ピアノ教室

ドアノブを回すように

こんにちは。

昨日のレッスンで、いよいよ新しい教本に入った小学校1年生の生徒さん。

今までは、2と3の指でのノンレガートでしたが、他の指も使って弾いていきます。

昨日は、1と2の指を使いました。

 

ロシアの奏法では、指だけで弾くのではなく、手首を旋回させる動きを使います。

その旋回の方向も左右の回転と、音型によって鍵盤の奥に向かう方向を組み合わせていくのですが、まずは左右から。

初めの頃、私も「ドアノブを回すように」とよく言われました。

ロシアの子どもさんがピアノを弾いている動画を見ると、確かにかなり旋回させている様子が見えます。

モスクワ音楽院に留学した経験のある方にお話を伺ったところ、「1年間、メンデルスゾーンの無言歌集で旋回ばっかりやっていた。」とのことでしたから、相当、徹底的にやる基本の動きです。

 

大人だと、ある程度指の力で鍵盤を押していくことができますが、お子さんの場合は、それをやろうとすると、手首が下がり、弾いていない指が鍵盤から落ちてしまいます。

その状態で下に向かって鍵盤に力をかけて弾くと、確かに音は出ますが、先の段階でまた手の形を修正することになります。

また、出てくる音も、つまった音になってしまいます。

弾かない指も常に鍵盤の上にのせておく意識をもってほしい、でも、きちんと音を鳴らしてほしい。

そのために、手首の旋回を肩から腕の重みを指にのせて弾くのは、とても合理的です。

 

まだ、始めたばかりなので、動きもぎこちないところはありますが、私の話をよく聞いて一生懸命練習しました。

そして、何回か練習するうちに、コツがつかめてきました。

同時に、音色も少しずつ変わって響く音になってきました。

弾き方で音の質も変わっていきます。

 

どんどん成長する生徒さん。また次回が楽しみです。

2018.06.22

「小さな違いに気がつく」力を養う

こんにちは。

人前で弾くことと、日頃のレッスンで弾くことの違いをどう伝えたら良いだろう?

そんなことを考えています。

 

日頃のレッスンでは、「ある程度」弾けていれば、OKです。

完璧でなくても、「理解できている」「気をつけている」ということが伝わってくれば、同じテクニックが必要な曲が、次に出てきた時には、今回のことを基礎に積み上げていけます。

特に、小さいお子さんの場合には、指のコントロールの仕方もどんどん進歩していきますし、たくさん弾くことで指・手の筋肉もどんどん鍛えられていきます。

ですから、今は出来なくても、次には出来そうだな。

こちらはそれを意識した上で○にすることも多いです。

 

表現にしてもそうですね。

どんなイメージで弾きたいか。

それを意識して弾く。

この部分も、ある程度「こう弾きたいと思っている」と私が感じられれば○にしています。

 

一方、人前で、本番として弾く場合には、実際に「できているかどうか」、その「曲」そのものがいかに弾けているか、というところも大切になってきます。

もちろん、手の小さいお子さんたちの場合は、今はこれが精一杯、ということもたくさんあります。

ただ、時間をかけて、できるだけ「弾けている」状態を作っていく。

同時に「聞いてくれる人に伝える」ということに意識をしっかり置いて、弾くことも求められます。

「こんな感じで弾きたい」が伝わる演奏かどうか。

レッスンの中でそんなことも伝えていくことになります。

 

技術的な面でも、音楽的な面でも、人前で弾くための練習をすることを通して、「小さな違いに気がつく」「細かいことに気を配れる」という力がついていきます。

同時にその「仕上げていく過程」そのものも勉強になります。

ピアノを演奏する上で、これはとても大切な力だと思います。

発表会で演奏することにはいろいろな意味がありますが、今回は、こんなことを考えてみました。

スタッカートは「跳ねない」

こんにちは。

今日はスタッカートについて。

私が、今の師匠のところに行って、「今まで知らなかった!」ということの一つがスタッカートについてです。

スタッカートは「音を切る」のですが、つい「跳ねて」いたのですね。

でも、それだと細かい音符のスタッカートの時、とうてい間に合いません。

すごく力が入って、頑張って弾いていました。

すると「スタッカートは音が切れればいいから、そんなに頑張って跳ねる必要はないのです。」とのこと。

 

音のイメージのせいでしょうか。

歯切れがよくなります。

はずんだ感じになりますよね。

だから手をはずませていたのかもしれません。

 

同じことを、イタリア人指揮者について学んでいらっしゃったコレペティトールの方のメルマガで読みました。

「あ、同じだ。」と思ったので、とてもよく覚えています。

「鍵盤、熱いですか?やけどしますか?」とからかわれた、とのことでした。

私の師匠もヨーロッパでの生活が長い方。

もしかしたら、ヨーロッパでは当たり前の感覚が、日本の、私たちにまではなかなか伝わっていないのかもしれません。

 

このことを思い出したのは、幼稚園年長の生徒さんが初めてスタッカートが出てくる曲になったから。

3つ先の曲なのですが、いつもだいたい3曲ずつ弾いてくるので、楽譜をめくって見たのでしょう。

「先生、スタッカートって何?」

ということで気になって仕方がない様子でした。

そこで説明をして、一緒に練習してみると、手を上にはねあげます。

「指だけで」は逆に難しいようです。

でも、ここは最初が肝心。

「指の力を抜いて、音を切る」練習をしました。

何回かやるうちに、こつがつかめてきたようです。

これを覚えておけば、速い部分でのスタッカートも楽にひけます。

 

音の出し方、奏法そのものもそうですが、それ以外にも「頑張って」「力で」弾く部分がこれまでたくさんありました。

でも、実はより合理的な弾き方がたくさんあります。

大人になってからではありますが、それを学べたことに本当に感謝です。

そして、それをレッスンでお子さんに伝えていきたい思っています。

高学年・中学生の生徒さんたちの成長

こんにちは。

先日は、1年生の生徒さん達のことを書きました。

同じ小学生でも、6年生はかなり大人の感覚に近くなっています。

 

ここで、学校の伴奏者オーディションに合格した生徒さん。

オーディション前の準備にも、とても力が入っていました。

今までも、オーディションを受けたことがあったのですが、そのたびに、譜読みが早くなったり、ペダルの使い方が上手になったりとぐっと進歩していました。

今回は念願の伴奏者。

毎日たくさん練習して、伴奏曲は、もう暗譜で弾けるようになっています。

 

伴奏の曲だけではありません。

それが他の曲の練習にも、生かされています。

プレインベンションの弾きにくいカノンも、1週間で、とても音楽的に仕上げていました。

同じフレーズでも歌い方が以前と全く違っています。

ぐんと成長しました。

 

中学校1年生の生徒さん、やはり中学校に入って、ぐっと成長しました。

最初は「運動部に入る」と言っていました。

でも、実際に仮入部をしてみて、楽しかったのでしょう、吹奏楽部に入部しました。

お母さまも「やっぱりこの子は音楽が好きなんですね。」とおっしゃっていました。

先日は「大会だったから、運動部は出かけていて、吹奏楽部だけ部活動だった。長かった!」と言いつつも、とても楽しそうでした。

楽器の話も、楽譜に書かれている音と、実音が違うこと。

クラリネットの中の種類、サックスの中の種類の話。

チューバの話。

マウスピースを落としてはいけないこと等々。

 

自分の楽器だけでなく、他の楽器のこともあれこれ話してくれます。

ピアノでは、もともと譜読みが得意だったのですが、さらに正確に、速く読めるようになっています。

音楽を心から楽しんでいる様子が伝わってきて、とてもうれしくなります。

 

一人一人の成長に寄り添い、見守りつつ、ピアノを通してさらにその成長を助けていく。

ピアノ教室ならではの関わりを、地道に続けていきたいと思っています。

課題をのりこえて成長

 

こんにちは。

小学校1年生の生徒さんが何人かいらっしゃるのですが、この2ヶ月で、みんなぐんと成長した感じがします。

お子さんの進歩・成長は毎回感じるのですが、どのお子さんも何か一つのきっかけで「あ、すごい!」と思うほど、ぐんと伸びる時があります。

やはり、小学校に入学する、というのは大きなきっかけになるのだな、と感じているところです。

 

前回、譜読みにちょっと苦戦した生徒さん。

今回は、レッスンに来て、にこにこしながら「簡単だった!」と言っていました。

ドレミを書いてあるところに、上から紙の付箋を貼って見えないようにしておいたのです。

ノートを見ると、今まででたぶん一番練習時間が長かった。

頑張ったね。

 

ピアノの前に座ると、「毎日、ドレミファソーソー、って歌っていたから、今日は大丈夫。」と言って弾き始め、上手に最後まで弾けました。

次の曲は「ふしぎなポケット」

これも、「この音符は何の音?」と確認。

その後、いっしょに「ドドドミソソソソ…」と何回も歌いました。

帰る時、「次も簡単!」と言って元気に帰っていきました。

 

「たんたたたんうん」のリズム打ちが上手にできるようになった別の生徒さん。

「うたあそび」の新しいページにあるリズム打ちの課題をやりました。

その中に、前回、難しかった「たんたたたんうん」のリズム譜をすぐに見つけました。

「あ、これ、たんたたたんうん」と言ってたたいてみせました。

他の2分音符や4分音符のまざった課題もやりましたが、どれもとてもスムーズでした。

 

身について、自信が持てると、次の課題に自分から取り組めるようになっていきます。

そのきっかけは、ちょっと大変だった課題をのりこえられた、というところにあるのかもしれません。

そんなことを考えたレッスンでした。

2018.06.17

年齢の小さい生徒さんとの会話

こんにちは。

小さいお子さんの言葉、ふるまい。

ほほえましく思えることがたくさんあります。

 

実はここのところ生徒さんが来ると「付箋」がよく話題になります。

その週の課題になる、楽譜や音楽ドリルのページに、目印として貼るために使っているものです。

実は、今まで使っていた付箋がほぼなくなったので、新しい付箋を買いました。

前の付箋は、ピンクと青と黄色の3色でした。

今度の付箋は、青、紫、水色、緑、黄色、オレンジ、ピンクと7色もあって、カラフルです。

みんなすぐ気がつきます。

 

「付箋が新しくなった。いろんな色がある。」

だいたい、そんな感じで会話が始まります。

「好きな色を選んで良いよ。」と言うと、うれしそうにそれぞれ選びます。

 

「紫が好き。」

「そう。じゃ、紫にしよう。」

「ピンクも好きだから、始まりは紫で、最後はピンク。」

 

「緑がいい。」

「じゃ、緑を貼っていいよ。」

「どうして黄色がたくさんあるの?」

実によく見ています。

「前の付箋の黄色だけ少し残っていたから、上に貼っておいたの。」

そして実際に貼ってみて、

「色が薄くなった。」

確かに、重ねてあれば色は濃くなりますし、1枚になればそれよりも薄くなります。

音楽ドリルのカラーページにある緑と比べて、

「同じ緑でも色が違う。」

確かにそうですね。

 

「オレンジが良い。」

「じゃ、貼っていいよ。」

「どうして前の付箋がなくなったの?」

どうして?使ったからだけど…。

そういえば、私が自分の演奏を録音してチェックするときに、たくさん貼ったから一気に減った。

「先生が、たくさん使ったからね。」

「ふ~ん。」

 

大人にしてみれば、「ちょっとしたこと」なのですが、小さいお子さんにとってはそうではない。

だからこそ、小さいお子さんの柔らかい心に響くレッスンをしていこう、と付箋をきっかけに改めて考えさせられました。

 

拍子を数えながら弾こう

こんにちは。

サウンドオブミュージックの中の「わたしのお気に入り」を練習中の生徒さん。

 

4分の3拍子。

4分音符が中心で曲が進む中で、時々2分音符や付点4分音符が入っていきます。

1回目に聞いたとき、その2分音符や付点4分音符が短い、と感じました。

特に2分音符が1拍分より少し長いけれど、1拍半はない、という微妙な長さ。

 

「弾きにくいと思うところはどこ?」と聞くと、

「この長さをどれだけ伸ばしたらいいか、迷います。」と付点2分音符と小節をまたいだ2分音符のタイのところを指しました。

「他のところも、長さが違っているところがあったよ。」と話し、

「4分の3拍子だから、123と自分で声に出しながら、弾いてみようね。」

ということで、ゆっくり123と自分で声に出して拍子を数えながら、弾くことにしました。

 

まず最初の8小節。

数えながら弾くと、自分の2分音符が短いことがすぐわかりました。

2回目に少し速度を上げながらやはり数えながら弾くと、今度はスムーズに、そして2分音符を正確に弾くことができました。

 

続きも全部123と数えながら弾いていきます。

さっき「どれくらい伸ばしたらよいか迷う」と言っていた部分も正確に弾けました。

すぐに対応できるのがすばらしい。

音は読めていましたし、これでリズムも分かったので、最後に連弾をしました。

今度は大丈夫。

しっかり合わせて弾くことができました。

 

頭では「2分音符は2拍」「付点2分音符は3拍」と分かっていても、曲の中でどうなっているのかは、つかみにくい場合があるのかもしれません。

「私も最初に弾く時、数えながら練習するよ。」という話とともに、

「特に初めのうちは、数えて弾くようにしましょう。」という確認をしました。

1曲仕上がり、また次の曲。

今度はどんなふうに仕上がるのか、楽しみです。

2018.06.12

弾けるようになるには?

こんにちは。

レッスンのとき、特にまだ始めて日の浅いお子さんには、できるだけ○をあげられるようにしたい。

やはり、小さいお子さんの場合、○をもらえた!ということも「楽しい」という気持ちになるための大きな要素だからです。

 

そのための練習。

先日のレッスンで、○にならなかったお子さん。

やはり「今日、○もらえなかった。」と寂しそうでした。

う~ん。

どうしたらいいかな?

 

2つ理由が考えられました。

一つは、音符がきちんと読めていないこと。

もう一つは、完成形のイメージがつかめていないこと。

 

そこで、次のレッスンからは、音符カードを使ったクイズで、音符の確認を多く入れていくことにしました。

もう一つ、新しい曲の階名を確認するとき、書き込みました。

でも、それだけでは、音符を読まずに書き込んである文字を読んでしまいます。

その書き込みの上から、紙の付箋を貼って、書いた文字が見えないようにしました。

「どうしても分からないときは、その時だけちょっと見ていいよ。でも、はがさないでね。」

「どうして貼っちゃうの?」

「音符を覚えて弾いてほしいからね。」

ということで、納得してもらいました。

 

完成形のイメージづくりは、弾きながら歌う時間をできるだけ多く取ることにしました。

今後は、私が弾いた動画を活用することも考えています。

今回の目標がどこなのか。

漠然としていては、努力の方向性もわかりません。

 

実際の生徒さんを前にして、良い方法を試行錯誤しながらレッスンしています。

その工夫を考えていくのも、また楽しいことです。

歌を使って楽譜とピアノをつなぐ

こんにちは。

楽譜という「紙に書かれたもの」から、ピアノを使って「音を出す」「音楽にしていく」

このプロセスは、初めてピアノに触れるお子さんには、難しいものかもしれません。

私が「ピアノひけるよ!ジュニア」を使う最大の理由がそこにあります。

一つ一つの音符だけでは、「曲」にしていくプロセスが見えにくい。

そこに「歌をうたう」という活動を入れていくことで、「こう弾けばいいのかな?」ということがわかっていきます。

 

先日レッスンした小学校1年生。

「バケツのあな」を練習しています。

前回のレッスンで、音符を一つ一つミドソラドソ…と確認していきました。

今回のレッスンで聞かせてもらうと、一つ一つの音符を弾いている感じ。

 

この歌は知らないということだったのですが、前回は、簡単に1回歌っただけでした。

そこで、一緒に歌うことにしました。

3回一緒に歌って、その後、リズム打ちをしながらまた歌いました。

「カスタネットとタンバリンとどっちが良い?」と聞くと「カスタネットが良い!」

ということで、カスタネットを使ってのリズム打ち。

「じゃあ、先生がタンバリンでやるね。」と一緒に歌いながら、リズム打ちをしました。

 

だんだん楽しくなってきて、「タンバリンでもやりたい。」

と次に、私が持っていたタンバリンと交換。

タンバリンでもリズム打ちをしながら歌いました。

その後、ピアノで弾いてみると、今度は3拍子のリズムにのって「曲」になっていました。

 

こういう経験を積み重ねていくことで、知らない曲でも「曲」として捉えていく力が養われていきます。

そして、弾ける楽しさ、音楽を作る楽しさをたくさん味わってほしいと思っています。

音の質を聞き分けて曲に生かしていく

こんにちは。

音の質を聞き分けていく耳。

できるだけ早い段階からその練習をしていければ、と考えています。

 

先日の小学校6年生のレッスンの時。

学校の伴奏オーディションにチャレンジし、みごと合格した生徒さん。

前回までのレッスンで、伴奏曲はとても上手に仕上げていました。

その後も練習を重ね、今回のレッスンではさらに美しく音楽的に弾けるようになっていました。

 

音の質についても、今回はかなり気を配っている様子が分かりました。

「強いときと弱いときでは、力のかけ方はどう変わってきますか?」

こういう質問からも、身体の使い方にとても気を配れるようになっていることがわかります。

音の強さ・質によって、肩からかけることも、ひじから・手首からと身体のイメージが変わってきます。

その辺りのお話をして、同時に音の質がどう変わるか、聞いてもらいました。

 

上から下へ力を入れていく。

指の先の一点に力を集めたイメージで弾く時の音。

手前から向こうへ力を入れていく。

鍵盤にはさっきよりもう少し指先の広い部分が触れている時の音。

向こうから手前へなでるように手を使う。

鍵盤にはさらにもっと広い部分が触れる時の音。

 

それぞれ音色が違います。

生徒さんも「全然違う」と言っていました。

「曲によって、さらに曲の中でもフレーズのイメージによって、弾き分けていく。例えば、プレインベンションだとこの音を中心に。ショパンだとこういう音を多く使って…。」と続けてお話をすると、

「楽しそう!」

そう、その通りです。

この弾き分けが意識できて、曲の中で使えると、工夫の余地がとても増えて楽しいのですね。

その部分をとらえることのできる感性。

楽しめる気持ち。

これからもっともっと成長していきます。