ピアノ教室

ピアノが楽しい

小学校1年生の生徒さん、うれしいことに「ピアノが楽しい」と言ってくれています。

両手で弾けるようになり、発表会で演奏する曲として、ギロックの「パリの花売り少女」というすてきな曲を選びました。

曲の力

発表会の曲に入る前は、ちょうど両手で弾き始めた段階。右手でメロディーを、左手でドソドソのように簡単な伴奏をつける曲を練習していました。

「パリの花売り少女」はそれに比べるとずっと複雑です。最初の部分は左手がメロディーを、右手が伴奏をつけています。

でも、その分、とてもおしゃれな感じです。「パリの」という言葉がついているように、華やかな、でも落ち着いた、歴史を感じさせる都市で花を売っている少女の姿が浮かんでくるようです。

候補で私が弾いたのを聞いた時、迷わず、「この曲が良い。」と即答でした。

それまで弾いていた曲よりは難しいのですが、気に入った曲を弾けるということが頑張って練習する力になっています。

進歩が実感できている

春頃から練習記録のシールを使っています。楽譜に貼って、練習したら色をぬるようにしたところ、毎日の練習量が増えました。

ですから、この春から上達が速くなり、レッスンについてきたお母様が、「私は仕事で練習を見られなくて、今回の宿題は、今始めて聞いたのですが、自分でこんなに弾けるように頑張ったのですね。」とおっしゃることが増えてきました。

生徒さん本人もそれは実感できていたようです。

今回の曲についても、お母様に「両手で弾けてうれしい。」と言っていたそうですし、練習の記録を見ても、毎日、しっかり練習している様子が伺えます。

練習する力がついてくると、いろいろな面でプラスの効果が出てきます。今、その状況になっているのですね。

楽しく、力をつけていく

音楽は「音」を「楽しむ」こと。自分の表現ができるようになって、それを楽しむこと。

でも、その土台となる練習が欠かせません。練習することで、力がついていきます。いかに楽しく、力をつけていけるか。

今回は、長い曲を「美しく」演奏するのが目標です。この「パリの花売り少女」を、どんなふうに仕上げていけるのか、レッスンをしている私も、これからがとても楽しみです。

2019.05.25

練習の必要性を実感するために

ピアノを習う時、「レッスン中に先生の話を聞くこと」「練習をすること」は「必要なこと」であり、「大切なこと」です。

ただ、お子さんによって、その感じ方の度合はさまざまです。

その人にとっての必要性の度合い

私の知り合いの声楽専門の方は「ピアノは好きではなかった」と言って、こんな話をしていました。

「子供の頃、ピアノは好きではなかったから、練習する『必要性』を感じなかった。体育の授業でつき指したりすると、ピアノのレッスンがが休める、とうれしかったんだよね。」

私のレッスンでも、時にそれを感じることがあります。一般的なレッスンは、生徒さんがピアノを弾く、それについて私が上手にできている点を話したり、改善したほうが良い点を話したりする。生徒さんもそれを聞いて、その場で練習する。

そんな流れで行っていきます。だいたいの生徒さんにとっては、「先生のアドバイスを聞くこと」の「必要性」が実感できているからです。

記録することで必要性を実感する

レッスンよりも、練習のほうがはっきり出るかもしれません。練習は毎日やったほうが良い。それは、言うまでもありません。ただ、必要性が実感できないと、なかなか取り組めないのは当然です。

レッスンに来ているのは、当然、「ピアノが上手になりたいから」です。それと「毎日の練習」との間のつながりの感覚が持ちにくいわけです。

お子さんによって、その感覚は大きく違います。すぐに練習が習慣化して、上手になっていく場合は、「練習して上手になった」といううれしさを自分で実感でき、「また練習しよう」となります。

そういう生徒さんの場合、記録をつけるのも好きですし、得意です。毎日の練習記録をつけてもらっているのですが、それが続いています。

書くという記録方法だと「面倒くさい」と感じる場合もあります。そんな時は、「色をぬる」「シールをはる」などの簡単な記録方法も取っています。

多くの場合、「見える」ことで、意識ができるようになり、練習の回数も増えていきます。

自己評価を中心にして必要性を実感する

そんな場合には、レッスンそのものを「自分ごと」にする工夫をしていきます。

例えば録音して聞いてみる。弾くほうに夢中になると、なかなか自分の演奏を聴くことは、特に最初のうちは難しいですから。

その上で「自己評価」を中心にレッスンを組み立ててみます。「上手に弾けている点」を「自分で」見つける。「改善したほうが良い点」を「自分で」見つける。

次回までの課題を「自分で」決める。先生にアドバイスしてもらいたいことを「自分で」考えるようにする。

どこか「他人ごと」でとらえていると、人はなかなか主体的には動かなくなりがちです。でも、上達していくためには「自分ごと」にして主体的に学んでいくことはとても大切です。

なんとかそれを実感してもらえるように、あの手この手と考えつつ、レッスンしています。

2019.05.19

未来の自分から逆算する力

先週は、子供の生徒さんの発表会の曲を決めました。候補曲の中から、生徒さん本人が気に入った曲を選ぶ、という方法を取りました。

今週からは、練習してきた成果をもとにレッスンです。

「ちょっと難しい」を頑張って乗り越える

発表会なので、いつもより少し難しい曲にチャレンジする場合がほとんどです。ですから、教本で次の曲を弾くよりも、ステップが大きいのは確かです。

この1週間、見ていて、そのステップの大きさを頑張って乗り越えてきた生徒さんがとても多かった、と感じました。

今回は、「クラシック」のピアノ曲を中心に選んでいます。ですから、子どもの生徒さんにとっては知らない曲なのですね。「知らない曲だけど、聴いてみたら気に入ったので、ぜひ弾きたい」という気持ちになった生徒さんは、とても前向きに取り組めているように見えました。

途中からリズムを取りながら聴いていたり、顔の表情が変わったり、選ぶ時、そういう「あ、この曲、良いな。」と思えるかどうかというのは大きいかもしれません。

今までの練習が自信の元になる

3月の面談の時に、「以前は弾けないと悔しくて泣いていたのですが、練習すれば弾けるようになるということが分かったらしくて、泣かなくなりました。」という話が出たことがありました。

この感覚も、とても重要です。多くの生徒さんは今までの練習が元になって、「練習すれば弾けるようになる」という感覚が身についてきています。

この「練習すれば大丈夫」という自信。ですから、いつもよりも長めの曲であっても、「弾けるようになる」という気持ちで取り組むことができます。

未来の自分から逆算する力

この「練習すれば弾けるようになる」という自信は、未来の自分から逆算してイメージする力でもあります。

今回、多くの生徒さんは、クリスマス会に続いて2回めの発表の場。前回の「ドキドキ」の経験も生かして、本番にどうありたいか、というイメージが出来つつあるように感じます。

「発表会でこう弾けるようになりたい」から「今度のレッスンまでに、こうしたい」。そこからさらに「今日の練習はこうしたい」というつながり。

未来のより良い自分から逆算して、今日を考える。これもまた、ピアノを習うことを通して得られる大きな力です。

止まらずに演奏する

幼稚園の先生のレッスンがありました。ずいぶん上手になってきました。前回のレッスンの時に、不安定だったテンポも、メトロノームを使って、速いテンポとゆっくりしたテンポの練習をくり返したことで、安定してきました。

次の課題は、止まらずに演奏できるようにすることです。今回は、歌の伴奏ですから、ピアノが間違っても、歌は進むことになるからです。

楽譜を見ながら確実に弾けるようにする

当たり前のことですが、やはり、第1段階として、確実に弾けること。

これは、指が動く、ということだけではなく、目で楽譜がしっかり追えて、今、ここを弾いているのだということが分かった状態になる、ということが重要です。

ピアノの経験の少ない大人の方を見ていると、意外に、音符は覚えてしまい、手を見ながら弾いている方が多いのです。

歌が進んでいるときに、次の「どこか」から合流するためには、今、楽譜のここの部分を弾いている、ということが確実に分かっている状態は欠かせません。

歌を覚える

「この歌のピアノ伴奏を弾く」「歌と合わせる」という時に、自分がその歌をうたえる、ということは重要です。

これについては、私も、前回の「フィガロの結婚」の伴奏の時に、痛感しました。レチタティーヴォという、おしゃべりをするように速く歌う部分を弾く時、最初はなかなか歌う方と合わないと思っていたのですが、自分がしっかり言葉を読み、歌の流れをつかむことができるようになったら、うまく合わせられるようになりました。

特に、今回のように子どもたちが歌う時。本番の前には練習もあります。そのことを考えても、歌を覚え、歌いながらピアノが弾けるようになることは理想です。

すぐにその段階まで行かなくても、まず、歌は歌として、覚えて歌えるようになれば、ピアノがつまづいたとしても、ここから入ろう、という判断がすぐにできるようになります。

最後に歌いながら弾く練習

ここまでできてから、歌いながら弾いていくと、ずいぶんスムーズに合わせられるようになります。

これも、歌う息は大変かもしれませんが、最初は「合わせられる速さでゆっくり」から始めていきましょう。

幼稚園の先生だけでなく、保育士、小学校の先生がピアノを弾きながら歌う時も同じですね。

授業・保育の場面で弾く全部の曲を、ここまで練習することは、現実的には難しいのですが、いくつかよく歌う歌、力を入れて指導したい歌を何曲かしっかり練習することで、ピアノや歌のスキルそのものが高まっていきます。

そうすれば、他の新しい曲に取り組む時にも、それまでよりもずっと楽にできるようになっていきます。

耳が追いつく速さで練習する

ロシア・ピアニズムの奏法のレッスンに来ていらっしゃる大人の生徒さん。だんだん響きが変わってきました。

親指の使い方が分かって響きのある音が出せるように

前回のレッスンでは、親指の使い方をお話しして、それが分かった途端、響きがまったく変わってきました。

2週間たった今回。単音で指の使い方を練習する教本では、響きのある音で弾くことができていて、前回、分かったことを意識して練習してきたことがよく伝わってきました。

私自身もそうなのですが、レッスンで「分かった」と思っても、家で練習しているうちにズレが出てくることはよくあります。

今回、それがほとんどなかったのは、御本人の中に、しっかりと「これだ!」という手応えがあったからでしょう。

細かく動く部分は耳の追いつく速さで練習する

曲を弾いてみます。今回は、バッハのシンフォニア7番とインベンション13番です。前回シンフォニア7番でとても美しい響きが出ていました。そのポジションのままインベンションの13番と思っての課題です。

実際の曲の中での様子を見ていると、出だしの部分は意識して弾き始めているのですが、途中、特に16分音符が続くと、だんだんポジションが下がってきます。

特に離れた音を弾く時に、親指を使う場面でさがりがちでした。例えば3の指でラを弾き1の指でレを弾く、という使い方をする時にどうしても親指を付け根から使うのが難しいのです。

そこを意識しながら、ゆっくり弾いていくと、全体としてポジションの上がった状態を保ったまま、美しい響きで弾くことができました。

「親指を使った時にポジションが下がっても、曲を弾くことに意識がいくと、何となく分かっていてもリセットできないんです。」とおっしゃっていました。

響きを感じながら弾く練習を重ねる

ゆっくり弾くと耳が追いつきます。ポジションが下がると、耳が聴き取ってくれるので、リセットすることができます。

最初のうちは、手・指の感覚と音の響きの違いを頭の中で1つにしていくことが特に大切だと考えています。

実際に速いテンポの曲の場合には、1音ずつ聴き取っていくというより、まとまりでとらえていく感覚になります。

だからこそ、ゆっくりしたテンポで弾きながら、響きを感じつつ練習することが重要になってくるのです。

2019.05.11

年中の生徒さんの成長

4月に入会した、保育園年中の男のお子さん。今までお姉ちゃんが来ていて、弟さんも始めることになったのです。

年中の生徒さん、大きな変化

年中の生徒さんの連休明け最初のレッスンがありました。入ってきた時から、「何となく今までと違う雰囲気」と感じてはいました。

おんぷノートに音符を書いてみると、線と線の間に上手に○をおさめることができるようになっています。ト音記号のドも、○の中に―がきれいに入って書けるようになっています。

「すごい!きれいに書けるようになった。」と言うと、お母様が「お姉ちゃんです。」とのこと。

とても面倒見の良いお姉ちゃんの様子は見えていたので、「教えてくれたの?おかげで上手に書けるようになっている。」と言うと、お母様が「お姉ちゃんが練習していると、下の子も始めるんですよね。」と教えてくれました。

ピアノの練習にも集中

ピアノの前に座ってからも、前回までとは全く違って、落ち着いてレッスンに取り組めました。 まず、ピアノの中央と自分のおへそを合わせて座って、 「ここは左手」と言いながらヘ音記号のドのところに、さっと手を置いて、準備完了。

伴奏に合わせて弾き始められました。左手が終わると、「今度は右手。」と言って右手に交代。こちらもスムーズに伴奏に合わせて弾けました。

音符を見ながらその音を弾く練習の時も、集中力が持続まま取り組むことができました。

何回かレッスンに来る中で、「今やっていることの意味」を本人なりに理解できてきたのでしょう。

お子さんの成長の速さに驚く

10連休でレッスンの間隔があいたので、2週間ぶり、ということもあるのでしょう。それにしても小さいお子さんの短期間での成長ぶりにほんとうに驚かされました。

同時に、お姉ちゃんの良い影響も見逃せません。お姉ちゃんが毎日練習しているのを見るから、弟さんも毎日練習する。

練習→できるようになる→レッスン→練習→できるようになる→レッスンという成長のサイクルに入ってきた感じがします。

にこにこしながら帰っていく後ろ姿を見ながら、改めてお子さんの成長に立ち会えるうれしさを感じました。

2019.05.10

ピアノを両手で弾く―最初はとてもゆっくりしたテンポで

ピアノを両手で弾くことに苦戦していた生徒さんたちも、だんだん慣れてきました。今日は、片手ずつ弾けるようになった次の段階、両手で合わせる時のコツを書いていきます。

とてもゆっくりしたテンポでタイミングを確認

譜読みの片手ずつは弾けるようになった。さあ、次は両手を使って弾くという時は、とにかくとてもゆっくりしたテンポから合わせていくことが大切です。

左右の手が一緒に動くところはどこなのか。別々に動くところはどこなのか。拍子やリズムは正確にできているか。正しい音が出せているか。

そこを確認しながら、ゆっくりゆっくり練習していきます。この段階の目標は、「タイミング」と「正確に」という点です。左右の手が違うことをするわけですから、タイミングを意識的に考えることはとても大切です。

その練習をくり返しているうちに、だんだんと「考える」が減っていき、手や指がタイミングを覚えてくれて、自然にできるようになっていきます。

メトロノームを使ってとてもゆっくりしたテンポで練習

ある程度、弾けるようになったと感じたら、「メトロノームを使って」その「とてもゆっくりした」テンポで弾いてみます。

この段階の目標は、「拍子感」と「テンポ感」です。自分だけで数えていると、弾きにくい部分はゆっくりに、弾きやすい部分は速くなりがちです。ゆっくりしたテンポでも、確実に同じ速さで弾けるようにすることを目指します。

この時に、遅れてしまう部分があったら、そこだけ取り出して部分練習をしましょう。そこは、まだ弾きにくい部分だからです。

この段階で大切なことは、間違えずに弾けるくらいゆっくりしたテンポから始める、ということです。

弾けるようになったら、だんだんテンポを上げていく

ゆっくりしたテンポで間違えずに弾けるようになったら、今度はだんだんテンポを上げていきます。

メトロノームで2ずつ上げていきましょう。もし、つかえたり間違ったりするようだったら、正しく弾けるテンポまで戻します。

テンポを戻したのに、間違える部分があれば、取り出して部分練習をします。まだ、手や指がしっかり覚えていない部分だからです。

最初はゆっくり

「最初はゆっくり」というのが、なかなか難しいかもしれません。というのは、どうしても完成した形を頭の中に思い浮かべてしまうからです。

でも、「確実に弾けている」状態を脳に記憶させるために、「間違えて弾き直す」ということはできるだけ避けていきたいのです。

昨日の生徒さんも、ある曲を4分音符がメトロノーム105の速さでだいたい弾けるようになっていました。ただ、前回のレッスンで弾けていなかった部分があって、今回もそこにくると弾き直していました。

いくつだったらできるのか、確認してみたら、70のテンポなら間違えずに弾けています。70で練習を何回かして、そこからテンポを上げていきましょう、というお話をしました。

今は、アプリでメトロノームがありますから、すぐ手に入れて実行できます。写真の私のメトロノームは980円でしたが、十分な機能があります。「最初はとにかくゆっくり」から、ぜひ始めてみてください。

2019.05.09

発表会の曲を決める

昨日から、連休明けのレッスンが始まりました。子どもたちも、この連休中にいろいろな経験をして、楽しんだ様子でした。

発表会の曲は自分で選ぶのが基本

生徒さんそれぞれと相談しながら、発表会の曲決めをしていきました。基本的に演奏する曲は2曲。私は、一人4曲の候補曲を選び、その中から、演奏する生徒さん本人に選んでもらいます。

前回、クリスマス会の時にもそうやって決めて、生徒さんも保護者の方にも好評でした。何よりも、「自分で選んだ」となると、自覚が違ってきます。

昨日も、私が弾いて、横で聞いてもらったのですが、様子を見ていると、「これ、気に入ってそう。」というのが分かります。途中から、自分でもリズムを取り始めるのです。弾いている気持ちになるのでしょうね。

曲同士の組み合わせの関係に重点を置いて、候補曲に入れたものもあります。一方、候補曲を選んでいる段階で、「きっとこれ、○○ちゃん、気にいるのではないかな?」と思って候補に入れた曲もあります。

昨日の段階では、「きっと、この生徒さんの気にいるだろうな。」と思って候補に入れた曲が、すべて選ばれたので、私としてもうれしくなりました。

ちょっと頑張る

教本で習っていない範囲の音が出てきたり、今までとは違う手の使い方をしたりと、「ちょっと頑張る」曲を中心に選んでいます。

クリスマス会の時も、生徒さんたちみんな、「聞いてもらいたい」「この曲をしっかり演奏したい」という思いで、とてもよく練習していました。

昨日も、実際に、曲を決めて譜読みに入ったのですが、集中してよく弾いていました。

「ちょっと頑張る」を本番まで続けていくと、それが当たり前になってきます。演奏の力が伸びてくるのです。実際、皆さんそれぞれのペースで、進歩し、その跡を見ることができます。

それも見越しての「ちょっと頑張る」です。

自分の音楽を届けることはすばらしい

日頃のレッスンの時よりも、今回の発表会の曲では、技術面も表現面も、より高い完成度を目指す。その中で、「自分の音楽」を生徒さんの年齢なりに見つけてほしいと考えています。

「こう弾きたい」と思って、それが実際に表現できるようになると、本当に楽しいです。

その楽しさをたくさん味わってほしい。そう思いながら、それぞれの音楽を作り上げていくお手伝いをしていこうと考えています。

保育士さんや幼稚園の先生のピアノ―練習の段階

ピアノで両手が別々の動きをするようになると、初めは「弾きにくい」「大変」と思う場合が多いですね。

特に、大人になってからピアノを始めた方は、そう思う場合が多く、そこを乗り越えられるかどうか、というのは、とても重要です。

今回は、保育士さん、幼稚園の先生のように、大人の初心者の方がお仕事の場面でピアノを弾けるようになるために、ということを前提に書いていきます。

指遣いを決める

まず、片手ずつ弾く練習をするのですが、その前に、指遣いを決める、というのがとても大切です。

指遣いを決めて、いつもその指遣いで弾くことで、練習の内容が運動記憶に蓄積されていくようになります。

初心者の方の場合には、「できるだけポジションの移動を少なくする」「指をくぐたせる回数を減らす」指遣いを考えたほうが弾きやすいでしょう。

同時に、「練習の成果を蓄積して次に生かす」という観点から、例えば「ドミソは基本的に135」「ドファラは基本的に125」という大原則は頭に置いておく必要があります。

ただ、こちらは、前後の音によって変わってきます。そこが難しいところでもありますが、その原則が身についてくると、だんだん弾きやすくなってきますから、そこも欠かせません。

完成形をイメージする

今は、動画などがたくさんありますので、ぜひ、それを見たり聞いたりして完成形を頭に入れましょう。

楽譜を見ながら聞くことが大切です。というのも、同じ「おかえりのうた」でも、伴奏がいろいろあるのです。自分が弾くのと同じではない伴奏の動画を見ていても、「完成形をイメージする」ことにつながりません。

特に、左右の手が別々に動く部分がどこなのか、ということをしっかり聞き取っていきましょう。

片手ずつ、ゆっくりから

次に左右別々に、片手ずつゆっくり練習していきます。ここでは、拍子を数えながら、正確に練習していきます。

何回か練習すると弾きにくい部分が分かってきます。弾きにくい部分をできるだけ狭い範囲で特定して、どうしてなのか、考えます。

指遣いを変えたほうがいい場合もあるかもしれません。この場合は、弾きやすいように変えても良いのですが、変えた指遣いを必ず楽譜に書いておきましょう。

2つの音が離れていて弾くのが難しい場合には、その2つの音の練習だけをします。

先日の私の生徒さんの場合には、違う和音が続くところが難しいようでした。ゆっくりと1つ目から2つ目の和音に移る部分を練習し、次に2つ目から3つ目の和音に移る部分を練習し、それができてから、3つ連続という段階を踏みました。

ここの練習は時間がかかりますが、丁寧に行っていきます。

両手で合わせる練習

ここまでできてから、両手で合わせる練習に入ります。これも、最初はとてもゆっくりから始めます。特に、右手と左手が違うタイミングで弾く部分を意識して練習していきましょう。

それでも、うまくタイミングが取れない時には、ピアノではなくて、リズム打ちをして、タイミングだけ取る練習をします。

小さい子どもさんの場合には、リズム打ちの時に「両手、右、左、両手、両手」と口で言いながら、ゆっくり打つこともあります。

これは身体の多くの器官を使ったほうが、記憶に残りやすいという仕組みを使ったものです。手だけでなく、口も、声に出せば耳も使いますから。

できないときは、できるだけ小さく、分解して練習する。とても大切なことです。

弾けるテンポでだんだん速めていく

弾けるようになったら、テンポを上げていきます。この時、大切なことは「弾ける範囲でだんだん速めていく」ことです。

いつも同じ部分を間違えていたら、「間違える練習」をしていることになります。ですから、「弾けるテンポ」で「それを速めていく」という意識を持っていく必要があります。

お仕事で弾く場合、実際には、子どもたちの動きを見ながら弾くことになりますから、楽譜を見ながら弾けるように、手に覚えてもらうように練習していきましょう。

最初は時間がかかるかもしれませんが、くり返していくうちにできるようになります。

2019.05.05

動画を撮ってみた

以前から、動画を撮ってレッスンに役立てたいと思っていました。この連休を使って、準備をしています。

上から撮影する(俯瞰撮影というそうですが)ための道具はいろいろあるようですが、 考えた末、とりあえず今回はホームセンターでパイプを購入して組み立て、そこに自撮り棒を固定することにしました。

撮影も、最初はSonyのHDR-MV1という録画機能付きICレコーダーを使うつもりでいたのですが、どうもうまくいかず、こちらも「とりあえずはスマホ」です。

今回の最大の目的は「初心者の方の練習の補助にする」ことです。そのためには、手元・指遣いがはっきり見えるような大きさに調節する必要があります。そうすると広角でズームが使えない HDR-MV1だと手元が小さすぎたのです。

試行錯誤しつつ、撮影して編集してタイトルを入れてようやく完成したのがこれ。

課題がいろいろありますね。スマホが焦点を合わせていることがはっきり分かったり、音質もとても気になる。

でも、1つずつ先に進めることが大切。手持ちの機材の範囲でも、工夫をしていけば今よりは、良いものが作れるようになるでしょうし、編集作業にも慣れていくでしょう。

ICレコーダーで録音したものを重ねられるようになれば、音質も改善されます。

当面は、無理をせず、生徒さんの参考になる動画を作って、練習に役立ててもらえるようにすることを最優先していこうと思っています。