィッツと同じように、指を伸ばし手の内側で支えて弾きます。学生時代に私も「響きを内側に当てて。」「指の付け根で支えて。」とずっと言われていました。

「ショパンの舟歌のこの部分を弾いたときに、先生が”You got it!”とおっしゃったのよ。」と実際に弾きながら話してくれました。キラキラした水のしぶきが見えてくるような音。松原先生にとって、どれほど印象深い、思い出深いフレーズだったかが音からも伝わってきました。

お借りしてきた Lev先生監修の楽譜を家に帰ってからよく見てみました。まず、特長的だったのは、バイオリンのボウイングと同じように、手首の上げ下げを記号で表してあることです。インターネット検索で見つかった数少ない Lev先生にまつわる日本語の記事の中に、高橋アキさんが手首の「up 」「down」をたくさんやって……というエピソードを語っていましたが、手首の動きをとても重視していたことが楽譜からもわかります。

選曲はなかなかおもしろくて、1960年代の出版なのですが、バロック・古典派・ロマン派・近現代(出版当時のではありますが)の音楽がバランスよく含まれています。

特にバロックのものは、日本では知られていない作曲家の作品が含まれているので、ぜひ弾く機会を持ちたいと思いました。

2017.09.30

チェルニーの練習曲

 

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

体験レッスンをお申し込みくださった方が、チェルニー30番の練習曲をやっていらっしゃるとのことだったので、しばらくぶりに1番からずっと弾き直してみました。

大学時代に音楽史を教えてくださった先生が「ツェルニーでなくてチェルニーなんだけど。彼は、ベートーベンの弟子で、あの練習曲はベートーベンのソナタを弾くためのものだ。」とおっしゃっていたのは、とてもよく覚えていたのですが、あらためてなるほど、とうなずけるものがありました。

練習曲=機械的のようなイメージがありますが、決してそんなことはありません。音階がずっと続くとちょっとそんな気がする時もありましたが、美しい部分がとてもたくさんあって、新しい発見がありました。ただ、子供時代にやったものですから、なかなかこういう美しさというのはとらえにくかったかのかもしれません。

今の奏法を学び始めた初期の頃に、同じ音を連打する部分をレッスンしていただいたことがありました。先生から「一つずつ狙う深さを変えてみて。」と言われて、使う指によって狙う深さを意識すると、単なる「音」から「音色」にかわった、という経験をし、それは私にとって印象深いものでした。

音階を弾く時でも、ドレミファソラシドをすべて同じに弾くのではなく、音によって狙う鍵盤の深さを変えると、ニュアンスが出て来ます。一見機械的に思える音階も、音楽的に弾けてるからこそ、曲の中で出て来た時に、自分が表現したいことを伝えることができるのだと思います。

それにしても「鍵盤をしっかりしずませる」「和音をしっかりおさえる」「鍵盤をそこまでしっかりたたくこと」と楽譜に何回も書かれていました。

最初にこの練習曲を弾いてから約45年。結局、現在の私は、鍵盤の底に「触れる」といういう意識は持ちつつも「しっかりおさえる」「しっかりたたく」ことをしない奏法を選んでいます。200円の楽譜を見ながら、思わず苦笑してしまいました。