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「エリーゼのために」の繊細な美しさ

「エリーゼのために」は有名なピアノ曲です。「エリーゼのために」が弾けるようになりたい、と目標にしている生徒さんもいます。

6年生の生徒さんが、「小学校の1年生の時に弾いたんだけど、もう一度弾いてみたい。」ということで、今、練習しています。

あらためてよく楽譜を見ながら弾いてみると、いろいろ発見もあり、意外に難しい部分もあり、と楽しんで弾いています。

弱音の美しさ

よく楽譜を見てみると、強弱記号はpp~mfまでしか書かれていません。左手のラの音の上に和音がある部分も、アクセントとcresc.はありますが、pから始まっています。

そして、有名なミレ ♯ /ミレ♯ミシレ♮ドラの部分は、基本的にすべてppがついています。

とても優しく、繊細で、ささやくような、そんな感じがします。ですから、この曲を弾くには、ppからpで多くのことが表現できる必要があります。

小学校1年生ではその表現はなかなか難しく、ちょうど6年生がもう一度弾くにはとても良い勉強になっている。本当にそう思います。

リズムの難しさ

8分の3拍子です。この3拍子を感じながら弾くことが意外に難しい。

私の知人で、声楽を勉強した人(ピアノは苦手と言っています)が以前、「『エリーゼのために』を弾いた時、ミレ♯ミレ♯と弾いているうちに、何回弾いたかわからなくなって、多く弾きすぎた。拍子感がなかったからだね。」と言っていたことがありました。

確かに、ミレ♯ミシレ♮ドで3拍、1小節。その前に、ミレ♯がついたり、ミミレ♯がついていたり。

さらに3小節にわたってミのオクターブとレ♯が何回もついている部分がありますし、そこにはスラーが16分音符3つ分についていて、よけい拍子がとりにくく感じるのです。

実際に、家にあるピアノピースは、妹が使ったものなのですが、ミレ♯の連続の部分には、赤いボールペンで拍の頭に印がついています。

ただ、その拍感があいまいになりそうな、その部分からも、繊細ではかなげな雰囲気が感じられます。

繊細な気配りが必要

曲全体を通して、音量をどう考えていくかということ、リズムをどう感じていくかということ、その上で、メロディーの繊細な美しさをどう表現していくかということ。

とにかく全体にとても細かい心配りが必要な曲ですね。でも、それだけにこの美しさは本当にすばらしい。

レッスンしながら、私自身もその美しさに改めて感動しています。