「2018年 6月」の記事一覧

2018.06.30

「聞くこと」に意識を向ける

 

こんにちは。

「響きを聞く」と言われても、なかなか感覚が難しいかもしれません。

私もそうでした。

大学時代、先生に「響きを聞きなさい」と言われて、???

「響き?」

 

当時、一人30分くらいのレッスン時間だったと思います。

大学2年生の時、レッスン日のみんなの登校時間がだんだん遅くなっていきました。

一番遠くから、しかも1時間に1本しかないバスで通っていた私は、早く行かざるをえない状況。

ですから、誰か次の人が来るまで、レッスンを受けることができました。

今考えると、とてもラッキーでしたね。

場合によると1時間以上、レッスンが受けられたのですから。

 

そこで何度も言われたのが「響き」

聞こうと思ってもなかなかつかめませんでした。

何となく「これかな?」と思ったものの、はっきりと分からないまま大学は卒業してしまいました。

試験の関係もあり、どうしても「弾く」ことに意識がいきがちだったからだと思います。

 

今は、はっきり分かります。

やはり、「響きを聞こう」という意志を持って聞くこと、訓練もあります。

今の先生についた最初の頃は、かなり「聞くこと」に意識が向くようなレッスンをしていただきました。

ショパンのノクターンやチャイコフスキーの四季など、ゆっくりした、「弾く」ことばかりに気持ちが向かないような曲を中心に、手の使い方と耳の使い方を学ぶことができました。

 

レッスンの時、先生の音を聞くと、響きが空間に満ちていることがよくわかります。

厚みとつやのある音色。

一つ一つの音がまるい感じがします。

その音を目標に、またあれこれ考えながら、今日も練習しています。

2018.06.29

「音を出す」ことと「音楽を作る」こと

こんにちは。

楽譜という書かれたものから音を出し、「音楽を作って」いく。

演奏するということは、そういうことですよね。

 

でも、自分自身をふり返ると、以前は「音を出す」ところに意識がいくことが多くて、「音楽にしていく」「音楽を作っていく」のは、その次の段階、という気持ちでいました。

奏法を変え、今の師匠に学ぶようになってから、それが大きく変わりました。

「音を出す」段階で、「どんな音?」「どういうイメージの響き?」と考える必要があるからです。

楽曲の形式、和声、音型、前後の関係、など様々な要素を考え、「音の種類」「響きの質」を自分なりに作っていきます。

 

フォーレのノクターン第2番でも、最後にまたロ長調に戻ったとき、主旋律になる部分はオクターブで弾いていきます。

内声もあります。

以前の私なら内声はうるさくならないように、と「音の大きさ」を考えて、それで終わっていました。

でも、今は、外側の響きは少し硬質で明るい響きの音、内声は柔らかい深めの音で弾きたい、と思います。

硬質な音を出すためには、手前から向こうに向けて力を抜きたい、柔らかめの音は向こうから手前に…。

一つの手でどうしていったらいいのかな?

いろいろ試行錯誤していきます。

 

響きの質を考えていくことで、音楽の幅がずっと広がっていきます。

同じ音型でも、まったく違った弾き方が出来るようになっていきます。

弾き分けられるようになり、表現出来ることが増えていく。

それはとても楽しいことです。

そんな楽しさを多くの人に知っていただけたら、と思っています。

2018.06.28

触れるだけで音が出る

こんにちは。

写真は、川島町にある平成の森公園の古代蓮の花です。

ここもとても良い場所です。もうしばらくは、花が楽しめそうです。

 

先日のレッスンの時、師匠のピアノを弾いた時、

「なんて反応の良いピアノだろう。」と、ようやくそれを気持ち良く感じることができました。

 

今までも反応の良さはよく分かっていました。

スタインウェイのフルコン。

触るだけで音が出ます。

最初の頃は触るだけで音が出るピアノ、ということが信じられませんでした。

でも、実際に軽く触れるだけで音が出ます。

 

ただ、あまりにも反応が良すぎて、コントロールが難しい、という印象のほうをより強く感じていました。

例えば、ちょっとの違いでいきなり大きな音がでてしまう。

少し深いところを弾くと音が詰まってしまう。

そのたびに、「こう弾きたくないのに…」という思いだったのです。

今回、フォーレのノクターンを弾いたとき、こうしたいと感じたタッチ、ねらった深さと、出て来た音がぴったりと合っていたのです。

そのニュアンスは、私のピアノよりもはるかに繊細で、うれしくなりました。

 

一つは、手の内側の筋肉がしっかりついてきて、細かいコントロールが可能になったこと。

もう一つは、私のピアノの調整がよくて、かなり繊細な弾き分けができるようになっていること。

この2つが原因だと思っています。

 

手の筋トレもずいぶんやりました。

地道にやっていると、確かに違います。

見ていると、師匠も暇があると必ず指を動かしています。

師匠のところでレッスンをしている先生方も、話しながら指を動かしているそうです。

これも終わりがないことなのですね。

 

私のピアノの調整、

ずいぶん長い時間をかけて、細かい部分を磨いて、動きやすくしていただいています。

おかげで、今回の感覚がつかめるようになりました。

 

良い状態に調整されたピアノ。

それを最大限生かすための手、指の状態、使い方。

その結果出てくる、様々な響き

そしてその響きをコントロールして音楽を作っていくこと。

この奏法ならではの楽しさがあります。

2018.06.27

アンサンブルの難しさと楽しさ

 

こんにちは。

今月最終週はレッスンがありません。

ですから、12月のクリスマス会のことを考える予定にしています。

今回は、生徒さんとそのご家族限定の「クリスマス会」にしますので、楽しめる企画ができたら良いな、と思っています。

小さいお子さん、去年から始めた生徒さんが中心ですので、ソロだけでなく、連弾ができると楽しいな…など。

 

連弾では、自分が弾くだけでなく、パートナーの弾く音を聞いていくことが必要です。

ソロとは、そこが大きく違います。

合わせて弾いていく。

難しさもありますが、その楽しさを小さいうちから経験してほしいと考えています。

 

先日、私の所属する「葵の会」の総会があり、そこでも来年の定期演奏会に向けての企画を立て始めました。

ここ数年、2台のピアノで4人8手の演奏を続けており、一昨年は私も弾きましたし、その前に、連弾をしたこともあります。

パートナーと息を合わせていく。

特に、ペダルは、基本的に低音部を担当する人が踏みますから、高音部を担当する人の音のタイミングに合わせていくことが意外に難しいのです。

特に、私の場合には、ロシアの奏法ですので、日常自分の演奏の場合には、ペダルは多めに踏みます。

例えばバッハなどの演奏の場合、一般的にペダルを使わないことが多い曲でも、踏むことが多いのです。

踏んでもらう場合には、そのイメージのすりあわせが必要ですし、私が踏む場合にも、相手の音の出し方のタイミングに合わせていけるようにしていきます。

 

4人8手となると、音がとても多くなるので、部分ごとに誰の音が中心にしていくのか、それをしっかり考えていくことになります。

そうでないと、「うるさいだけ」になってしまいますから。

ただ、ある程度仕上がってくると、ソロにはない厚み、一人では弾けない音の響きが出て、それが楽しく思えます。

 

生徒さん達にも、ピアノについていろいろな経験、いろいろな楽しみ方をしてほしいと、あれこれ考えています。

2018.06.26

修正は小刻みに

こんにちは。

昨日は、御茶ノ水にレッスンに行ってきました。

写真は神田明神。6月30日が大祓えなのだそうで、こんな大きな輪が作られています。

東上線からの乗り継ぎの都合で、10分位前に着くので、レッスン前には神田明神に行くことが多いのです。

 

だいたい月に2回、2週間ごと、というのが通常ペースなのですが、発表会の曲をヘンデルのシャコンヌにするか、フォーレのノクターン2番にするかで迷っていたので、今回は2週連続で行きました。

9月の発表会では、フォーレのノクターンを弾くことに決めました。

シャコンヌは、自分なりの道筋がある程度見えています。

完成したら、こんな感じ、というのもイメージがはっきりしています。

ノクターンのほうが、課題がたくさんあって、2ヶ月をかけて仕上げていくとしたら、今の自分にとって学ぶものが多いと考えたからです。

 

昨日も、練習の段階で自分がなかなか出来なかった部分について、疑問点を伺うことができました。

取り出して弾いて、その方向で良いかどうかを確認していただきました。

自分で「やっている」つもりでも、出来ているかどうか、録音だけでは把握できないことがあります。

特に響きについては、機械で全部とらえて再現できるか、というとそれはどんなすばらしい機械でも無理な話ですし、まして私の手持ちの機器では期待できません。

ですから、きちんと聞いて、フィードバックしていただけるレッスンの場というのは、本当に貴重なものとなります。

 

同時に、自分では気付かないで「やってしまっている」こともフィードバックしていただきました。

今回、かなり高音部まで左手を使って弾く音型が何度も出て来ます。

その音型の時の親指の使い方を指摘していただきました。

本来親指の付け根から使っていくべきところ。

指だけで弾いていたのです。

 

その後、すぐに低音に戻らなければなりません。

その焦りがあって、きちんと手全体を使えていませんでした。

「固まらなければ、十分にもどれます。」と師匠に言われ、知らず知らずのうちに、急いで戻らなければ、という意識で手に力が入り、固まっていたことに気付きました。

 

定期的にレッスンで見ていただくことで、少しのずれが生じた段階で修正することができます。

これが、あまりにもレッスンの間隔があいてしまうと、修正するのにもまた時間がかかってしまいます。

来週が、大切なピアノの仲間達とのオフ会(勉強会)です。

昨日うかがったことをふまえて、人に聴いていただける状態になるように、また練習していきましょう。

3ヶ月でできるようになったこと

こんにちは。

4月からピアノを始めた生徒さん達。

 

3ヶ月を終えて、皆さん、手の力がだんだん抜けてきました。

私たち大人にとっても、グランドピアノはとても大きなもの。

小さいお子さん達にとっては、もっと大きく感じられることでしょう。

その前の椅子に座ること一つとっても「よいしょ」という感じです。

鍵盤も大きくて重いイメージ。

どうしても力いっぱい弾かないと音がでない、という感覚になりがちです。

 

でも、力を入れると今度はがちがちに固まって指が動かなくなってしまいます。

音も「詰まった音」になってしまいます。

3ヶ月でだんだんと自然な手の形がイメージできるようになり、手全体に入っていた力が緩んできます。

音色の違いも少しずつ分かってきます。

 

音符も読めるようになってきました。

だいたい、3ヶ月で「幼児版音楽ドリル」の上が終わるくらいのペースです。

ドレミファソラシまで。

レッスンの時に音符カードを使って確認しています。

時々ソとシで迷うことはあるけれども、だいたい読めるようになっています。

 

「うたあそび」のリズム打ちにも慣れてきました。

タンバリンが好きな生徒さん、カスタネットが好きな生徒さん。

時々、途中で私と交換したりして、楽しんでいます。

 

新しい本になって、だんだん使う指も増え、一段階ステップアップ。

新しい本とドリルを渡すと、みんなその場で開いてみて、こんなことをやるんだ!と楽しみにしている様子。

時に「こんなに難しいの弾けるのかな?」とちょっぴり不安そうに言う生徒さんもいますが、大丈夫。

一歩ずつ、進んでいきましょう。

2018.06.24

フォーレのノクターンの美しさ

こんにちは。

今、フォーレのノクターン2番を練習中です。

この曲もとてもとても美しい。

フォーレは今まで演奏したことのない作曲家。

フランスの作曲家の曲は、ドビュッシーを少し弾いたくらいで、今まであまり弾いてこなかったのです。

なじみがないだけに、自分なりにどんな音色をどこで使ったらよいのか、いろいろ考えているところです。

 

フォーレの室内楽曲はいくつか耳にしたことがあり、とても美しいと思っていました。

いざ楽譜を見て練習し始めると、横の流れと縦の線、その両方をいかに自然に弾くか、意外に難しいと感じました。

先日のレッスンの時にも、

「ここで、この旋律はこうやって跳躍しているでしょう。そして、内声はこの部分で切ない感じ。両方をどんな音色で、どう弾いていくか、だよね。」

「テンポの枠、拍子の枠の中に納めようとしなくていいですから。」などなど課題をたくさんいただきました。

また、曲との距離感について、「ロマン派のように自分を歌い上げる、というのとも違うと思う。」というお話も。

これも、分かるような気がします。

「絵を描くような感じ、かもしれない。」

 

私自身は、このノクターン2番の中に、水・川のイメージを感じます。

きらきら光る水滴。

時に上流のせせらぎのような部分があり、時に下流のゆったりした流れの中を船に乗っているような部分があり、あるいは、激しい流れがあり。

 

最初は、9月の発表会はヘンデルのシャコンヌを弾く予定だったのですが、こちらにしても良いかもしれない、と今、再検討中。

また試行錯誤しながら自分なりの表現を探していきます。

本当に、奥が深いですね。

「私」にしか表現できないもの。

それを少しでも豊かにしていく。

そんな時間が持てるということ、そのものがとても幸せだと感じています。

ドアノブを回すように

こんにちは。

昨日のレッスンで、いよいよ新しい教本に入った小学校1年生の生徒さん。

今までは、2と3の指でのノンレガートでしたが、他の指も使って弾いていきます。

昨日は、1と2の指を使いました。

 

ロシアの奏法では、指だけで弾くのではなく、手首を旋回させる動きを使います。

その旋回の方向も左右の回転と、音型によって鍵盤の奥に向かう方向を組み合わせていくのですが、まずは左右から。

初めの頃、私も「ドアノブを回すように」とよく言われました。

ロシアの子どもさんがピアノを弾いている動画を見ると、確かにかなり旋回させている様子が見えます。

モスクワ音楽院に留学した経験のある方にお話を伺ったところ、「1年間、メンデルスゾーンの無言歌集で旋回ばっかりやっていた。」とのことでしたから、相当、徹底的にやる基本の動きです。

 

大人だと、ある程度指の力で鍵盤を押していくことができますが、お子さんの場合は、それをやろうとすると、手首が下がり、弾いていない指が鍵盤から落ちてしまいます。

その状態で下に向かって鍵盤に力をかけて弾くと、確かに音は出ますが、先の段階でまた手の形を修正することになります。

また、出てくる音も、つまった音になってしまいます。

弾かない指も常に鍵盤の上にのせておく意識をもってほしい、でも、きちんと音を鳴らしてほしい。

そのために、手首の旋回を肩から腕の重みを指にのせて弾くのは、とても合理的です。

 

まだ、始めたばかりなので、動きもぎこちないところはありますが、私の話をよく聞いて一生懸命練習しました。

そして、何回か練習するうちに、コツがつかめてきました。

同時に、音色も少しずつ変わって響く音になってきました。

弾き方で音の質も変わっていきます。

 

どんどん成長する生徒さん。また次回が楽しみです。

2018.06.22

「小さな違いに気がつく」力を養う

こんにちは。

人前で弾くことと、日頃のレッスンで弾くことの違いをどう伝えたら良いだろう?

そんなことを考えています。

 

日頃のレッスンでは、「ある程度」弾けていれば、OKです。

完璧でなくても、「理解できている」「気をつけている」ということが伝わってくれば、同じテクニックが必要な曲が、次に出てきた時には、今回のことを基礎に積み上げていけます。

特に、小さいお子さんの場合には、指のコントロールの仕方もどんどん進歩していきますし、たくさん弾くことで指・手の筋肉もどんどん鍛えられていきます。

ですから、今は出来なくても、次には出来そうだな。

こちらはそれを意識した上で○にすることも多いです。

 

表現にしてもそうですね。

どんなイメージで弾きたいか。

それを意識して弾く。

この部分も、ある程度「こう弾きたいと思っている」と私が感じられれば○にしています。

 

一方、人前で、本番として弾く場合には、実際に「できているかどうか」、その「曲」そのものがいかに弾けているか、というところも大切になってきます。

もちろん、手の小さいお子さんたちの場合は、今はこれが精一杯、ということもたくさんあります。

ただ、時間をかけて、できるだけ「弾けている」状態を作っていく。

同時に「聞いてくれる人に伝える」ということに意識をしっかり置いて、弾くことも求められます。

「こんな感じで弾きたい」が伝わる演奏かどうか。

レッスンの中でそんなことも伝えていくことになります。

 

技術的な面でも、音楽的な面でも、人前で弾くための練習をすることを通して、「小さな違いに気がつく」「細かいことに気を配れる」という力がついていきます。

同時にその「仕上げていく過程」そのものも勉強になります。

ピアノを演奏する上で、これはとても大切な力だと思います。

発表会で演奏することにはいろいろな意味がありますが、今回は、こんなことを考えてみました。

スタッカートは「跳ねない」

こんにちは。

今日はスタッカートについて。

私が、今の師匠のところに行って、「今まで知らなかった!」ということの一つがスタッカートについてです。

スタッカートは「音を切る」のですが、つい「跳ねて」いたのですね。

でも、それだと細かい音符のスタッカートの時、とうてい間に合いません。

すごく力が入って、頑張って弾いていました。

すると「スタッカートは音が切れればいいから、そんなに頑張って跳ねる必要はないのです。」とのこと。

 

音のイメージのせいでしょうか。

歯切れがよくなります。

はずんだ感じになりますよね。

だから手をはずませていたのかもしれません。

 

同じことを、イタリア人指揮者について学んでいらっしゃったコレペティトールの方のメルマガで読みました。

「あ、同じだ。」と思ったので、とてもよく覚えています。

「鍵盤、熱いですか?やけどしますか?」とからかわれた、とのことでした。

私の師匠もヨーロッパでの生活が長い方。

もしかしたら、ヨーロッパでは当たり前の感覚が、日本の、私たちにまではなかなか伝わっていないのかもしれません。

 

このことを思い出したのは、幼稚園年長の生徒さんが初めてスタッカートが出てくる曲になったから。

3つ先の曲なのですが、いつもだいたい3曲ずつ弾いてくるので、楽譜をめくって見たのでしょう。

「先生、スタッカートって何?」

ということで気になって仕方がない様子でした。

そこで説明をして、一緒に練習してみると、手を上にはねあげます。

「指だけで」は逆に難しいようです。

でも、ここは最初が肝心。

「指の力を抜いて、音を切る」練習をしました。

何回かやるうちに、こつがつかめてきたようです。

これを覚えておけば、速い部分でのスタッカートも楽にひけます。

 

音の出し方、奏法そのものもそうですが、それ以外にも「頑張って」「力で」弾く部分がこれまでたくさんありました。

でも、実はより合理的な弾き方がたくさんあります。

大人になってからではありますが、それを学べたことに本当に感謝です。

そして、それをレッスンでお子さんに伝えていきたい思っています。