「2018年」の記事一覧

2018.05.14

ピアノは生きている

こんにちは。

今日は、調律師さんに伺ったお話を少し紹介していきますね。

 

以前、某有名音楽大学のピアノ科で使うピアノの調律を請け負う会社にお勤めだったときのこと。

その音大ピアノ科の卒業生は、プロのコンサートピアニストになる方も多く、また、いわゆる「有名な」ピアニストもたくさんいらっしゃいます。

卒業試験はホールで行われ、その時には調律師の方もその場に立ち会うのだそうです。

ですから、卒業試験を受ける人の演奏はすべて聞くとのこと。

そんな音大ピアノ科ですから、当然、演奏は相当なハイレベル。

ちょっと私には想像もつきません。

朝からずっと試験だそうですが、途中で15分間の休憩時間があり、調律師はその15分間でピアノを調整しなくてはなりません。

 

私が驚いたのは、「ピアノって3分くらいたつと、その時に弾いている人のタッチに合わせて変わるんですよね。」との言葉。

あるとき、その卒業試験の演奏を聞いていると、下までがんがんたたきこむような弾き方をする方がいて、「この弾き方では、後のピアノの調整が大変だなあ。15分で間に合うかなあ。」と思ったのだそうです。

ところが、その後に上手に音を鳴らす人がいて、それに合わせてピアノが変わってくれて、意外に休憩時間の調整がスムーズだった、とおっしゃっていました。

 

なるほど、やはりピアノは生きているんだな、と思ったお話でした。

レッスンの後に何だかタッチが変わっている、と思うこともあるのですが、そういうことなのですね。

調律師さんが「生徒さんの後に先生が弾くことで、元に戻りますから。生徒さんを凌駕するくらい弾いてください。」と笑いながらおっしゃっていました。

 

生きているピアノ。

その力を最大限引き出すのが弾き手。

そんな意識を持って、私自身が弾くとともに、レッスンでもそれを指導していきたいと思っています。

ピアノの基礎を築く

こんにちは。

昨日は小さいお子さんのレッスンが続きました。

ちょうど、ドとレが終わってミが新しく出てくるところ。

 

やはり、「まんなかのド」は特別な形ですし、しかも最初に勉強するので新鮮!

どの生徒さんも、みんなすぐ覚えますね。

レもその次。

ミになってくると線の上にあるし、あれ?となりがちです。

昨日の2人は、ここで確認したときは、バッチリでした。

お家でも確認しながら練習出来ると、次回に来た時もしっかり覚えられています。

 

線の上にあると、音符は、第何線か何間にあるのかを初めは数えて、考えながら音の名前と鍵盤を関連づけて思い出すことになります。

慣れてくると見てパッと把握して音と鍵盤が分かるようになってきます。

できるだけ早い段階で、音符・音の名前・鍵盤、この3つが頭の中でつながるようにしていきたい。

そう考えて、音符カードを使ったり、音楽ドリルを使ったり、そしてピアノの前で確認したり…とくり返しくり返し勉強する機会を増やします。

 

やはりここは「習うより慣れろ」の部分が大きいと思います。

最初のこの段階、家造りでいうと基礎にあたる部分。

これをどのように築けるかで、あとの進歩が大きく変わってきます。

ですから、本人にも練習の大切さを話しますし、お家の方にもご協力いただいて、練習の習慣作りをしていきます。

 

同時にもう一つ、大きいと感じるのは、指と手の筋力の強化ですね。

それはお手玉を使って、やっています。

お手玉遊び、生徒さんは大好き。

楽しみながら筋力の強化ができます。

これも毎日地道に続けられることが大切です。

 

まだピアノを始めて1~2ヶ月。

新鮮な気持ちで向き合いながら、基礎をしっかり作っていく。

そんな段階の生徒さん達のレッスンでした。

レッスンで成長ぶりを実感

こんにちは。

ゴールデンウィークあけの第1週。

連休でいろいろな体験を楽しんだ生徒さんのお話が楽しいです。

 

昨日は、小学生のレッスンが続きました。

一人は1年生。

「学校の音楽室の壁には、ト音記号や他の記号もいっぱいはってあった。名前も書いてあった。」と教えてくれました。

 

この1ヶ月で、おんがくドリルのドレミファまで勉強してきました。

これがド、これがレ。

4月前半に勉強しました。

次にミ、ファ。

この連休期間中の宿題でした。

宿題はいつも確実にしてくる頑張り屋さんです。

一つずつ勉強しているときは、大丈夫だったはずなのですが…。

 

音符カードを使って、ドレミファの4つを混ぜて、「これ何の音?」ゲームをしました。

ドとレはばっちりです。

ところがミとファになると、あやしくなります。

ミを見ながら「ファ」

ファを見て「ミ?」

でも大丈夫。

これは回数なので、何回も何回も繰り返していけば覚えていきます。

やはりここでも、お家でのピアノの練習と同じ、「繰り返し」が大切です。

レッスンで何回も繰り返したので、帰る頃にはほぼ大丈夫な状態になりました。

 

6年生の生徒さん。

ノクターンの仕上げです。

左手、和音の変化の多さに初めは戸惑いながらも、頑張ってきました。

一度めは練習。

少し修正するところがあったので、そこを修正したあと、録画してみました。

 

感心したのは、テンポです。

練習の時より、テンポを落として、落ち着いて弾くことができました。

もともとお母さまが「この子は本番に強いから。」とおっしゃっていた生徒さんです。

確かに、1回目は少し速いかな、と私も感じていたのですが、きちんそこを自分で修正して弾くことができました。

少しミスタッチはありましたが、でも、止まらずに弾き通しました。

これも大切なこと。

 

2人とも、短時間でどんどん変わっていきます。

これからも楽しみです。

2018.05.11

できるだけ細分化してみる

こんにちは。

久々に朝から良いお天気で、何だかうきうきします。

 

何によらず一つ一つの物事を大きくとらえると、難しく感じられるときがあります。

私などは「部屋の片付けをしよう」と考えるとおっくうになってしまう。

でも、「この引き出しの中の不要なペンを捨てよう」と思うと、何となく動ける、というように。

分解すると、気持ちの上でのハードルがとても下がるのですね。

 

ピアノも同じです。

特に右手と左手のリズムが違うと、それだけで難しく感じられてしまうことがあります。

昨日の生徒さんもそうでした。

右手と左手で動くタイミングが違う、下の楽譜の練習曲です。

この形です。

つい、どちらかにつられてしまっていました。

タイミングをとるのがが難しいようです。

指を動かすのではなく、リズム打ちだけをすることにしました。

最初、右手だけ左手だけでそれぞれ打ってみます。

これは上手にできました。

両手になると「あれ?」

3拍目で両手を一緒に打つと、次の1拍目の両手一緒が打てなくなっていたのですね。

その練習を何回かやりました。

 

その後、ピアノを弾いてみると、リズムの感覚がつかめてきました。

難しいときは、出来るだけ細分化してみること。

練習するときに、大切な意識だと思います。

2018.05.10

未来の自分から逆算して今を考える

こんにちは。

今朝もまだ雨が降っています。

登校の小中学生には冷たくて、ちょっとかわいそうな雨ですね。

 

1日は24時間。

その中で何を優先し、何をやっていったらよいか?

特に大人の方の場合は、お仕事・家事・育児もあり、自分だけの都合で動けないので難しい選択になるかもしれませんね。

一つの考え方として「自分の理想の姿を考えて逆算してみる」というのがあります。

ちょうど山に登っているときに、今まで登ってきた道をふり返るようなイメージです。

理想の姿の自分を考えた時、ピアノを弾ける自分がそこにあるのなら、今日、少しでもピアノを弾く。

練習の時間を確保する。

 

現実の生活を考えると、こういう発想をしようとしても、「でも今これがあって…」となりがちです。

私も、仕事に家事に育児に介護に…と全部抱えていた時に、それを言われても難しかった、と思います。

ただそうすると、未来になっても今の延長線上で自分のやりたいことは常に後回しになってしまいます。

それでは自分がかわいそうですよね。

自分の理想の姿を想像してみると、それはそれで楽しいので、少し発想を変えてみようと考えるだけでも違うかもしれません。

 

今回、私も発表会の曲を決めるに当たって、先生からたくさんの選択肢をいただきました。

今までに聴いたことのある曲もあり、私の知らなかった曲もありました。

その中には、本当に私にとっては「チャレンジ」なのですが、やってみたい曲があります。

ですから、「やる」ことは決めました。

 

少しずつでも譜読みをする。

その作曲家の他の曲を聴いてみる。

頭の中に「その曲が弾けるようになった自分の姿」を思い描いて、やっていこうと思っています。

また一歩、次の段階へ

こんにちは。

5月に入って、気温の高い日が続いていたので、昨日今日は肌寒く感じますね。

ゴールデンウィーク明け、昨日からレッスン再開です。

 

幼稚園年長の生徒さん。

楽譜が読めるようになって、お指のコントロールもだんだんできるようになってきて、先に進むのが楽しい!

知っているお歌もいろいろ出てくる!

ということではりきってやっています。

練習時間の記録もつけていただいているのですが、1日30分以上の日も増えてきています。

素晴らしいですね。

お母さまも「どんどん先を弾きたがるので、ストップをかけるのが大変で…。」とおっしゃっています。

 

次の宿題になった曲のうち1曲は今までのパターン。

1オクターブ違う音程で右手と左手が同じ音を弾きます。

こちらは「ちょうちょう」の曲でスラーが出てきます。

説明には「なめらかに」という言葉が入っていますが、触った感触である「なめらかに」と音をつなげるイメージとがなかなか結びつきにくい様子でした。

ですから「ちょうちょうのようにひらひらきれいに飛ぶ感じで弾こうね。」

「バッタみたいにピョンと跳ばないようにね。」というお話をしました。

 

もう1曲は、また新たな段階へ。

右手はメロディー、左手は簡単な形ながら伴奏です。

「右手のお歌の部分がきちんと聞こえるように、弾いてきましょう。」

という課題。

 

言葉でのイメージと、それが音楽として表現される状態と、それぞれが結びついて、より音楽的な表現が意識できるように。

だんだん「音を出す」段階から「どのように音楽を作っていくか」ということに気を配れるようにしていきます。

また一歩成長していきます。

2018.05.08

地道に取り組むことの大切さ

こんにちは。

昨日は、御茶ノ水にレッスンに行ってきました。

上の写真は神田明神の神馬(しんめ)です。

神田明神には生きた神馬がいるのですね。

なまえは「あかり」ちゃんだそうです。

いつもは小屋の奥にいて会えないのですが、昨日は出ていたので思わず写真を撮ってしまいました。

 

さて、前回のレッスン以降、新しい曲に取り組み始めました。

最初のうちは、「安定して弾くために全部の力・重みをのせてゆっくり練習する」ということをくりかえしていきます。

その部分に重点を置いたために起こっていた状態を修正していただきました。

 

「安定して弾くために全部の力をのせて弾く」ことと、「響く音を出すために出来るだけ持ち上げて弾く」こと。

一見相反するように思えるこの2つの弾き方を、常に行き来しながら「安定し、かつ響く」状態を作り上げていく。

ゆっくり全部の力をのせて弾く練習は、初期の段階でしていけばよい、というイメージを持っていたのですが、実際は常にこの2つの状態を常に行き来する必要があるようです。

確かに、力を抜いて素早く打鍵するという感覚そのものにずれが生じていましたので、早い段階で修正していただけて良かったと思いました。

はるかに先を行く先生の感覚で、自分の現在の弾き方を常にチェックしていただける。

レッスンのすばらしさ、学ぶことのできる環境のありがたさを感じました。

 

今回はヘンデルのシャコンヌに決めましたが、ベルクもいつかは挑戦してみたいので、譜読みについて伺ってきました。

「ソナタ形式なので、構成の部分ではそれほど難しくないはずだけど。和声がちょっと大変かもしれないね。」とおっしゃいます。

「こういう、どこに動くのか予測がつかないような曲の場合はどうするのですか?」と伺うと

「手になじむまで弾きこむしかないと思う。」というお返事。

 

近道はないこと。

地道に取り組んでいくこと。

その蓄積が演奏を変えていくこと。

分かっていること、当たり前のことではあるけれども、改めてそれを意識しつつ帰途につきました。

2018.05.07

習慣を作り直す

こんにちは。

ゴールデンウィークも終わって、本格的に学校やお仕事が始まりますね。

 

中学校に勤めていた頃、このゴールデンウィークあけというのは一つ大事なポイントでした。

というのは、生徒たちも進級して4月いっぱいは「進級したから頑張ろう」「新しいクラスだから頑張ろう」と「頑張る」モードなのですね。

とても緊張して、新しい友達や場合によっては新しい先生に「新しい自分」を見てもらいたい、認めてもらいたい、そう思ってそれまでとは違う自分を作っています。

一般的に新しい習慣をつける時、3週間(21日間)というのは一つの区切りです。

ところが4月の21日間でついたはずの習慣がゴールデンウィークでリセットされてしまう。

「頑張る」と決めたはずなのに、やはり元の自分が顔を出しやすい、そんな時期なのです。

では、どうしたら良いのでしょうか?

学校では、「もう一度4月当初のルール確認を行う」ための声かけをしていきました。

 

ピアノの練習でも同じですね。

学校や幼稚園の生活と関連させて「この時間に練習をする」と決める。

でも、ゴールデンウィークが入り、その習慣がいったん中断する。

その時には、4月にこうしようと決めたよね、という確認をして、もう一度習慣を作り直すことが大切です。

 

ちょっと最初の数日は、大変に思うこともあるかもしれませんが、4月は出来ていたこと。

またすぐに、もとのペースに戻すことができます。

1日1日の積み重ねが上達に大きく影響します。

上達すれば、どんどん楽しくなります。

 

もし、ゴールデンウィークでペースが何か変わってしまった、と感じられたら、ぜひもう一度「決め直す」「習慣を作り直す」ということを意識してみてくださいね。

2018.05.06

シャコンヌの様々な演奏

こんにちは。

ゴールデンウィークも最終日。

上り車線の渋滞情報が聞かれるようになってきて、休暇の終わりを感じます。

おおむねお天気にも恵まれて、良い休日でしたね。

 

ヘンデルのシャコンヌ、いろいろな演奏があって、興味深く聞いています。

やはり、ドイツのピアニズムのピアニストは、アーティキュレーションもさまざまに工夫して、タッチと構成感で聞かせる感じ。

一方、ロシアピアニズムのピアニストは、全体にペダルも多めで、細かいニュアンスで聞かせる感じ。

ざっとこんな印象を持ちました。

古今東西、これほどたくさんの演奏が聴けるというのは本当にありがたいことだと感じています。

私が今師事している先生が、ロシアピアニズムに傾倒するきっかけになったピアニスト、ニコラーエワ先生の演奏もありました。

端正な美しさ。

気品を感じます。

本当に素晴らしい演奏だと思います。

 

バロック時代のもので、もともとがピアノのために書かれたものではないので、その点もどう演奏していくのか、逆に自由度が高いと思いました。

今は、どれくらいのテンポ感が良いのか、自分なりにいろいろ探っています。

同時にバッハの時と同じように、縦のつながりと横のつながりを考えています。

横のラインを、それぞれの旋律線が出るように、音色を変えて弾くこと。

これもロシアピアニズムならではの課題であり、工夫のしどころです。

指遣いも、私の手に合わせると、どう弾いていけば弾きやすいのか。

こういう過程もとても楽しいですね。

 

2018.05.05

「うんちがぽとん」の絵本

こんにちは。

今朝の空も、5月らしい空ですね。

たうらピアノ教室は、基本的に祝日はお休みなので、ここのところレッスンもお休みです。

生徒さんもそれぞれゴールデンウィークならではの過ごし方のお話をしてくれました。

保護者の方もお忙しい中、お子さん達にいろいろな経験をさせてあげようとしていらっしゃって、いつも感心しています。

 

さて、今日は子どもの本の話を書きますね。

やはり、お子さんにとって新しい本は楽しみなもの。

レッスン室に置いた絵本。

レッスンを待っている間に生徒さんが読んだり、生徒さんの妹さんにお母さんが読んであげたり。

なかなか活躍してくれてうれしいです。

見ていると一番人気なのが「うんちがぽとん」

 

これは、うちの子どもも大のお気に入りで、小さい時よく読んでいました(というか読まされました)。

おむつがはずれた記憶がまだ新しい子どもにとって、まあくんのこのお話はとても身近なものなのでしょうね。

そして「自分はおむつは卒業した!赤ちゃんではないよ。」という思いがあるから、よけい楽しいのかもしれません。

そして、くり返される「でたかな?まだまだ。」という言葉。

今回数えてみたら、1ページに36回もくり返されていました!

このくり返しも、とても楽しかったようです。

 

ずっと取っておいた絵本たちが、また皆さんのお役に立てて、私もうれしく思います。

きっと絵本も喜んでいることでしょう。