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2019.06.27

アルプスの少女「ハイジ」を読む

本屋さんで「100分de名著」という番組のテキストを見かけ、今月は「アルプスの少女ハイジ」が取り上げられていたので、もう一度読み直したくなりました。

本は家にあったので、あらすじはよく覚えているのですが、抄訳だったのでしょう、今回読みなおして、いろいろな発見がありました。今回私が読んだのは、「偕成社文庫 完訳版ハイジ1・2 ヨハンナ・シュピーリ作 若松宣子訳」です。

小学生のお子さんにも、大人の方にもぜひ読んでもらいたい、優れた作品だと思いました。

純真さ、気持ちを率直に表すこと

何よりも心に残ったのは、ハイジの純真さ、素直さ、そして自分の気持を率直に表すことでした。

だからこそ、人とすぐにつながることができる。「人嫌い」だったはずのおじいさんとも、ペーターとも、ペーターのおばあさんとも。

そしてフランクフルトに行ってから、そこで出会ったクララや召使いのセバスティアン、クララのおばあさまたちともそうです。

一方、「形」にこだわるロッテンマイヤーさんにとっては、それがとても怖いことであり、受け入れることができないことなのです。ですから、その率直さをとがめられ、辛い思いをすることになります。

「本を読んで泣きわめいたりしたら、本を取り上げて返さない」と言われてしまいます。

ハイジは本を読んでもけっして泣かなくなりました。が、それはたいへんなことでした。気持ちをおさえて、泣かないようにするのに、とても努力しなくてはならなかったのです。

(途中略)

ハイジはほとんどなにも食べなくなりました。夜になってベッドに入ると、とたんにふるさとのできごとが目にうかび、家を思って、だれにもきかれないように、まくらに顔を押しつけて、静かに泣きつづけるのでした。

偕成社文庫 完訳版ハイジ1 ヨハンナ・シュピーリ作 若松宣子訳

おじいさんのところに戻って「息もできなくて、とても苦しかった」と振り返っています。

人を思いやる気持ち

ハイジはいつも他の人のことを思いやる気持ちにあふれています。目の見えないペーターのおばあさんのことをいつも気にかけ、優しく接します。それも、とても自然に。

ハイジが自分自身の気持ちに率直であるからこそ、他の人は心を開いて自分の気持ちを率直に伝えられます。そしてハイジはそれを相手の身になって考え、良かれと思うことを、また率直に行動に移していきます。

フランクフルトからスイスに戻ってからの描写に、特にそれが表れています。お金をどう使うか。ペーターのおばあさんにパンを買ってあげる。

作者自身が信仰の篤い人だったのでしょう。それが随所に表れていますが、おじいさんにも信仰の大切さを伝え、おじいさんが教会に出かけるきっかけを作ります。その結果、おじいさんは村の人々に受けいられるようになるのです。

お医者さんのクラッセン先生。娘を亡くして悲しみで心がいっぱいになって、山を訪れた先生も、自分の悲しみを(遠回しに)ハイジに話し、そして自然の力とハイジやおじいさんとの関係の中で癒されていきます。

そして、言うまでもないクララ。山の自然の力だけではなく、ハイジやおじいさんが自然との適切な橋渡しをしてくれたからこそ、都会の中で押し込められていたものが開放され、歩けるようになっていきます。

時代を超えて

この本が出版されたのは1880年。今から140年も前のことですが、時代を超えて今の私達に訴えるものがたくさんあります。

作者シュピーリの人間への愛情があるからでしょう。同時に、人間を多面的に見る観察眼の鋭さもあちこちに表れています。

今回読み返してみて、子供時代に読んだ時と大きく違うのは、育てる側の人、特にクララのおばあさまの人物像がとても印象に残ったことです。これは、私の年齢からすれば当然のことですね。

人を包み込む温かさ、そして人の本質を見抜いた上で、その人に合わせて大切なことを示していく姿。一つの理想的な大人の姿が描かれています。

また、都会の中で「作法」や「仕事」で心に壁を作る人の姿が描かれていて、それは、今の日本ではその状況がさらに進んでいます。これも、一つの大きな視点を与えてくれました。

読書は、さまざまな気づきを与えてくれます。今回も、とても楽しい一時をすごすとともに、いろいろ考えるきっかけも与えてもらいました。

2019.06.25

投げる感覚

昨日は、都内までレッスンを受けに行ってきました。

昨日のレッスンでは「手を鍵盤に投げる」という感覚を教えていただきました。同時に、タッチの工夫についてもまた、教えていただくことで、自分の感覚を更新することができました。

手を鍵盤に「投げる」

先生のブログで、ホロヴィッツやアルゲリッチのやっていることとして、「手を鍵盤に投げ」ていることを挙げています。

支えるべき所は支えているが、同時にそれ以外の部分は脱力して固めていない。それどころか、手を鍵盤に投げている。一般的な奏法は鍵盤に手がしがみついているが、それとは真逆。自由に投げて、つじつまを合わせている程度のコントロールの仕方だと思う。

大野眞嗣「ロシアピアニズムをつぶやく」6月20日「投げる」より

この「投げる」感覚で弾こうとすると、今までよりもさらに高いポジションに手を置いて、そこから弾くときだけ降りてくる感じになります。

実際にやってみると、ポジションを上げているつもりだったのですが、まだ低かったことがつかめてきました。

さらに、手首を上げる時、手首の下側の筋肉を使って下から支えて上げるのか、上側から引っ張って上げるのか、という身体の使い方の違いでも、響きは大きく変わってきます。

私の場合、速いテンポになるとどうしても上から引っ張っている身体の使い方になってしまいがちです。

見た目の位置は同じようであっても、上から引っ張って手首の位置を上げる身体の使い方をしていると、響きが薄いものになってしまいます。

昨日もクーラントでその状態になり、テンポを落として落としてゆっくり弾くことでようやく感覚がつかめてきました。

タッチの工夫

同時にタッチの工夫についても、改めて学ぶところがありました。

アルマンドとクーラント。舞曲の性格の違いをはっきりさせるためにタッチを大きく変えていく。

クーラントでは、ホロヴィッツが多用する指を伸ばしたタッチを使っていくことで、音の性格が変わり、軽快な感じが出てきます。

実際に先生が弾いてくださって、イメージをはっきりとつかむことができました。

自分で弾いてみると、コントロールが難しい。手の内側の筋力が違うので、思うようにいかず、ストンと落ちてしまったり、響きが思うほど上がらなかったり、とちょっと時間がかかりました。

音楽に対する姿勢

レッスンで先生と話していたり、弾いていただく一節から、芸術に真摯に向き合い、ピアノを心から愛していることが伝わってきます。

だからこそ、同じ曲をいろいろなタッチで弾き分けたり、さらにどんな工夫があるのだろうか、と考えることができる。

レッスンに行くことで、ロシアピアニズムを学ぶだけでなく、音楽への姿勢やピアノへの愛情に触れ、影響を受けていることを感じます。

音楽という芸術の広さ、深さを、より感じることができます。

「僕自身、アップデートしているからね。」と昨日もおっしゃっていましたが、先生のアップデートについていくことで、私自身もアップデートし、自分の音楽を深めていきたいと考えています。

2019.06.23

楽譜が読めるようになった

3月に入会した生徒さんがいますが、ピアノを始めて4ヶ月。2人とも、楽譜を読むことに慣れてきました。

楽譜が読めるようになると、自分で新しい曲を弾くことができるようになり、より楽しくなってきます。

最後まで自分で弾いてきた

1人の生徒さんは小学校1年生。発表会にも参加する予定で、頑張って練習しています。

1曲めの「森のくまさん」は、5月に決めて、練習していました。もう1曲の「手をたたきましょう」を、先週決めて、練習を始めました。

先週のレッスン中に、曲決めと、前半部分の譜読みをしました。今週は、後半と思っていたところ、生徒さんが「最後まで弾いてきた!」とのこと。

聞かせてもらうと、最後まで音もリズムも正しく弾けていました。

もともと、リズム打ちはとても得意。音符からリズムを感じることができていました。

音符の読み方も、ずいぶんスムーズになっていましたが、ヘ音記号が少し苦手のように感じていました。でも、今回、自分一人の力で、頑張って最後まで楽譜を読んできたのです。

「頑張ったね!」と言うと、うれしそうでした。お母様も「楽しいようで、家に帰るとすぐ練習しているし、朝も弾いています。」とおっしゃていました。

さっと弾ける

もうひとりの、幼稚園年中の生徒さん。やはり、4ヶ月がたち、音符を読むことに慣れてきました。

「まいぴあの1」が終わった段階で、いろいろな状況を考え、「ピアノひけるよ!ジュニア1」を始めることにしました。

最初のうちは、今まで習ってきたことと重なる部分もとても多くなります。実際に、教本を開いて始めてみると、ト音記号の部分は音符もしっかり読めるし、ピアノもリズムを感じながらすぐ弾けるようになりました。

ヘ音記号は、音域がちょっと違うので、最初とまどっていましたが、こちらもじきに理解して弾けるようになりました。

聴いていたお父様もお母様もびっくりしていました。「自分で全部音符を見ながら弾けています。」と言うと「この短期間で、こんなに弾けるようになっていたのですね。」とほんとうに感心していました。

ピアノが楽しいと思える

二人とも、とても楽しくて、お家でもよく弾いているそうです。

そして、音符の意味が分かったので、新しい曲についても自分で楽譜を見ながら弾けるようになってきて、それもまた楽しい。

「その曲が弾ける」ことと、「その曲を通して学ぶ」その2つを意識しながらレッスンしていくことで、他の曲に応用できる力がついてくるのです。

二人とも、頑張って練習しているので、またこれからがとても楽しみです。

2019.06.22

チャレンジする気持ち

発表会に向けて、みんな頑張って練習しています。

昨日も、1年生の生徒さんと7月のレッスン日について「○日と○日と…がレッスンで、この日はリハーサル。」と確認していました。

「リハーサルって何?」

「発表会と同じ会場で、同じピアノで練習するの。」

「ドキドキする。」

こんな会話がありました。

たくさん練習するね

その生徒さん、今回はペダルのある曲にチャレンジしています。

ちょうど発表会の曲を決めるタイミングでペダルの練習に入り、「ペダルのある曲が弾きたい」という希望で曲を決めたのです。

身体が小さいので、ペダルを踏むタイミングになると、身体を前に傾けて踏んでいますが、最初に比べるとずいぶん慣れてきました。

靴下で踏んでいると足が痛くなるとのことで、お家でも靴をはいて練習です。レッスンのときも、本番で履く予定の黒いエナメルの靴を持ってきて練習しています。

その甲斐あって、「ペダルは『耳で踏む』」という言い方をしますが、踏むタイミングもとても上手になってきました。

「ちゃんと弾けるかなあ?」とちょっと不安そうです。

「○○ちゃん、ちゃんと練習しているから大丈夫。」と言うと「もっとたくさん練習するね。」という頼もしい返事が返ってきました。

チャレンジしてみたい

大人の初心者の生徒さん。4月下旬に始めたばかり。発表会への参加を決めたのは、まだ始めて本当にすぐだったので、様子を見て、先週1曲めの「スカボロー・フェア」を決めました。

一週間で「一応、最後まで弾けるようになりました!」ととても頑張って練習していらっしゃいました。

ではもう一曲はどうしようか、ということで、いくつか候補を挙げてみました。

その中で、「ちょっとむずかしいかもしれないけれど。」と言いつつ「戦場のメリー・クリスマス」を挙げてみたところ、「チャレンジしてみたいです。」とのこと。

「では、チャレンジしてみましょう。」と頑張ってみることに。

もうお一人の大人の生徒さんも、「せっかくやるのだからチャレンジしたいです。」ということで、両手の曲にチャレンジ中です。

チャレンジする気持ち

ピアノに限りませんが、何かを学ぶというときには、「新しいことにチャレンジする気持ち」というのがそこにあります。

発表会に向けて、曲を決め、練習する過程の中で、常にその「チャレンジする気持ち」を持ち続けることが大切になってきます。

「たくさん練習するね」という言葉の中に、チャレンジを裏付ける努力をしていく、という気持ちが表れています。

生徒さん自身の「チャレンジする気持ち」をくみ取り、大切にしながら、本番に向けて準備を進めていきます。

ピアノレッスンに来るメリット―お仕事でピアノを弾く方の場合―

お仕事でピアノを弾く方。例えば、保育士さん、幼稚園の先生の中に、もうすこし上手にピアノが弾けたらいいのに…とお思いの方もいらっしゃいます。

そういう方がピアノのレッスンに来るメリットは、どんなところにあるでしょうか。レッスンに通っていらっしゃるからこそのメリットを挙げてみます。

基本となる事柄を知ることができる

私の教室にも、幼稚園の先生、保育士資格を取るために大学に行っている学生さんが通っていらっしゃいます。

その方たちのレッスンをする上で、心がけているのは、「自分ひとりで楽譜を読んで弾けるようになることを目標とする」ことです。

例えば、指遣いを決めることの意味や、指遣いを決める上で考えていく要素。

指遣いを決めることで、部分練習がしやすくなります。自分がつまづくところを取り出して練習しやすくなりますし、どういう指遣いの時に間違いやすいのかということをてがかりに、自分のピアノの弾き方を客観的に見ることもできるようになります。

その上で、実際に指遣いを決めていく上では、基本的に多くの場合、このような指遣いで使う、というものを確認していきます。

例えば、伴奏でよく使われるドミソの和音を左手で弾く場合、指番号で531を使います。シレソも531、ドファラは521。

ある程度、この基本を知っていれば、次に出てきた時に、それを基準に自分で考えることができます。

練習の仕方を学ぶことができる

実際に練習していく上で、通して何回も弾く、という練習方法は効率が良くありません。

間違える部分はいつも間違えたまま、ということになりがちです。

レッスンに来ることによって、それを取り出して、どのように練習したらよいかを知ることができます。

「ここからここまで、移動が大きい場合は、この部分だけ取り出して、こういう練習をします。それができるようになったら、次はこういう練習…」というように、練習の仕方をお教えし、その場で実際に練習をしてみます。

「メトロノームの60から始めて、2ずつテンポをあげていってみましょう。」のように、テンポのとり方をお話しすることもあります。

ここでのレッスン中に、7~8回練習し、ずいぶんテンポを速くすることができるようになった生徒さんもいます。

少しずつ積み重ねていく

3月からレッスンにいらっしゃっている幼稚園の先生。来年の年明けに、オペレッタをするので、その曲のレッスンが目的です。

全部で7曲。実際に発表するときには、途中に他の歌が入っていたり、セリフのBGMが入っていたり、フィナーレで歌を歌っていたり、と10曲近くをノンストップで弾き続けることになります。

初めていらっしゃってから4ヶ月。御本人としても、何とかしてオペレッタを成功させたい、という思いも強く、毎日練習をしていらっしゃいます。

毎日少しずつの積み重ねですが、着実に上達しています。5曲はほぼ完成して、先の見通しも立ってきました。

少しずつの積み重ねが大きな結果になっていく、それは大人の場合も同じです。その労力が大きいだけに、レッスンを通して、その労力を効果的に使っていければ、実りもさらに大きくなっていきます。

1年でこんなにできるようになった

小学校1年生の生徒さん。年長さんだった去年の7月からレッスンを始めてちょうど1年になります。

きのうは、発表会の曲のレッスンをしたあと、「うたあそび」でリズム打ちをしました。

両手ですらすら弾ける

発表会の曲は2曲とも譜読みが終わって、両手で弾ける状態になっています。グルリットの「こもりうた」は前回のレッスンの時に、曲想について、一緒にイメージを作りながら練習したので、ずいぶん表情がついてきました。

ピアニッシモの表現が特に上手できれいに弾けています。

もう1曲、同じくグルリットの「かり」は、楽譜通りに弾くには手が小さいので、本来左手で弾くところで右手を使ったりして、少し指遣いが変則的になってしまいました。

ですから、弾きにくいはずなのですが、こちらもお家での練習をしっかりしてきて、上手に弾けるようになってきました。

両方ともすらすらと弾けるようになっています。最初の頃は「難しいと言っているんです。」とお母様がおっしゃっていましたが、これなら大丈夫。

リズム打ちが1人でできた

うたあそびも2冊めに入り、「かわいいかくれんぼ」です。1回めはリズム打ちだけ練習しました。

その時の様子を見ていると、自分で「1234…」と拍子を感じながら、太鼓をたたいています。そして、まったく間違うことなく、正確にリズム打ちができました。

歌を知っているとのことだったので、その後、一緒に「ひよこがね…」と歌いながらリズム打ちをしました。歌いながらのリズム打ちもバッチリできました。

次に、その下に書かれているリズムを打つ練習です。4分音符、4分休符、8分音符、2分音符、全音符。全音符だけはそれ1つが書かれていますが、あとは、2種類の音符や休符が混ざっています。

さっきとてもスムーズにリズムが打てたので「1人でやってみようね。」ということで様子を見ました。

6種類の課題。まったく迷うことなく、全部さっとできました。

1年でこんなにいろいろできるようになった

そばで聴いていたお母様に「始めてからほぼ1年ですが、ずいぶんいろいろできるようになりましたね。」と話すと

「ほんとうにそうですね。すごいですね。」とおっしゃっていました。

この生徒さんの場合、地道に練習を続け、自分が納得するまで弾いてきます。その積み重ねがこの結果につながったのです。

お子さんの力はすばらしいです。たくさんの可能性があります。

そして毎日の積み重ねを続けることによって、その可能性を自分自身で引き出し、伸ばしていくことができます。

生徒さんのそんな成長ぶりを見ることができて、私もとてもうれしく思いました。

2019.06.18

ポジションを安定させる

昨日は、レッスンを受けに都内まで行ってきました。フランス組曲第1番、全曲を聴いていただきました。

練習方法を変える

前回のレッスンで楽譜をはさんで弾く方法を教えていただきました。これをすることで、腕の付け根から手首まで、小指側のラインが意識できるようになります。

楽譜を落とさないようにすることで、ポジション全体が上がった状態を保てるようになります。

私の場合には、速いテンポの曲になると、どうしてもポジションが下がりがちで、同時に響きも上がりにくくなっていました。

先週のレッスンでも、クーラントになると、楽譜が厚くて重かったこともありますが、はさんでいるはずがどんどん下がってずれてしまい、とても弾きにくく感じていました。

1週間自宅で練習し、自宅のピアノでは、ずいぶん響きが上がった状態を安定して保てるようになったと感じていました。

先生のレッスン室のフルコンを使って、そのポジション、その弾き方が身についたかどうか、先生の耳で客観的に聴いていただきました。

「今日は、全然押し付けていないですね。」と言っていただきました。先生のピアノでも響きが上がっている感じがしていたので、大丈夫とは思っていま。たが、 ホッとしました。

曲の魅力を信じる

もう一点、ずっと練習していて、クーラントの後半の表現がしっくりこないということをお話ししました。

あれこれ考えてみても、いろいろ自分なりにやってみても、何だか平坦な気がしてしまうのです。

「そういう時はあります。そういう時は、『何もしない』というのも1つの選択肢なんですよ。」と教えていただきました。

「曲の魅力を信じるんですね。自分があれこれ何かするのではなくて。」「時間が経つことで、感じ方もかわってきますから。」

驚きましたが、納得もしました。確かに、時間が経つことで感じ方は変わってきます。バッハの音楽は常に魅力的です。

「自分が」を考えることは重要ですが、時にはそれを手放すことも大切なのかもしれません。これもとても考えさせられました。

ピアノを弾けることの幸せ

ピアノを弾けることの幸せの1つは、作曲者とつながる感覚を持てることだと奏法を変えてから、特に感じるようになりました。

バッハとも、モーツァルトとも、何百年も隔たっているのに、直接つながる感覚になれる。

「曲の魅力を信じる」ということは、作曲者とのつながりを信じる、ということなのかもしれません。また次もバッハ。つながりを感じながら練習していきます。

2019.06.17

できたことに目を向ける

人間、どうしても、できたことは「当たり前」に感じてしまい、できていないことをに目を向けがちです。

でも、振り返って、自分が「できたこと」「できるようになったこと」に自分自身が目を向け、味わっていくことはとても大切です。

両手で弾けるようになる

保育士や幼稚園の先生になるための大学に行っている生徒さんがいます。初心者として2月からピアノを始めたのですが、今は両手で弾けるようになっています。

今回のレッスンで、右手は付点4分音符と8分音符、左手は4分音符のリズムで弾いていきます。

両手で弾き始めて間もない生徒さんにとって、このリズムはとても弾きにくいものです。2拍目で最初に左手だけ動かし、その後に右手だけ動かす、というのが難しいのですね。

この大学生の生徒さん、自分で練習してきたそうですが、それほど苦もなくすっと弾けていました。

他の曲もあって、「まだこれとこれもするんですよ。弾けるのかな。」と、課題のことを考えてちょっと大変そう。

「でも、2月から始めて、これだけ両手で弾けるようになった、と考えたら、すごい進歩じゃない?」と言うと「めっちゃポジティブですね。」と逆にびっくりしていました。

自分で弾けるようになる

小学生の生徒さん。今までは、家での練習で片手ずつ弾いてきて、レッスンの時にいっしょに確認しながら両手で合わせる、という形でした。

この間のレッスンの時に、「自分で両手で合わせてみた」と言います。聞かせてもらうと、リズムも、それぞれの手の音も正しく、両手で弾けていました。

自力で両手を合わせることができるようになったのです。「ちゃんと弾けているね。頑張ったね。」と言うと、生徒さん本人も、やはりうれしそうでした。

あるところまで、やっていると、1段階、ふっと上がれる時がありますが、ちょうどその時に来たのでしょう。

お迎えにきたお母様にも「自分で両手を合わせて弾いてきました。とても頑張っていますね。」とお話しし、お母様もうれしそうでした。

できたことに目を向ける

レッスンをしている私の役割としては、「できていること、できていないことをフィードバックする」というのがあります。

頑張る人ほど、まだ出来ていない部分に目を向けがちです。でも事実としてできるようになっている、ということを感じると、また次に頑張る意欲もわいてきます。

私が「できるようになったこと」に目を向けてもらえるようにしっかりフィードバックしていくことで、ピアノがますます楽しくなってほしい、と考えつつ、レッスンをしています。

曲のイメージをつかむ

題名のついている曲の場合、題名からイメージをつかんでいくのも、曲を作り上げていく上で大切になっていきます。

絵を描く

1人の生徒さんはギロックの「おばけのあしあと」という曲を練習中です。ちょっと不気味な感じのする曲です。

英語での原題は”Spooky Footsteps”となっています。辞書では、spooky=不気味なとありましたが、「化け物」「おばけ」のような不気味さを表現する言葉です。

どんなイメージで弾いたら良いかな?と質問しようと思っていました。「日本のおばけには足がないよね。このおばけには足があるんだね。」と話してみると、「絵を描きたい」とのこと。

紙と鉛筆を出して、描いてもらうと、ハロウィーンのおばけを描きはじめました。ハロウィーンが身近になっているので、こういうイメージがすぐ浮かぶのですね。

不気味なおばけ、暗さ、家と火の玉などが描かれていたので、イメージはしっかり把握できているようです。

写真を見る

別の生徒さんも同じギロック作曲の「フランス人形」という曲を練習中です。

原題は”French Doll”となっています。調べてみたのですが、アメリカでの「フランス人形」立ちは違うものの、日本のフランス人形のイメージに近いように思います。

「『フランス人形』って知っている?」と聞いたところ、「知らない」というので、写真をいくつか見せました。

「かわいい~!」という反応。確かに、フワフワのドレス、巻いた髪の毛…とてもかわいいですね。

このお人形さんの感じで弾いていこうね、ということで、練習。今は両手の練習なので、このあと、ペダルがついていけば、イメージに近づけるでしょう。

自分なりのイメージを作っていく

曲を表現していく上で、自分なりのイメージを作っていくことは、とても大切です。

写真を見る、絵を描く、言葉で話す、さまざまな要素を使って自分の中で曲のイメージを作っていきます。

それがはっきりすることで、自分の中にある、「こう弾きたい」がより具体的になっていきます。

「先生がこう弾きなさい」と言ったから…ではなくて、自分で感じた「こう弾きたい」を表現していく。それを目指して、曲作りをしていきます。

「うたあそび」は楽しい

幼稚園~小学生の生徒さんには「うたあそび」を使っています。これがとても楽しくて、生徒さんも楽しみにしています。

生徒さんがよく知っている「歌」で楽しむ

おもしろいと思うのは、みんな、一曲終わると、「次は何かな?」と自分で楽譜のページをめくって「次は森のくまさんだ」「つぎはこぶたぬきつねこだ」と確認して、付箋をはっていくのです。

「うたあそび」は「たのしいソルフェージュ」とついているように、読譜やリズムのテキストです。

見開き2ページで1組になっていて、左側のページには、歌が、右側のページには歌に合わせて踊ったり、手遊びをしたり、リズム打ちをしたり、という課題が載っています。

知っている曲に合わせて、いっしょに歌ったり踊ったり、手遊びをしたり、と私もいっしょに楽しんでいます。

先日も、「げんこつやまのたぬきさん」の最後、「またあした」のところでじゃんけんをしたのですが、なかなか勝負がつかずに、大笑いしました。

読譜とリズムうち

そうやって、リラックスした雰囲気の中で、「この音符を読んでみよう」とか、「リズム打ちをしてみよう」と右ページの課題をすると、楽しく取り組むことができます。

リズム打ちも、歌に合わせてリズムをたたいたり(だいたい太鼓を使いますが、時にはタンバリンやカスタネットも使います)、音符のカードがあったりと、パターンもいろいろ。

読譜も「おおきなこえでよんでみよう」と読むこともありますし、時に「うたってみよう」となっていたり、「ピアノでひいてみよう」となっていたり、いろいろなバリエーションがあります。

時々「時間がないから…。」と、踊りだけ踊って課題を省略しようとすると、「先生、これは?」と催促されて、音符を読んだり、ピアノで弾いたりすることもあります。

慣れていくことが大切

「うたあそび」のおかげで、音符を読んだり、リズムが取ったり、ということがスムーズにできるようになっていくと実感しています。

以前、知人と話した時に、その人も、ご主人も、息子さんもピアノを習ったことがあるのですが、「楽譜を見ながら弾くのは私だけ。『見ながら弾く』のは特殊能力だと言われたの。」と言っていました。

でも、私の教室の生徒さんたちは、楽譜を見ながら弾けています。「特殊能力」ではなくて、そこの情報を得ながら弾くことが当たり前になっているからです。

やはり、ピアノの基本の1つとして、「楽譜を読むこと」に慣れることは上達に欠かせません。そして、そのためには、ソルフェージュの力を高めていくことはとても大切です。

歌ったり踊ったりして、いっしょに楽しみながら、ソルフェージュのちからを高めていきます。